April 2007

April 26, 2007

「悩み」の正体


「悩み」の正体

キーワード:
 香山リカ、悩み、精神科、瑣末、対処法
精神科医による悩みの対処法本。昨今では、些細なことでも悩みの種になり、本質的な本当に悩まなくてはならないことに悩みにくい社会になっているという内容。以下のような章になっている。
  1. 嫌われるのがこわい―人間関係編
  2. 無駄が許せない―仕事・経済編
  3. このままで幸せなのだろうか―恋愛・結婚・子育て編
  4. 老いたくない、きれいでいたい―身体・健康編
  5. いつも不安が消えない―こころ編
  6. まじめに生きてきたのに―社会・人生編
どれも大雑把に言えば、自分が悩む原因を自分のうちにだけに求めずに、社会が悪い部分もあるのではないかと考え直すことが重要だとある。例えば家庭内暴力に苦しむ人が自分が悪いのではないかと思っているのなら、その人が悪いのではなく暴力者が悪いのであって、警察や相談所に相談することでその悩みを解決できるといった感じ。他にも自分に自信がもてないという状況に関しては、自分が悪いのではなく自信がないと思わせる社会が悪いと思ってもいいのではないかと問いかける。

世の中の社会事象を反映するように、著者のもとにカウンセリングを受けに来る人が多くいるのだなと思った。どれも確実な解決策が示されているわけではないけど、読んでみると結構気が楽になる部分が多い。特に自分が印象に残った部分は、前向きになれないという悩みに対する考え方。以下に抜粋。
病やけが、憂鬱や挫折、シワや白髪などの老いは、誰にとってもできれば避けたいものであることはたしかだ。とはいえ、それは人間の生活から完璧には取り除けないものであると同時に、取り除かれなければならないものでもないはずだ。もっと言えば、苦しみや悲しみこそ人生の醍醐味なのだ、とその訪れを半ば歓迎することもあっていいはずなのだ。
(pp.136-137)
このように泰然と構えられるのならいいが、辛いものは辛い。思い込むことが重要なのだろうが。

どうでもいいが、岩波新書はまだ未レビューだった。意外だった。

読むべき人:
  • 苦悩する人
  • 生きにくいと思っている人
  • 考え方を変えたい人
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April 21, 2007

格差社会スパイラル


格差社会スパイラル コミュニケーションで二極化する仕事、家族

キーワード:
 山田昌弘、伊藤守、格差、コミュニケーション論、ビジネス、社会学
格差論の第一人者の社会学者とコーチングが専門の経営者の共著。コミュニケーション論を軸に格差論が展開される。

世の中格差が広がっているが、コミュニケーション能力があるかどうかで仕事、家庭、教育においても格差が広がっていきますよという内容。コミュニケーション能力があるというのは、ぺらぺらしゃべれることではなく、人が何を欲しているのかを察知し、真摯に聞いたり適切に質問できることというようにある。この能力があるかどうかで、大きく稼ぐことができるかどうかが決まってしまうようだ。

そして社会で成功するには以下の3つの『C』が必要とある。
  1. 「クリエイティビティ(Creativity)=創造性」
  2. 「コミュニケーション(Communication)=相手の欲求を見抜く」
  3. 「クール(Cool)=美的センス」
社会学者である山田氏が世の中の格差の現状を解説している。例えば、正社員よりフリーターのほうがパソコン能力が劣るということや、グローバル化による情報が瞬時に流れる経済システムであるニューエコノミー時代において、単純労働者は使い捨てにならざるを得ないということなど。これらが統計情報とともに示されている。また、一度フリーターになるとそこから抜け出すことは難しく、再チャレンジが難しい社会であり、そのようなフリーターは単純労働を誇大妄想的な夢によって耐えている現状があるとある。厳しい世の中だなと思った。

一方、コーチングが専門である伊藤氏は組織内においてのコミュニケーションのあり方などを論じている。例えばコミュニケーションにおいてはフィードバックが重要であるとあったり、上司は部下に対して質問するときにYESと強要することはするべきではないとある。経営者らしい視点だと思った。

それぞれ別の視点から論じられていて参考になる部分もあるが、逆になぜ共著にしたのだろうかと思わないでもない。なんというか、各章ごとに著者が変わっているので、全体的に内容の流れが悪い気がする。

読むべき人:
  • コミュニケーションについて知りたい人
  • 格差論に興味ががる人
  • 下流になりたくない人
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ジャンル別ベスト1

一周年ということで、今まで読んだ本を振り返ってみる。右のサイドバーにあるジャンル別に一冊自分が特に面白かったと思ったもの、もしくは影響を受けたものを改めて列挙してみる。

漫画

ブッダ
漫画は手塚治虫のものを多く好んで読んだ。そのため、手塚治虫のもの以外考えられない。これは自分が入院中に読んだもの。どうしても苦しくて何か救済を求めて読んだ。ブッダは王族として生まれながらも苦しみながら一生を終えるという壮大な物語。少しは現実を受け入れられるようになった。そんな思い出の本。

学術系

「普通がいい」という病~「自分を取りもどす」10講
学術系はかなり迷ったがこの一冊。病んでいる自分を勇気付けてくれるような本。マイノリティとして生きるしかない生きにくさを感じている自分にはぴったりの本だった。また、著者の図解がとてもおもしろい。

歴史物
天才の勉強術
過去の偉人たちの生涯とその天才たちの特性を読み解いた本。天才と称される人はただそうなったのではなく、それなりの努力をしているのだなということがわかった。モーツァルトは少し特殊な気がしたが。

評論関連

クオリア降臨
脳科学者によるエッセイ的な文学評論。高尚過ぎて正直さっぱりわからなかった。字面を追っているだけの部分が多かった。これだけは理解できるようにもう一度読み返してみたいと思う。そんな本。

文学作品

魔の山
文学作品はいろいろ面白いものがあったけど、自分にとってはこれ。入院中に読んだ本で、主人公ハンス・カストルプと似たような境遇に共感した。古典作品ということもあり少し難しいところもあったが、読み終えた達成感もある。今度は新潮文庫で読み返したい一冊。

随想、エッセイ

途方に暮れて、人生論
小説家によるエッセイ。これがまた自分にとってはかなり共感できた。特に生きにくさについての部分。また、小説家は何を考えているのかがわかって面白かった。何気ない日常を振り返るのによいかもしれない。

ノンフィクション

青春漂流
ノンフィクションは間違いなくこれ。社会人になり立てのときに入院して自宅療養をしていたときに読んだ。この先自分の将来がわからなくて不安だったけど、そんなに気負わなくてもなるようになるし、いろいろな生き方があるのだとわかって気が楽になった。そんな本。

ビジネス書、自己啓発書

レバレッジ・リーディング
成功者になるための読書論で、かなり納得して読んだ本。何よりも一冊1500円の本が将来10倍の15万円の価値をもたらすという部分が印象的だった。自分が読書を続けていく理由付けになった本。また、この本の著者からこのブログを通してメールをいただいたというのも感慨深い。

技術本(コンピュータ関連)

ライト、ついてますか―問題発見の人間学
コンピュータの技術書ではないけど、問題の本質は何かということを考えさせてくれる良書。発想の転換が重要なのだということがわかる。またアメリカンな変な絵も印象的だった。


結構偏った選定だったかもしれない。それぞれの読んだ本に対してそのときの心情が想起できるようになっている気がする。振り返ってみると感慨深いなと思う。それだけ少しは成長したのだろう。

また、自分の専門分野の技術本をもう少し読まなければなとも思った。本業は一応プログラマなので。プログラマらしからぬ選定だなといつも思う。


読書ブログ開設1周年

この読書ブログも開設1周年を向かえた。
去年の4月15日からスタートした。

コンセプトはあくまで自分の読書記録であり、アフィリエイトはおまけみたいなものだと。事実アフィリエイトでは、収入が得られるほど売れてはいない。売る目的ならもう少し更新頻度や記事内容を見直す必要があるが、別に売れなくても自分の中に資産として残るのでまったく問題ない。

約一年で156冊。入院している期間もあって、多く読めたのではないかと思うが、普通の速度で読むとこの程度の冊数になる。暇な大学時代はもっと読めたが今は社会人になったのでなかなか読む時間を確保するのが難しい。細切れ時間を活用するしかなく、また速読かスローリーディングかは使い分けるしかない。

この一年の記録を振り返ってみると結構感慨深いものがある。自分が何を求めて読んできたのかがわかってよい。

自分が読書する理由は、単に知的好奇心を満たすためでもあり、成功を目指すためでもある。そんな読書ブログを今後も継続していきたい。そして人知れず誰かの役に立っていればいいなとも思う。

これからもよろしくお願いします。


入社3年目までに勝負がつく77の法則


入社3年目までに勝負がつく77の法則

キーワード:
 中谷彰宏、ビジネス論、精神論、新人、バイブル
自分の好きな著者の本。入社3年目までの新人に向けて書かれた本。かなりお勧め。久しぶりに興奮して読んだ。入社3年目までにどのように仕事をこなしていくかでその後の人生が決まってしまう。だからこの3年間を必死に働きましょうという内容。どの部分も線を引くところが多かった。若干引用が多くなるが、それらの部分を列挙してみる。
  • 何のために働くのかというと、それは自分を磨くためです。(pp.15)
  • 仕事なんていうのは、はなから面白くないものなのです。(pp.24)
  • 自分で面白い目的を見つけない限りは、やる気は絶対出てこない。(pp.29)
  • とにかく量をこなすことが仕事を覚える一番の早道です。(pp.99)
  • 本を読むということは、自分から物事を考えていくことです。物を考えている人間とそうでない人間では全然違うのです。(pp.54)
  • 2階級ぐらい上の仕事ができて当たり前なのです。(pp.83)
  • 仕事を覚えて自分を磨こうと思った人と、ただこの仕事をこなしていればいいという人との境がついてしまうということです。(pp.211)
長いのでこのへんで。どれも納得することばかり。

この本を最初に読んだのは大学1年のときだった。そのころは漠然と読んでいたこともあり、これらの内容がピンとこなかった。しかし、今はそれなりに厳しい世界で働くようになり、この本に書いてあることがよくわかった。本当に。へぇ、そう考えればよいのかということが多い。例えば上司との関係では師弟関係になるべきであり、また厳しいことを言ってくれる人の下で働くべきだとある。他にも仕事をするときに必要な心構えなどもかなり参考になった。

何よりも納得したのは、仕事をする理由や、仕事で得るものはお金よりもノウハウを持ち帰るべきだという部分もなるほどなぁと思った。

また、著者の博報堂での8年間のサラリーマン時代がわかって読み物としても面白いなと持った。

この本を朝電車の中で読んでいった。少し前までは仕事がうまくいかないという気がしていたので、打開策にならないかと思って読んだ。読んでよかった。本当に。何度も繰り返して読む必要があると思う。少なくとも3年目までは自分に刷り込むほど読むべきだなと思った。

また、この本に書いてあることを体感できるほど自分はそこまで一生懸命に働いていないなと反省した。この本の価値がわからない人はきっとそこまで一生懸命働いていないと言い切っても過言ではない。

最後にあとがきの部分を抜粋。
入社してからの3年間ほど、辛い時期はない。
この3年間ほど、大事な時期は、一生のうちで二度とはない。
この3年のうちに、君は一生で経験するすべてのことを経験する。
この3年間に経験しなかったことは、もう生涯、君には起こらない。
3年間は、あっというまに終わる。
死に物狂いで、厳しいことを言ってくれる人にしがみついて行こう。
この黄金の3年間が、君の成功の扉を開くのだ。
(あとがきより抜粋)
名文かもしれない。何度も読み返そう。

読むべき人:
  • 入社3年目以内の社会人の人
  • 仕事がうまくいっていない人
  • 成功者になりたい人
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April 15, 2007

自分は死なないと思っているヒトへ―知の毒


自分は死なないと思っているヒトへ―知の毒

キーワード:
 養老孟司、自然、都市化、生老病死、意識
著者のいくつかの講演がまとまって本になったもの。主に世の中の都市生活に関して自然を排除した都市化が進んでいると論じている本。同じことを何度も繰り返して主張している印象がある。講演録だけに。

現代人は自分を死なないと思っている。それは徹底的に死を排除してきたからであるとある。昔は死ぬ場所はほとんど家だったが、今では病院が多いとある。それは日常生活から死を遠ざけてきたことにより、死が「現実」ではないことになったためだとある。そうなのかなと思った。

自然であるものを徹底的に排除した結果、今の都市がすべて人間の意識の上で管理されてできあがっているとある。だから、自然な存在のゴキブリが部屋にうろついていると徹底的に排除したくなるというようなことが書いてあった。

他にも生老病死が自然なことであるとあり、納得した。

語り口調で書かれているのでそこまで難しくはない。解剖学者らしい観点から死体は何も変わらないが、生きている人は常に変化していくなどなるほどなと思う部分が多かった。また著者の好きな虫の話もよく出てくる。

読むべき人:
  • 養老孟司が好きな人
  • 自然論が好きな人
  • 虫が好きな人
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April 11, 2007

読書の腕前


読書の腕前

キーワード:
 岡崎武志、読書論、書評、読み方、カタログ
書評家による読書の醍醐味などが語られた本。以下のような章となっている。
  1. 本は積んで、破って、歩きながら読むもの
  2. ベストセラーは十年後、二十年後に読んだほうがおもしろい
  3. 年に3千冊増えていく本との闘い
  4. 私の「ブ」攻略法
  5. 旅もテレビの読書の栄養
  6. 国語の教科書はアンソロジー
  7. 蔵書のなかから「蔵出し」おすすめ本
最初の章では、本を読むことはどういうことかということが示されている。2章では、現在進行形でベストセラーになっているものは価値がないとみなし、10年後などに当時ベストセラーになったものを読むほうがより客観的に自分の視点で読むことができて面白いとある。

3章では書斎でのほんの管理についてや、古本屋で本を売るコツなどが示されている。4章の「ブ」というのは、「ブックオフ」のことで、このブックオフに自分だけの掘り出し物があるので、それを見つける楽しみなどが示されている。5章は、本を読むためだけに鈍行列車に乗るというのは贅沢でいいというような話。6章は著者の小学生ころからの読書体験など。7章は著者のお勧め本が紹介されている。

自分が線を引いた部分を以下に抜粋。
 本を読む時間がない、と言う人は多いが、ウソだね。その気になれば、ちょっとした時間のすき間を利用して、いくらでも読めるものなのである。たとえ、それが二分、三分といった細切れ時間であっても、合計すれば一日二十、三十分にはなるはずだ。一ページ一分かかるとしたって、毎日三十ページ近くは読める。土日に少し時間を稼げば、新書程度の分量なら一週間に一冊は読了できる。要は、ほんとうに本が読みたいかどうか、なのだ。
(pp.34)
最近仕事が忙しくなってきて、読めなくなってきていたので、ここがとても身にしみる・・・。本当に細切れ時間を利用しないことには読みこなせないなと実感してきた。

このような本を読む理由は、自分の読書遍歴が偏っていないかをチェックするため。他の人が何をどのように読んでいるかということがとても参考になる。また、自分の知らない世界を広げてくれるような気がする。たとえば、著者はどちらかといういうと文系的な本を多く読んでいるので、それらの紹介がとても参考になる。文学作品や詩、エッセイ、紀行文、自伝、古典、思想書など。普段自分が読まないようなものが多く紹介されていた。

読書の腕前を上げるには積読は欠かせないようだ。自分も最近積み上げてきているので、励みになる。

新書にしてはページ数が多く294ページもある。結構面白かった。読書好きなら共感できる部分が多いと思う。しかし、それは違うなと思う部分もないこともない。

読むべき人:
  • 読書が好きな人
  • 何を読めばよいかわからない人
  • 積読していることに自己嫌悪を感じる人
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