October 2012

October 27, 2012

ワイルドサイドを歩け

ワイルドサイドを歩け (講談社プラスアルファ文庫)
ワイルドサイドを歩け (講談社プラスアルファ文庫)

キーワード:
 ロバート・ハリス、エッセイ、旅、人生、遊び
旅人、ロバート・ハリス氏のエッセイ。本書は著者がFMラジオのJ-WAVEで2年ほどやってた「エグザイルス」というミニコーナーが元になっているものらしい。このミニコーナーで、本や映画や旅とか好きなトピックについて3, 4分話すというもので、その元ネタの原稿が本になったもののようだ。

目次はちょっと多すぎるので省略。自分が特に面白いなと思ったトピックのタイトルを以下に列挙。
  1. 人生のリスト
  2. ポーカー塾
  3. ロックンロール
  4. ロウ・ポイント
  5. 冒険者たち
  6. 夜遊び
  7. 無限の人生
  8. 一人旅のテーマ
  9. 旅と本
  10. ギャンブラーの話
  11. 言葉の力
  12. 物語
  13. ワイルドサイドを歩け
各トピックについて、4, 5ページの分量となっている。これがどれも興味深い話題だった。なんというか、一人の人の経験がここまで多様性と面白みを持っているのだなぁと思った。そしてたくさん線を引いた。その線を引いた部分を恣意的にそして断片的にいくつか示しておく。
  • 運を天に任せ、前向きに突っ込んでいく、これが一番いい姿勢だと思う。(pp.49)
  • 「生きるということは、質問を一つ一つ浄化していくことである」(pp.58)
  • ドロップアウトするということは、つまり自分が何を欲し、どんな生き方をしていきたいのか、そのことをじっくり考え、その方向へ向かって一歩踏み出していくことだ。(pp.63)
  • もしかしたら僕は、自分を探すために旅をするのではなく、自分をなくすために、自分ではない誰かになるために旅をしているのかもしれない。(pp.93)
  • それだけ物語というものは人間の心に必要なもの、孤独を癒すだけではなく、人生そのものを豊かにし、魂を潤してくれるものなのだろう。(pp.217)
著者がポーカーを覚えたのは15歳くらいの時で、横浜の元町の喫茶店のマスターにポーカーをやりたいと相談したことかららしい。そこで1年で40万円くらいは負けたけど、修羅場に強い人間になれて、人生のレッスンを体験したというように示されていた。

他にもオーストラリアで暮らしていた時、ほとんど無職に近い状態だったけど、ポーカーで食っていたようだ。そのときの経験から、人は博打をやっているときは、博打によってシンプルな生き物にしてくれるらしい。例えば、プレイヤーの一人が「オレ、実はスカトロにはまってんだ。」とぽつりと語り始めても何もなかったようにゲームが進むらしい。普段は人には絶対話さないようなものが語られるようだ。だから、プロのギャンブラーに会うことがあったら、不思議な話を聞かせて見てくれよと言ってみると、面白い話が聞けるようだ。

なんというか、本書に影響されて僕もポーカーをやってみたくなった。ギャンブルにも割と関心があるし。もちろん、この本の影響だけではないけどね。

また、著者は一人旅に出るときに、自分なりの旅のテーマを決めるようにしているようだ。旅で何を感じたいか、どんな気持ちに浸りたいか、といったことを考えながら「孤独」「忘却」「ワイルド」「内省」「虚無」「アンニュイ」とテーマ設定するようだ。これは自分もやってみようと思う。ちなみに、今年初めて一人で海外旅行としてニューカレドニアに行ったときは、「冒険」がテーマだったなと。

本当はもっとたくさんいろいとエピソードを示したいが、それは読んでからのお楽しみ。音楽の話であったり、本、旅、人生、出会った人、ギャンブル、恋愛、ドラッグと話題はとても豊富で飽きさせない。読んでいるととてもワクワクしてくる。

最後にとても印象に残った部分を引用しておく。「言葉の力」というタイトルで、小説家になろうとして、自分にプレッシャーをかけすぎて、日常生活を楽しめなくなっていた時の部分。
 そんなある晩、夜中の二時頃だったろうか。四時間ほど机に向かって何も書けない状態が続き、苛々していた。今日はもう駄目だと思い、ヘンリー・ミラーの本を手に取り、ページをパラパラと捲ってみた。すると、こんな言葉が目に飛びこんできた。
「僕はこの世を楽園だと思っている。そして、人間がこの楽園に生まれてきた理由はただ一つ、ここで子供のように、思いっきり遊ぶためだ」
 確か、そんな内容のものだったと思うのだが、この言葉はカラカラになった僕の心に、冷たい水のように沁み渡ってきて、今までの苛々を一瞬のうちに解消してくれた。そしてそれ以来、僕の人生の道しるべのようなフレーズとなった。
 焦ったり、頑張りすぎたりしている時、よくこの言葉を思い出し、「そうなんだ、もっとリラックスして、人生を楽しまなきゃ」と自分自身に言い聞かせる。すると、不思議と自然体になり、自分のことを笑う余裕すら出てくる。
(pp.208)
人生を楽しんでいる?毎日仕事に忙殺されたりして、自分を見失っていない?本当にやりたかったことはやれている?昨日と同じような今日がまた繰り返されて、うんざりしていない?そう思ったなら、この本は買いだ。読んでみると、レールから外れて、ドロップアウトして旅に出たくなるかもしれない。

ただ、著者も示すように、本書を読んでドロップアウトして、ワイルドサイドを歩いたとしても、必ずしも楽ではないし、充実するとは限らないので責任はとれないとある。それでも、思い切ってもっと冒険してもいいんじゃないか、積極的に外れて自分の人生を楽しんでもいいんじゃないか!?と思わせてくれる。

著者の本は以下もおすすめ。本書は、上記2冊の隙間を埋めるような副読本のような位置づけ。なので、最初に上記2つを読んでから本書を読むとより、著者の人生観がわかってよい。

僕ももっと人生を楽しみたいと思う。だから、著者に触発されて自分なりの人生の100のリストを作ったのだし。

日常の閉塞状況に思い悩んでいる人にはとても良い本だと思う。精神的にも、物理的にも閉塞した状況の場合は特に。



ワイルドサイドを歩け (講談社プラスアルファ文庫)
ワイルドサイドを歩け (講談社プラスアルファ文庫)
著者:ロバート・ハリス
販売元:講談社
(2002-09-19)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • 旅が好きな人
  • 人生を楽しみたい人
  • 退屈な日常生活から抜け出したい人
Amazon.co.jpで『ロバート・ハリス』の他の本を見る

bana1 ワイルドサイドクリック☆  にほんブログ村 本ブログへ



October 08, 2012

督促OL 修行日記

督促OL 修行日記
督促OL 修行日記

キーワード:
 榎本まみ、督促、修行、感情労働、プロ意識
督促をされているOLによるストレスフルな仕事の対処法などが書かれている本。以下のような目次となっている。
  1. 01 ここは強制収容所?
  2. 02 “ブラック部署”の紅一点!
  3. 03 ストーカー疑惑と襲撃予告
  4. 04 謎の奇病に襲われる…
  5. 05 自分の身は自分で守る
  6. 06 N本、大抜擢される
  7. 07 自尊心を埋める
  8. 08 濃すぎる人間修行
  9. 09 センパイ武勇伝
  10. 10 合コンサバイバル
  11. 11 仕事からもらった武器と盾
(目次から抜粋)
著者は、僕も主催者の一人の83年会の同志で、通販会社のコールセンターで『督促(とくそく)』のお仕事をしておられる。そんな著者によって、督促のお仕事のストレスフルな状況とそれらに対処するための著者なりの工夫が示されている。ちなみに、本書で記念すべき666冊目の更新となる。また、著者のブログは以下となる。著者であるまみさんに出会うまで、『督促』というお仕事が存在することも、それがどういう仕事形態なのかも正直知らなかった。一言で言えば借金の取り立てなのだけど、『闇金ウシジマくん』のようなフィクション、違法なものではなく、健全にクレジットカード等の支払が遅れているお客さんにコールセンターから電話で入金を催促するのがお仕事のようだ。

しかし、そのお仕事は本書でまみさんも示すように、電話越しに支払いが遅れているお客さんから『ぶっ殺す!!』とか『会社に今から行くぞ!!』とか『朝っぱらから電話してくるんじゃねぇ!!』といった罵声を浴びせられ、それらのストレスによって体重が10kgも落ちたり体の調子が悪くなったり、さらには心が病んでしまうようなとてもしんどいお仕事のようだ。

タイトルに『修行日記』とあるように、まみさんがなんとか通販会社から内定をもらい、新卒入社後、あまり業務成績がよろしくない状態から、なんか工夫しながらストレスフルな仕事への打開策を模索しつつ、年間2000億円の債権を回収するまでのスゴ腕督促OLになるまでが示されている。

本書は読みやすく、そして面白くて一気読みできた!!まみさん自作の四コマ漫画も載っているし、悲惨な状況が面白おかしく書かれているが、督促のお仕事に関わらず他のお仕事にも汎用的に使えそうなテクニック、仕事の取り組み方なども示されており、とても勉強になる部分が多かった。

年間2000億円回収の異名は伊達じゃない!! 普通はそんなにしんどい仕事だと辞めるだろうと思うのだけど、辞めずに奮闘しつつ、どうやったらお客様に怒鳴られずに入金してもらうか?の工夫が随所に示されている。

その工夫をいくつか示すと、お客さんに「お金を返してください」と直接言うよりも「入金できる日はいつ?」と質問すると考えてもらうことになり、罵声を浴びせられないとか、いきなり怒鳴られた時はフリーズしてしまうので、その場合は足をつねったり、足の小指をもう片方で踏みつけて下半身を刺激するとよいとか、謝罪は何度も繰り返すと誠意が薄まるので、謝罪2に対してお礼1がよいといったものがたくさん示されている。それらは他のお仕事や日常会話でも応用できそうでもある。

何よりも素晴らしいのは、ストレスフルな仕事で自分には向いてない、世の中から嫌われる仕事で、さらには不幸になる仕事んじゃないかと思いつつも、なんとか打開策を見出そうと試行錯誤しようとする姿勢だと感じた。以下一部引用。
 仕事ってなんだろう?
 お金を稼ぐために、生活をしていくために、しなければいけないものだけど、人生にとって仕事がマイナスになっちゃダメなんじゃないの?仕事が原因で働けなくなるとか、幸せじゃなくなるというのはおかしいんじゃないだろうか。
(pp.135)
僕もこれに似たようなことはときどき考える。残業続きでしんどいときなど。まみさんの場合は、この疑問が発端となって、本書が書かれる理由の一つとなる。さらに少し長めに引用。
 でもどんなにお客さまから嫌われたって、誰かがこの仕事をやらなきゃいけない。
 とはいえ、督促の仕事をすることで、同僚が体や心に不調を来してしまうことは、やり切れなかった。
 もう少しなんとかならなかったの?もう少し負担を減らせる方法があったんじゃない?とコールセンターで働く誰かが辞めていくたびに悔しく思った。
 
 よしじゃあ、いっちょ、実験しよう、と思った。
 幸いなことに(?)私は督促は苦手だった。自分で言うのもなんだけど、心も体もボロボロだった。
 私が督促できるようになれば、お客さまに言い負かされないようになって、お金をちゃんと回収できるようになれば、そのノウハウはきっと使える。
 私の実験結果で、A子ちゃんみたいに、督促のようなストレスフルな仕事で人生を狂わされてしまう人を一人でもなくすことができたら……。その日から私の「研究」が始まった。
 待ってろよ、私から同僚をたくさん奪っていった。「督促」め、カタキは討つぞ。
(pp.136-137)
その「研究」の成果が本書となるようだ。

自分には向いていないと感じたり、ストレスが多かったりしていろいろとしんどい状況になったら、仕事を辞めるという選択肢がまず頭に思い浮かぶでしょう。その選択肢もぜんぜんありだが、しかし、辞める前に本当に自分のできることはすべてやり尽くしたか?という部分がとても重要な気がする。向いてないと思いつつも、工夫しだいで何とかなるのではないかという部分にちゃんと挑戦したか?、そのうえでどうにもならないときはさっさと辞めて次に行くべきだし。そうではないなら、心身ともに病まない程度にもうひと踏ん張りしてもいいんじゃないかとも思えてくる。まみさんと同じように。

なので、正攻法で無理なら裏道を使うとよいということも示されているし、そういう部分に試行錯誤しないまま新人さんがすぐに辞めていくのはもったいないなと、まみさんは思われているようだ。それは僕も7年目くらいになると、何となくわかるような気もする。

僕も特にやりたいプロジェクトではないところにアサインされたりして、3年目までわりとしんどい状況で、何度も仕事辞めようかと思ったけど、まだ辞めるときじゃない、まだ自分のできることはやり尽くしてないと思いつつ、踏みとどまって今に至る。かといって、まみさんほど成果を出せているわけではないけど。そして、こういう仕事への取り組み方、意識がプロとして働いていくうえでとても重要なのだと思う。それらを本書を読んで改めて気づかされて、自分もお仕事を頑張ろうと思えた。

誰でも好きな仕事、向いている仕事をすぐにできるわけではない。たとえ第1志望の会社から内定を取れても、必ずしもやりたい仕事だけができるわけではないしね。そういうときに、どうやって活路を見出していくか、そういう部分がとても勉強になった。2,3年目くらいの自分に読ませたかったと思うね。

本書は督促業界で働いている人はもちろんのこと、これから就職活動をする大学生も読むべきだと思う。世の中にはこんな仕事があるのかという部分はもちろんのこと、必ずしもやりたい仕事ができるわけではないということを知っておくためにも。

そしてさらに、すでに働き始めている入社して3年目までの人も読むといいと思う。それくらいの年次だと、仕事に迷い始めているころで、自分には合わないし転職しようかなと思い始めるころだし。

本書を読めば仕事に対する意識も変わるし、読了後はこんな大変な仕事でもがんばってやっておられる人がいるのだから、自分も頑張ろうと思える。特に明日から休み明けで、あぁ、仕事が鬱だと思うような人も、読んでみると気持ちが前向きになれるし、仕事がよりよくなるヒントが得られるかもしれない。



督促OL 修行日記
督促OL 修行日記
著者:榎本 まみ
販売元:文藝春秋
(2012-09-22)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • 督促業界で働いている人
  • 就職活動中の大学生の人
  • 自分の仕事は向いていないと思っている人
Amazon.co.jpで『榎本まみ』の他の本を見る

bana1 スゴ腕督促OLクリック☆  にほんブログ村 本ブログへ



October 06, 2012

愛のゆくえ

愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫)
愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫)

キーワード:
 リチャード ブローティガン、図書館、美女、中絶、引きこもり
リチャード ブローティガンの小説。以下のようなあらすじとなっている。
ここは人々が一番大切な思いを綴った本だけを保管する珍しい図書館。住み込み館員の私は、もう三年も外に出ていない。そんな私がある夜やって来た完璧すぎる容姿に悩む美女と恋に落ちた。そして彼女の妊娠をきっかけに思わぬ遠出をするはめになる。歩くだけで羨望と嫉妬の視線を集める彼女は行く先々で騒動を起こしてゆく。ようやく旅を終えた私たちの前には新しい世界が開けていた…不器用な男女の風変わりな恋物語。
(カバーの裏から抜粋)
本書は紀伊国屋の『ほんのまくら』フェアで手に入れた。そのカバー表紙は以下だ。

DSC_1581
『ほんのまくら』フェアは、このように最初の1行目が表紙のカバーとなっていて、タイトルと著者名が隠されている。1行目でピンと来るものを選ぶという変わったフェアで、『図書館』というキーワードに惹かれて買ってみた。この作品自体の存在はなんとなく知っていた。このタイトルと表紙ではあまり買う気はしなかったかもしれない。しかし、読んでみるとこれはこれで面白かった。

主人公は31歳の男で、アメリカの小さ目で古い図書館に住み込みで働いている。その図書館は、普通の図書館と違い、街の人が自分で書いた本が持ち込まれる。持ち込まれた本はノートに記録され、持ち込んだ人が自由に自分の本を本棚に置くことができる。そしてそれらの本がある程度たまると、どこか別の洞窟に大切に保管される。その役目(主人公で35人目か36人目)を24時間対応で担っているのが主人公となる。

持ち込まれる本、持ち込む人は実にさまざま。5年間ホテルで暮らしつつ『ホテルの部屋で、ロウソクを使って花を育てること』を書いた老婆、絵だけで描かれて言葉は1つもない5歳の著者による『ぼくの三輪車』、オートバイ狂の著者による『革の衣服と人類の歴史』、50歳の著者だが、17歳の時に書いてからずっと出版されることを望んでいた、『愛はいつも美しい』、ドストエフスキーの小説の中に出てくる献立の料理本らしい『台所のドストエフスキー』、1ポンドのベーコンのようで、フライにしていいのか棚に置いていいのか分からない若い婦人によって持ち込まれた『ベーコンの死』などなど。

ある日、もうすぐ20歳になる女によって本が持ち込まれる。その女の顔は完璧に美しく、脆そうな感じだが、体つきはそれとは別にプレイボーイに出てくるような官能的な肉体を持っている。そしてそのことが彼女の苦悩となり、持ち込んだ本が自分の体について書いた本となる。曰く『わたしは自分の体が憎いんです。わたしには大きすぎます。だれかほかの人の体なんです。わたしんじゃない』という。そんな女、ヴァイダと主人公は図書館で暮らし始め、やがてヴァイダが妊娠して、メキシコまで中絶しに行くというお話。

主人公とヴァイダの間にあまり感情の起伏がないように感じるし、なんだか淡々としている。堕胎に対して罪悪感というか、後ろめたさもあまり感じていないようだし。その反面、洞窟で本を保管する役目を持つ40歳くらいの髭でいつも半袖の男、フォスターは豪快で嫌ななことは嫌だとはっきり言ったりするし、ヴァイダを見て『こいつは驚いた、すごい別嬪さんだ!こん畜生、ここへ来てよかったぜ!』と言ったりするタイプで、主人公とは対照的だ。

主人公は3年ぶりくらいに図書館を出て、ヴァイダとメキシコに行くのだけど、その間にすれ違う人々はヴァイダに対しておかしな反応になる。特に男はみなヴァイダに反応する。主人公がトイレに行っている間に3人ほどに口説かれていたり、カフェに入って主人公との会話中に笑い出すと、その笑い声で近くの21歳くらいの青年が体中にコーヒーをこぼしてしまったり、4歳の少年は、すれ違っただけで首から上が動かなくなって、ヴァイダから目をそらそうともしなかったり。反面女からはヴァイダを見るなりとたんに嫉妬深い態度を示し、妬みでヒステリーを起こしそうだったりもする。

それが13歳くらいからずっと続いていて、こんなの耐えられないわと言っていたヴァイダ。しかし、主人公と一緒にいることでそれを徐々に克服しているようだ。

街を歩いているとついつい美女に目が引かれて見とれてしまうことがあるが、そういう人にとってはこのように感じられるのだろう・・・。反省というか少し気を付けようと思ったが、それはオスの本能的なものなのでどうにもならないと言ってみたりw

本書に共感できるタイプの人は2種類いるはず。一つは先ほど示したヴァイダのように圧倒的な美女の視点からの部分と(あるある、本当にうんざりだわ!!と共感できるかも)、もう一つは図書館に引きこもっていて、図書館の仕事が自分の人生のすべてだというような主人公の視点。僕の場合は間違いなく後者。そもそも美女じゃないし!?、何よりも図書館というところに強くひかれ、『図書館』とタイトルに持つこのようなブログをやっているのだし。

周りを翻弄するほどの圧倒的な美女と図書館に暮らしている引きこもり男の物語。不思議な感じな物語だった。二人の間にはあまり感情のやり取りがなさそうな感じだけど、お互い一緒にいるのが自然のように思われる。短い文章でテンポよく進み、2,3ページごとに節タイトルのようなものが挿入されている。不思議とページが進んでいく。

本書はハーレークインロマンス的なタイトルと表紙で大分損をしているように思われる。そもそも原題は『THE ABORTION: An Historical Romance 1966』で忠実に訳すなら『妊娠中絶―歴史的ロマンス1966年』となるし。なぜ『愛のゆくえ』となったのか少し理解に苦しむ。そもそもこの物語に愛はあったのか?単に僕が読み取れなかっただけなのかもしれないのだけど。

でも不思議と読後感は心地よく、自分の直感で選んだ本に間違いはなかった。



愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫)
愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫)
著者:リチャード ブローティガン
販売元:早川書房
(2002-08)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • 図書館が好きな人
  • 周りを翻弄するほどに圧倒的な美女の人
  • 引きこもり体質の人
Amazon.co.jpで『リチャード ブローティガン』の他の本を見る

bana1 美女&図書館クリック☆  にほんブログ村 本ブログへ