October 02, 2016

ザ・プラットフォーム

キーワード:
 尾原和啓、プラットフォーム、共通価値、B to B To C、リクルート
IT企業のプラットフォームビジネスについて解説されている本。以下のような目次となっている。
  1. 第一章 プラットフォームとは何か?
  2. 第二章 プラットフォームの「共有価値観」
  3. 第三章 プラットフォームは世界の何を変えるのか?
  4. 第四章 プラットフォームは悪なのか?
  5. 第五章 日本型プラットフォームの可能性
  6. 第六章 コミュニケーション消費とは何か?
  7. 第七章 人を幸せにするプラットフォーム
(目次から抜粋)
著者はマッキンゼー、NTTドコモでiモード立ち上げ、リクルート、Google、楽天と数々の企業を渡り歩いてきており、そこでプラットフォームビジネスを体感してきている。著者の定義によれば、プラットフォームは、ある財やサービスの利用者が増加すると、その利便性や効用が増加する「ネットワーク外部性」が働くインターネットサービスと示されている。

その具体例が大多数の人が使っている、Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft、Twitter、Yahoo!などのグローバルIT企業となる。そして、著者がIT系プラットフォームビジネスに注目する理由は、社会や我々の生活を大きく変える可能性があるからとある。ここは先ほど挙げた企業を使い始める前と後について少し考えれば難しいことではない。

本書の前半戦はAirB&BやUberなどのグローバル企業を具体例に挙げてプラットフォームビジネスの本質について示されているが、改めて解説されてみるとまぁそうだよねと思う反面、特に新たな知見が得られるわけではないかな。しかし、後半戦は著者のキャリアの経歴がないと説明できない部分が示されていて、そこは特に参考になった。

特に5章の『日本型プラットフォームの可能性』の章は、日本型プラットフォームビジネスはゼクシィなどのリクルート系のビジネスを例にB to B to Cに独自のポテンシャルがあると示されている。B to B to Cは参加する企業と顧客の間に立ち、取引を円滑に行うことを手助けするためのモデルと示されている。

リクルートの最大の強みが「配電盤モデル」として示されており、特に参考になった部分を引用しておく。
プラットフォームが拡大するために最も重要なのは第二章でも書いたとおり、「収穫逓増の法則」がうまくまわることです。図で説明するならば、ユーザーが増えれば増えるほど、サプライヤーが増え、またユーザーも増え……というように、企業(B)と顧客(C)の両方を同時に相手にする「B to B to C」というモデルは、ループすることでより加速します。
 さらにこの基本ループの上に、「幅」と「質」のループが合わさることで、「配電盤モデル」はさらに加速し、プラットフォームは拡大を続けて、「さらにもうかり続ける」のです。
(pp.143-144)
リクルート系の先行ビジネスを研究すればプラットフォームビジネスのヒントがたくさんありそうだなと思ったので、ここら辺を気に留めておこうと思う。まぁ、ビジネスモデルはよくてもリクルートのサービスそのものは一利用者からしてみてどうよ?と思うものは無きにしも非ずなのだけど。

特に日本型のプラットフォームのビジネス事例について知りたい場合には、本書は有益と思われる。




読むべき人:
  • プラットフォームビジネスに関心がある人
  • リクルート系の強みを知りたい人
  • 起業してガッツり儲けたい人
Amazon.co.jpで『プラットフォーム』の他の本を見る

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September 22, 2016

遺失物管理所

キーワード:
 ジークフリート・レンツ、遺失物、鉄道、暴走族、仕事
ドイツの小説。以下のようなあらすじとなっている。
婚約指輪を列車のなかに忘れた若い女性があれば、大道芸に使うナイフを忘れた旅芸人がいる。入れ歯が、僧服が、そして現金を縫い込まれた不審な人形が見つかる。舞台は北ドイツの大きな駅の遺失物管理所。巨匠レンツが、温かく繊細な筆致で数々の人間ドラマを描き出す、待望の新作長篇。
(カバーのそでから抜粋)
主人公は24歳の青年で、ドイツの鉄道会社の末端の部署、遺失物管理所に新たに配属になった。そこでは列車内で忘れられた遺失物が届けられ、管理されている。遺失物管理所の棚には無数の傘やスーツケース、人形、僧服、入歯まで様々なものが管理されている。主人公ヘンリーはどこか空気が読めない言動をしがちだったりで、同僚の既婚女性に好意を抱きつつも、訪れる遺失物管理所の人たちとのやり取りで少し普通とは違う対応をしてしまう。

例えば、大道芸人が小道具を忘れてそれを引き取りに来たときは、持ち主であることを証明してもらうために自分を的にして投げナイフをやらせてみたり、スーツケースの落とし主の荷物の中身をチェックし、そこにあった履歴書からその人物が若くして博士を取得していることに関心を持ち、持ち主のところに届けに行ったりする。その博士はロシアの地方の村からやってきたパシキュール人で、その人物との交流が始まったりする。

特に際立った物語の起伏があるわけでもなく、事件らしい事件もない。取得物から大きなドラマが始まるでもなく、どちらかというとあまり出世欲がなく、ここで定年を迎えられたらいいなと考えている主人公とその姉バーバラや交流のある博士、同僚とのやり取りがほとんどである。主人公があまり空気を読まないような感じで若干違和感があり、最初は変な奴だと思うけど、正義感や友情を大切にする人物として描写されていて後半は好人物のように思えた。

物を落としたりどこかに忘れてきたということはほとんどないので、実際の遺失物管理所がどういうところなのかはわからない。しかし、社会の末端のような職場のお話しなのだけど、そこに集められる遺失物が読む人にとっての何か暗喩のようなものを感じられるかもしれない。

割と時間的にも精神的にも余裕がないとあまり読めないかもしれない。読んでいて若干眠気を誘うし、お話としてはとりわけ面白いわけでもないし。それでも不思議と最後まで読めた。



遺失物管理所 (新潮クレスト・ブックス)
ジークフリート・レンツ
新潮社
2005-01-26

読むべき人:
  • 遺失物管理所に行ったことがある人
  • 出世欲がない若い人
  • 忘れ物がある人
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September 11, 2016

Amazon Web Servicesではじめる新米プログラマのためのクラウド超入門

キーワード:
 WINGSプロジェクト/阿佐 志保、AWS、クラウド、基本、入門
AWSの基本的なことが解説されている本。目次は長いので翔泳社のページを参照と。仕事で自社のデータンセンターで運用しているWebサービスをクラウドに移行しようということになって、クラウドってなんぞ?というところから始まって、まずは以下の本を読んだ。この本はどちらかというと移行前に考えることを詳細に示された本だった。AWSの全体像と概要を理解したので、次は実際の使い方とWebサービスの構築方法が知りたいと思って、書店のAWSコーナーを見ると、これが一番初心者向けで分かりやすいと思って買って読んだ。

『新米プログラマのための』とタイトルにあるが、別に新米プログラマが対象でなくても読むべき内容で、とても分かりやすくAWSの基本的なことが示されている。各サービスの概要、そもそものインターネットやネットワーク、IPアドレスの仕組みなども示されている。また、各サービスの構築手順がキャプチャつきで示されているので、この本を読みながら一通り試しながら学習できる。

WebサービスはEC2インスタンスがAmazon Linuxで、そこにApacth Tomcatを設定し、RDSにMySQLを組み合わせてJavaで作るものを想定されている。Javaを使う人にはそのまま参考になると思われる。また、仮想化環境でアプリを管理、実行するためのオープンソースのプラットフォームのDockerについて、インストール方法から示されている。

自社のWebサービスはWindows Serverを使っているので、MS系の技術は本書には書いてなく、そこはあまり参考になるところがなかった。例えば、RDSにSQL Serverはあるが、EC2のWindows ServerインスタンスにもSQL Serverが標準搭載になっているものがあるので、初心者にはどっちを使うべきなのかとか、そもそも両方の選択肢があることなどは分からなかったりする。

AWSでWindows系のシステム構成になっている本があまりないので、そういうのが個人的にほしいなと思った。まぁ、そもそもAWSじゃなくて、Azure使えばいいじゃないかという気もするのだけどね。

とはいっても、AWSの基礎的なことが分かって重宝した。他のAWS本はぶ厚すぎたりある程度基礎が分かっている人向けだったりするので。本書を読めば最低限のAWSのシステム構築方法が分かるはず。あとは、地道にAWSのWeb上のドキュメントを読んで、お試し環境で試行錯誤していくのが理解の早道と思われる。




読むべき人:
  • AWSの基礎が知りたい人
  • JavaでAWSを使う必要がある人
  • Dockerも考慮したい人
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September 03, 2016

逃亡のSAS特務員

キーワード:
 クリス・ライアン、SAS、特殊部隊、アルカイダ、停電
特殊部隊ものの冒険アクション小説。以下のようなあらすじとなっている。
SAS隊員ジョシュ・ハーディングは、アリゾナの砂漠で銃弾を受け、意識を失って倒れていた。そばには射殺された少年が横たわっていた。ジョシュは美しい女性ケイトに助けられる。が、彼の記憶はすべて失われていた。しかも追跡者が次々と迫ってくる。折りしも世界の大都市で大規模な停電が続発していた。追っ手と闘いながら徐々に記憶を取り戻していく彼は、やがて驚くべき真相を知る!謎に満ちた会心の冒険アクション。
(カバーの裏から抜粋)
主人公はイギリスのSAS所属の兵士で、アルカイダの重要指名手配犯暗殺の任務を負っていた。しかし、上司の命令によりアルカイダの指名手配犯の狙撃に失敗してしまう。そのあと舞台は変わり、アリゾナの砂漠で首と足を撃たれたて記憶が飛んでいる状態で目が覚めて、世界ではテロ犯によると思われる停電が起きていた!!という状況。

ハリウッドアクション的で割と疾走感のある内容。アリゾナ砂漠を激走するバイクとマスタングのカーチェイスあり、ヘリで追撃されるシーンもあり、荒野のカウボーイのように撃ち合うシーンもあり、手製の釘入り火炎瓶の爆発もありでページがすらすらと進む。

拷問シーンがあって、結構えぐいというか、残虐ではないけど、リアルだなと思った。殴る蹴るは序の口で電気攻め、毒蛇にかませる、ナイフで刺すなど痛々しい。主人公はSASの兵士ということもあり、拷問に耐えるための講義を事前に受けていて、その説明があった。一部抜粋。
五つの数えを、頭に叩き込んでおく。まず、”精神的な根城”を持たなければならない。絶望し、暗い気持ちになるのを避けることはできない。そういうときに逃げ込む心のなかの隠れ家だ。つぎに、”集中できる言葉”を持つ。お祈りでも詩でもいい。一日を切り抜けるためにすがりつくものが必要だ。痛みに耐えるには、見えないものを心のなかで映像化する”視覚化”を用いる。たとえば、痛みをどこかに蹴とばしてしまえるサッカーのボールに見立てる。ありとあらゆる妄想や想像力を駆使し、逃避できるような幻想の世界を創りあげる。また”魔法の箱”も作らないといけない。自分の心以外の場所に、恐怖、不安、苦痛をしまいこんでしまうのだ。
(pp.281)
まるで著者がこの講義を受けたような感じでもある。このリアルさは著者自身がSAS隊員だったことによる。冒険小説の主人公並みの経歴だなと思う。

あと、拷問講義の講師のよって最後に重要な言葉が示されている。それも引用。
「自分が生きる目的や理由を持たなければならない。それがなかったら、痛みに耐え抜くことはできない。」
(pp.282)
拷問ではなくとも、普通の生活でもしんどい状況に陥ることがある。その時はこの言葉を思い出そう。

特殊部隊ものが割と好きで映画とかもよく見ている。小説はあまり読んでなかったので、読んでみると楽しめた。また、特殊部隊ものを読むと、自分も強くなったような妄想とともにモチベーションが少しだけ上がる気がする。



逃亡のSAS特務員 (ハヤカワ文庫NV)
クリス ライアン
早川書房
2006-12

読むべき人:
  • 特殊部隊ものが好きな人
  • ハッキングものが好きな人
  • 拷問に耐え抜く知恵が必要な人
Amazon.co.jpで『クリス・ライアン』の他の作品を見る

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August 20, 2016

WORLD WAR Z

WORLD WAR Z〈上〉 (文春文庫)WORLD WAR Z〈下〉 (文春文庫)

キーワード:
 マックス・ブルックス、ゾンビ、戦争、政治、群像劇
映画にもなった原作小説。以下のようなあらすじとなっている。
中国で発生した謎の疫病―それが発端だった。急死したのちに凶暴化して甦る患者たち。中央アジア、ブラジル、南ア…疫病は急速に拡がり、ついにアウトブレイクする。アメリカ、ロシア、日本…世界を覆いつくす死者の軍勢に、人類はいかに立ち向かうのか。未曾有のスケールのパニック・スペクタクル。大作映画化。
(上巻のカバーの裏から抜粋)
死者の大軍を前にアメリカ軍は大敗北を喫し、インド=パキスタン国境は炎上、日本は狭い国土からの脱出を決めた。兵士、政治家、主婦、オタク、潜水艦乗り、スパイ…戦場と化した陸で、海で、人々はそれぞれに勇気を振り絞り、この危機に立ち向かう。「世界Z大戦」と呼ばれる人類史上最大の戦い。本書はその記録である。
(下巻のカバーの裏から抜粋)
ときどき、1か月周期ごとにゾンビに追われるような夢を見る。ゾンビそのものはそこまでリアルではないのだけど、ゾンビらしき人間ではない何かに追われて不安になってうなされる夢。何かにとりつかれているように。そんな体質?なのだから、ゾンビ物にはどこか惹かれるものがある。

最初のゾンビの出会いは何だったろうか?小学校低学年ごろに見た『バタリアン』だったろうか?それからいろいろとゾンビ物映画を見たり、ゲーム(といっても『バイオハザード』は初期1,2だけだったり、最近だと『The Last Of Us Remasterd』)し、最近の漫画なら『アイ・アム・ヒーロー』を読んだり、アメリカドラマの『ウォーキングデッド』シリーズにドはまりしているという状況。しかし、ふと振り返ってみると、ゾンビ物の小説は読んだことがなかった。

以前2chのまとめスレか何かで映画化されたこの原作本がよいという情報を得ていたし、たまたま図書館で発見したので、借りて読んだ。

Amazonのレビューで『問題は、「麦茶だと思って飲んだらウイスキーだった」という違和感にある。』と評されているが、まさにそんな感じだった。特定の主人公はおらず、ゾンビパニックものの定番である、ホームセンターでの籠城もなく、なめた行動をとったヤンキー的な奴が速攻で食われるという感じでもなくw、お色気担当的な女性キャラも出てこない。

ネタバレではないけれど、これは人類が遭遇した『世界ゾンビ大戦』で生き残った人たちのインタビュー集という形をとっている。様々な国の様々な立場の人たちが、ゾンビパニックの終結間近で過去の惨状を振り返り、自分たちがその時どういう状況にあって、どのように行動し、生き残ってきて、大戦を振り返って何を思っているか?という内容である。

様々な登場人物として、最初に中国の地図にも載ってないような山奥でおそらく最初のゾンビ感染者を診た医者であったり、ブラジルの心臓移植手術の外科医が感染の瞬間を目撃したり(中国からの合法、違法な臓器移植で世界中に感染が広がる!!)、アメリカの女性空軍パイロットが掃討作戦時に飛行機墜落後に無事にパラシュートで脱出後のサバイバルであったり、京都の引きこもりコンピュータオタク少年が命からがらマンションのベランダ伝いに脱出したり、全面戦争時の軍隊所属の兵士だったり、CIAの長官的な立場の人だったり、ゾンビ大戦に人々を勇気づけるために映画を撮っていたアメリカの青年などなどが出てくる。また、北朝鮮が独裁国家で常に管理体制があったのでゾンビパニックに意外に対応できてたとかいろいろな各国の特性を活かした逸話がさも本当にあったかのように語られている。

やはり本作品は単純なゾンビパニックものという感じではない。国家が崩壊していく様子があったり、パニック下の国同士の利害関係が描かれていたり、各国がゾンビパニックにどう対処していくか、そしてゾンビと相対していった各個人たちはどうなっていくのか?(精神的に壊れて肉体的には感染していないが突如ゾンビのようにふるまう人や、軍人たちが突如自殺に走ったり)などがそれぞれの個人を通して軍事、政治的、群像劇的、有機的に描かれている。本質的なテーマはゾンビよりもタイトル通り『戦争』がぴったりな気がする。ただし、敵は不眠不休で痛みも疲労も知らず、ただ捕食しようと跋扈している不死の奴らというのが大きな違いだが。

そしてよくここまで有機的、網羅的にかつリアルに感じさせる世界情勢を描いているなと思う。京都が舞台の日本のインタビュー者の様子などもよく日本の特性を調べているなと思わされる(ダウンタウンの二人の名前が出てくる)し、他の国の人たちもリアルな感じがする。いろんな人に本当にインタビューしたのではないかと思わせられる。そしてそれぞれの個人が割とどこにでもいるような人でもあったりして、身近に感じる。

いろんな切り口から語れる本だと思う。インタビュー的な口語体なので、スピード感をつけて没頭して読める。そして、解説も秀逸で、本編のインタビューの形を踏襲しており、過去のゾンビ作品、ゾンビの由来、著者についてなどがわかってゾンビマスター?になるための読み物としても興味深く読める。また、まさにその通りと思うようなところがあったので、その部分を引用しておこう。
さまざまな地域のいろいろな階層・職業・年齢・性別の人間の証言をコレクトして時系列順に配すると、あら不思議、断片の集積から大きな物語が見えてくるという手法。実に、ネット情報収集時代にふさわしい形式だ。ただし、普通の小説を読みなれている人には、話を統一する役割の感情移入できる主要キャラがいなくて、もちろん心理描写などもなくて、魅力や深みにかけるなんて思うかも知れない。でも、リアリティは抜群だよ。数世紀後に人類の死滅した地球にやってきた異星人が本書を解読したら、ぜったいに歴史的事実を記録した文書だと思うにちがいない(笑)。
(下巻 pp.331-332)
ほんこれ‼!w

ブラッド・ピット主演の映画のほうはまだ見てない(劇場で見ようかなと思ったけど、ビビるかもしれないから結局スルーしたw)。借りてきてあるので、これからじっくり堪能する。

ゾンビ物が好きな人は読めば一味違ったものを鑑賞できるし、軍事的小説、政治的小説、世界崩壊的なSF作品が好きな人、ある事件のインタビュー集ようなものが好きな人は間違いなく楽しめる作品だと思う。

それにしてもなぜこうゾンビに惹かれるのだろうか?といろいろと考えたりもした。個人的にはどこかに再生、復活願望があるのかもしれないと思った。



WORLD WAR Z〈上〉 (文春文庫)
マックス ブルックス
文藝春秋
2013-03-08

WORLD WAR Z〈下〉 (文春文庫)
マックス ブルックス
文藝春秋
2013-03-08

読むべき人:
  • 世界崩壊的なSF作品が好きな人
  • 群像劇的な作品が読みたい人
  • ゾンビマスター?になりたい人
Amazon.co.jpで『マックス・ブルックス』の他の本を見る

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August 11, 2016

微睡みのセフィロト

キーワード:
 冲方丁、SF、ハードボイルド、コースター、天使
SFサイバーパンク的なハードボイルド小説。以下のようなあらすじとなっている。
従来の人類である感覚者と超次元能力を持つ感応者との破滅的な戦乱から17年、両者が確執を残しながらも共存している世界。世界政府準備委員会の要人である経済数学者が、300億個の微細な立方体へと超次元的に“混断”される事件が起こる。先の戦乱で妻子を失った世界連邦保安機構の捜査官パットは、敵対する立場にあるはずの感応者の少女ラファエルとともに捜査を開始するが…著者の原点たる傑作SFハードボイルド。
(カバーの裏から抜粋)
夏休みは慣習的に青春小説やSF小説を読みたくなる。そこで久しぶりに図書館に行ったら、冲方作品である本書が目に止まって借りた。本書は『マルドゥック・スクランブル』以前に書かれた作品で、どこか共通点があるというか、漫画家にとっての連載デビュー作の前の読み切り作品のような感じでもある。

主人公であるバットは『マルドゥック・スクランブル』、『マルドゥック・ベロシティ』のボイルド的な位置づけで、重厚なキャラで寡黙だが、半不死で肉体を再生する特殊能力を持つ。また、17歳の少女ラファエルは警察犬よりも訓練されたヘミングウェイという犬を相棒とし、あらゆる特殊能力を備える超人的な存在であり、やはりバロットの原形のようでもある。つまり、バロットとボイルドが組んで、超次元的に標的を殺さずに虫の息にバラバラにした犯人を追うという物語になる。ストーリの重厚感はあまりなく、キャラのバックグラウンドも少し薄い印象があって、全体的な完成度は『マルドゥック・スクランブル』、『マルドゥック・ベロシティ』には及ばない感じか。また、サイバーパンク的な要素もわかりにくい感じがする。もっともらしい用語で雰囲気を出しているようでもあり、いまいち描写がイメージできないところもあるし、設定の説明不足感はある。しかし、解説に示されているような「ローラーコースター・アクション」は著者独特の緩急のつけ方が光っている。

嵐の前の静けさというか、アクションが始まる前の敵の出現の前の予兆があって、何かがきっかけに急激に銃弾が炸裂する音や肉が焦げ付く匂い、血みどろの肉弾戦が繰り広げられる。そして一気にコースターが急下降したと思ったら右往左往していろんな方向に疾走し、SFアクション映画を見ているような感覚になる。これがやはりすごいと思う。

冲方氏のサイバーパンク的な作品を未読の人はこれから読むのがいいのかもしれない。その次にマルドゥックシリーズに行くと、すんなりと世界観や登場人物に感情移入して、さらに完成度の高いローラコースター・アクションを楽しめるのではないかと思う。

また、最近『マルドゥック・アノニマス 1』が発売されたので買わなくてはだなと。その前に短編集である『マルドゥック・フラグメンツ』も読まなくてはだけど。

本作品は200ページくらいなので、スピード感をつければ1日で読了できて、割と楽しめると思う。




読むべき人:
  • 疾走感のある作品が読みたい人
  • 特殊能力を駆使するバトルが好きな人
  • 戦う少女の物語が読みたい人
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August 07, 2016

マシアス・ギリの失脚

キーワード:
 池澤夏樹、政治、日本、魔術、運命
幻想的な長編小説。以下のようなあらすじとなっている。
南洋の島国ナビダード民主共和国。日本とのパイプを背景に大統領に上りつめ、政敵もないマシアス・ギリはすべてを掌中に収めたかにみえた。日本からの慰霊団47人を乗せたバスが忽然と消えるまでは…。善良な島民たちの間でとびかう噂、おしゃべりな亡霊、妖しい高級娼館、巫女の霊力。それらを超える大きな何かが大統領を呑み込む。豊かな物語空間を紡ぎだす傑作長編。谷崎潤一郎賞受賞作。
(カバーの裏から抜粋)
去年の9月に休職しているときに池澤夏樹の作品である『バビロンに行きて歌え』を読了したときに、『マシアス・ギリの失脚』もスゴ本だからとおすすめされたので、買っておいて、積んでおいた本。また、絶版になる可能性があるから見つけたら買っておいたほうがいいという助言もいただいた。Amazonで買ったけど。現時点で3冊在庫アリっぽい。

長い小説をなんとなく読みたかった。そろそろ読み時かなと思って読んだ。読了には2ヵ月も要した。2ヵ月もかかったらあんまり没頭できていないような感じもするが、そうではない。やはり文庫で600ページ超と長いからというのも大きな理由だけど、熱中して読みすぎると疲れるというのがあった。不思議な魔力が込められているような感じで、精神力を要する、そんな作品。決して読みづらいという感じではないのだけど。

主人公のマシアス・ギリは60歳過ぎの小柄なナビダード共和国の大統領であり、その国はかつて太平洋戦争時に日本軍が占領したとされている。日本から47人の慰霊団がやってきて、その慰霊団を乗せたバスがどこかに消え去り、島の民家そばや海の上を走る姿など不思議なところで目撃される。マシアス・ギリは日本からやってきた政府系企業の使者と会い、またほれ込んでいるアンジェリーナという女が経営する娼館に入りびたり、そこでエメリアナという少女と出会い、マシアスの運命は失脚に向けて動き出す…。

あらすじを示そうにもあまりにも重厚でいろんな要素が盛り込まれている作品なので、なんとも形容しづらい。この作品はマジックリアリズム的で、読んでいる途中でも日本人でもこのようなものを書けるのか!!と感嘆していた。間違いなく『百年の孤独』を意識しているというか、それをベースとした著者なりのマジックリアリズムを紡ぎだしている。『世界文学を読みほどく (新潮選書) [単行本]』で確か『百年の孤独』を傑作と称賛していたので(10年くらい前に読んだのでうろ覚え)。

200年前にこの国にいた幽霊がマシアスの意見役でいろいろと議論していたり、その島の神話的な話が挿入されたり、消えたバスの動向が示されているリポートも独立して存在したり、島の祭事をつかさどる巫女の存在、魔術的な力を持つ人物なども出てきて、現実的な政治の話と超現実的な見えない力に翻弄される話が入り混じっている。また、マシアスも含めた人物の背景描写も延々と長く続いていくので、物語を奥行きを演出し、そして超現実的な事象もさえもそこに当然のようにあるように仕立てられ、ナビダード共和国が構築されている。

1点読み始める前に注意が必要なのは、物語の終盤の盛り上がっているところに唐突に『薔薇の名前』と思われる作品のネタバレ的な内容があるキャラの会話によって示されていること。リアルでファッ‼!!?って声を出しそうになったwいくら著者が世界文学に精通されていても、ネタバレ的な要素で盛り上がりを演出するのはいかがなものかと思った。それは積読してて未読なんだけど…。もうしばらく塩漬けにしておく必要がありそうだ。しかし、未読なのだから本当にその作品のネタバレなのかは確信がないのだけど、十中八九そうだろう。

暑い南の島の話だから、夏休みに一気に読むのがいいかもしれない。はまれば徹夜本らしいので。速く読んでもゆっくり読んでも、どちらにしろ読むのには時間がかかるが、神話的で幻想的でもある物語の世界にしばらくダイブしたままになれる。




読むべき人:
  • 長い物語を読みたい人
  • 幻想的な物語が好きな人
  • 夏休みに運命を感じたい人
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July 18, 2016

旅をすること

キーワード:
 小林紀晴、旅、写真、カメラ、文章
写真家によるエッセイ。以下のような目次となっている。
  1. 1 旅をすること―アジア
  2. 2 そのいい加減さに身をゆだねる決心をした―ニューヨーク
  3. 3 誰が正しくて、誰が間違っていて―映画
  4. 4 三つだけ残った段ボール箱―東京・その他の風景
  5. 5 その盆地の中でその祭りの年に生まれた―諏訪
  6. 6 世界がささやかだけど違って見える―写真
  7. 7 『深夜特急』の熱心な読者だった―本・写真集
(目次から抜粋)
西新宿のブックファーストのフェアでおすすめされていたのが目に留まって買った。旅成分が自分には足りない、旅に出たいというような気分だったので。そして先日の黄金週間中に香港・マカオ旅行中のお供として持って行って、飛行機の中や帰りの飛行機が整備不良で欠航になって急きょ延泊したホテル(無料)で読んでた。

著者は写真家として若いころは写真学校に通い、そのあとアジアを旅しながら写真を撮り、911前後のニューヨークに住んでいたりもしたらしい。著者の生い立ちから写真に興味関心が出るまで、そして見た映画や読んだ本についていろいろなことについて飾らない文章で語られている。

著者のことは何も知らない状態で読んだ。写真家としてどんな作品があるのか、何をメインで撮る人なのかも知らないし、どういうバックグラウンドを持つ人なのかも知らなかった。それでも、読んでいると飾らない文章が心地よい気がした。海外、国外のいろいろな場所で、大小さまざまな事件や日常のちょっとした出来事に関して、著者の考えや志向性が垣間見える。先入観もなく読み始めて、そういう全く知らない人の意見や考え方、日常生活の気づきなどが得られるのがとてもよかった。

前半部分は一つのタイトルで2,3ページ(長くて10ページほど)で、ニューヨーク滞在時に語学学校に通っていた時のクラスの人たちや写真仲間たちとのやり取りが示されている。それが上質な短編小説を読んでいるような感じでもあり、短い文章の後に不思議と余韻が残るような感じがして、そのテーマについて自分ならどう考えるか?と自然と思索をさせられる感じだった。もしくは自分自身ならそのような出来事をどうとらえるか?といったことなども考えさせられる。そういうのがエッセイを読む効用というか、どこかで期待していることのように思えた。

テーマは旅でもあり、写真でもあるので、自然と写真を撮りたくなる。もちろん香港・マカオ旅行中はデジカメ(コンデジ)を持ち歩いて撮りまくった(700枚ほど)。撮っているときはこれはうまく撮れた‼と一人で納得しているのだけど、帰ってきてからPCの大画面で見てみるとピンボケしてたり、構図がいまいちだったり、撮りたかったものと微妙に違っているのが大半だったりして、自分が良いと思う写真を撮るのは毎回難しいなと思わされるのであった。

写真を撮るのが好きな人はいろいろと参考になると思う。撮り方などテクニックみたいな話は全く出てこない。著者が写真にはまるきっかけなどや、何を撮ってきて、写真をどうとらえてきたのか?などの考え方が参考になると思う。また、旅でもあるので、いろんな場所でいろんな人と出会うのが好きな人にも共感できることだろう。あとは、エッセイが好きで、飾らない、短編小説のような文章が好きな人にもよいと思う。

ページ数は多めなので、じっくりと日常生活の合間、もしくは旅の途中の休憩時間、移動時間に読むとより堪能できる。



おまけ。
sky100
香港・マカオ旅行中で唯一一番よく撮れたと思う写真。sky100というビルの展望台から。



旅をすること
小林 紀晴
エレファントパブリッシング
2004-10

読むべき人:
  • 旅行が好きな人
  • 上質なエッセイを読みたい人
  • 写真家になりたい人
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July 03, 2016

Amazon Web Services企業導入ガイドブック

キーワード:
 荒木靖宏、クラウド、AWS、移行、計画
AWSの導入時のポイントが網羅されている本。以下のような目次となっている。
  1. #1 [概要編] クラウドコンピューティングとAWS
  2. #2 [概要編] AWSのさまざまな利用シーン
  3. #3 [概要編] AWSのサービス
  4. #4 [概要編] AWSのセキュリティ概要
  5. #5 [戦略・分析編] クラウド導入のプロセス
  6. #6 [戦略・分析編] 現状分析の進め方
  7. #7 [戦略・分析編] クラウド標準化
  8. #8 [戦略・分析編] PoCによる事前検証
  9. #9 [概要編] クラウドにおけるTCOと費用見積り
  10. #10 [設計・移行編] クラウド利用時の開発プロセス
  11. #11 [設計・移行編] クラウドにおけるシステム設計
  12. #12 [設計・移行編] クラウドにおけるサイジングと性能測定
  13. #13 [設計・移行編] クラウドへの移行
  14. #14 [運用・改善編] AWSにおける運用監視
  15. #15 [運用・改善編] クラウド活用の最適化
(目次から抜粋)
自社のシステムがデータセンターで運用をしていて、月々の運用コストがかかっているのでコストダウンを図りたいよね、そしてその後のシステムの拡張性などを考慮するとクラウドに移行がいいよね、いろいろ調べたらAzureよりもAWSかな?、ということで移行よろしく!!という仕事が発生しとき、そもそもクラウドって何?AWSで何ができるの?、そんでいくらコストかかるの!?教えてエ〇い人!!みたいな状況だった。

普通はAWSについて調べようと思と、本家のサイトを見ればよいのだけど、S3、EBS、RDS、VPCなど独自の略語やタカナ語が多すぎるし、あまり構造化されてないのでどっから見ればよいのかわかりにくいし、サービス紹介動画を見ても激しく眠くなるしw、ブラウザ上で何時間も慣れない文章を読むのは疲れる。そんなとき、先月中旬に発売した本書がたまたま目に留まり、速攻で買って読んでみたわけだ。

本書はAWSのサービスの概要、AWSを導入時に検討すべきポイント、サービスのサイジング、クラウド移行の計画の立て方、移行してからの運用監視についてなどが網羅されている。

出回っているAWS本はすでに導入した後の使用時の設定について書かれていることが多いが、AWSを導入するときに何を考慮しなくてはいけないのか?、移行計画とか何を考えればいいんよ?とか導入以前のことがほとんど書いてなかったりする。しかし、本書は僕のような状況時に移行前に知りたいことがほぼ網羅されている印象で大変役に立った。

特に勉強になったのは、クラウド移行の目的を先に明確化すべきというところかな。いくつか示されているが、コスト削減、伸縮自在性や柔軟性の向上、インフラ調達効率の向上などがあり、その中でも優先順位付けをすべきとあった。そして、サービスレベル要件、性能要件、セキュリティ要件などクラウドで達成すべき要件を洗い出すと費用やスケジュールが明確になるようだ。

そして、移行が決定したらどの順番でどのように移行するか、どれくらいコストがかかるのかを判断するための現状分析が必要になるが、その流れが以下のように示されている。
  1. 移行対象の選定
  2. アーキテクチャ検討
  3. ロードマップ策定
  4. コスト試算
プラットフォームの全面移行などの仕事をしたことがある人にとっては、当たり前のことなのだけど、そういう経験がないと、どっから手を付けてよいのかわからないので、このように示されているのは本当にわかりやすくて、そのまま仕事に使える。

あとはAWSは使った分だけ課金するモデル(オンデマンドインスタンスの場合)なので、利用を変動させられるのが特徴である。そのため、固定作業と可変作業のコストを最適化できるので、サービスの直接コスト、間接コストを見積り、比較するための財務指標になるTCO(総所有コスト)をある程度の期間想定して評価することが重要らしい。まぁ、要はいろんなAWSサービスの構成を組み合わせた時にいくらかかって、ROI的にどうなるのか?をしっかり考えるべきと。お金は大事だしね。

実際の見積りには本書では以下のようなツールが示されている。あとは本書には載ってないけど、金額見積りをExcelベースで算出できる割と便利なものが以下にある。全部使ったわけではないけど、とりあえずExcelが楽かな。

本書はAWSの中の人が書いているので、内容としては間違いはないだろうし、何よりもユーザ企業がAWSを導入するときに何を検討すべきなのかがよく分かっているというか、そのような導入時に検討すべきことがナレッジとしてそれなりに蓄積されているのだろうと思われる内容だった。もうすでにAWSを利用して運用している人には、デジャブ感いっぱいの内容かもしれないが。しかし、AWSの移行前に何をすればよいかわからない!!、というときはまずはこれを読むのがよいだろう。

技術本は今抱えている仕事の解決策になるのか、ヒントを得られるのかどうか?を目的として読むので、使える、使えないが割とはっきり評価しやすいが、本書はかなり使える!!と思った。




読むべき人:
  • AWSの概要について知りたい人
  • IT戦略などの意思決定をしなくてはいけない人
  • クラウド移行を検討している人
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June 19, 2016

新米IT担当者のための Webサイト しくみ・構築・運営がしっかりわかる本

キーワード:
 池谷義紀、Web、開発、担当者、入門書
Webサイトの構築・運営の基本的なことがまとまっている本。以下のような目次となっている。
  1. 序章 Web担当者の仕事を知ろう
  2. Chapter1 Webサイトの仕組みを知ろう
  3. Chapter2 Webサイトの構築準備をしよう
  4. Chapter3 Webサイトを構築しよう
  5. Chapter4 Webサイトを運営しよう
(目次から抜粋)
転職してから、SI的なSEから自社のWebサービスの開発・運用の担当に仕事が変わったので、Web全般の基本的なことを知る必要があると思った。そもそも一般的な業務システムの作り方とWeb系は同じシステム開発といっても似ているところもあれば、全然違ったりするので、今までの知識体系だけでは足りないだろうというのもあったし。そこで、書店で何かないか探してみて、本書が目に留まった。

タイトルに『新米IT担当者のための』とあるとおり、入門書的な内容となっており、そもそもインターネットとはどういう仕組みか?といったところから、Webサイトの企画から構築までに必要なこと、制作会社の選び方、Web特有のUI/UXの基礎やSEOやアクセス解析、Webマーケティング、セキュリティ、個人情報、著作権など法律的な部分に関連するところまで幅広く基礎的な内容が網羅されている。

ある程度基礎的なことは分かっているけど、やはりWeb特有の概念、特にWebマーケティング的な部分、UI/UXなどデザイン的な観点はあまり詳しくないなと分かった。特にWeb系特有の略語、例えばEFO、CVR、SEM、LPOなどWebサービスを開発したり運営している人にとってはなじみのあるものだと思われるが、仕事でもこれらがときどきよく出てきて何のことかわからなかったりした。そういうものの概念や基礎がわかって勉強になった。

Web系の技術は昔に比べていろいろと発展してきて、選択肢も増えて誰でも作れるような環境にはなってきているけど、収益を出す、アクセス数を稼ぐ、使ってもらえるWebシステムを作るには、単純な実装技術だけが分かってもダメなんだなと最近仕事をしつつ実感している。

そもそものWebサービスなどのアイディアが重要だったり、デザイン的なものも重要だったり、サイト更新のスピード感なども重要だったり、Googleの検索エンジンの仕様の更新に大きく左右されたりするのでそれらも考慮しなくてはだし。また、ネット上に公開されるWebシステムは業務システムのように誰が使うかが確定していないのが一番の違いでもあるし。

Web系の特有の技術や用語、流行り廃りを常にウォッチしていく必要があるなと思った。学ぶことがいろいろとあって、もっと勉強しなくては!!と思いつつ、最近はなんだかあまり技術勉強ができていないので、何とかやっていきたい。

本書はWeb担当者として自社なりのサービスの構築・運営に初めて携わる人には重宝する内容と思われる。大型書店でいろいろと見て回ったが、あまりこういう入門的な本は、ありそうで類書がなかったりするし、あっても内容が古すぎたりするので。Web系の仕事に初めて就くような新入社員、もしくはSI系から転職したなどの人が読むとよいと思われる。




読むべき人:
  • Web担当者の人
  • Web系の会社の新入社員の人
  • Webで儲けたいと思っている人
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