August 2009

August 28, 2009

エンジニアのためのWord再入門講座

エンジニアのためのWord再入門講座 美しくメンテナンス性の高い開発ドキュメントの作り方
エンジニアのためのWord再入門講座 美しくメンテナンス性の高い開発ドキュメントの作り方

キーワード:
 佐藤竜一、Word、ドキュメント、エンジニア、スタイル
Wordを使用し、読みやすくてメンテナンス性が高いドキュメントの作成方法が示されている本。以下のような目次となっている。
  1. 第1章  ドキュメント作成の意味とは
  2. 第2章  これだけはやっておきたいWordの初期設定
  3. 第3章  スタイルを理解することから始めよう
  4. 第4章  DRYで行こう!
  5. 第5章  テンプレートを設計する
  6. 第6章  図と表の取り扱い
  7. 第7章  チームでの作業を効率化する
(目次から抜粋)
システムエンジニアが仕事で設計書などのドキュメントを作成するときに、なぜかWordではなく、Excelを使用したりする。そのときは、Excelのセルを正方形にし、方眼紙のように使うことがある。しかし、本書ではそんなドキュメントは見た目が悪いし、改行処理などのメンテナンス性が著しく低下するので、まともなドキュメントではない、と示されている。

そして、この本の著者の主張を一言で強烈に!?示すと、以下のようになる。

EclipseやEmacsを自分専用にバリバリカスタマイズするくせに、Wordは初期設定のまま使用し、しかもスタイルの機能もうまく使いこなしていない品質の低いドキュメントを作成していて、プロのエンジニアとして恥ずかしくないのか!!

ということだと思った。いやー、この本を読んで、いかに自分がWordを使用したドキュメント作成ができていないかがよくわかった・・・。自分の今までのドキュメント作成方法は、ぜんぜんダメじゃないか!!と思った。

この本で示されている内容は、『読みやすく、体裁が整っていて、メンテナンス性も高いドキュメントを、より短い時間で作成するための技術と考え方 (pp.iii)』とある。そして、本書では、ドキュメント作成にWordを使用することを薦めている。なぜWordかは、以下のように示されている。
 その理由は簡単です。現在のシステム開発の現場で、おそらくWordはもっとも広く使われているワープロだからです。少なくとも、大多数の開発者が使うPCには、Wordの何らかのバージョンがインストールされていることが期待できます。
 本書の説明は、その大部分がWordに特化したものです。Wordの機能の説明に終始してしまっている章もいくつかあります。しかし本書で最もお話したいことはWordの使い方ではなく、Wordを使ううえで、そしてよいドキュメントを作成するうえでの背後にある考え方です。すべてではありませんが、それらの考え方のいくつかは、他のソフトウェアにも応用できるはずです。
(pp.025)
Wordで設計書などのドキュメントを作成する理由は、それらお客様への納品成果物をWordで、と指定されることが多いからという側面もある。また、複数SI企業が参画する大規模プロジェクトでは、各社が独自のソフトを使うと他社にドキュメントを展開するときに困るので、やはりWordが使われる。このような側面からも、Wordでメンテナンス性の高いドキュメントを作成できなければならないということだろう。

本書では、よいドキュメントとは、ドキュメントにまつわるコストを最小化できるものと示している。そして、よいドキュメントは、以下の3つの条件を満たすものだとある。
  • 読みやすい
  • 体裁が整っている
  • メンテナンス性が高い
まずは、内容よりも見た目が重要、ということらしい。見た目が悪いと、読む気が起こらないからということになる。これはブログの文章でも同じだと思う。だらだらと長文で空白や改行がまったくないものだと、開いた瞬間に読まれることなくスルーされる。

また、メンテナンス性が求められるのは、完成したシステムにメンテナンスが必要なように、ドキュメントも同じようにメンテナンスが求められるからとある。つまり、変更されたシステムの内容を、ドキュメントにも同じように反映するために繰り返し改訂・追記がされるので、ドキュメントのメンテナンス性が低いと、いずれ陳腐化して役に立たないものになってしまうからとある。これはもっともだなぁと思った。

Wordなどのワープロでやってはいけない例が以下のように示されている。
  • 「段落」という考え方を理解しない
  • 改行を「行の区切り」だと認識する
  • 段落の先頭に1文字の全角空白を入れる
  • スペースでドキュメントの整形を行う
  • 箇条書きを実現するために手で「・」を打つ
  • 手で連番を打つ
どれもやったことありすぎで、自分のWordの使いこなし度がよくわかってしまう・・・。これらは、すべてメンテナンス性を損なう方法なので、Wordの機能として用意されている『スタイル』を使用してドキュメントを作成するべきとあった。

スタイルを使うことの最大のメリットは、ドキュメントの各構造の外観を、常に同一に保つことができるとあった。そのため、「選択した領域のフォントを手で変更する」とか「ルーラーで個別にインデントを付けを行う」といったことはする必要がなくなるし、著者によれば、高機能ワープロがあるのにそれらのことを行うのは、職務怠慢に等しい行為とあり、かなり耳が痛い・・・。

この本を読むと、自分がいかにダメなドキュメント作成者であるかを思い知らされた・・・。ついつい簡単なドキュメントはExcelで作ったりするし、Wordを使うと、ルーラーで行位置をいじったり、空白を多用しすぎたりと、反省することばかり・・・。

WordはWYSIWYGなワープロソフトなので、あんまりWordの機能を深く知らなくても表面的に使いこなしているようには見える。しかし、ドキュメントのメンテナンス性を考慮するには、スタイルやフィールド、テンプレート、図表の取り扱いをしっかり理解しなければならないようだ。

案外自分はWordの機能を深く理解していないなということがわかった。特にスタイルとかまったくいじったことがなかった。他にもフィールドの機能とか。以下のように表中にフィールドを設定すると、Excelのように簡単な計算ができるたりする。

フィールドのサンプル

平均列と合計行の設定をフィールドで実現している。Excelの関数とは違い、Wordのフィールド独自の関数が用意されているようだ。そして、フィールドの計算結果を反映させると以下のようになる。

フィールドのサンプルの計算結果

Wordにこんな機能があるとは知らなかった。フィールドは一般的に、文章中に他の部分を引用するときに使うらしいが、このように表に設定すると、簡単な計算ができる。

Excelやパワポはそれなりに使いこなしているが、Wordはどうも苦手だった。これからは、メンテナンス性の高いドキュメントを作成できるようにならなければプロ失格だねぇ。

この本は、エンジニア向けなので、Wordの機能説明は結構簡略化されている。そのため、あまりWordの機能を知らなさ過ぎる人が読むと、ちょっとちんぷんかんぷんかもしれない。自分はもっとWordの基本機能を学習してからこの本を読むべきだったと思う。どうも機能説明を読んでいても、頭にすんなり入ってこなかったので。

プロのエンジニアの人は、ぜひ読んだほうがよいと思う。案外Wordを使いこなしていないということに気づくから。



エンジニアのためのWord再入門講座 美しくメンテナンス性の高い開発ドキュメントの作り方
エンジニアのためのWord再入門講座 美しくメンテナンス性の高い開発ドキュメントの作り方

読むべき人:
  • プロのシステムエンジニアの人
  • Excelを方眼紙として設計書を作成している人
  • Wordを使いこなしていると自負している人
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August 27, 2009

若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!?

若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? (ディスカヴァー携書)
若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? (ディスカヴァー携書)

キーワード:
 森川友義、選挙、政治リテラシー、仕組み、投票
政治学者によって、日本の政治の仕組みが分かりやすく解説されている本。以下のような目次となっている。
  1. 第1章 若者は政治によって損をしている!?
  2. 第2章 主役は、「有権者」のはずだけど……
  3. 第3章 実は「国会議員」の力は弱い!?
  4. 第4章 「特別利益団体」を知らずして政治は見えない
  5. 第5章 「官僚組織」の「官僚組織」による「官僚組織」のための政治?
  6. 第6章 政治を変えるのは、あなた!
(目次から抜粋)
著者は、政治学者の立場から、日本の政治の仕組みを分かりやすく解説し、選挙権を持つ20歳から35歳くらいまでの人にむけて、政治リテラシーを高めるためにこの本を書いたようだ。そして、20歳から35歳の読者に得をしてもらうため、という思いがこめられている。

投票日が後数日に迫っている状況で、何も政治の理解がないまま適当に投票するのはどうかと思い、テスト前の一夜漬けのような境地で読んでみた。内容は、とても分かりやすく、やはり投票に行かなければダメだと思った。

タイトルにある4000万円の損失を簡単に説明すると、世代間受益格差が、現在24歳から35歳までの人と70歳以上の人と比較すると、4000万円も差があるということらしい。年寄りが1500万円のプラス、若者が2500万円のマイナスという状況のようだ。

この状況は、若い人が投票に行かないので、政治家は自分、故郷の利益のために自分に投票して当選させてくれる人が多く存在する老人たちに優遇する政策を掲げるから、ということになるようだ。だから著者は、若者がもっと政治に関する知識(政治リテラシー)を獲得し、いかに若者が損をしているかに気づき、そして日本を変えるために鉛筆を転がして候補者を選択してでも投票に行け!!と示している。

今まで知らなかったことが多く示されていた。以下、本書で太字で強調されていた部分をいくつか恣意的に抜粋。
  • われわれ有権者は、選挙にあたっては棄権もするし、政治リテラシーもあまりない、でも他力本願的に、誰か世の中をよくしてくれないかなと願う動物である (pp.35)
  • 頭のよい人ほど、政治には関心がない、政治リテラシーはゼロに近づく (pp.47)
  • わたしたち有権者は、棄権せず投票に行った場合も、間違った政党や政治家を選んでいる確率がかなり高い (pp.48)
  • 選挙時に誰を選ぶかは二の次、政治の知識を持っていようといまいと関係なし。とにかく投票所に行く。 (pp.53)
  • 国会議員は、各々の選挙区において、自分を当選させてくれる有権者のために働いている (pp.79)
  • 自民党のマニュフェストについては、新しいマニュフェストではなく、前回の選挙時のマニュフェストなら読む価値はあります。 (pp.91)
  • 自分は、政権交代を望むのか、望まないのか? 望まないのだったら与党に投票し、望むのだったら野党に投票すればよい (pp.94)
  • 投票所に行こう。政治リテラシーを上げて、自分が最良と思う候補者を選出しよう (pp.186)
本当はもっとたくさんあるのだけど、さすがに列挙しすぎても冗長なので、この辺で割愛。

頭のよい人ほど、政治には関心がない、政治リテラシーはゼロに近づくというものに関して、『合理的無知仮説』というものが示されていた。以下にその要旨を抜粋。
 「有権者が情報を得ようとする場合、金銭や時間、労力などのコストがかかる。もし有権者が合理的であるならば、情報の獲得によって得られる効用がそれらのコストよりも大きい場合のみ情報を得ようとする。
 しかし、有権者が民主主義国家において政治と関わるのは、一般的に選挙における投票時のみであることを考えると、数年に1回程度しか行われないということに対してわざわざ知識を得るのはばかげている、持たないほうが合理的であるため、政治リテラシーは低くなる」
(pp.48)
なんとなく自分が政治リテラシーがそこまで高くない理由が分かった気がする。なぜ自分が政治に無関心であったのかというと、自分の抱えている課題や、やりたいことに対する情報収集や勉強に優先度を高く設定せざるを得ず、政治のニュースを見たり読んだりするほど余裕がなかったから、ということになる。

はっきり言って、学びたいこと、考えなくてはいけないことが多すぎて常に時間の欠乏を感じているのに、自分のこととして捉えられない世の中の事象に関心など持てなかった。世の中の問題よりも、まずは自分の問題、と思っていた。

しかし、自分自身を含めて身の回りのミクロ的な問題だけを見ていてもダメで、マクロ的に見なくては、結果的に自分自身に大きな不利益、問題が降りかかってくる、ということがこの本を読んで分かった。

また、ドラゴン桜的に言えば、ルールを作ったやつが利益を多く享受できる仕組みとなっているということだろう。だから、世の中の仕組みを知らないと、自分の気づかないところで常に搾取される側に陥ってしまう。そうならないためにも、政治リテラシーが必要なようだ。

政治リテラシーがなくとも、とりあえず鉛筆を転がしてでも候補者を選んで投票に行くのには、それなりに意義があると示されていた。それは、若者の投票率が上がることになれば、政治家は自分を当選させてくれるかもしれない若者の存在を無視できなくなるから、ということになり、なるほどと思った。

そして、政治リテラシーを持つ人は、日本の将来を託すことの出来る政党はどこなのかを考えて投票すべきとあった。今回、自分は一夜漬け的に政治リテラシーを獲得した気になって投票に行く。そして、それは間違った選択になる確率が高い。しかし、自分が若者世代の投票率をほんの少し上げた、ということに意義があると思う。

最後に一番重要な部分を抜粋。
選挙における投票は、有権者1億人の一票と考えれば、ちっぽけな力ですが、その一票が日本を動かすことができるパワーなのです。
(pp.189)
ということで、土曜日にでも期日前投票に行って、日本を動かしてこよう。

この本は、200ページくらいなので、がんばれば2時間程度で読める。分かりやすい内容だし、自分の政治リテラシーがどれほどなのかをチェックするのにもよい。選挙までまだ間に合うので、買って読んだほうがよい。

以下は私見だが、自民党が政権を維持するデメリットよりも、民主党に政権交代するデメリットの方が大きいと思う。10年、20年という長期的な視点で日本のことを考えるとね。そして、「Yahoo!みんなの政治」でマニュフェストチェックをやったら、みんなの党が浮上してきた。さて、どこに投票しようかね?鉛筆を転がして決めようかしら(笑)まぁ、今回は投票することに意義があると思っておこう。そして、次の選挙までには、政治リテラシーをもっと身に着けて投票に行きたい。



若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? (ディスカヴァー携書)
若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? (ディスカヴァー携書)

読むべき人:
  • 24歳〜35歳までの若者の人
  • 政治などの世の中の仕組みを知りたい人
  • 世の中のルールを作る側に回りたい人
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August 23, 2009

プリズムの夏

プリズムの夏 (集英社文庫)
プリズムの夏 (集英社文庫)

キーワード:
 関口尚、青春小説、高校3年生、うつ病、救い
著者のデビュー作品となった、青春小説。以下のようなあらすじとなっている。
「わたしはわたしをやめたい。もう消えてしまいたい。」ネットで見つけた、うつ病女性の日記。高3のぼくは、書いているのが片思いの相手・松下さんではないかと疑い始める。映画館で働く美しい彼女にそんな気配はないけど、証拠は積み重なる。死へ向かう、日記の女性が松下さんなら、ぼくは助けたい。どんなに苦しいことがあっても――。ひたむきな想いを描く青春小説。第15回小説すばる新人賞受賞作。
(カバーの裏から抜粋)
夏になると決まって青春小説が読みたくなる。去年、著者の作品をはじめて読んでみたら、すごく心地よい気持ちになれた。そういうこともあって、集英社文庫のナツイチから、本作品を見つけて買って読んだ。あらすじを補足。

主人公、植野は、水戸市に住む割と平凡な、大学受験を控えた高校3年生である。そして、隣のクラスの美男子だが、割りとめんどくさい友人今井と映画館で映画を見る仲にある。ある日、映画館の受付で20代後半に見える、鼻梁が幾分りっぱで美しいが、他人を拒絶している印象を与える松下菜那と出会う。2人は松下さんに好意を抱きつつ映画館に通うが、同時期に見つけたネット上の日記『やめていく日記』に、うつ病で苦しむ女性の存在を知る。松下さんと共通する部分が少しずつ更新されていき、2人は松下さんがその日記の主であるかどうかを確かめながら救おうとするが・・・。6月から始まり、そして夏休みを挟み、9月はじめまでの夏の青春物語。

すぐに物語りに引き込まれて、一気に読んだ。高校生2人と美人だがどこか謎めいている年上の女性の関係がよく描写されていたと思う。2人は松下さんに憧れを抱くが、松下さんと親しくなるのが難しく、さらにはうつ病で苦しんでいるかもしれないと疑念を抱きつつも接するしかない。高校生2人の松下さんを救うことが出来ないもどかしさ、焦燥がよく表されていた。そういう部分に共感できたし、引き込まれていった。

松下さんは、表面的には病んでいるようには見えないが、ネット上の映画の感想と同時に更新されている『やめていく日記』に、自分自身と回りの関係性をどんどんやめていく病的な過程を更新し続けている。以下、最初の日記の一部を抜粋。
 六月十一日
 はじめまして。アンアンといいます。これから日記を書いていこうと思います。わたしたちは毎日何かを得るために生きていると信じ込んで、そしてなにかを得たかのような顔をして生きています。しかしそんなことはないはずです。それどころか毎日なにかを失いながら生きていると思うんです。わたしは気づかないうちに大切なものをなくしているなんて耐えられません。わたしがわたしを失う前に、わたしからやめていこうと思います。この日記はその報告です。すべてをやめたときがこの日記の最後になります。
(pp.45)
すべてをやめたとき、というのは死を想起させる。不定期で更新される松下さんの人間関係のもつれ具合が、痛いほど共感できる部分があった。

ただ、うつ病の描写が少し浅い気がした。本当にうつ病で苦しんでいる人がこの作品を読んだら、どう思うだろうか?こんなのはうつ病じゃないと思うかもしれない。何というか、本当はもっと大変なんじゃないかと思った。僕はうつ病だと診断されたことはないから、細かいところは何とも言えないけど。ただ、そこが唯一この作品で引っかかるところだ。

また、印象に残った箇所を以下に抜粋。
「愛されないという理由だけでここまで精神的に病んでしまうものなのかな」
 ぼくは麻紀のことを心に隠しながら、いきり立った今井を落ち着けるためにやわらかい口調で言った。実際いまの心情はアンアンに同情的だった。「愛されない側の論理」はぼくの胸に深く突き刺さったままだった。愛されたいと望む人を遠ざけた自分が心苦しかった。
(pp.64)
もう一箇所。
救いとはなんだ。救いという言葉は人が人に使えないものなのかもしれない。それならば神様はどこにいるというのか。神様もいないのに、ぼくらがこんなにも松下さんの命を願う祈りに意味があるのか。
(pp.173)
上記は、特に共感できた部分となる。
 
医者による本作品の解説に以下のようなことが示されていた。
 若さとは先を考えて今をセーブしないものなのだ。若さを失なうと人は、エネルギーをためておこうとするようになる。それが一概に悪いとはいえない。セーブしたり計算しないと玉砕してしまうこともあるからだ。しかし、玉砕しても大丈夫な十分な若さがある時期、きちんとエネルギーを出し切らないと素敵な大人にはなれない、と私は思う。エネルギーを出し切ることは、素敵な大人になるための
「通過儀礼」
 ではないだろうか。
 玉砕するのはカッコ悪いし、傷つくものだ。しかしその季節を経て、人ははじめて大人になっていく。
(pp.193)
夏になると決まって青春小説を読みたくなるのは、上記によるところが大きいと思った。もっと若いときに、エネルギーを出し切れなかったんだなぁと思った。いつもどこかで必要以上にセーブしすぎていたんだと思う。だから、『玉砕』できなかった代償行為として、夏になると高校生活を振り返りながら、青春小説を読んでしまうのかもしれない。そして、解説によれば、僕は素敵な大人になれないのかもしれない。

著者の他の作品は、以下がお薦め。『プリズムの夏』よりもおもしろく、引き込まれていき、読了後の爽快感はすばらしかった。かといって、『プリズムの夏』がダメなわけじゃない。『プリズムの夏』もよかったが、『君に舞い降りる白』がすばらしいだけだ。

最後は若干駆け足で終わった感じがした。もう少しエピローグ部分を示してくれたら、高校生2人と年上の松下さんの関係性がより印象深いものとなっていたかもしれない。

恋愛的要素は少なめの作品で、高校生特有の大人になりきれていない部分や、年上の女性に憧れる部分、自分の進路に思い悩む部分、水戸市に近い海沿い、自分を含めた家族や友人、恋人といった人間関係に思い悩む部分などが多く描写されている。

自分の中で、著者は青春小説家のような位置づけとなった。もっと他の作品も読みたい。

高校生だったら、今頃夏休みがあと1週間しかないと寂しい気持ちになっていることだろう。しかし、社会人になると、そもそも青春できる夏休みという概念がほとんどないのが寂しい。



プリズムの夏 (集英社文庫)
プリズムの夏 (集英社文庫)

読むべき人:
  • 夏に高校生活を振り返ってみたい人
  • 年上の女性に憧れた経験を持つ人
  • 救いとは何かを考えてみたい人
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August 21, 2009

政治のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ

政治のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ―ひとめでわかる図解入り
政治のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ―ひとめでわかる図解入り

キーワード:
 池上彰、政治、選挙、図解、権利
元「週刊こどもニュース」のお父さんによって、政治の仕組みが分かりやすく示されている本。以下のような目次となっている。
  1. 第1章 「政治」とは何か?
    1. 「政治」とは何か?
    2. 「民主主義」とは何か?
    3. 朝鮮民主主義人民共和国は「民主主義国家」なのか?
    4. 日本の政治のしくみ
  2. 第2章 「選挙」とは何か?
    1. 選挙は社会において、どんな役割があるのか?
    2. 「普通選挙」はいつ、どのように始まったのか?
    3. 選挙制度はどのようになっているのか?
    4. 「一票の重み」はすべて同じなのか?
    5. 政治家が選挙を嫌がるのは。なぜか?
    6. 投票日に予定が入ってしまったら、どうするか?
  3. 第3章 「国会」とは何か?
    1. 衆議院と参議院はどう違うのか?
    2. いろいろある「国会」。それぞれどう違うのか?
    3. 法律はどのように作られるのか?
    4. 「族議員」とは何か?
    5. 国会議員の仕事とは、どんなものなのか?
    6. 国会議員の給料は?議員宿舎は本当に必要?
    7. 議員の後援会や、政治資金パーティーは何のためにあるのか?
    8. なぜ二世議員ばかりが増えるのか?政治家に必要なものは?
    9. 派閥とは何だろう?
    10. 「党首討論」「証人喚問」とは何か?
  4. 第4章 「内閣」とは何か?
    1. 総理大臣は、毎日どんな仕事をしているのか?
    2. 総理大臣はどうやって選ばれるのか?
    3. 総理大臣と大統領はどう違うのか?
    4. 内閣とは何か?政府とは何を指すのか?
    5. 「官僚制」とは、どんなものか?
    6. 幹事長とはどんな人か?副大臣、政務官とは?
    7. 内閣官房とは何か?内閣官房長官の役割は?
    8. 五五年体制とは何か?連立政権とは、どういうものか?
  5. 第5章 「憲法」「裁判所」「地方自治」とは何か?
    1. 「憲法」とは何か?
    2. 日本国憲法、その内容は?憲法で何が問題なのか?
    3. 裁判所とは何か?
    4. 裁判官に必要なものは?裁判員制度とは何か?
    5. 地方自治とはどういうものか?地方公共団体のしくみ
    6. 地方自治の問題は?
(目次から抜粋)
この本は、NHKで記者としての経験を活かし、そこから「週刊こどもニュース」のお父さん役をやっていた著者によって、社会人として知っておいてほしい政治の基本中の基本が、分かりすく図解を含めて示されているものとなっている。内容自体は、中学生の公民の教科書レベルだと思われる。来る今月末の衆院選に向けて、もう一度政治、選挙の仕組みの基本の基本を復習しておきたいと思って読んだ。特に抑えておきたいポイントを以下に列挙。
  • 人々を代表してそのお金を預かり、よりよい使い道を考えるのが政治家
  • 国民の代表として選ばれた政治家は、国民の声を聞き、税金の使い道を考えたり、国の方針を決めたりする。これが「政治」となる
  • 民主主義とは、政治家を信用していないシステム。政治家を信用していないので、ダメならすぐに辞めさせることができる仕組みとなっている
  • 選挙という仕組みがあることによって、世の中が悪化するのを防ぐことができる。いわば、社会の安全装置の役割を果たしてる
  • 国民主権により、政治の主人公は、政治家ではなく、私たち国民
  • 小選挙区制は、一つの選挙区から、一人の議員を選ぶもの
  • 政権交代があると、政治に緊張感が出て、政治腐敗が起きにくくなるといわれている
  • 比例代表制は、政党の名前を投票用紙に書いて投票し、政党ごとの投票数に応じて各政党に議席を配分する仕組み
  • 衆議院選挙は、4年の任期満了か、途中の解散のときに、衆議院全員を選びなおすので、総選挙ともいう
  • 一票の格差とは、議員一人当たりの有権者数の格差のこと
  • 「不在者投票」から「期日前投票」に呼び名が変わったのは、不在者投票は当日不在になる理由を明らかにしなければならなかったが、期日前投票は、投票日当日に投票に行けない理由を聞かないので、期日前でも投票してもらいたから
  • 海外に住む日本人は、日本大使館や領事館に「在留届け」を出してあれば、「在外選挙人名簿」に登録され、投票できる
  • 投票日当日、投票所に朝一番乗りした人には、選挙管理委員会から投票箱がカラであることの確認をお願いされる
  • 衆議院選挙が行われた後に開かれる特別国会で、総理大臣が選ばれる
  • 総理大臣が国会議員の投票で選ばれるということは、国会の中で議員数が一番多い政党から選ばれることになる
ちょっと多いが、多目に列挙した。主に2章の『「選挙」とは何か?』からポイントを絞った。こうしてみると、選挙の仕組みはあまり理解していなかったなぁと思った。中学の公民や高校の政治経済で学んだことから、特に知識が深まっていないと思った。まぁ、新聞は読んでないし、政治のニュースにも無関心だったからそれはしょうがない・・・。

国ごとの選挙の違いについての比較で、日本は他の国よりも選挙にお金がかなりかかると示されていた。それは、アメリカやイギリスは、「この人を私たちの代表として出したい」といって、周りの人たちが自主的に資金を提供したり、みんなでボランティア活動をして手作りでパンフレットを作ったり、ポスターを貼って回ったりするので、候補者本人にはほとんど負担がかからないらしい。

しかし、日本の選挙では、選挙には出たい人しかおらず、そのため、回りの人がボランティアで候補者を助けるということはないので、供託金やその他の選挙費用を含めて最低でも数百万円も必要になってくるようだ。そのような状況では、日本の政治はよくならない、と著者は以下のように示している。
 政治をよくするために、自分たちの中から代表を出そう。その人にお金がないなら、みんなで応援をしよう。政治資金が出せないなら、休日にポスターを貼るなど、体を動かしましょう。これが、政治に対して責任のある国民の姿だと思います。
 その点、日本国民の政治に対する意識はまだまだ未熟だと、言わざるを得ません。
 選挙にはお金がかかる、というのは事実です。ただ「お金がかかってけしからん!」というのは見当違いの批判なのではないでしょうか。
 私たちが出したい人の応援をしないから、結果的に日本の選挙はお金がかかる。こういうことなのです。
(pp.066-067)
なるほどと思った。しかし、回りの人からこの人を候補に!!と言ってもらうには、相当密に地域コミュニティが発達している必要があると思った。マンションの隣人が誰だかわらないような状況では、このような状況は難しいと思える。でも、社会参加するということは、著者の示すようなことなんだろうなと思った。

文章も分かりやすく、図もそれなりに入っているので、中学生くらいからでも読めると思う。出版されたのが、2008年4月と、比較的最近なので、数年前ニュースで話題になったこともなども出てくる。

選挙の仕組みなどが示されているが、各政党の特徴などの比較はほとんど示されていない。選挙の歴史をなぞっている部分もあるので、与党の自民党の記述が多いと感じられるくらいだった。

また、各政党のマニュフェストの比較などは、以下が参考になる。また、あんまり政治や選挙に関心が持てないという人は、島耕作の著者である、弘兼憲史による以下の漫画がおもしろいし、勉強になるのでお薦め。加治隆介の議 (1) (講談社漫画文庫)加治隆介の議 (1) (講談社漫画文庫)
著者:弘兼 憲史
販売元:講談社
発売日:2000-02
おすすめ度:4.5
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ちょっと長いので、満喫で一気に読んだほうがよいかも(笑)

社会人になって数年がたち、自分で税金を払うようにもなった。ニュースを読んだりしていると、日本はこのままじゃダメだ、とか少しは思ったりもする。企業や国を当てにせずに生きようといった、自己責任論がはびこっていたりもするが、選挙に行って投票するということも一つの自己責任なのではないかと思う。本書の『はじめに』で、『なぜ、選挙に行かなくてはいけないのか?』で、以下のように示されている。
 選挙が行われるたびに、報道される投票率。このところ投票率は下がるばかりです。「いちいち選挙に行くのはめんどくさい」「政治なんて、よくわからないから政治家に任せておけばいい」「国会議員も誰かが選んでくれればいい」……。
 果たして、本当にそれでいいのでしょうか。投票しないということは、有権者としての自分の権利を放棄したことになります。私は、こういう人は、政治に関することに文句を言う資格はないのではないかと思えるのですが、あなたはいかがですか。
 え?政治について文句など言ったことない?本当にそうでしょうか。消費税や年金問題について不平を言ったことはありませんか。これも政治の問題なのですよ。「政治」は実はあなたの生活にも密接にかかわっているのです。
(pp.002)
給料日のたびに何度、所得税、住民税が高いと思ったことか(笑)こういうふうに文句を言えるようになるためにも、選挙に行くべきだと思う。

期日前投票があるのだから、「選挙に行く時間が無い」とか「選挙など興味がない」、と言うのは、自分自身の生活環境がどうなろうと知ったことではないと宣言するようなもので、さらに自分の将来、日本の未来を放棄することに等しい、と自戒をこめつつ、投票日まで各党のマニュフェストを読み込んだり、当日はしっかりと選挙に行って投票しようと思った。

特に自分と同じくらいの世代の人は、この様な本を読んだりして、選挙や政治に関心を持つべきかなと思った。この本は、すぐに読めるので、衆院選までに2,3,4章のみを読んでおいたらいいかもしれない。

結局、誰かが日本を変えてくれるわけではない。自分で変えるのだ。一票を投じることによって。



政治のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ―ひとめでわかる図解入り
政治のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ―ひとめでわかる図解入り

読むべき人:
  • 政治のことがよく分からない社会人の人
  • 衆院選まで軽く選挙の仕組みを抑えておきたい人
  • 自分の権利をしっかり行使したい人
Aamzon.co.jpで『池上彰』の他の本を見る

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August 16, 2009

コンテキスト思考

コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術
コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術

キーワード:
 杉野幹人 / 内藤 純、思考法、コンテキスト、フレームワーク、教養
戦略系コンサルティングファーム、A.T. カーニーのマネージャー2人によって、「コンテキスト」に着目した思考法が提案されている本。以下のような目次となっている。
  1. まえがき
  2. 【第1章】 コンテキスト思考の全体像
  3. 【第2章】 コンテキスト思考の3Sフレームワーク
  4. 【第3章】 「Surroundings(環境)=関係性」のコンテキスト思考
  5. 【第4章】 「Soil(土壌)=価値観」のコンテキスト思考
  6. 【第5章】 「Sun(太陽)=目的」のコンテキスト思考
  7. 【第6章】 コンテキスト思考の土台となる基礎能力
  8. あとがき
(目次から抜粋)
この本は、『@IT自分戦略研究所ブックシェルフ』で紹介されていたもので、なんとなく面白そうな内容だと思って、久しぶりにビジネス書である本書を本屋で買って読んでみた。読んでみたら、これはかなりの当たり本!!自分の中で、だぶん今年一番ヒットのビジネス書!!かなりの良書だと断言できる。そして、自分がなんとなく漠然と考えていたことが体系的に示されていた。

コンサルっぽいフレームワーク本なので、本書に載っている図解を多く示したいと思う。まずは、簡単に本書の内容を要約する。

昨今は文字や数字の「コンテンツ」が氾濫していてるが、ビジネスにおいて、それら「コンテンツ」を欧米流に分析しただけでは思うような成果が出にくくなってきている。そこで、「コンテンツ」の真の理解のために、「コンテンツ」の裏側にある背景や前後関係や文脈といった「コンテキスト」の理解が重要になってきている。そして、「コンテキスト」を把握することによって、周りとは違う「おもしろい効果」が期待でき、本書では、「コンテキスト」を読む思考を「コンテキスト思考」と定義し、それらを実践する方法が示されている。

まず、本書のキーワードである、「コンテンツ」と「コンテキスト」の対比を以下に示す。

コンテンツとコンテキストの比較

本書では、「コンテンツ」の背後や裏にある背景、前後関係、文脈などの認識できないものを「コンテキスト」と定義しており、私たちは「コンテンツ」だけではなく「コンテキスト」までをも理解することで、モノゴトをより正確に理解しているようだ。

そして、本書ではこの「コンテキスト」の重要性が高まると示されている。それは、「コンテンツ」は客観的であるがゆえに、既存のフレームワークなどで分析しても、導出される結果は必然的に似たようなものになってくるからとある。そして、そういう状況になると、生み出される成果がどの企業でも似たり寄ったりになり、差別化できなくなるので、「コンテンツ」傾倒の経営の限界に陥るからとあった。

そのような状況を打破するために、本書では「コンテキスト思考法」が提案されている。「コンテキスト思考」の定義を以下に抜粋。
 「コンテキスト思考」とは、「モノゴトの裏にある物理的に認識できない"コンテキスト"(背景、前後関係、文脈など)を能動的に洞察する思考法」と本書では定義する。これに対して「音声、文字、数字などの物理的に認識できるものに論理や分析などを加える"コンテンツ"ベースの思考法」を「コンテンツ思考」と定義する。
 それでは、「コンテキスト思考」を行うことによって、どのようなメリットがあるのだろうか。私たちは、「コンテキスト思考」のメリットは「おもしろい効果」を生み出せるようになることであると考えている。「おもしろい効果」とは、周りとは異なる、一歩先を行く結果と定義できる。
(pp.26-27)
そして、コンテキスト思考を身につけることが周りの企業や人とは異なる「おもしろい成果」を生み出すための鍵であると示されている。これはなるほどなぁと思った。また、従来のロジカルシンキングなどのフレームワークなどは、義務教育的な内容であるので、それらが不要になるわけではないと示されている。既存フレームワークを体得した後、コンテキスト思考法を身につけるべきとあった。

コンテキスト思考は、3つの要素からなる3Sのフレームワークを構成しているようだ。以下その部分の図を抜粋。

3Sのコンテキスト思考のまとめ

上記の図の『環境』が単数形になっているが、そのまま抜粋。たぶん間違いだと思われる。

また、それぞれ3Sの定義を抜粋。
  1. Surroundings―私たちの周りにある「関係性」のコンテキストを能動的に洞察し、「おもしろい成果」を生み出す上で不可欠な「ユニークな視点」を手に入れる思考法 (pp.74)
  2. Soil―私たちの中にある「価値観」のコンテキストを能動的に洞察し、「おもしろい効果」を生み出す上で不可欠な「ぶれない自分軸」を手に入れる思考法 (pp.120)
  3. Sun―私たちの前にある「目的」のコンテキストを能動的に洞察しそれを共有し、「おもしろい成果」を生み出す上で不可欠な「共感」を手に入れる思考法 (pp.155)
それぞれの具体例が示されているが、そこまで示すと、1記事に収まりきらなくなるので割愛。

また、それぞれの関係がわかるイメージ図を以下に抜粋。

コンテキスト思考の全体像

コンテキスト思考法の3Sのフレームワークの土台となる基礎能力として、「教養」と「楽観」が示されている。「楽観」はモノゴトを楽観的に考えて、行動することと示されていた。そして、もう一つの「教養」の考え方が、自分の考えとよく似ていて、その通り!!と思わずうなってしまった。

本書では、教養とは『多様な知識を理解し、それらを統合的に捉えることによって「全体像を想像する資質」と定義する (pp.182)』とある。なぜこれが必要になるかというと、たとえば、エネルギー問題を解決しようと考えたときに、工学、心理学、文化人類学、マクロ経済、国際経済学などあらゆる知識を総動員しなければならないからである。以下、その部分について詳細が示されている部分を抜粋。
 いずれにせよ、このエネルギー問題のように、これからの時代に世界が対面する現象は複雑で大きなものであり、「コンテンツ」として数多流通するようになった知識をバラバラなまま用いては解決していけない。これからの時代に必要なのは、知識を幅広く、そして深く理解し、その上でそれらを統合して捉えて全体像を理解することである。その全体像の理解によって、問題の再定義や、その問題に対する既存の処方箋の選択ができることである。あるいは現在処方箋が存在しないことを自覚して新たな解決策の創造活動を始める力である。それが、「全体像を想像する資質」である「教養」なのである。
 「コンテキスト思考」とは、「おもしろい成果」を生み出すだめの思考であり、そのためには、まだ周りが解決できていないこのような複雑で全体像が定義されていない大きな現象と立ち向かわなくてはならない。また、問題解決のための打ち手も、さまざまな領域の知識を総動員する必要がある。このため、「コンテキスト思考」を用いて「おもしろい成果」を生み出すためには、「全体像を想像する資質」である「教養」がその土台となる基礎能力として不可欠なのである。
(pp.184-185)
ここは、自分が考えていた教養観とまったく一緒で、激しく同意!!と線を引きまくった。

そう、現在の世の中は複雑系なので、一つの専門領域を究めただけでは、解決できないような問題が多く存在する。旧世紀では、一人ひとりが1点特化して、それぞれの専門性を発揮していけばよかったが、もうそういう時代ではなくなっている。だから、著者の示すような教養観を身に着けて、それぞれの問題解決に努める必要がある。

個人が会社で働く場合などは、上記のような大局的な視点を持つ教養など関係ないと思われるかもしれない。しかし、企業で抱える課題も、ブレイクダウンしていくとさまざまな要素が絡み合っていると思われる。そういうときに、大きな成果を得るには、やはり上記のような全体像を想像する資質である教養が必要になってくると思う。

本書では、教養はコンサルティングの世界でも不可欠な素養である、とも示されているが、その通りであると思った。事実、自分の組織のエグゼクティブクラスの人の話を飲み会などで聞くと、専門分野以外の知識、全体像を把握するような考え方を身につけている人が多いと思った。

そして、本書で示されているような教養観の獲得こそ、自分が読書ブログを続けている主要な目的の1つになる。なぜ、自分がある分野に特化して読む本を絞らないかというと、世界を体系的に把握するためでもある。そう、すべては教養の獲得という側面も大いにある。それが自分が目指しているものとなる。

教養の獲得には、「周りのモノ知りとのディスカッション」が必要であるとあった。周りとディスカッションすることで、まだ腑に落ちていない知識同士がつながって、モノゴトを総合的に捉えるきっかけになるとある。

これは、自分自身、かなり実感している。ディスカッションできる場がほしいと思って、自分未来塾の『自分学』を受講している。そこでは、結構ディスカッションが繰り広げられ、自分の持っていた理解と他の知識がつながって腑に落ちることが多い。自分自身は、知識を習得するためのただの勉強会よりも、ディスカッションできる場を求めている。自分未来塾は、その欲求を満たしていると思う。

また散漫で長い内容となってしまった・・・。しかし、自分の読書傾向や教養の考え方は、間違っていないということがわかってよかった。これからの時代は、教養がないと思うような成果が出せないようになってきている。そして、突き抜けて成功するには、やはり教養がものをいうのだと思う。

やはり、ビジネス書や自己啓発書だけを読んで成功できる時代ではないと思う。だから、古典文学作品や経済学や心理学、エッセイ、思想書、IT技術本など自分の興味関心にしたがって幅広く読んでいけばいいのだと思う。ただ、一点特化して対象を絞って学習するよりも、どうしても成長スピードは遅くなるが、それはしょうがない。

この本は殿堂入りなので、コンテキスト思考法が実践できるようになるまで何度も読み返そうと思った。

新世紀型の思考法がわかりやすく示されているので、これから「おもしろい成果」をあげていきいたい人は絶対読んだほうがいい。



コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術
コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術

読むべき人:
  • 既存フレームワークなどに限界を感じている人
  • 大きな成果を出したいコンサルタントの人
  • 世の中を大きく変えたい人
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August 15, 2009

行人

行人 (新潮文庫)
行人 (新潮文庫)

キーワード:
 夏目漱石、苦悩、寂寞、心、雲
『こころ』が書かれる直前の作品。以下のようなあらすじとなっている。
学問だけを生きがいとしている一郎は、妻に理解されないばかりでなく、両親や親族からも敬遠されている。孤独に苦しみながらも、我を棄てることができない彼は、妻を愛しながらも、妻を信じることができず、弟・二郎に対する妻の愛情を疑い、弟に自分の妻とひと晩よそで泊まってくれとまで頼む……。「他の心」をつかめなくなった人間の寂寞とした姿を追求して『こころ』につながる作品
(カバーの裏から抜粋)
文豪夏目漱石の作品。夏っぽい選択だとは思うが、『こころ』ほど読みやすいものではない。

僕は、この作品を感覚的にかつ完全に理解できなかった。理解できなかったのは、漱石特有の静寂な文体を把握するのに慣れていない部分も多いが、それ以上にこの物語の主人公、一郎の苦悩を感覚的に理解できなかったからだと思う。

夏目漱石の作品をはじめて読んだのは、高校2年生のときの国語の授業の『こころ』だった。それから、いくつかの作品を読んでみたが、漱石の作品はどれも最初の50ページを読み込むまで、独特の文体に慣れなかった。しっかり読まないと、その情景がまったく思い浮かばないことが多い。読めそうにない漢字はルビがふってあるから、読めないことはない。しかし、淡々と冷静に人間関係が描写されているので、ちょっとでもボーっと他のことを考えていると、たちまちシーンが進んでいってよくわからなくなってしまう。

この作品は、特に一郎とその妻、直、そして弟の二郎を取り巻く人間関係が複雑に描写されている。そのため、25歳という若さで、あまり人間関係を築くのが得意ではない自分、結婚もしていない自分、人生経験の浅い自分が読んでも感覚的に理解できない部分が多かった。

一郎は、学者で、大学で教えているような聡明な男である。しかし、自分の信じるもの以外に対しては、懐疑的で狭量な側面も併せ持つ。そんな一郎は、以下のように人の心がわからなくなっている。
「己は自分の子供を綾成(あや)す事が出来ないばかりじゃない。自分の父や母でさえ綾成す技巧を持っていない。それどころか肝心のわが妻(さい)さえどうしたら綾成せるか未(いま)だに分別が付かないんだ。この年になるまで学問をした御蔭(おかげ)で、そんな技巧を覚える余暇(ひま)がなかった。二郎、ある技巧は、人生を幸福にする為に、どうしても必要と見えるね」
「でも立派な講義さえ出来りゃ、それで凡(すべ)てを償って余(あまり)あるから好(い)いでさあ」
 自分はこう云って、様子次第、退却しようとした。ところが兄は中止する気色を見せなかった。
「己は講義を作るためばかりに生まれた人間じゃない。然し講義を作ったり書物を読んだりする必要があるために肝心の人間らしい心持を人間らしく満足させる事が出来なくなってしまったのだ。でなければ先方(さき)で満足させて呉(く)れる事が出来なくなったのだ」
 自分は兄の言葉の裏に、彼の周囲を呪うように苦々しい或(ある)物を発見した。
(pp.192)
ここが端的に兄の苦悩が表れていると思った。こういう側面が自分にもまったくないとは言い切れないので、この部分を読みながら若干の不安を覚えた。

また、兄一郎が、弟二郎に初めて妻のことについて相談したときに、二郎が以下のように他者の心について示している。
「兄さんに対して僕がこんな事をいうと甚(はなは)だ失礼かもしれませんがね。他(ひと)の心なんて、いくら学問をしたって、研究したって、解りっこないだろうと僕は思うんです。兄さんは僕よりも偉い学者だから固(もと)より其処に気が付いていらっしゃるでしょうけれども、いくら親しい親子だって兄弟だって、心と心は只(ただ)通じているような気持ちがするだけで、実際向かうと此処とは身体が離れている通り心も離れているんだから仕様がないじゃありませんか」
「他(ひと)の心は外から研究は出来る。けれどもその心に為(な)って見る事は出来ない。その位の事なら己だって心得ている積だ」
 兄は吐き出すように、又懶(ものう)そうにこう云った。自分はすぐその後に踉(つ)いた。
「それを超越するのが宗教なんじゃありますまいか。僕なんぞは馬鹿だから仕方がないが、兄さんは何でも能く考える性質(たち)だから……」
「考えるだけで誰が宗教心に近づける。宗教は考えるものじゃない、信じるものだ」
 兄はさも忌々(いまいま)しそうにこう云放った。そうして置いて、「ああ己はどうしても信じられない。どうしても信じられない。ただ考えて、考えて、考えるだけだ。二郎、どうか己を信じられる様にして呉れ」と云った。
(pp.125)
解説を読むと、一郎は漱石自身の苦悩を描写したものだというようなことが示されていた。きっと、この部分がそれにあたると思われる。

そして、最終的には、兄と親しく、旅行に同行したHさんに以下のように云っている。
「死ぬか、気が違うか、それでなければ宗教に入(い)るか。僕の前途にはこの三つのものしかない」
 兄さんは果たしてこう云(い)い出しました。その時兄さんの顔は、寧(むし)ろ絶望の谷に赴く人の様に見えました。
「然し宗教にはどうにも這入(はい)れそうもない。死ぬのも未練に食い留められそうだ。なればまあ気違だな。然し未来の僕はさて置いて、現在の僕は君正気なんだろうかな。もう既にどうかなっているんじゃないかしら。僕は怖くて堪らない」
(pp.357)
この後、兄の独特の宗教観が、Hさんの手紙を通して示されている。そして、兄が救われるには、兄の頭を取り巻いている雲を散らしてやることしかない、とHさんが示している。

400ページ近くもある作品で、読みにくい部分が多いので、読了にかなり時間がかかった。通勤電車の中だけで読んでいたので、1ヶ月くらいもかかった。物語に大きな山場があるわけではないので、淡々と読み進めるしかない。しかし、本当は一気に読み進めるのがいいと思う。少なくとも1週間くらいで読んだほうがいい。それだけの時間をとるのが難しいが。

僕はまだこの作品を感覚的に理解できなくてよかったのかもしれない。特に一郎に共感できすぎると、この先の人生があまりにも生きづらいものになってしまう。けれども、もし結婚して、一郎のような苦悩に陥ったらと思うと、不安でしょうがない。

この本は10年後に読み返す必要がある。10年後は、結婚している可能性が高いので。そのときに、やはり感覚的に理解できないままでいるか、それとも、一郎のようになっているか・・・。

10年後にこの作品を再読して、確かめる必要がありそうだ。

夏目漱石の作品は、人間関係の微妙な距離感を描写しているものが多いので、10代20代じゃ感覚的にわからないなぁ。けれども、他の作品も読んでいきたい。また、もう一度『こころ』を読み返しておこうかな。



行人 (新潮文庫)
行人 (新潮文庫)

読むべき人:
  • 妻が何を考えているかわからない人
  • 学者肌で人間関係を築くのが得意じゃない人
  • 何か苦悩に覆われて生きている人
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August 09, 2009

【ネタ記事】夏に読みたい小説厳選10冊!!

皆様、灼熱の夏をいかがお過ごしでしょうか?今年は、僕には夏休みがないようです('A`)

僕は毎年夏、特に8月になると、小説を読みたい衝動にかられます。書店では、各出版社の夏の文庫特集も繰り広げられておりますし。そして、夏こそ大作を読もうと意気込むのですが、ついつい読みやすいものを選択してしまいます・・・。

さて、この暑い夏を肉体的に体感するのも良いですが、精神的に知るのもありかと思います。また、普段はビジネス書オンリーで、あまり小説などの物語を読まないという人こそ、夏休みに小説を読まれてはどうでしょうか?

そこで、僕なりに夏に読みたい小説厳選10冊!!を示してみたいと思います。

なるべくこの読書ブログで取り上げたもの以外で、過去に僕が読了したものを示します。


  1. 天使の卵―エンジェルス・エッグ (集英社文庫)天使の卵―エンジェルス・エッグ (集英社文庫)
    著者:村山 由佳
    販売元:集英社
    発売日:1996-06-20
    おすすめ度:4.0

    どこらへんが夏っぽいかといいますと、主人公の恋人に『夏姫』という名の登場人物がいるからです(笑)しかも夏休みに主人公に別れを告げられていますし。さくっと読める良質な青春小説です。続編は以下になります。

  2. 太陽の季節太陽の季節
    著者:石原 慎太郎
    販売元:幻冬舎
    発売日:2002-07
    おすすめ度:3.0

    現東京都知事の作品です。確か鬱屈した内容の青春小説でした。2002年にタッキー主演でドラマ化されていて、それを見て独り夏を感じてました・・・。長くないのですぐに読めますが、若干官能的表現があります。

  3. 蛍川・泥の河 (新潮文庫)蛍川・泥の河 (新潮文庫)
    著者:宮本 輝
    販売元:新潮社
    発売日:1994-12
    おすすめ度:4.5

    『蛍川』は、自分の地元、富山県富山市のいたち川を舞台とした作品です。富山弁が強烈に感じられるかもです(笑)また、お盆の時期に読んでみると良いです。残念ながら、今年はお盆には帰省できません・・・。

  4. 新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)
    著者:村上 龍
    販売元:講談社
    発売日:2009-07-15


    以前は上下巻に分冊されていたのが、最近になって1冊になって再出版されたようです。暑い夏のコインロッカーで狂気の元凶が産み落とされる破壊小説!!キーワードは『ダチュラ』で、できれば10代で読みたい作品です。

  5. 海がきこえる (徳間文庫)海がきこえる (徳間文庫)
    著者:氷室 冴子
    販売元:徳間書店
    発売日:1999-06
    おすすめ度:4.5

    夏はやっぱり青春小説でしょ!!ということで、この作品です。とても読みやすく、自分の高校時代と比較して読まれると良いかと思います。まぁ、こんな高校生活はまったく送れませんでしたが・・・。続編もおすすめです。アニメもよいらしいですが、まだ未チェックなので、早く鑑賞したいです。

  6. 海底二万里 (創元SF文庫)海底二万里 (創元SF文庫)
    著者:ジュール・ヴェルヌ
    販売元:東京創元社
    発売日:2000
    おすすめ度:5.0

    夏といったらやはり海でしょう!!ということで、このSF作品をチョイス。『ふしぎの海のナディア - Wikipedia』の原作となった作品です。ばっちりノーチラス号もでてきます。宇宙には行きませんが・・・。ちなみに、ナディアの120年後近くの世界がエヴァの世界らしいです。

  7. 砂の女 (新潮文庫)砂の女 (新潮文庫)
    著者:安部 公房
    販売元:新潮社
    発売日:1981-02
    おすすめ度:4.5

    新潮文庫の夏のフェアで、毎年選出されるような作品です。18歳のときにこれを読んで、ひとりで衝撃を受けておりました。砂の描写が恐ろしい作品で、のどが異常に渇いてきます。飲み物を常備しながら読みましょう。じゃないと、精神的に脱水症状を起こします(笑)

  8. サマー・バレンタイン (幻冬舎文庫)サマー・バレンタイン (幻冬舎文庫)
    著者:唯川 恵
    販売元:幻冬舎
    発売日:1998-08
    おすすめ度:3.5

    タイトルがもう夏っぽい(笑)みな社会人になって、いろいろと世間を知って、高校生のあのころからどう変わってしまったのかなぁ?ということを考えるきっかけになります。でも、僕が読んだのは18歳のころだったので、それほど投影できなかったかもです。今再読すれば感傷に浸れるかもです。

  9. 星を継ぐもの (創元SF文庫)星を継ぐもの (創元SF文庫)
    著者:ジェイムズ・P・ホーガン
    販売元:東京創元社
    発売日:1980-05
    おすすめ度:5.0

    夏といったらSF小説もはずせない!!単に僕が以前夏休みに読了したから夏=SF作品を読む、という式が僕の中にできあがってしまいました。この作品はSF界では有名で、物語に自然と引き込まれていきます。続編も面白いらしいですが、未チェックなので読みたいところです。

  10. 君に舞い降りる白 (集英社文庫)君に舞い降りる白 (集英社文庫)
    著者:関口 尚
    販売元:集英社
    発売日:2007-09-20
    おすすめ度:4.0

    なるべく書評していないものを選ぼうと思っていましたが、ネタ切れに・・・。この作品は去年の夏に風邪で会社を休んだときに読了したので、思い入れがあります(笑)それ以上に、これぞ良質な青春小説!!という感じで、読了後の心地よさは格別です。本当にお薦めです。書評は以下です。
一度この夏のネタ特集記事をやってみたかったです。なるべく著者が偏らないようにしたかったので、泣く泣く10冊からもれた良質な作品もあります。

どうも僕の中では、夏は、青春小説かSF小説を読むというのが標準的な感じになっております。夏は青春の季節でもありますので。また、夏休みのクーラーの効いた部屋で読む青春小説は、もうこれ以上ないほどの至福のときです(笑)

他にもこんなのが夏っぽい作品だよ!!とか自分にも一言夏っぽい青春小説を語らせろという方は、コメントに示してくれるとうれしいです。

ぜひぜひ、この機会に夏に面白い小説を読まれたらと思います

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August 08, 2009

TOEICテスト 実力アップのテクニック

TOEICテスト 実力アップのテクニック―絶対間違えない勉強法と参考書選び
TOEICテスト 実力アップのテクニック―絶対間違えない勉強法と参考書選び

キーワード:
 中川徹、英語、TOEIC、勉強本、参考書評価
東大在学中に司法試験に合格し、新TOEICテストで990点満点を獲得した著者によって、TOEICの勉強の仕方、試験中のテクニック、さまざまな既存TOEIC参考書について評価されている本。以下のような目次となっている。
  1. 第1章  TOEICとは何か
  2. 第2章  勉強の「質」をアップする本の使い方
  3. 第3章  勉強の「時間」をアップする勉強法
  4. 第4章  実力を発揮するための試験テクニック
  5. 第5章  分野別勉強法
  6. 第6章  TOEIC満点への道
  7. 第7章  TOEIC対策本「使い方」レビュー
  8. 第8章  990点対談
  9. TOEIC実力アップのためのチェックリスト
(目次から抜粋)
巷にはTOEIC対策本があふれているが、中には部数を稼ぐためだけのダメな本もあったりする。しかし、ほとんどの本はいい本であるが、TOEICの点数が上がるかどうかの違いは、本の使い方の優劣にあると示されている。さらに、「本の使い方」はTOEICの点数アップにとって非常に大切と主張されている。

以下特に勉強になった部分を列挙。
  • 時間がある人、英語の知識面に不安がある人、TOEICの形式を知っている人は、実力UP本に取り組まない限り点数は上がらない
  • TOEICは単語力がかなりものをいい、知らない単語は聞き取れない
  • すぐに意味が出てこない単語はあなたが知っている単語とはいえない
  • 英作文は、自分で英文を組み立てるので、文法及び単語を能動的に使うことができる
  • 英語を聞き流すだけでは、英語はうまくならない
  • 着実にTOEICの点数を上げるには、英語を優先順位の2番目(仕事の次)にもっていく必要がある
  • 「柔軟に計画を組み替える」ことと「点数に一喜一憂しない」ことが重要
  • ペーパーバックを読むことによって、「多読」力が養え、英語が怖くなくなり、文脈で単語を推測できるようになる
  • パート5は1問30秒程度で解く
  • パート7はリーディングよりも情報探し(スキャニング)の能力が問われている
  • パート7のわけがわからない文章の場合は、適当にマークして次に進む
本当は勉強テクニック部分なども細かく示したいのだけど、それはネタばれしすぎなので、自重。

この本は、勉強法とTOEICの各パートの攻略法、さらには既存のTOEIC本の評価まで載っているので、かなりお得な1冊だと思う。特にどの参考書を選べばよいかわからない人には重宝すると思う。

著者は司法試験も合格しているような人なので、その勉強法がこの本に遺憾なく発揮されていると思う。『グルグル勉強法』というものが示されており、それは、問題集を解いていくときに、何回も繰り返す必要があるが、そのときに間違えたものだけを対象としていくというもの。そうすることによって、効率よく実力アップができるようだ。

このようは勉強本は、一度読んだだけではそれにしたがって勉強しているかどうかわからないので、定期的に読み返し、実行できているかどうかをチェックする必要がある。

今年は割りと資格取得年間であるので、TOEICも例外ではない。なんせ年始の目標で860点まで上げる!!と決めてしまったので、コミットしないわけにもいかず・・・。半年過ぎたあたりでそういえば英語の勉強をまったくしていないことに気づき、焦りつつも夏からの後半戦に追い込みをかけているところ。

ちなみにTOEICの過去最高は、大学3年時に大学で受験したIPテストの705点だった。それから、入社時の社内TOEICでは600点を切り、それからしばらくTOEICに遠ざかっていた。そして、やっぱり英語勉強しなきゃだめじゃないか!!と思い立ち、3年ぶりくらいに今年の5月末に受験したら、565点・・・。新型のテストに変わっていたし、久しぶりで慣れていないというのもあったので、その点数だったのだろう。

夏は英語づけの予定なので、そのうちペーパーバックや技術書の洋書が更新されるかもです。

あと、Twitterが英語の勉強に適していると思う。特に英作文とか。140文字限定なので、多く書く必要もないので、気軽に投稿できる。また、以下のようなTwitterの英文タイピングゲームにも参加しているので、やってみたい人はどうぞ。なぜ英語を勉強するかというと、英語は金になるから。勝間さんも英語ができるかどうかで、年収が大幅アップになるかどうかの境目になると示しているし。他にも、ハリウッド女優とデートするとかアフォな野望もあるので。

(;´Д`)

ということで、午後から社内TOEICを受験してくる。700点は超えたいなぁ。その次は9月13日の公式テスト。

さてチャレンジングな目標を立ててしまった以上、やり遂げてみせる!!



TOEICテスト 実力アップのテクニック―絶対間違えない勉強法と参考書選び
TOEICテスト 実力アップのテクニック―絶対間違えない勉強法と参考書選び

読むべき人:
  • TOEICの実力アップをしたい人
  • TOEICの勉強法がわからない人
  • 英語をマスターして金持ちになりたい人
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August 05, 2009

【ネタ記事】読書ブログと連携できる便利サイト

最近twitterに完全にはまってしまいました(笑)

そんな中、読書ブログといろいろ連携できそうなサービスがありました。

ブロガーの本棚は、自分のブログを登録しておくと、クローラーが勝手に記事を読み込んで、リンクを張ってくれるものです。このサイトをRSSリーダーに入れておくと、さまざまなブログで取り上げられる本が分かり、意外な掘り出し物の本に出合えるかもです。

もう一つのほうは、twitterで本のタイトルをつぶやくと、それが自分の読書記録として登録されるというものです。早速自分も501冊目から記録をつけてみました。ここで記録するのも楽しみになりました!!あ、Satoshiは一応実名です(笑)そのうちフルネームで自己紹介欄にでも示しておきます

どちらもサイトから自分のブログにアクセスを誘導できる、というメリットがあると思われます。

あと、以下はおまけネタです。自分も真の賢者をめざして更新をがんばりたいと思います

次は日曜日までには更新します。週末に社内TOEICが控えているので、ちょっと更新が

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August 03, 2009

Excel VBA スキルアップコレクション

Excel VBA スキルアップコレクション
Excel VBA スキルアップコレクション

キーワード:
 坪崎誠司、Excel、VBA、Tips、技
Excel VBAの高度で実践的な技が示されている本。項目が多いが、技術書は目次が超重要箇所なので、以下にすべて列挙。
  1. 共通セル範囲を表すRange オブジェクトの取得
  2. セル範囲の集合を表すRange オブジェクトの取得
  3. 連想配列を作成
  4. 動的配列を利用
  5. シート上へ高速にデータを書出す
  6. シート上のデータを高速に配列に取込む
  7. VBA でExcel 関数を使用した方が高速処理できる場合がある
  8. 時間の差分を計算
  9. 時間の差分をミリ秒単位で計算
  10. クリップボードの文字列を操作
  11. ユーザフォームでカレンダーを使う
  12. 右クリックメニューに自作マクロを追加
  13. メニューバーに自作マクロを追加
  14. ツールバーに自作マクロを登録
  15. ツールバーを利用してFaceId の一覧を作成
  16. 右クリックメニューにサブメニューを作成
  17. メニューバーにサブメニューを作成
  18. ファイル選択ダイアログを利用
  19. フォルダ参照ダイアログを利用
  20. CSV 形式の文字列を分解して配列に格納
  21. 文字列配列のデータをCSV 形式の文字列にする
  22. フォルダ内に存在するファイルの一覧を作成
  23. フォルダ内に存在するサブフォルダの一覧を作成
  24. テキストファイルを作成
  25. テキストファイルの内容を読み込む
  26. フォルダを作成
  27. ファイル、フォルダを削除
  28. ファイル、フォルダをコピー
  29. ファイル、フォルダの存在を調べる
  30. ファイル操作をWin32 API を利用して高度に実現
  31. ファイルパスを分解
  32. ファイルの行数を簡単に調べる
  33. ファイルを読み取り専用で開き保存せずに閉じる
  34. ファイルを開くと同時に起動するイベントプロシジャを機能させない
  35. ファイルを開く際に自動リンク更新を無視
  36. XLSTART フォルダを利用
  37. 他のExcel ブックのマクロを実行
  38. 構造体を定義して利用
  39. 画面のスクロールをVBA から行う
  40. VBA 実行中に数秒間処理を止める
  41. VBA から非同期処理を実行
  42. VBA から実行した非同期処理の終了を監視
  43. エクスプローラでフォルダを開く
  44. エラーを無視
  45. エラー発生時に処理を分岐
  46. メッセージボックスをとことん活用
  47. インプットボックスをとことん活用
  48. 円周率を取得
  49. 乱数を使う
  50. 条件分岐を一行で実現
  51. 配列を作成せずにリストを使った処理を実現
  52. 2つの文字列を比較
  53. グループを利用した折りたたみ機能をVBA から制御
  54. Excel ファイルに存在するリンクを調べる
  55. キーボード操作をVBA で実現
  56. 複数のファイルに存在する個人情報を一度に削除
  57. VBE をショートカットキーで起動
  58. 定義されている場所へジャンプ
  59. 変数や関数の型を調べる
  60. プログラムの行をショートカットキーで削除/ 追加
  61. ブック内の全モジュールを対象にした文字列検索
  62. コードウィンドウをショートカットキーで切り替え
  63. モジュール内のプロシジャを前後へ行ったり来たり
(目次から抜粋)
まぁ、この目次を見れば、Excel VBAを使う人には何が示されていて、どういう傾向の本であるかがわかるだろう。逆に、VBAはおろかExcel自体普段使用しない人にとっては、何のことかわからないと思われる。

この本は、セルの数式を操作する程度のExcel VBAの入門書的なものではなく、VBAの基本はある程度わかる人向けの実践的な内容となっている。これは結構知らないことが多く載っていて、本当に秘伝書みたいな内容だった。

まず、Excel VBAで連想配列が使えるとは思わなかった。これは知らなかったので、なるほどと思った。以下のように定義するようだ。
 '連想配列を作成する。
 Dim HS As Object
 Set HS As CreateObject("Scripting.Dictionary")
 
 '連想配列にデータを格納する。
 HS.Add "犬", "Dog"
 HS.Add "猫", "Cat"
 HS.Add "熊", "Bear"

(中略)

  Debug.Print HS.Item("犬")
(pp.017)
連想配列は、Scripting.Dictionaryというオブジェクトを作成するのがポイントらしい。さらに、連想配列の場合は、配列インデックスが任意の型でよいらしい。これも便利だ。

あと、結構衝撃的だったが、『 Tips05 シート上へ高速にデータを書き出す』というもの。VBA処理では、数千件というデータをシートの各セルに書き出す、というものをよく実装すると思われるが、その実装方法しだいでパフォーマンスがだいぶ改善するというもの。たいていの人は、画面の自動再描画をオフにする、Application.ScreenUpdatingをFalseにしてパフォーマンス改善まですると思われるが、さらにその一歩先があることはあまり知られていないと思う。自分も知らなかった。それが以下の方法。
Public Sub test3()
  Application.ScreenUpdating = False '画面更新の抑止

  Dim lpl As Long, lp2 As Long
  Dim dataArr(1000 - 1, 100 - 1) As Variant

  ' 行数分ループする
  For lpl = 1 To 1000
    ' 行数分ループする
    For lp2 = 1 To 100
      '"行数+行数"の値を二次元配列に格納する。
      dataArr(lpl - 1, lp2 - 1) = lp1 + lp2
    Next
  Next

  '作成した2次元配列をシートに一括書出しする。
  Range("A1:CV1000") = dataArr

  Application.ScreenUpdating = True '画面更新の再開
End Sub
(pp.028-029)
11行目のコメントに『二次元配列』とあるのに、16行目のコメントには『2次元配列』と示されていたので、そのまま抜粋。

上記の関数は、A1からCV1000の範囲のセルに"行数+列数"の値を書き出す単純な処理である。実際に上記を実行してみたら、驚くほど速かった。本書によれば、普通に入れ子ループの中でセルの値を設定するものよりも、50倍高速であると示されている。2次元配列の値をRangeオブジェクトにセットするのがポイントとなるようだ。

これは単純にすごいなぁと思った。データ件数が万単位のものを入れ子ループ処理をすると、メモリ、CPUが貧弱なPCだと画面がフリーズしそうになる。この方法は知らなかったので、ものすごくへー、そんな方法があるのか!!と感嘆した。また、こういう書き方はネット上にはあまり載っていないと思う。

他にもいろいろと示したいが、それはさすがにネタばれしすぎなので、自重。

Tipsの合間に著者の意見が示されているコラムが載っている。そこもとても勉強になる。以下、『コードの良し悪し』というものから一部抜粋。
 ”良いプログラム”とは、非常に定義しづらいものです。私もこれまでいくつものプログラムを見る・書くしてきましたが、「可読性」を意識し過ぎて単純なプログラム構文ばかり利用したら「高速性」を失ってしまったとか、プログラムの「高速性」を追及したら「拡張性」がないものになってしまったなど、いくつもの事例を目の当たりにしてきました。”良いプログラム”は必ずしも評価基準をオールAでクリアするものではなく、ケースに応じた”評価バランス”がそこに存在していると思います。
(中略)
 現実的には「生産性」という最大の課題もあり、オールA判定されるプログラムの作成は難しいでしょう。せめてD判定のものが一つもない状態のプログラムを目指しましょう。実際の開発現場においては、D判定のものが一つもない状態のプログラムを”良いプログラム”と呼んで良いのだと思います。
(pp.052-053)
D判定がどの程度のものか?にもよるのかなと思った。まぁ、やはり一番の課題は生産性だよね。納期がきついときに、すぐに思いついたコードは、最低限の仕様を満たせるが、可読性や拡張性、保守性が低くなりやすいものであったりする。かといって、可読性、拡張性、保守性までを考慮して自分なりに納得しつつイケているコードを書く時間がないと、どうしようかとジレンマに陥って、結局自分では納得いかない微妙なコードを書くことになる。そして、後でリファクタしようと思っていたら、結局やらなくてその部分でバグったりする(笑)また、生産性を語るときに、見積もりとプログラマーの能力値の関係は切り離せない。

この本は、Excel VBA本を探していたときに書店で発見した。妙に表紙がかっこいいと思い、中を見てみると、モノクロで玄人っぽいページ構成で、自分の知らない技が多く載っていたので速攻で買った。正直これをものにすれば、2,200円は安いと思う。

自分自身は、Excel VBAを本格的に使うようになったのは、ちょうど1年ほど前だったので、もう1年のキャリアになる。VBAの基本構文はネットでも十分習得できるが、ファイルの入出力などのな定石的な技、アルゴリズムは、あまりまとまって載っているページが少ない。そのため、この本はかなり重宝すると思う。

昔はExcelはただの表計算ソフトだと思っていたけど、関数を多く覚え、そしてマクロを覚え、さらにはVBAまで習得すると、Excel VBAで何でもできそうな感じがしてくる(笑)少なくとも、Excel上で手動でできることはほぼ全部自動化できると思う。そう思うと、Excelはすごく奥が深く、神がかったソフトなんだよなぁと思う。ちなみにExcelを作った神は以下の人。自分もこんなの作れたらなぁ・・・と妄想してもしょうがない。

Excel VBAはプログラミングそのものを考慮すると、玄人プログラマーからしてみたらVBA(笑)って感じかもしれないけど、プログラミング初心者がアルゴリズムの考えを習得するにはよいのではないかなと思う。特に行列位置を指定してセルを操作するというのが結構わかりやすいのではないかと思う。

実践的な技が示されてるスキルアップコレクションシリーズは、他にもいろいろと出版されているようなので、チェックしておきたい。



Excel VBA スキルアップコレクション
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読むべき人:
  • Excel VBAツールのパフォーマンスを改善したい人
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