October 2009

October 31, 2009

The Road Ahead

"The Road Ahead": Level 3 (Penguin Readers Simplified Texts)
"The Road Ahead": Level 3 (Penguin Readers Simplified Texts)

キーワード:
 Bill Gates、コンピュータ史、Microsoft、自伝、インターネット
いわずと知れた、Microsoft創始者、ビル・ゲイツの本。以下のような内容となっている。
Bill Gates, the richest man in the world, started Microsoft in 1975 with a friend when he was only nineteen years old. Twenty years later he wrote this book about the future of computers and the Internet. Read the ideas and dreams of a man who has changed the world.
(カバーの裏から抜粋)
また、目次は以下のようになっている。
  1. Introduction
  2. Special Words You Will Meet in This Book
  3. Chapter 1 The First Part of the Road
  4. Chapter 2 Beginnings
  5. Chapter 3 Some Things Computers Can Do forUs
  6. Chapter 4 Changes in Information Systems
  7. Chapter 5 The World of Business
  8. Chapter 6 Markets and Money
  9. Chapter 7 Education in the Future
  10. Chapter 8 A Home for the Future
  11. Chapter 9 The Internet "Gold Rush"
  12. Chapter 10 Moving into the Information Age
  13. Activites
(目次から抜粋)
この本は、1995年、Windows95が発売された年に発表されたものを、ペンギンリーダー用に平易な文章に再編纂されたものとなる。Level3で主要語は1200。ちょうど、本屋で何かおもしろそうなものがないかと思って探していたら、ゲイツの本があったので、買って読んでみた。

内容的には、1995年当時、ビル・ゲイツが考えていた"Information Highway"について示されている。そこにはコンピュータ、システム、さらにはインターネットの可能性によってビジネスや教育、生活が大きく変わっていくだろうということが示されている。

この本を読むにあたって、出版からおよそ15年経ち、Windows7が発売されているような現在において、ビル・ゲイツの構想がどこまで実現しているのか?と考えるとおもしろいと思った。
 When we talk about this new system, we call it the Internet. This book will try to answer questions about the future of the Internet – what it will be like, and how we will use it. Sometimes when we talk about the future of the Internet, we call it the "Information Highway."
(pp.1)
Chapter4では、ビル・ゲイツは子供のころ、百科事典を読むのが好きだったというようなことが示されていた。そこで、ゲイツは紙の重要性はなくならないが、紙に変わる電子媒体で情報が多くやり取りされると示している。

そして、この当時MicrosoftはEncalta(エンカルタ - Wikipedia)を発売していたようだ。しかし、現在では百科事典といえば、Wikipediaが広く使われていると思う。実際にエンカルタをWikipediaで見ると、今年の3月31日にサービスを終了するみたいだ。これは、ネット上の百科事典がスタンドアロンPCに入っている電子百科事典に取って代わったということだろう。現在は、ゲイツの構想よりさらに進んでいるだと思われる。

他にもインターネットでアイディアを共有できると示しており、その例として、electronic bulletin board、つまり電子掲示板を挙げている。電子掲示板に投稿すれば、たくさんの人にメッセージを送れると示している。これも現在では、2chなどはまだ健在だが、掲示板よりもさらに進んだ(!?)twitterが出現している。

95年ごろにゲイツが予想した未来よりも、現在はだいぶ進んでいるんだなぁと思った。いわゆるドッグイヤー的な発展を遂げているみたいだ。

一つへーと思ったのは、Microsoftの社名の由来について。それが示されていた。
 It took us five weeks of hard work, but in the end we did it. We had a program for the Altair and we had something more. We had the world's first company that wrote programs for microcomputers. In time we named it "Microsoft."
(pp.3)
マイクロコンピュータに世界ではじめてプログラムを書いた会社だから『Microsoft』となったらしい。ビル・ゲイツが19歳のときで、その後忙しくなってハーバード大学を中退したようだ。なるほどなぁと思った。社名の由来は、案外知っているようで知らなかった。ちなみにAltairは世界最初の個人向けのPCらしい。世界ではじめてのプログラミングって、ワクワクするんだろうなぁと思った。また、Microsoftは今や帝国と言われるほどの巨大企業だけど、最初はベンチャーから始まったんだよなぁと思った。

ちょっと一般的ではない技術用語は、『Special Words You Will Meet in This Book』の章に説明がある。BINARY SYSTEMとかCONTROL CONSOLEとかHACKERとかLAPTOPとかSOFTWAREとか。

割と簡単な英文で、35ページしかないのでさくっと読める。通勤電車の中で読んだので、数日はかかったけど。あんまりMicrosoftやWindowsのことは書いてないので、読む気が失せるということはないと思う(笑)

この本を読んでいて、どこかで読んだことのある内容だなと思って調べてみると、大学時代に図書館で読んだ本だった。それは、『ビル・ゲイツ未来を語る』という本だった。こちらは500ページ越えの本で、18歳のときに読んで、世界一の金持ち(当時)っていろいろと考えているんだなぁと感心した記憶がある。

ビル・ゲイツ未来を語るビル・ゲイツ未来を語る
著者:ビル・ゲイツ
販売元:アスキー
発売日:1995-12
おすすめ度:5.0

IT技術者の人なら興味を持って読めるのでお薦め。Windows7も発売されたことだし。



"The Road Ahead": Level 3 (Penguin Readers Simplified Texts)
"The Road Ahead": Level 3 (Penguin Readers Simplified Texts)
著者:Bill Gates
販売元:Penguin
発売日:2008-02-21
おすすめ度:5.0

読むべき人:
  • 技術英語を読む訓練をしたい人
  • ビル・ゲイツに興味、関心がある人
  • プログラマーなどのIT技術者の人
Amazon.co.jpで『ビル・ゲイツ』の他の本を見る

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October 18, 2009

25歳までにしなければならない59のこと

25歳までにしなければならない59のこと
25歳までにしなければならない59のこと

キーワード:
 中谷彰宏、25歳、仕事論、習慣、基礎固め
多数の著作のある中谷氏によって、25歳までの若手向けの仕事論が示されている本。以下のような目次となっている。
  1. 第一章 25歳までに身につけておきたい仕事の習慣
  2. 第二章 20代でチャンスをつかむ人チャンスをつかめない人
  3. 第三章 25歳までになにをしなければいけないか
(目次から抜粋)
現在25歳なので、タイトルに惹かれて買った。そして、最近重厚な本ばかり読んでいたので、たまにはさくっと読める軽めの本を読みたくて読んだ。しかし、表面的な情報量は薄いが、本質はとても濃い本だと思った。

25歳という年齢は、学部4年ストレートで就職していたら、大体入社4年目くらいの時期で、いろいろと仕事に思い悩んだりする。大抵成果が思うように出せていなかったり、周りと比べて焦ったり、隣の芝生が青く見えたり、仕事の基礎ができていると思い込んでいても、上からみたら全然できていなかったりする。そんな状況の時期に、仕事でどういう習慣を身につけていけばよいか?が分かりやすく示されている。

59のしなければならないことを全部示すことはできないので、これは!!と思ったものだけを3つ示しておくことにする。3つ以上だとどうしても紹介しきれないので。

会社からしてもらうのが研修ではない。自腹でしたことだけが、身につく。』では、社会人の勉強というものは、自分でやらなければならないもので、会社のお金で研修に参加している人よりも、自腹で参加している人のほうがモチベーションが高いものだと示されている。また、会社の研修費は自分の給料から引かれているという金銭感覚が必要であると示されている。
 せっかくこれだけの時間を使うのだったら、この時間単位の中で、多くのものを持って帰ろうというのが金銭感覚なのです。
 お金の感覚で最も大事なことは、自腹でやっていくことが最も多くのものを得ることができるということなのです。
(pp.47)
これはなんとなく実感することで。自腹でセミナーに参加するのと、無料のセミナーに参加するのとでは、やはり全然違う。自腹セミナーに参加するときは、もう必死でメモっている。

また、これは自分の読書ポリシーにも言えることで、献本を受け付けない理由や、本は古本で買わずに必ず新品で買う理由がこれに該当する。結局意識の違いで得るものが全然違うからだ。献本や古本だとどうしても必死で読めなくなり、得るものが少ない。だから本は絶対新品で適切な対価を払って読むようにしている。

遊びも真剣にやれる人が、仕事を広げられる。』では、遊びのやり方と仕事のやり方はリンクしているので、遊びを一生懸命やれる人は、仕事も一生懸命であると示されている。そして、遊びには目的がなく、そいういう目的のないことを一生懸命できることが重要であると示されていた。
 人から強制されるものでもない。これをやったから何になるというものでもない。
 何のためでもないけれど、やってしまう。
 これが、遊びで学ぶべき一番大切なことです。
 これが好きということなのです。
 「それをやったら、こういうメリットがある。だからやっている」ということは、好きなこと、遊びではありません。

 他人からは理解されない。
 そんなことやって何が楽しいのかと言われてしまうようなことが大切です。
 誰もほめてくれないことに熱中できるものを持っていることは、必ず仕事をやるときにも役に立っていく。
(pp.59-60)
自分が読書をするのも、このような読書ブログを更新しているのも、結局は遊びなんだなぁと思った。自分は読書をするのにいちいち高尚な理由、意味づけ、動機なんかいらない派だ。役に立つとか金儲けになるとか、そういう理由だけで読んでいるわけではない。そして、この読書ブログを書いているのも、同じ。

読書をしたり、ブログを書いたりするときに、最初に目的をしっかり設定しろ、とよく言われる。もちろん、目的を設定したほうが良いと思うが、そんなものなくてもいいとも思う。なぜなら、やはりそれが楽しいことで、好きなことなんだから。楽しいこと、好きなことをするのにいちいち理由なんかいらない。だからこの読書ブログは、読者が自分以外まったくいなくなっても、10年後も余裕で続けている自信がある。

最後、3つ目は、『自分の才能は、人のために使う。』から。自分の才能を人のためにどう使うかと考えたら、おのずと才能は見つかると示されている。
 「才能」という言葉に惑わされてはいけません。
 才能は、チャンスの神様から与えられた「役割」です。
 才能があるから、命を与えられているのです。
 役割がなかったら、とっくにあの世に連れ戻されています。

 まず、「自分の役割」に気づくことです。
 その役割を自分のために使うのではなく、誰かのために使うのです。
 世の中の人すべてのために使おうと、頑張りすぎなくても大丈夫です。
 好きな人のために、自分にできる自分のやりたいことをやれば、おのずと自分の役割が見つかります。
 それを人は「才能」と呼びます。
(pp.78-79)
役割』という考えは、かなり共感できる。自分の果たすべき役割に目覚めたときに、成功者になれるというようなことが他の本でも示されている。そして、自分もまた、自分にしかできない役割に目覚めるときが来るんだろうな、という予感がある。

自分にしかできないことってある。今日、またコーチングを受けたが、そこでも自分が腎臓病をわずらっているからこそできること、支援できることがあるという考えが導き出された。他にも、この読書ブログの存在意義も、一つの役割を反映しているのだと思う。

読書ブログを続けている理由は、先ほどの『遊び』もあるが、それと同時に『役割』を果たすため、という側面もある。自分と同じようにどこかで生きにくさを感じていたり、自分の生き方に迷っている人のためになればいいなぁ、という想いがある。そういうものが自分の仕事になっていくのが理想だと思う。

この本は本当にいろんなことを考えさせられた。表面的な内容ははっきり言って薄いと感じられるかもしれない。しかし、この本は、どこまで自分の体験と比較して考えられるか?でその人のレベルが推し量られる内容だと思う。そのときに、エンゼルバンクで示されているように、この本を読んで、『へえ』ではなく、『そうそう』と、どれだけ共感できるかが重要なのだと思う。自分もまだまだ『へえ』と思ってしまうので、もっと『そうそう』と思えるようになっていたい。少なくとも、30歳になるころにもう一度この本を読み返したときに、この本の内容は『そうだったよね』と振り返られるようになっていたい。

25歳っていろんなことを考えるときなので、同じ年代の人は是非読んだほうがよい。



25歳までにしなければならない59のこと
25歳までにしなければならない59のこと
著者:中谷 彰宏
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2009-09-18

読むべき人:
  • やりたくない仕事ばかりで、やる気が出ない25歳までの人。
  • もう25歳をすぎているけど、やり直したい人。
  • 25歳までの部下をどう育てればいいか、迷っている人。
(pp.2)
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October 14, 2009

【お知らせ】ブログを ADVANCE に更新しました

この読書ブログを、livedoor Blog PROからlivedoor Blog ADVANCEに更新しました。

月額840円の利用料となります。PROからADVANCEに更新するにあたって、一旦PROを解約し、再度ADVANCEを申し込む、という手順が必要でした。そのため、PROのサービスに含まれている、サブドメイン(http://bookdiary.livedoor.biz/ のような独自URL指定)が利用できなくなり、料金支払いが確認されるまでアクセスができなくなっておりました。(正確に示すと、サブドメインではなく、無料版のようにlivedoor IDを利用したURLなら問題なくアクセスできました。)

ADVANCEに登録後、サブドメインを変更しようかと思いましたが、とりあえず保留しておきます。いきなりサブドメインを変えたら、読者の方には通知の方法がなくて、誰も見れなくなりますし(笑)また、bookdiaryというサブドメインもそれなりに気に入っておりますので。

これを機に、この読書ブログを大改造したいなぁと思います

たとえば、Ajax,JavaScript,Flashとかを使って、人と本のマッチングシステム機能を持たせるとか。まぁ、いろいろと頭の中でイメージはあるのですが、なかなか時間がなくて着手できておりません・・・。

プログラマーであるという自分の強みを活かし、他のブログでは絶対まねできないものにして差別化していきたいと思います

とりあえず、無事更新完了のお知らせでした

(・∀・)

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October 12, 2009

【お知らせ】ブログにアクセスできなくなるかもです

livedoorブログの有料版の利用料更新のため、明日からあさって(13〜14日)にかけて一時的にブログにアクセスできなくなるかもしれません。

ご了承ください。

(↑は79文字。ついったー的投稿(笑))


October 11, 2009

The Island of Dr Moreau

"The Island of Dr Moreau": Level 3 (Penguin Readers Simplified Texts)
"The Island of Dr Moreau": Level 3 (Penguin Readers Simplified Texts)

キーワード:
 H.G. ウェルズ、SF作品、動物実験、孤島、獣人
H.G. ウェルズのSF作品。ペンギンリーダーのLevel3。以下のようなあらすじとなっている。
Edward Prendick is travelling in the South Pacific when his ship goes down. He is saved after many days at sea by another ship, and a passenger, Montgomery, nurses him back to health. Prendick becomes interested in the mystery of Montgomery's life. Why does he live on an unknown Pacific island? Why is he taking animals there? And should Prendick fear the dark secrets of Montgomery's master the even more mysterious Doctor Moreau?
(カバーの裏から抜粋)
タイトルの日本語訳は『モロー博士の島』となるらしい。SF作家のH.G. ウェルズのこの作品は、1896年に発表されたようだ。表紙のイラストと著者に惹かれて適当に買って読んでみた。結構おもしろかった。ペンギンリーダーのLevel3で、headwords(主要語)が1200程度なので、読むのに苦労することはない。

簡単にあらすじを示すと、海で漂流した男、Prendickは、ある船に助けられる。しかし、その船にはヒョウなどの動物が乗せられており、その動物たちとともに孤島に送られることになる。その孤島は、犬男、猿男、ヒョウ男、馬男、熊男、豚男など、人間とも動物ともつかない生物にあふれていた。その島は、生物学者が動物実験により、知性を持たせて人間のようにしたてあげた動物たちにあふれていた島だった!!漂流者、Prendickの運命やいかに!?という内容。

なんだか、ジュラシックパークに似ているなぁと思った。動物実験で、動物同士を掛け合わせて、新種の動物、獣人を作り上げる。彼らは、簡単な人語を操り、小屋を作り、集団で暮らす。食べ物は基本的に島のフルーツだけで、モロー博士から教えられた、4本足で歩かない、手を使うべきといったルールを遵守している。

しかし、あるところにヒョウ男が掟を破り、肉を食い始めて、モロー博士が殺されてしまう。一旦肉の味を覚えると、次第に野性を取り戻し、肉食になって他の動物たち、獣人たちが食われていってしまう。そこで主人公はそのヒョウ男を始末しようと奮闘する。

テーマとしては、動物の命をもてあそぶなということだろうか。100年前の作品で、遺伝子などの科学的な常識がなかった時代にこの作品を書けるのは、すごい想像力だなと思った。

なかなかおもしろかった。結構物語りに引き込まれていったし、英文もTOEIC400点レベルなので、ページが進んだ。

最後のページに『WORD LIST』があり、masterの説明があった。以下抜粋。
master (n) a man who makes the rules for other people's lives
(pp.56)
この物語では、モロー博士が獣人たちのmasterであった。まぁ、自分のハンドルネームは上記のような意味を意図しているわけではないけど・・・。昨日、銀座でMASTERっていう紅茶を飲んだのでなおさら気になった。まぁ、透明な味がした。間違ってもルールをつくるような人間のような味ではないことは確かだった。

この作品は、13,226語だった。ペンギンリーダーはLevel3程度が無理なく速く読める。TOEIC対策として、やさしい英文を速く読める必要があるので、もっとペーパーバックを多読したい。



"The Island of Dr Moreau": Level 3 (Penguin Readers Simplified Texts)
"The Island of Dr Moreau": Level 3 (Penguin Readers Simplified Texts)
著者:H.G. Wells
販売元:Penguin
発売日:2008-02-26

読むべき人:
  • SF作品が好きな人
  • 獣人という設定が好きな人
  • ジュラシックパークが好きな人
Amazon.co.jpで『H.G. Wells』の他の作品を見る

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October 03, 2009

ねじまき鳥クロニクル

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)

キーワード:
 村上春樹、戦争、喪失、穢れ、復活物語
村上春樹の長編作品。過去発表された作品の中で、一番長い作品。いつもなら、カバーの裏からあらすじを抜粋するが、新潮文庫のカバーの裏は、本文の抜粋となっているので、今回は割愛する。自分であらすじをまとめようと思うが、どうがんばってうまくまとまらないので、やはり省略する。

かわりに、普段は本の読了後に絶対描かないマインドマップを以下に示す。

ねじまき鳥クロニクルマインドマップ

自分のマインドマップがあまりよろしくないというのもあるが、このマインドマップだけで物語の世界観をすべて網羅したことにはならない。いろんな登場人物が現れて、それぞれのしがらみ、生き方、暴力的な喪失、葛藤がこれでもかというくらいに表現されていて、とても1枚では描画しきれない。

この作品は、3部作で合計1,182ページの長編作品となる。著者の作品で、過去最高の長さの物語。シルバーウィークを挟んで、約1週間程度でこの物語を一気に読んだ。

はっきり断言すると、この物語を楽しめない人は人生損しているね、といってもいい。それくらいこの物語は強烈で、おもしろく、そして読了後に自分の中の何かが変えられるような作品である。

物語の中のエピソードが多すぎて、もうどこから書いていけばいいか分からない。それほど、30歳で無職の主人公、岡田亨(おかだとおる)を取り巻く幻想的で曖昧な世界観が繰り広げられていく。

最初は、何気ない現実的な夫婦生活から始まる。妻クミコと2人で暮らしていたが、ある日を境に飼い猫のワタヤ・ノボルが失踪してしまう。クミコからクミコの兄に似ているという理由でつけられた名前の、ワタヤを探し回る岡田亨。そこから、赤い帽子をかぶった占い師が現れ、路地裏の井戸をきっかけに16歳の高校生、笠原メイと出会い、クミコの兄との確執があり、ノモンハン事件の生き残りである本田さんと出会ったりする。

そして突然、ついにはクミコまで失踪して主人公のもとを離れてしまう。岡田亨は、笠原メイ、占い師の妹の加納クレタや軍人である間宮中尉、西新宿の広場で出会ったファッションデザイナー、赤坂ナツメグ、そしてその子供シナモンに助けられながら、妻の失踪の原因を探ろうとする。その過程で、夢と現実の狭間を行ったりきたりし、井戸の中で数日間考えごとをしたり、西新宿の広場のベンチでぼーっと人を眺めたりする。

一方、姿が見えないが、ギイイイイっと鳴きながら、世界のねじを巻くねじまき鳥が、満州帝国時代のノモンハンで確認されたり、モンゴルと満州国の国境で残酷な拷問の回想があったり、間宮中尉の戦争時の捕虜体験が語られたり、ナツメグの父の戦時中の動物園での虐殺などがエピソードとして挿入されている。もう簡単には書き示せないくらいだ。

1ページにわりと文字がぎっしり詰まり、千ページを超える作品で1週間前後で読了できる作品はまず多くない。そこまで文学作品を多く読んできたわけではないが、今まで読んだものでは、この作品と、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』くらいだ。そう、この作品は、きっと『カラマーゾフの兄弟』を意識して書かれているのだろう。

まず物語の構造が似ている。主人公の回りに多数の登場人物が出てきて、それぞれがそれぞれの生き方を語ったり、何か事件があったりする。そういうエピソードの組み合わせで物語が展開していくさまは、よく似ていると思った。実際、以下のような描写がある。
僕は前に一度そこに行ったことがある。それはものすごく大きなコーヒールームだった。もっと何か人目を引くような特別な特徴が必要だろう。しかし僕にはそんな特徴をなにひとつとして思いつくことができなかった。もちろん僕に特徴がないというわけではない。失業していて、『カラマーゾフの兄弟』の兄弟の名前を全部覚えている。でもそんなことはもちろん外見からはわからない。
(pp.69)
また、著者が他のエッセイなどで、今まで読んだ中で最高傑作は『カラマーゾフの兄弟』と示していたので、『カラマーゾフの兄弟』を意識していたのはたぶん間違いないだろう。しかし、物語の分析は、文芸評論家や村上春樹研究者の範疇なので、そちらは専門家にまかせて、自分はあくまで読了後の感想を示しておきたい。著者の長編作品は、最新作の『1Q84』以外すべて読了している。これが最新作以外で唯一残っていた。やはり3部作ということもあり、長編なのでどこかで敬遠していたのだと思う。読むのにどうしても覚悟がいると。

でも、実際に読了してみると、この物語は自分に必要な物語で、きっとこのタイミングで読了したことに意味があるのかなと思った。なぜなら、この物語は、復活の物語であるからだ。

村上春樹作品の多くは、主人公が不条理な目にあったり、暴力的な何かによって喪失を体験する。大抵の作品は、喪失したところで物語が完結し、その後も依然として喪失したままであるようだが、この作品は、喪失してから、その喪失を取り戻す過程や諦観に陥っていない主人公の確固たる意志が示されている。つまり、喪失しっぱなしで終わっていないところが重要なポイントとなる。

主人公の岡田亨は、妻クミコが他の男と浮気して出て行った本当の理由を探りながら、試行錯誤し、最後には夢と現実の狭間でクミコを取り戻そうとバットで戦ったりする。そのプロセスが、とても勇気付けられた。自分もまた、いろいろと現実に喪失を経験しているので、主人公を通して、自分自身の内面が浄化されたような気がした。だから、この物語が自分には必要だったと思う。

著者の他の作品もそうだが、特にこの物語の読了前と、読了後では、自分の内面が変化しているのが分かる。なんというか、人口透析治療のように、自分の血液がすべて一旦外に出されて機械でろ過され、そのきれいになった血が体に戻り、全身を流れているようなイメージに近い。なんとなく世界の見方が変わるというか、自分自身の感覚が研ぎ澄まされるようなものにも近い。

逆に、それほど力のある作品なので、あまりにも感受性が強すぎる人がこれを読むと、物語に共感しすぎて、若干日常生活に支障が出るのではないかなとも思う。どうなるかはうまく言えないけど、なんとなくそんな気がする。だから、ある意味危険な作品でもある。綺麗なことばかりが示されているわけでもないし。本当にどうしようもない暴力が示されている。

村上作品には、主人公に助言する役割の登場人物が出てくることが多い。今回は、主人公の叔父で、レストランを経営している人物だ。その人物の助言が、自分のために書かれているような気がした。以下その部分を抜粋。
 僕はうなずいた。「ずいぶん考えてはいるんですよ。でもいろんなことがものすごく複雑にしっかりと絡み合っていて、ひとつひとつほどいて独立させることができないんです。どうやってほどけばいいのか僕にはわからない」
(pp.312)
自分もこんなような状況に陥っていた。何から手をつけていけばいいか分からないが、それでも何とかしなくてはいけなくて、途方に暮れているという状態。そんな状態に対して、叔父は以下のように助言している。
 叔父は微笑んだ。「それをうまくやるためのコツみたいなのはちゃんとあるんだ。そのコツを知らないから、世の中の大抵の人間は間違った決断をすることになる。そして失敗したあとであれこれ愚痴を言ったり、あるいは他人のせいにしたりする。俺はそんな例を嫌というくらい見てきたし、正直に言ってそういうのを見るのはあまり好きじゃない。だからあえてこういう偉そうな話をするわけだけど、コツというのはね、まずあまり重要じゃないところから片づけていくことなんだよ。つまりAからZまで順番をつけようと思ったら、Aから始めるんじゃなくて、XYZのあたりから始めていくんだよ。お前はものごとがあまりにも複雑に絡み合っていて手がつけられないと言う。でもそれはね、いちばん上からものごとを解決していこうとしているからじゃないかな。何か大事なことを決めようと思ったときはね、まず最初はどうでもいいようなところから始めた方がいい。誰が見てもわかる、誰が考えてもわかる本当に馬鹿みたいなところから始めるんだ。そしてその馬鹿みたいなところにたっぶりと時間をかけるんだ。」
(pp.312)
叔父のセリフは、なんだか著者が自分に助言をしてくれているような気にさせてくれる。誰でもわかる馬鹿みたいな簡単なこと。例えば家の掃除をするとか靴を磨くとか、洗濯物を片付けるとかだろうか。きっとそういうのが重要なんだと思う。

村上作品の多くは、村上ワールドというべき夢と現実の境界線が曖昧な世界観が示されている。本作品では、主人公の夢のシーンであったり、それぞれの登場人物の過去のエピソードであったりする。その曖昧で幻想的な世界観は、現実味があまりない。しかし、現実世界の僕はしっかりそこにいて、パスタを作ったり、ビールを飲んだり、部屋を掃除したり、服をクリーニングに出したり、ベッドで眠ったりという、日常生活を送っている。幻想世界をより際立たせると同時に、主人公のリアルさを損なわないように、そのような現実的な日常生活が細かく描写されているのだと思う。

そういうシーンを読んでいると、ビールを飲んだり、部屋を片付けたり、料理を作ったりといった些細な日常生活がとても重要なことのように思えてくるから不思議だ。どの村上作品を読んでもそういう気にさせられる。そして、それらが受け入れられる人は、パスタやビールが好きになる。

暴力的に損なわれていった場合、きっとそういう普段何気なくやっている日常生活がとても大事で、それによってバランスをとるのだろうねと思った。だから、自分もそういう日常生活をもっと大切にしていくべきなのだと思った。

この物語は、読者を夢と現実の曖昧な世界観に強烈に引き込んでいく。結末もやはり曖昧で、勧善懲悪でものごとをはっきり白黒つけたい人には受け入れがたいものかもしれない。重要な謎解きも、どこか煙に巻かれる印象がある。しかし、この作品はそういうミステリー的なものとして読むのではなく、暴力的に損なわれていった主人公が、それらを取り戻すために奮闘する物語として読むのがいい。主人公の中に自分を見出せば、きっとこの世界観に没入できる。

さて、村上春樹の長編も残すところ、『1Q84』だけとなった。『ねじまき鳥クロニクル』も、1984年の4月から物語が始まっている。ちょうどよいタイミングで読了できたなと思う。また、『1Q84』の続編、つまりBOOK3が出版されることが決まったようだし、そろそろ着手しようかね。また、この読書ブログで過去に取り上げた村上春樹関連の著作は以下となる。ねじまき鳥クロニクル』は、今まで読んだ村上作品のベスト3に入るかな。今のところ。巷では、この作品でノーベル文学賞を受賞するのではないかと噂されている。

この物語を読む場合は、覚悟してお読みください。夜眠れなくなるし、読了前と読了後では、自分が変わってしまう可能性があるので。

久しぶりに熱く書いてしまった。やれやれ、これで自分も完全にハルキストになってしまったな、と思った。



ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
著者:村上 春樹
販売元:新潮社
発売日:1997-09
おすすめ度:4.5

ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)
ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)
著者:村上 春樹
販売元:新潮社
発売日:1997-09
おすすめ度:5.0

ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)
著者:村上 春樹
販売元:新潮社
発売日:1997-09
おすすめ度:4.5

読むべき人:
  • 幻想的で曖昧な物語に没入したい人
  • 長編作品を一気に読む体験をしたい人
  • 暴力的に何かを喪失してしまっている人
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