May 14, 2017

その「エンジニア採用」が不幸を生む

キーワード:
 正道寺雅信、エンジニア、採用、評価、組織づくり
IT系エンジニアを効果的に採用するための仕組みが示されている本。概要と目次内容は以下の出版社の紹介ページを参照。去年の3月に転職し、Webサービス的な業務をやっているのだけど、十数人の部署内でITエンジニアは実質自分1人しかいない状況であったりする。当然一人でできることなどたかが知れているので、エンジニアを追加採用する必要がある。そこで、転職後の早い段階から部署内でどういうエンジニアが必要かを考えて、一次面接にも出て採用活動をしている。

しかし、この1年でそれなりに面接をしたが、結局誰も採用できておらず、依然として1人システムチームの状況である。はて、なぜ採れないのだろうか?もちろん、そもそもイケてるWebサービス的な企業ではないし、ITエンジニアが活躍できそうな業界でもないという部分はあるし、中小企業という企業規模でそこまで知名度があるわけでもない。なので、応募自体も少なく、まぁ、そんなに簡単に採れないだろうということは予想できていたし、実際その通りだった。

ごくまれによさそうな人材が転職エージェント経由で応募してくれるが、2次面接に行く前に他社に内定が決まって結局選考はスルーであったり、最近では上層部がもっともらしい理由をつけて本当にこの人は絶対必要だ!!という候補者を見送ったりということもあった(愚痴)。もはやすがるように、どうやったら理想的なエンジニアを採用できるのか!?を知りたくて読んで見た。

ある程度は予想できた内容だけど、改めて論理的に示されていると、なるほどなぁ、と思うと同時に、自分自身と自社の部署そのものあり方について、反省するところが多かったなと思った。そして、あまりにも納得できるところが多すぎて線を引きまくった。

本書の概要を恣意的にものすごく大雑把にまとめると、ものすごくできるA級クラスのエンジニアは、A級同士で働ける環境に魅力を感じ、そもそも転職エージェント経由で転職をすることはなく、SNSや勉強会、カンファレンスなどの自分自身の人脈を活かして人づてで転職先が決まる傾向がある。また、うまくそれなりによいエンジニアを採用できたとしても、その部署なり会社なりがITをコストとしてみなすのではなく、それなりの高給で待遇を保証し、エンジニアの志向性や生態?に対する理解があり、評価尺度、働く環境についてエンジニアを適切に受け入れる体制が必要だ、という内容である。

現状の採用方針を継続していけば、何年たってもエンジニアは採用できない可能性が高いし、採用できたとしてもあまり技術力が高くなく、それこそその採用自体がコストになってしまうな、と思った。プライベートでは絶賛婚活中だけど、採用活動はある意味婚活と同じだなと思った。一部の人気のある人以外は待ってても相手から来るが、そうではないので狩りに行かなくては!!と思った。

まず、個人的にやるべきことは、自分自身がA級クラスのエンジニアになること(そもそも何をもってA級といえるのか?はいろいろあると思うけど)。そのためには仕事でちゃんと実績を作り、技術ブログで情報発信し、カンファレンスや勉強会などに参加して人脈を築いておき、自分自身と一緒に働きたいと思えるような存在になること。そして、よさそうな人がいたら、転職エージェントに頼るのではなく、自分でスカウトしていくことだなと。

今年から技術ブログを始めたのだけど、更新停止している・・・。最近は毎朝5時台に起床してLaravelの技術勉強や技術書読み込みをやっているけど、もう少しアウトプットをしていかなければなと。一応自分の技術ブログは以下と。また、社内、部署内の組織もエンジニアを迎える体制を整えていかなければならないなと。自分自身だけではなく、部署、組織の上層部にもエンジニアの評価体制を提案していく必要があるし、ITそのものに対する理解を深める啓発もしていかなければならないなと。システム開発がどれだけ工数がかかり、すんなりうまくいかないということを理解してもらうのに本当に苦労する。

エンジニアに対する扱い方、考え方は以下の本と大体本質は同じだなと思って読んでいた。こっちは小説だけど、年功序列ではなく技術力があるエンジニアが高給を得るべきだし、ITが分からないものにエンジニアを正しく評価できるわけがないというようなことが書いてある。まさしくその通りなのだけど、それをどう実現していくかが課題である。

ITエンジニアの採用は難しい。もちろんほかの業種もいろんなことがネックになって難しいのだろうけど、ITエンジニアはそれなりに特殊な傾向があるのかもしれない。また、これから転職しようと考えている人も読めば参考になるところが多い。

本書を読んで、効果的なエンジニア採用ができればいいなと思う。まずは、本書を上司にも読んでもらおうと思う。




読むべき人:
  • エンジニアを切実に採用したい人
  • 転職しようと思っているエンジニアの人
  • できるエンジニアの生態を知りたい人
Amazon.co.jpで『正道寺 雅信』の他の本を見る

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May 05, 2017

上弦の月を喰べる獅子

上弦の月を喰べる獅子 上 (ハヤカワ文庫 JA ユ 1-5)上弦の月を喰べる獅子 下 (ハヤカワ文庫 JA ユ 1-6)

キーワード:
 夢枕獏、SF、螺旋、仏教、宇宙
夢枕獏の仏教SF小説。以下のようなあらすじとなっている。
あらゆるものを螺旋として捉え、それを集め求める螺旋蒐集家は、新宿のとあるビルに、現実には存在しない螺旋階段を幻視した。肺を病む岩手の詩人は、北上高地の斜面に、彼にしか見えない巨大なオウム貝の幻を見た。それぞれの螺旋にひきこまれたふたりは、混沌の中でおのれの修羅と対峙する……ベストセラー作家、夢枕獏が仏教の宇宙観をもとに進化と宇宙の謎を解き明かした空前絶後の物語。第10回日本SF大賞受賞作。
(カバーの裏から抜粋)
人は、幸福せになれるのですか? 野に咲く花は幸福せであろうか?――螺旋蒐集家と岩手の詩人、ふたつの孤独な魂から成る人間、アシュヴィンは、いくつもの問を胸に、果てしなく高い山を登りつづけていた。長い修羅の旅を経て、彼がその答にたどりついたとき、世界を驚嘆させるなにかが起きる……進化とは? 宇宙とは? 人間とは? 究極の問に対する答を破天荒な構成と筆致で描きあげた、これは、天についての物語である。
(カバーの裏から抜粋)
あらすじを補足すると、舞台は安保闘争が終わって、ベトナム戦争があったと思われる時代に、売れない戦場カメラマンであった螺旋蒐集家は、あらゆるものに螺旋を見出し、しまいには幻覚まで見えるようになってしまっている。あるとき新宿の高層ビルに奇妙な螺旋階段を発見し、それは設計図上あったが、現実には存在しない螺旋階段であった。そこに足を踏み入れて・・・。

時代は変わり、岩手のイーハトーブの詩人は病床に伏している妹を思いながら、出かけた先にアンモナイトの螺旋を発見し、そこに取り込まれていき・・・。

目覚めた世界で主人公はアシュヴィンとなり、蘇迷楼(スメール)という世界で海よりはい出て、そこからその世界の頂上を目指すことになる。そこで出会った人間や、足のある魚のような生き物、原人のような存在もあり、それらはみな頂上をめざす過程で人間になっていく。そこで出会う螺旋師から主人公の行き先を先導し、主人公を含め、そこに存在するすべてのものは『汝は何者であるか』と問い続けなくてはならない。

夢枕獏の作品は改行が多く、一文が短いのですらすら読める。そしてそれが仏教的な印象を強めている。作者のあとがき曰く、この作品は宇宙を文学作品、物語として表現したかったというようなことが示されていた。それを主人公が蘇迷楼の世界で様々な苦難に見舞われながら修行し、頂上を目指して悟りの境地に至ることで表されていた。

禅問答のような観念的な描写も多く、理解できたようなできなかったような部分もある。しかし、物語として、格闘シーンやサバイバルシーン、血みどろの描写もあり、主人公が次にどのようになっていくのかが気になる要素がちりばめられている。さらに、仏教的な精神世界が舞台であり、魚やカエル、トカゲのような生き物から人間になるまえの原人なども出てきて、やはりこれはSFでもあり、冒険小説的でもあった。

螺旋が一つのモチーフ的になっているので、あれだ、グレンラガンも螺旋だ!!と思って読んでいた。間違いなくこの作品に影響を受けたのだろうと思った。螺旋力、螺旋王なども出てくるし、物語的にも螺旋的な構造を持っていたのが似ているし。Wikipediaを見ると関連作品に示されていた。グレンラガンはまだ、Amazonプライムで20話までしか見てないけど、合わせて鑑賞推奨だ。GW中に読み始めて割と夢中になって読めた。その間はずっと夢を見ているような不思議な読書体験だった。





読むべき人:
  • サバイバル小説を読みたい人
  • 仏教的宇宙観を体験したい人
  • 螺旋に引き寄せられている人
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April 16, 2017

レッドビーシュリンプの憂鬱

キーワード:
 リーベルG、IT小説、エンジニア、評価、改革
IT小説。以下のようなあらすじとなっている。
業績不振のWebシステム開発部に突然コンサルの男――ソフトウェア・エンジニア労働環境向上推進協会、通称「イニシアティブ」の代表を名乗る五十嵐――が現れる。五十嵐が実行する思い切った改革に、若手エンジニアは賛同し成果を出す一方、ベテランエンジニアたちは反発し、五十嵐と対立していく。チームリーダーに抜擢された女性エンジニア箕輪レイコは、板挟みの立場になりながらも問題を解決しようと奮闘するが……。

エンジニアを通してビジネスパーソンとしての働き方や組織の在り方について問題提起する、異色のIT小説。
(Amazonの内容紹介から抜粋)
この本はいろいろと現状のIT業界、エンジニアの処遇に対する問題を提起しているのが主なテーマとなる。それは、エンジニアの技術力がないのに年功序列で評価され、実装技術よりも要件定義や仕様調整、プロマネ的なものばかりが評価されるプログラマーの上位職としてSEが存在することを是正し、年齢に関係なくプログラミング、実装技術を持つものが正当に評価されてそれに見合った報酬を得るべきだ、というものである。

中堅SI企業を舞台に、イニシアティブという外部コンサルタントがやってきてからいろいろと変化が起き始める。良い点は若手エンジニアが新技術、新プロジェクト、Web系サービスに対して意欲をもって働き始めたこと。よくない点は、これまで技術に対する研鑽を怠っていた古株メンバーがリストラ候補に挙がってしまって軋轢を生んだこと。一見エンジニアが正当に評価される制度を取り入れていけば、何もかもがうまくいくようには思えるが、古株メンバーは家庭もあり、新技術のキャッチアップする体力も意欲もなくなっていくので、まぁ、そうかもしれないなと思うのだけどね。

小説としてはそこまで面白いものではないけど、IT業界、特にSI業界ではあるある!!という部分がいろいろとちりばめられていて、線を引きつつ共感しながら読んでいた。たしかにイニシアティブのコンサル、五十嵐のIT業界を変えたいという理念は納得だな、と思う。その反面、自分自身がそのような技術力だけで評価されるところで、生き残れるだろうか?と自問自答せざるを得ない。僕はどっちのエンジニアだろうか?と。もちろん、技術力を高めてそれで評価されたいと思う。それを少なからず望んでSI的なところから転職したのだし。

一点だけITエンジニアを正当に評価すべきという主張に対して本書で抜けている視点、あまり言及されていないものがあって、それは『人月』に対する考え。現状のIT業界の工数見積もり、エンジニアの単価は役職ベースの人月稼働時間で算出されており、それが結局システムの値段、エンジニアの評価となっている。その人月ビジネスを根本から変えないと正当な技術力評価はできないのではないかと思う。

しかし、人月は発注側にも受注側にも便利な尺度であり、人月意外に代替でき納得のいく評価尺度がいまだにないのだから、どうにもならないのかもしれない。ソフトウェアそのものが不可視であり、バグがなく完全なものを作ることはほぼ不可能だし、エンジニアの技術力によって生産性が10倍くらい違ったりするから。

本書はITエンジニアが読めば共感するところはたくさんあるので読んだほうが良い。やはりSI的な評価尺度、正しく自分の技術力で評価されていないのは納得がいかないと思う人は、本書を読んで思い切って転職をするのもいい。また本当はこれはエンジニアを評価する上長的な立場の人もぜひ読んでおくべきだ。正当な評価ができないと、本当にできるエンジニアはその組織で長く働き続けることはないだろうし。

IT小説といっても難しい技術的な話はそこまで出てこない。もちろんIT用語、技術用語がところどこに出てくるが、注釈が載っている。重要なのは些末な技術用語よりも、本書で提起されている問題の本質を把握することだ。

読めばいろいろと考えさせられるIT小説だった。読了後の後味は若干苦いけど、良書の部類。




読むべき人:
  • ITエンジニアの人
  • ITエンジニアを評価する立場の人
  • 正当な技術力で評価されたい人
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January 29, 2017

Laravel リファレンス[Ver.5.1 LTS 対応]

キーワード:
 新原雅司、Laravel、PHP、フレームワーク、リファレンス
PHPのフレームワークのLarvelについての本。本の目次等は出版社のページ参照。仕事でLaravelを使ったWebアプリケーションを作ることになって、読んで見た。あまりほかに日本語書籍がないので、これが一番ボリュームがあってよくまとまってはいると思う。

しかし、とてもわかりにくい書籍だと思った。そもそも自分がそこまで現状バージョンのPHPと他のフレームワークに精通しているわけではなかったので、基本的なところが理解できていないと読み通すのがしんどい感じがする。できれば本書の対象読者、前提知識がどういうものが必要かは示しておいてほしいと思った。

あとはリファレンスという形式でもあるので、わかりやすく説明しようという意図はほとんどない。何よりも図解がないので、Laravelの全体像がよくわからない。特に最初はComposerとLaravelの関係が地味にわかりにくいし、Laravelでインストール時に作成されるディレクトリ群とそれらがどのような動きをするのかが分かりにくい。さらにもっといえば、サンプルコードが書籍内に載っており、GitHubからcloneしてサンプルを実際に見ることができるが、書籍内でそのコードのパスが示されていないところがあって、うーん、となった。

あとは日本語説明がそっけなさ過ぎるし、ところどころ間違いがあるし(正誤表もあるが、それも完全ではなさそう)とにかく全部読み進めるのがかなり大変な技術書であった。本当にわかりやすい技術書は適度に図解があって、さくさくと読み進められるが。リファレンスなので、随時該当箇所を調べながら使うのが良いか。といっても、この本の初版は2015年で、PHPのバージョンも56までしかカバーしていないし、Laravelも5.2までしか対応していないので、若干内容が古くなっているところがある。

特に自分のような初心者にとってこの本から学習をするのはおすすめしないかな。以下で学習するのがいいかもしれない。ある程度学習が進んでから本書を読むと割とすんなり理解できるかもしれない。

なんとか1月中に初回更新ができてよかった。今年も冊数はあまりこなせない可能性が高い。ちなみに27日誕生日で33歳になって、そこで技術ブログをはてなで始めることにした。こっちもよろしく!!




読むべき人:
  • Laravelについて調べたい人
  • PHPをある程度理解している人
  • Laravelのまとまったサンプルコードを見たい人
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December 31, 2016

2016年に読んだ本総まとめ

毎年恒例のまとめ記事なので、今年も一応振り返っておこう。

まずは今年読んだ本の一覧は以下。

  1. 戦略読書
  2. Yコンビネーター
  3. クリムゾンの迷宮
  4. ウォール街のランダム・ウォーカー
  5. リーダブルコード
  6. 越境
  7. 帝国ホテル厨房物語
  8. 村上春樹 雑文集
  9. Webエンジニアの教科書
  10. ストーリーで考える「見積り」の勘所
  11. はじめよう! 要件定義
  12. リーン・スタートアップ
  13. ブラッド・ミュージック
  14. ニッチを探して
  15. 旅をすること
  16. マシアス・ギリの失脚
  17. 微睡みのセフィロト
  18. WORLD WAR Z
  19. 逃亡のSAS特務員
  20. Amazon Web Servicesではじめる新米プログラマのためのクラウド超入門
  21. Amazon Web Services企業導入ガイドブック
  22. 遺失物管理所
  23. ザ・プラットフォーム
  24. 聲の形
  25. この世界の片隅に
ちなみに去年の一覧は以下。今年は冊数がかなり減った。時間的に余裕がなかったわけでもないけど、転職して技術本をメインで読み込んでいたから時間がかかっていたというのもある。その割に技術本を読了できていないけど・・・。あとはPS4でゲーム漬け、Amazonプライムでアニメ漬けになっていたというのもある。

アニメを見た影響ではまり『Re:ゼロから始める異世界生活 1<Re:ゼロから始める異世界生活> (MF文庫J) [Kindle版]』をひたすら読んでいたので、トータル冊数は減っているかな。11巻までKindle版で読了したが、それは個別記事にはアップしていない。完結したらまとめて更新予定。

まぁ、バランスが大事だから、別に冊数が減った分、他のところで補完されているということにしておこう。

読んだ本をこうやって振り返ることで、今年1年何を意識して過ごしていたかがよくわかる。2月までは転職活動中だったということもあり、割と大局観を養うようなものを読んでいたと思う。言い換えれば、自分の人生の方向性を模索していたとも言える。

3月から転職して新しい職場でやっていけるようにと、技術本をメインで読み込んでいこうと思った。でも思ったよりも読了できなかったなと。今も結局途中まで読んで積読になっているものも多いし。本当はJavaScript本とか読了したかったし、今はLaravelのオライリー洋書をKindleで読んだりしている(読了まで数か月かかりそう)。

今年は冊数は少ないけど、読んだジャンルの本は割とバランスが良い気がする。ちゃんと技術本も読みつつ、SF小説、海外文学作品、ビジネス書、投資系の本、エッセイ、漫画なども読めたので。理想を言えば、このジャンルの網羅性で倍の量読めればいいのだけど、漫画、ゲーム(最近はFF15やってる)、アニメ、映画等の優先順位をうまくつける必要がある。これはもう永遠の課題。

今年読んだ本で一番を示すなら、コーマック・マッカーシーの『越境』かな。

越境 (ハヤカワepi文庫)
コーマック・マッカーシー
早川書房
2009-09-10


物語そのものが美しく芸術作品のようで、しかも内容が苦難に満ちた少年の成長物語で人生について考えさせられるような内容だった。また読み終えた当時は自分の方向性に対しての期待と不安が入り混じっていた時で、そういうときにタイミングよく読めたというのも良かったと思う。

来年はどうなるか見当もつかないな。ただ、もう少し技術本を読みこんでいきたいと思う。毎年そんなことを反省しているけど、結果的に全然ダメなのだけどw

ということで、2016年もこれで終わり。また来年

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December 28, 2016

この世界の片隅に

キーワード:
 こうの史代、日常生活、ご飯、人間関係、普通
このエントリも漫画と映画両方をまとめた内容となる。映画の予告を見たときは、なんだか古臭い感じの映画だなと思ってスルーする気だったけど、facebook上で見た人の感想が絶賛に近いものだったので、見ないわけにはいかないと思って、初回は予備知識なしで見に行った。

映画はとてもよかったなと純粋に感じだ。戦時中の何でもない呉市で生きる人たちの日常風景がとてもいとおしく思えた。また配給制なので食料もまともにない中で工夫して食事を食べていき、終戦後に食べる普通の白いご飯がとてもおいしそうだった。そして、終わったあと、新宿の寒空を歩きながら一人で見に行ったことにとても寂寥の気持ちで満たされてしまった。つなぐもう一つの手がないと。

映画を見たときには、どうしても完全に理解できていないことがあった。ストーリーとしては冒頭のもののけ?の存在や座敷童がいる!?というようなところとか、呉市の方言が微妙にわかりにくかったり、「吊床」や「モガ」といった言葉の意味することが何なのか正確にはわかっていなかった。

漫画も絶賛されているので、読む必要があると思って読んで見た。そしたら映画だけではわかりにくかった部分がちゃんと描写されていて、ようやく全容を把握できたと思った。と同時に、映画と漫画で受ける印象が少し違ったと思った。

映画は原作の作画にかなり忠実に映像化されており、またのん氏の声もよく合っており、日常生活、特に『ご飯』がキーワードのように思えた。しかし、漫画のほうを読んで見ると、終戦後に食べる白米のシーンはなく、また映画にはカットされていた周作と白木リンとのエピソードがあり、すずさんが嫁に行った家族、周作、水原哲たちの間で揺れ動く『人間関係』が描写されている気がした。

また、初回の映画を見たときに水原哲が一時入湯上陸に周作の家に来た時に語っていた『すず、お前だけはこの世界で普通でいてくれ』というようなセリフには特に何も感じずに、わざわざ周作家にやってきて邪魔な奴だなぁと思っていたけど、再度映画を見たときはここはとても重いセリフだなぁと感じた。戦地に赴いて殺し合いをすることになり、常に死と隣り合わせの水原哲にとってのすずの何でもない『普通』が救いだったのだなと感じた。

漫画は特にセリフのないコマの使い方がとてもよい。昔サザエさんの原作を読んだことがあるのだけど、その雰囲気にとても似ている。語らずともコマだけで伝わる部分もあるし、微妙な間があって情緒豊かに感じる。そういうのがとてもよい作品で、ゆっくりと読みながら心地よい時間が流れる。

結局、初回予備知識なしで映画鑑賞 ⇒ 漫画を買って読了 ⇒ 2回目の映画を見るというプロセスを経て、『この世界の片隅に』を本質的に鑑賞できた。2回も見たのは今年は『シン・ゴジラ』くらいだ。そして2回目があった大きな理由は、2人で見に行ったからだった。見終わった後、手はつなげなかったけど、居酒屋でご飯を食べに行った。

作品そのものは絶賛されているだけはあったなと思った。日常生活がとてもいとおしく思えて、こういうなんでもない生活ができることが人生で大切なこと、優先すべきことなんじゃないかとも思った。

イベント補整も少なからずあるけど、この作品はきっと思い出に残るものになるはず。




読むべき人:
  • ご飯が楽しみで生きている人
  • 日常生活を大切にしたい人
  • 幸せな気分に浸りたい人
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December 23, 2016

聲の形

キーワード:
 大今良時、障害、贖罪、青春、コミュニケーション
聴覚障害を持つ少女、西宮硝子とその子をいじめていた石田将也の関係性が描かれている作品。漫画は漫画喫茶で読んでいて、そして9月ごろに京アニで映画化されたので見てきて、そしてやはり原作も買ってもう一度読むべきだと思って読んだ。このエントリは漫画単独というわけでもなく、映画も含めた作品評、感想となる。

まず、映画については、これは本当にすごかったというか、いろんな感情を喚起させられて、感動してボロ泣きしてしまうほどの作品だった。映画はそれなりに多く見ているけど、そこまでになるようなものは本当に300本ほど見て1つあるかどうかなのだけど、これはその1作だった。

京アニによって本当に綺麗に映像化されているなぁと思ったし(まぁ、美化されすぎという側面もあるし、客観的にいじめていた人間に好意を抱くことができるのか?と思ったりもするのだけど)、aikoのエンディングテーマ曲もよかったし、漫画原作7巻を130分ほどによくまとめたなぁと感嘆した。必要なシーン、そぎ落とすシーンをうまく取捨選択し、映画だけで完結して映画独自のテーマを提示していたように思える。

ボロ泣きしたのは、もちろんこの作品特有の泣かせようという意図があるという要因も大きい。特にそれは西宮硝子の境遇に対する同情心のようなもので、漫画と同じく独特の魅せる表情で泣かれていると、こっちまでつられて泣いてしまう。しかし、どうしてもボロ泣きした理由がそれだけでは説明できない部分があった。

感動して泣いた理由の内訳は大体以下のようなものだと思う。
  • 辛い、痛々しい、憐憫のような感情・・・5割
  • 結末に対するよかったねというさわやかな気持ち・・・3割
  • 自分でもよくわからない心の内奥をかき乱される気持ち・・・2割
やはり感動といってもいじめのシーンは漫画よりも見ていて辛いものがあるし、半分くらいはそんな気持ちであって、結末は石田が最後にみんなと和解して学園祭を回って、よかったねで終われる。でもそれだけでは普通は泣いたりはしない。もっと描写的には辛い実写映画とか、さわやかに終わる映画を見たりしているが、泣くほどではない。最後の2割はいったい何だったんだろうか?というのが見終わってからもいまいち確信が持てなかった。

そういうのもあって、漫画を速攻で買って読み返した。そしたらそれはコミュニケーション不全を起こしていた主人公たちに自分のことのように感情移入していたんじゃないか?となんとなくわかってきた。それは、伝えたくても伝えられない感情があって、それが心のうちに渦巻いており、そしてそれをどう表現していいかわからない、伝える手段がなくて苦悩して、自分の精神がずっと牢獄に捕らわれて外に出れないようなもので。それがこの作品で聴覚障害と手話、いじめなどによって表現されている、コミュニケーションをテーマとした作品なんだとなんとなく思っていた。

そして、映画公開後に発売された著者インタビューなどが載っている公式ハンドブックを読んで見ると、まさにその通りだった。その部分をほんの少しだけ引用する。
「人と人とが互いに気持ちを伝えることの難しさ」を描こうとした作品です。
(公式ハンドブック pp.170)
なので、『聲の形』というタイトルでかつコミュニケーションがテーマとなっていると語られていた。この部分を読んで、やっといろいろなことが腑に落ちたと思った。自分のこの作品への感じ方は間違っていなかったのだなと安心した(もちろん、作者の意図通りに受け取ることだけが絶対的に正しいということではないし、いろいろな感じ方、受け取り方があってよい)。

おそらく普通の人よりもそれなりに多く映画を見ているけど、これほどに感情を動かされた映画は稀有だなと思った。なので、今年は他にもいろいろな邦画の当たり年であったけど、この作品が今年一番の映画である。

さて、次は漫画について。漫画はやはりいじめのシーンがしんどいというのはあると思う(でも改めて漫画、映画両方見てみると映画のほうがしんどい描写のように思えた)。しかし、いじめそのものは小学生の頃の回想として入っており、1巻がメインで終わる。2巻以降は主に高校3年生になった石田と西宮たちの人間関係の軋轢と修復で進む。なので、1巻を読み終えられたらきっと最後まで読み終えることはできるはずだ。

この漫画が特にスゴいと感じている部分は主に2つある。
  1. 絵柄というか、キャラの表情の描写
  2. 主要キャラのほぼ全員に共感と嫌悪感を抱かせられること
もちろん、いじめや手話、贖罪、青春の物語の側面からもいろいろと示すことができるのだけど、特にこの作品に対して秀逸だなと思ったのはこの2点だ。

まずキャラの表情については、これは作者の前作(原作は冲方丁氏だけど)の『マルドゥック・スクランブル』の主人公、ルーン・バロットの喜怒哀楽がとても豊かに描写されていてよいと感じていた。『聲の形』では、画力が向上しており、よりキャラの表情に磨きがかかっているなと思った。特に声を発することができない西宮の戸惑っている表情、辛そうな泣き顔、照れている顔、嬉しそうな笑顔など、セリフのないコマでとても引き付けられる。個人的にはセリフのないコマが効果的にかつキャラの表情を魅せられることが漫画の良作の基準だと思っている。これが本当に同情心を誘ったり、本能的に感情移入してしまう。ちなみに他の漫画作品で特にキャラの表情がよいなと思うのは『ヴィンランド・サガ』。

そして、次は主要キャラの共感と嫌悪について。これはこれでまたよくキャラを描いているなと思う。石田そのものは小学生時代にいじめていた部分にたいしてひどい奴だという嫌悪と同時に、高校3年生になったときの贖罪の気持ちと、学校で他人が×に見える部分とかに共感した。西宮に対しては、一見憐憫の情だけが占めているようでもあるけど、よく冷静になってみると、意外に意地っ張りで思い込みが激しく植野が指摘するような部分に同族嫌悪のようなものを感じさせられる。

さらには植野のように西宮に対して敵愾心を抱いているところは表面的にはとても嫌な女だなと思ってしまうけど、時折石田に対するかなわない気持ち、切ない表情を見せたりするところにあぁ、わかると共感してしまう。あとは特に西宮の母親の立場も、硝子に対して強く当たりすぎだろと思うけど、父親がいなくなる背景や親としての立場上、そうなってしまうのもわかる、と思えるし。さらには川井は、当事者意識がなく他人事で自分がかわいいと思っている感じで、地味に嫌なタイプだなぁと思うし(作者的には作っているのではなく常時素であるらしい)、かといってそう保身になってしまうのもわかる、と思うし。

石田と西宮をとりまく群像劇で、そのキャラたちの表情や行動それぞれに感情移入や嫌悪を抱かされて、著者自身の何気ない日常生活でよく観察されているのだなとも思った。

映画だけ、漫画だけ鑑賞しても本質的なことはなかなかわかりにくいというのはあると思う。また、いじめや聴覚障害というところで受け入れられる、好き嫌いがはっきり分かれる作品でもあるので、万人受けするものでもないし、絶対見ろとも言い切れないところがある。

なので、できれば、もしこの作品を鑑賞するのなら、映画を見て、漫画もすべて読み、さらに公式ハンドブックまでぜひ読むべきだと思う。公式ハンドブックは著者インタビューやキャラの裏設定やあのシーンはこういう意図があったといったことが示されているので、ある意味作品解釈に対する模範解答的なものになってしまう。それでも、よりこの作品を深く理解するには、作者の意図をくみ取ったほうがよりよいと思った。



この作品を通して自分自身の抱えていたわだかまりが消化(昇華)されたような、そんな感じがした。別にいじめ当事者であったり、聴覚障害があるわけではないから、そういう観点からの共感はそこまでないのだけどね。そして、主人公たちと同じような高校3年生くらいのときに読みたかったと思った。そしたら、もっと違う高校生活を送れていたのかもしれない。

ということで、映画と漫画、両方含めて、『聲の形』はかなりの良作だ。




読むべき人:
  • 高校生くらいの人
  • 贖罪の気持ちがある人
  • コミュニケーション不全を起こしている人
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October 02, 2016

ザ・プラットフォーム

キーワード:
 尾原和啓、プラットフォーム、共通価値、B to B To C、リクルート
IT企業のプラットフォームビジネスについて解説されている本。以下のような目次となっている。
  1. 第一章 プラットフォームとは何か?
  2. 第二章 プラットフォームの「共有価値観」
  3. 第三章 プラットフォームは世界の何を変えるのか?
  4. 第四章 プラットフォームは悪なのか?
  5. 第五章 日本型プラットフォームの可能性
  6. 第六章 コミュニケーション消費とは何か?
  7. 第七章 人を幸せにするプラットフォーム
(目次から抜粋)
著者はマッキンゼー、NTTドコモでiモード立ち上げ、リクルート、Google、楽天と数々の企業を渡り歩いてきており、そこでプラットフォームビジネスを体感してきている。著者の定義によれば、プラットフォームは、ある財やサービスの利用者が増加すると、その利便性や効用が増加する「ネットワーク外部性」が働くインターネットサービスと示されている。

その具体例が大多数の人が使っている、Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft、Twitter、Yahoo!などのグローバルIT企業となる。そして、著者がIT系プラットフォームビジネスに注目する理由は、社会や我々の生活を大きく変える可能性があるからとある。ここは先ほど挙げた企業を使い始める前と後について少し考えれば難しいことではない。

本書の前半戦はAirB&BやUberなどのグローバル企業を具体例に挙げてプラットフォームビジネスの本質について示されているが、改めて解説されてみるとまぁそうだよねと思う反面、特に新たな知見が得られるわけではないかな。しかし、後半戦は著者のキャリアの経歴がないと説明できない部分が示されていて、そこは特に参考になった。

特に5章の『日本型プラットフォームの可能性』の章は、日本型プラットフォームビジネスはゼクシィなどのリクルート系のビジネスを例にB to B to Cに独自のポテンシャルがあると示されている。B to B to Cは参加する企業と顧客の間に立ち、取引を円滑に行うことを手助けするためのモデルと示されている。

リクルートの最大の強みが「配電盤モデル」として示されており、特に参考になった部分を引用しておく。
プラットフォームが拡大するために最も重要なのは第二章でも書いたとおり、「収穫逓増の法則」がうまくまわることです。図で説明するならば、ユーザーが増えれば増えるほど、サプライヤーが増え、またユーザーも増え……というように、企業(B)と顧客(C)の両方を同時に相手にする「B to B to C」というモデルは、ループすることでより加速します。
 さらにこの基本ループの上に、「幅」と「質」のループが合わさることで、「配電盤モデル」はさらに加速し、プラットフォームは拡大を続けて、「さらにもうかり続ける」のです。
(pp.143-144)
リクルート系の先行ビジネスを研究すればプラットフォームビジネスのヒントがたくさんありそうだなと思ったので、ここら辺を気に留めておこうと思う。まぁ、ビジネスモデルはよくてもリクルートのサービスそのものは一利用者からしてみてどうよ?と思うものは無きにしも非ずなのだけど。

特に日本型のプラットフォームのビジネス事例について知りたい場合には、本書は有益と思われる。




読むべき人:
  • プラットフォームビジネスに関心がある人
  • リクルート系の強みを知りたい人
  • 起業してガッツり儲けたい人
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September 22, 2016

遺失物管理所

キーワード:
 ジークフリート・レンツ、遺失物、鉄道、暴走族、仕事
ドイツの小説。以下のようなあらすじとなっている。
婚約指輪を列車のなかに忘れた若い女性があれば、大道芸に使うナイフを忘れた旅芸人がいる。入れ歯が、僧服が、そして現金を縫い込まれた不審な人形が見つかる。舞台は北ドイツの大きな駅の遺失物管理所。巨匠レンツが、温かく繊細な筆致で数々の人間ドラマを描き出す、待望の新作長篇。
(カバーのそでから抜粋)
主人公は24歳の青年で、ドイツの鉄道会社の末端の部署、遺失物管理所に新たに配属になった。そこでは列車内で忘れられた遺失物が届けられ、管理されている。遺失物管理所の棚には無数の傘やスーツケース、人形、僧服、入歯まで様々なものが管理されている。主人公ヘンリーはどこか空気が読めない言動をしがちだったりで、同僚の既婚女性に好意を抱きつつも、訪れる遺失物管理所の人たちとのやり取りで少し普通とは違う対応をしてしまう。

例えば、大道芸人が小道具を忘れてそれを引き取りに来たときは、持ち主であることを証明してもらうために自分を的にして投げナイフをやらせてみたり、スーツケースの落とし主の荷物の中身をチェックし、そこにあった履歴書からその人物が若くして博士を取得していることに関心を持ち、持ち主のところに届けに行ったりする。その博士はロシアの地方の村からやってきたパシキュール人で、その人物との交流が始まったりする。

特に際立った物語の起伏があるわけでもなく、事件らしい事件もない。取得物から大きなドラマが始まるでもなく、どちらかというとあまり出世欲がなく、ここで定年を迎えられたらいいなと考えている主人公とその姉バーバラや交流のある博士、同僚とのやり取りがほとんどである。主人公があまり空気を読まないような感じで若干違和感があり、最初は変な奴だと思うけど、正義感や友情を大切にする人物として描写されていて後半は好人物のように思えた。

物を落としたりどこかに忘れてきたということはほとんどないので、実際の遺失物管理所がどういうところなのかはわからない。しかし、社会の末端のような職場のお話しなのだけど、そこに集められる遺失物が読む人にとっての何か暗喩のようなものを感じられるかもしれない。

割と時間的にも精神的にも余裕がないとあまり読めないかもしれない。読んでいて若干眠気を誘うし、お話としてはとりわけ面白いわけでもないし。それでも不思議と最後まで読めた。



遺失物管理所 (新潮クレスト・ブックス)
ジークフリート・レンツ
新潮社
2005-01-26

読むべき人:
  • 遺失物管理所に行ったことがある人
  • 出世欲がない若い人
  • 忘れ物がある人
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September 11, 2016

Amazon Web Servicesではじめる新米プログラマのためのクラウド超入門

キーワード:
 WINGSプロジェクト/阿佐 志保、AWS、クラウド、基本、入門
AWSの基本的なことが解説されている本。目次は長いので翔泳社のページを参照と。仕事で自社のデータンセンターで運用しているWebサービスをクラウドに移行しようということになって、クラウドってなんぞ?というところから始まって、まずは以下の本を読んだ。この本はどちらかというと移行前に考えることを詳細に示された本だった。AWSの全体像と概要を理解したので、次は実際の使い方とWebサービスの構築方法が知りたいと思って、書店のAWSコーナーを見ると、これが一番初心者向けで分かりやすいと思って買って読んだ。

『新米プログラマのための』とタイトルにあるが、別に新米プログラマが対象でなくても読むべき内容で、とても分かりやすくAWSの基本的なことが示されている。各サービスの概要、そもそものインターネットやネットワーク、IPアドレスの仕組みなども示されている。また、各サービスの構築手順がキャプチャつきで示されているので、この本を読みながら一通り試しながら学習できる。

WebサービスはEC2インスタンスがAmazon Linuxで、そこにApacth Tomcatを設定し、RDSにMySQLを組み合わせてJavaで作るものを想定されている。Javaを使う人にはそのまま参考になると思われる。また、仮想化環境でアプリを管理、実行するためのオープンソースのプラットフォームのDockerについて、インストール方法から示されている。

自社のWebサービスはWindows Serverを使っているので、MS系の技術は本書には書いてなく、そこはあまり参考になるところがなかった。例えば、RDSにSQL Serverはあるが、EC2のWindows ServerインスタンスにもSQL Serverが標準搭載になっているものがあるので、初心者にはどっちを使うべきなのかとか、そもそも両方の選択肢があることなどは分からなかったりする。

AWSでWindows系のシステム構成になっている本があまりないので、そういうのが個人的にほしいなと思った。まぁ、そもそもAWSじゃなくて、Azure使えばいいじゃないかという気もするのだけどね。

とはいっても、AWSの基礎的なことが分かって重宝した。他のAWS本はぶ厚すぎたりある程度基礎が分かっている人向けだったりするので。本書を読めば最低限のAWSのシステム構築方法が分かるはず。あとは、地道にAWSのWeb上のドキュメントを読んで、お試し環境で試行錯誤していくのが理解の早道と思われる。




読むべき人:
  • AWSの基礎が知りたい人
  • JavaでAWSを使う必要がある人
  • Dockerも考慮したい人
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