June 2014

June 26, 2014

終りなき戦い

キーワード:
 ジョー・ホールドマン、SF、ベトナム戦争、ウラシマ効果、兵士
SFミリタリー作品。以下のようなあらすじとなっている。
画期的な新航法”コラプサー・ジャンプ”の発見により、人類の版図はいっきょに拡大した。だがその過程で、正体不明の異星人”トーラン”と遭遇、全面戦争に突入する!過酷な訓練を受け、殺人機械と化した兵士たちが、特殊戦闘スーツに身を固め辺境星域へと送り込まれるが、戦況は果てしなく泥沼化していく……俊英が壮絶なる星間戦争を迫真の筆致で描き、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞を受賞した傑作戦争SF!
(カバーの裏から抜粋)
本屋でたまたま気になって買ってみた。最近では西新宿のブックファーストのフェアで『今夜は、音を立てずに人を殺す八つの方法を教授する』というポップとともに紹介されている。本書はSFミリタリー作品で、著者はベトナム戦争に従軍した経験をもとにこの作品を書いたようだ。主人公マンデラは、知能指数150以上でとびぬけて健康かつ頑強な肉体を持つ精鋭であり、訓練惑星に行って戦闘スーツを着込んで訓練を受ける。その後二足歩行で二本の細い腕があるが、肩も首もないトーランと呼ばれる交戦中の異星人のいる惑星に送り込まれ、そいつらと戦うことになる。そいつらを撃破して戻ってくるころには、宇宙船が限りなく光速に近い速度で移動しているので、ウラシマ効果によって地球はもとにいた時から数百年たっているという状況になる。

戦闘描写は最初のほうと最後のほうが多いが、中盤はあまり戦闘描写はない。どちらかというと、中盤は戦争に従軍して生き続けるしか道がない主人公が描かれている。ただ生き残っただけで英雄扱いされて地球に戻り、その間に数百年経っているので、給料は天文学的な数値になっている。

しかし、半年ほどの休暇の後、有無を言わさずに次の戦地に送り込まれる。生き残った者が階級が上がるので、マンデラは二等兵から少佐まで出世していく。そして部隊に地球から送り込まれた部下たちは、地球の制度変化によってみな同性愛者ばかりだったりする。そんな状況で主人公は古参兵として文化も言語も微妙に違う彼らとともにトーラン討伐に向かい続ける。

主人公はどこか冷めた目で戦争に従軍しているような、そんな印象を受ける。周りの兵士は常に死に、たまたま自分が生き残っているのは運が良かっただけだと感じており、恋人と違う船に乗ってそれぞれの光速航行を行うと、もう会うこともなく数百年がたってどちらかは死別しているという状況。そしてトーランとの戦争の最初から最後まで、1143年間戦い続ける。そういう部分に著者のベトナム戦争体験が投影されているのだと思う。

中盤はなんだかダレるが、後半からまた面白くなってくる。そして、主人公の意思とは関係ないところで何百年も経った地球の環境、制度に翻弄されていくのもなんだか切なく感じる。

ミリタリーSF作品は以下もお勧め。本書は『宇宙の戦士』の影響があるとかないとか。それにしても、『共和国の戦士4』はいつ出版されるのだろう!?

ミリタリー作品を読みながら、自分の仕事を投射してみたりする。階級が上がっていき、部隊を率いて武功を上げていくような妄想をしながらwそんなこともあり、ときどき自分を鼓舞するためにSFミリタリー作品を読んだりする。

本書はSFミリタリー作品にしては読みやすい作品。



終りなき戦い (ハヤカワ文庫 SF (634))
ジョー・ホールドマン
早川書房
1985-10

読むべき人:
  • SFミリタリー作品が好きな人
  • 戦争について考えてみたい人
  • 自分を鼓舞して仕事したい人
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June 24, 2014

臆病者のための億万長者入門

キーワード:
 橘玲、資産運用、株、不動産、金融リテラシー
作家による保守的な資産運用指南書。以下のような目次となっている。
  1. 第1章 資産運用を始める前に知っておきたい大切なこと
  2. 第2章 「金融の常識」にダマされないために
  3. 第3章 臆病者のための株式投資法
  4. 第4章 為替の不思議を理解する
  5. 第5章 「マイホーム」という不動産投資
  6. 第6章 アベノミクスと日本の未来
  7. 終章 ゆっくり考えることのできるひとだけが資産運用に成功する
(目次から抜粋)
国勢調査によると日本では全世帯の約5%(20世帯に1世帯)が資産1億円を保有するミリオネアらしく、そんな日本にいるのだから、「誰でも億万長者になれる」可能性がある。ただし、アクティブに投資して短気で収益を上げるのではなく、かなり保守的に20年以上の年月をかけて保有する資産を増やすようなやり方で。その基本的な考え方が、株、不動産、保険、為替などの観点から、さらにアベノミクスまでに広げられて分かりやすく解説されている。

本書は以下の本の続編的な位置づけらしい。こっちは株式投資に焦点があてられている。これを読んだのが大体6年前で、そのときは結局株をやらないという結論に至った。それから6年たって、そろそろ金融的な知識もある程度ついたし、真面目に資産運用を考えようと思っていて、株も始めたちょうど良いタイミングで本書が売られていたので買った。買って読んでよかった。これから大きく損をするようなことは回避できたはずなので。

まずはお金持ちになるための方法が以下の3つとして示されている。
  1. 収入を増やす
  2. 支出を減らす
  3. 資産を上手に運用する
これらを「お金持ちの方程式」としてあらわすと以下のようになるらしい。

総資産 = 収入 – 支出 + (資産 × 運用利回り)

そして以下のように示されている。
 収入を増やすもっとも確実な方法は「勤労」だ。支出を減らすには「倹約」をこころがければいい。上手な資産運用とはいたずらに浮利を追うことではなく、いかがわしい金融商品にだまされず、将来の経済的な変動に備えてリスクを管理した確実な運用をする「賢い投資家」になることだ。
(pp.22)
つまり金融リテラシーをちゃんと身に付けるということが重要であるようだ。なので、宝くじを買うような人は金融リテラシーがないと言っていい。なぜなら、期待値(確率)の計算ができず、他人を儲けさせるためにお金を出しているのだから。つまり、宝くじというのは『愚か者に課せられた税金』と呼ばれるようだ。まぁ、賢者と名乗っているくらいだから宝くじなんか買ったことありませんよとwwそれでも本書のあとがきでは、宝くじを買ってくれる愚か者がもたらす収益によって、公共事業や社会保障に使われてみんなに還元されているから感謝しようと示されていて、なるほどと思った。

さらに保険は宝くじより割の悪いギャンブルであるとあり、加入者は生命保険から「安心」を手に入れる代償として、高い経費を負担している。そのため、別の方法で安心が確保できれば、無駄な保険は真っ先に解約すべきとある。詳細は本書でご確認を。これを機会に自分の毎月払っている年金積立型の保険の見直しも検討しよう。

最近株を始めたこともあって、3章がとても勉強になった。経済学的には「株価は確率的にしか予想できない」ので、絶対上がる株価など特定不可能であるので、個別銘柄を選択するよりも世界の株式市場をまるごと買ってしまうのが合理的と。つまり、世界株ETF、具体的には東証の「上場インデックスファンド世界株式(1554)」を買うのがよいと。これは実践してみようと思う。

あとは不動産投資の部分がとても勉強になった。『「マイホームと賃貸、どちらが得か」に決着をつける』という節タイトルが示されている。結論だけ簡単に示すと、ローンを組んで得られる住居は、同じだけ借金して株式に投資して得た利回りを賃貸に当てはめれば、同じような家に住める可能性があるということ。つまり、家計のバランスシートから考えると、マイホームの購入というのはレバレッジをかけた不動産投資で、それは株式の信用取引やFXと変わらないらしい。そして所有の場合は、震災や隣人がカルト団体だったり、地価が暴落したりするというリスクをすべて自分で負わなければならないということになる。ここも詳細は本書を一読することをお勧めする。

ということで、僕は、マイホームはローンを組んで買うという選択肢を完全に捨てることにした。(そもそも持病のせいでローン審査に必要な団体信用生命保険に入れないかもしれず、ローン組めない可能性大だし・・・)まぁ、賃貸でいいよ。気軽に転々とできるほうがいいし、ローン払い続けられるほど働き続けられるかもわからないのだし、個人的にはマイホーム購入というのは株よりもギャンブルじみた話だなと。

最後に資産運用の4つの原則を引用しておこう。
  • 1. 確実に儲かる話はあなたのところには絶対来ない
  • 2. 誰も他人のお金のことを真剣に考えたりしない
  • 3. 誰も本当のことを教えてはくれない
  • 4. 自分の資産は自分で守るしかない
なので、うまい話、つまり「金融機関が熱心に勧誘するウマそうな話」などはすべて無視するべきとあった。『臆病者』とタイトルについているのは、このように保守的になって時間をかけて資産を築いていこうという意図が込められているようだ。

著者の本をたくさん読んでいるなら読む必要がなさそうだけど、あまり読んだことない人、資産運用を真面目に考えている人は絶対読んだほうがいい。どこまで本当かは自分で考えなくてはいけないのだけどね。




読むべき人:
  • 資産運用を考えている人
  • マイホーム購入を検討している人
  • 金融リテラシーを身に付けたい人
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June 14, 2014

ザ・ロード

キーワード:
 コーマック・マッカーシー、道、旅、闇、火
アメリカ文学の巨匠によるSF小説。以下のようなあらすじとなっている。
空には暗雲がたれこめ、気温は下がりつづける。目前には、植物も死に絶え、降り積もる灰に覆われて廃墟と化した世界。そのなかを父と子は、南への道をたどる。掠奪や殺人をためらわない人間たちの手から逃れ、わずかに残った食物を探し、お互いのみを生きるよすがとして――。世界は本当に終わってしまったのか? 現代文学の巨匠が、荒れ果てた大陸を漂流する父子の旅路を描きあげた渾身の長篇。ピュリッツァー賞受賞作。
(カバーの裏から抜粋)
コーマック・マッカーシーの作品は、以前図書館で借りた『すべての美しい馬』というものを読んだことがある。この本を借りた時に、『ザ・ロード』のほうを積読していた。

本書は例によって、西新宿のブックファーストのフェアで買った(余談だけど、よいフェアを頻繁にやっていて、本当によく買わされる)。そのときは著名人がおすすめする100冊とかそういう題目で、小説家の冲方丁氏が『これは真に迫るものがある』とかなんとかコメントと共にオススメされていた。『マルドゥック・スクランブル [完全版] 』が面白かったし、信じて買ってみた。そのときはコーマック・マッカーシーの存在など特に何も知らずに。

物語の世界は近未来のアメリカのどこかで、その世界は核戦争か何かで世界が崩壊している。灰が降り積もり、日照時間も少なくなり、牛や鳥などその他の動物がどうやら絶滅しており、人も大勢死んでおり、文明も崩壊している。かつて栄えていた街は人影もなく廃墟と化し、食べ物のあまりなく、道路には散乱するゴミ、捨てられた車、そしてミイラ化した死体、焼けた死体などがところどころにある。そんな中、40歳くらいの『彼』と『彼』の子供で、10歳くらいの男の子が二人で寒さをしのぐために歩いて南を目指すというお話。

本書の内容は、冒頭の2行にすべて集約されていると言っても過言ではない。
 森の夜の闇と寒さの中で眼を醒ますと彼はいつも手を伸ばしてかたわらで眠る子供に触れた。夜は闇より暗く昼は日一日と灰色を濃くしていく。
(pp.7)
親子二人は常に暗い『』の中で眠り、道中も人目について襲われないように気配を殺し、安全が確保できたときだけたき火を囲んで野宿し、そこで少ない缶詰などの食料を分け合って食べる。昼間は雨や雪が降り、そして常に寒さで震え毛布にくるまって二人で温めあっている。そして、道中の捨てられた家にある缶詰やリンゴ園のリンゴなどを拾ったりして、食料を手に入れて生き延びていく。表面的な物語としては、それらだけが淡々と繰り返されていく話。

それだけの物語なのだけど、親子が置かれた絶望的な状況の中での会話が胸に迫るものがある。男の子は世界が崩壊した後に生まれており、健全だった世界を知らない。そして、道中で起こる出来事に対して無邪気に何気ない質問をパパにたびたびする。その質問に対して、常に自分たちが生き延びるために合理的に判断し、男の子を説得しつつ、かつ自分自身にも言い聞かせるように『彼』は答える。それがコーマック・マッカーシー独特の鉤括弧のない文体で繰り返されて、より物語の中で際立って見える。例えば、象徴的な以下の部分など。
話してごらん。
少年は道のほうへ眼をやった。
話してほしいんだ。怒らないから。
少年はかぶりを振った。
パパの顔を見るんだ。
少年は彼に顔を向けた。今まで泣いていたように見えた。
話してごらん。
ぼくたちは誰も食べないよね?
ああ。もちろんだ。
飢えてもだよね?
もう飢えてるじゃないか。
さっきは違うことをいったよ。
さっきは死なないっていったんだ。飢えてないとはいってない。
それでもやらないんだよね?
ああ。やらない。
どんなことがあっても。
(pp.147)
このように、食料がないので、人が襲われて食われてしまう。そのため、殺される可能性が高く、かつ飢えもあって、常に死の影が付きまとっている。そして道端には焼き殺された死体や首だけが切り取られて串刺しになったりしているような、残虐な結果の描写も多く、10歳くらいの子供にとっては極めて残酷で過酷な世界である。『彼』はそんな状況を見せないようにするが、子供はもう何度もそういう状況を見てしまい、結果的に精神的にも成長していく。

また、道行く老人や飢えた男に遭遇したとき、男の子は食料を分け与えようとする利他的な心も持つ。しかし、自分たちが生き延びるためにはそれをやってしまってはダメだとパパは常に子に言い聞かせるしかない。また、パパは常に拳銃を手放すことはなく、親子に危害を加えそうな人間は躊躇なく撃つ。もう片方の手には子供の手を握りながら。そして、もうどうにもならないときは、その拳銃を使うしかないとまで決めている・・・。

主人公二人は名前が出てこない。唯一名前がついた登場人物が出てくる。名前は『イーライ』で、90歳くらいで眼がもうあまり見えない老人。この名前を見たとき、以下の作品を思い出した。似たタイトルでかつ崩壊した世界が舞台で世界観も似ている。この物語の主人公の名前は『イーライ』。『ザ・ロード』の解説には、イーライは旧約聖書の預言者エリヤと関係があるのではないかという説が示されている。『ザ・ウォーカー』は、主人公が崩壊した世界である本を運ぶ物語。一方、『ザ・ロード』は親子が二人で象徴的な『』を運んでいる。ググったら『ザ・ウォーカー』がパクッたのではないかとあった。それくらい似たような内容。両方映画化されており、『ザ・ウォーカー』のほうは見た。内容はまずまずだけど、小説は断然、『ザ・ロード』に軍配が上がる。

コーマック・マッカーシー独特の文体で、情景が脳内に自然と描写される。しかし、『すべての美しい馬』のような美しい情景とは言えず、灰色と白、黒などモノトーンで色彩を失った世界で、読み進めるのがだんだんと辛くなってくる。そのため、精神的に沈んでいるときにはあまり読むべきではないかな。

僕は本書をどちらかというと男の子の視点で読んでいた。しかし、もし子供ができたら『彼』の視点で読むのだろうなと思った。絶望的な状況でも、常に善い人として『』に包まれた世界を生き延びていかなくてはいけない。それを示唆する親としての『彼』。そして、最後は切なすぎて泣いた。それでも読了後に不思議と勇気づけられるような、それくらいのスゴ本だった。



ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)
コーマック・マッカーシー
早川書房
2010-05-30

読むべき人:
  • SF作品が好きな人
  • 勇気づけられたい人
  • 最近親になった人
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June 12, 2014

スタバ株は1月に買え!

キーワード:
 夕凪、株、イベント投資、スタバ、資産運用
株によるイベント投資の入門書。以下のような目次となっている。
  1. 第1章 30万円で始めた株で1億円を達成!
  2. 第2章 株で儲ける仕組みは花屋に学べ!―イベント投資のキホン
  3. 第3章 スタバ株は1月に買え!―実践株主優待投資
  4. 第4章 株を始める前に知っておきたいこと―数字が示す儲けのヒント
  5. 第5章 プロの土俵にあがるな!―個人投資家9つの心得
  6. 第6章 専業投資家への道―千里の道も一歩から
(目次から抜粋)
なんとなく本屋で目に留まったので買った。普段週2でスターバックスに通い詰めているし、一応スタバの株をほんの少しだけ持っており、気になったので買って読んでみた。

本書ではイベント投資というものが分かりやすく解説されている。イベント投資というのは、株主優待の権利確定日付近とかある銘柄が東証2部から1部に移るとき、または株主総会時期、機関投資家が買うタイミングなどあるイベント(出来事)に影響されて、株式市場の需給動向への影響によって株価が上下する時期を狙うことと示されている。

本書のタイトルにあるように、スタバ株を1月に買え!というのは、1月最初の営業日の寄り付きに購入し、そのまま保有して3月23日を経過した最初の営業日の大引けに売却する条件を2014年も含めて過去10年実践したところ、過去1度も負けたことがないらしい。この3月23日というのは株主優待の優待券利付最終日の大体3営業日前で、この時期までに株価が上がるので、そこを狙って事前に買って売れ!ということらしい。

株主優待狙いで株価上昇を見込むのは、そこまで目新しい方法ではないのだけど、ほとんど株素人な自分には参考になった。このイベント投資を確立することで、30万円くらいから大体年利40%以上で10年で1億円近くまで資産を増やせたらしい。

ほかにもいろいろとねらい目が分からいやすく示されているが、株経験があまりない自分にとって一番参考になったのは、過去10年の日経平均の推移のグラフが示されている部分。大体3ヵ月ごとに変動の特徴があるようだ。ちょうど今6月は株主総会時期と年度末決算が経過して安堵感が出てくるのもあって、6月後半にかけては株価が上がる傾向にあるようだ。元ネタが少ない自分にとっては、いつごろまでに元ネタを準備して勝負をかければよいかが分かってよかった。

あとは個人投資家9つの心得が載っていたので、引用しておく。
  • 心得1 プロと勝負したら確実に負ける!
  • 心得2 株式は少数派が勝つ!
  • 心得3 プロの予想の逆を行け!
  • 心得4 アナリストの推奨株は買うな!
  • 心得5 相場に「絶対」はありえない!
  • 心得6 バブルを怖がるな、一緒に踊れ!
  • 心得7 普通ほど怖いものはない!
  • 心得8 損切りを褒めろ!
  • 心得9 チャンスは何度もやってくる!
それぞれの詳細については買って読んでみることをお勧めする。

株の本は入門書からファンダメンタル分析とかテクニカル分析とか専門的なものも含めてたくさんあるし、それらをそこまで読んでいるわけでもましてや株経験も浅いので、本書がどれほど正確で役に立つかは正直よく分からない。しかし、これなら自分も真似できそうだなと思ったので、読んでみてよかったかな。

余談だけど、30歳を迎えるにあたって真面目に資産運用を考えようと思っていたところで。そして今年からNISA開始なので、昨年末から勢いで申し込んで株デビューした。でも実際にNISAには冒頭で示したスタバ株をS株で2株だけ突っ込んで放置している。NISAは損益通算ができないし、そもそも元手がそんなにない状態なのであんまりメリットがないなと思って今は10万円くらいから(無駄遣いが多いから余剰金ないし!!w)特定口座で相場を見ながら売買の経験値を積んでいる状況。来年は本書の通りに上がるか試してみたいな。あとは株主優待でいつかスタバでドヤ顔して会計したいw

あとドラゴン桜の著者の人の株漫画も面白いのでお勧め。ということで、しばらく資産運用のお勉強をする予定と。




読むべき人:
  • スターバックスが好きな人
  • 株で資産運用をしたい人
  • 南の島で悠々自適に過ごしたい人
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June 08, 2014

100年の価値をデザインする

キーワード:
 奥山清行、デザイン、クリエイティビティ、日本人、ムーンショット
ワールドクラスで活躍するデザイナーである著者によるクリエイティビティ論。以下のような目次となっている。
  1. 第1章 世界で通用した「日本人としてのセンス」―僕はなぜフェラーリのデザイナーになれたのか?
  2. 第2章 「言葉の力」を発揮する―団体力のイタリア人、個人力の日本人
  3. 第3章 日本のものづくりの「殻」を破る
  4. 第4章 「ものづくり」の仕組みが変わった!―第二次産業革命時代にどう対応するか?
  5. 第5章 「本当に好きなもの」を作り、売る―プレミアム・コモディティを目指せ!
  6. 第6章 これからの一〇〇年をデザインする―新しい社会システムを作り上げる
  7. 終章 クリエイティブであり続けるために
(目次から抜粋)
著者はエンツォ・フェラーリをデザインした人で、GMやマセラティにも著属してデザインをやっていたり、その他にも秋田新幹線、ソファ、椅子、鉄瓶、最近ではヤンマーのトラクター、さらには都市計画などその対象は多岐にわたる。そんな世界で活躍されてきたデザイナーによって、クリエイティビティとはどういうことか?そして日本人である特性を活かして世界で勝負できるということが実体験などから示されている。

しばらく新書は全然読んでいなかったのだけど、書店でなんとなく見つけて読んでみた。かなり濃い内容で勉強になった。著者の本は以前以下のものを読んでいた。こちらは純粋にデザイナーとしての仕事論がメインなのだけど、本書は以下がメインテーマとなっている。
 もう一度言う。日本人には素晴らしいクリエイティビティの潜在力がある。それをフルに活かすには、まずは自分一人で世界に打って出ることである。それが、本書で僕が一番伝えたいと思っていることだ。
(pp.240)
まずクリエイティビティに対するイメージとして、先天的な才能であるという誤解があると著者は示す。実際は才能の差などはほとんどなく、必要なのは後天的なセンスと経験から得たスキルであり、さらには世の中を大局的に捉えるマクロな視点と課題の細部までを理解するミクロな視点を併せ持つことらしい。そして、目の前にある問題点や課題の根本的な原因を探り当て、その解決策を示すために必要なのがクリエイティビティであると。

簡単にまとめると誰でもできそうな感じはする。しかし、後天的なセンスと経験には相当の努力と修練とか時間がかかるのも確か。デザインコンセプトを決めるとき、「たくさんの中から選ぶからいいものが出てくる」という本質があるようで、そのため以下のように示されている。
 これは同じ世界を目指す後輩に向けてのメッセージだが、若いデザイナーは質を追うならひたすら数を出せと言いたい。頭を振り絞って考えて、その上で数を出すのだ。それだけでなく、労をいとわず体を動かせ。億劫がらずに現場に行け。手を動かせ。そこに答えがある。
(pp.33)
さらには量をこなすには体力がいるようだ。そして、プロは常に量をこなし、来るか来ないかわからないチャンスのために常に準備するからプロであるとある。なるほどなと。これらの仕事論の部分は、先ほど挙げた本に詳しいので、そっちをお勧め。

また、一般的に日本人は個人戦はダメだが、団体戦なら勝負になると思われているが、実際は逆であり団体力より個人力のほうが高く、世界で勝負して成功している人はみなそのような傾向があるようだ。そして個人として働いたほうが効率的であると。逆に団体力はイタリアのカーデザイナー集団のほうが高いと示されていて、それは会議での議論の仕方が根本的に日本とは違うからとあった。こういう部分は今までの自分の常識を覆されたようで、自分の中の視点が広がった。

著者が日本人としてフェラーリのデザイナーになれたのは、著者が自然と培ってきた日本の盆栽とか狭い建築様式の中に暮らしを表現したりするような「切り捨ての文化」をカーデザインに応用してシンプルであることを追求した結果らしい。そういう文化的な背景も強みになるようだ。

カーデザインで培ったデザインの経験値を家具に転換するところなどもスゴいなと思った。家具に使われている材料を工業デザインの経験から眺めてみると、材料費は妥当であるが、なんでこんなに価格が高いのか?を突き詰めていくと、中間マージンが大き過ぎて、そこにいろいろな業者が入って手数料をとっているかららしい。よって、大塚家具と組んで海外の製造現場と直結して従来の3分の2の価格で同様の品質のものが販売できるようになったらしい。

あとは都市計画までデザインが広がっているのがスゴい。3.11の東日本大震災の影響から災害に強い都市計画を考えた時に、人工的な高台を作って、その上にコンパクトな城塞都市のようものを作るというもので、それはフランスのモン・サン・ミッシェルのようなものになるようだ。さらに東京はより人口密度を高く、もっと立体的にすべきという主張があり、これはブレードランナーとかのようなサイバーパンクな街やフィフスエレメントの縦長に高層ビル群とか交通網が巡っているような近未来の街を想像してワクワクした。

そういえば、来年開業する北陸新幹線のE7系(新幹線E7系・W7系電車 - Wikipedia)も著者監修によるデザインらしい。著者のデザインした車とか家具はちょっと手が出せないけど、ちょうど実家の富山に帰るときに乗ることになり、著者のデザインを身近に感じられるので地味に楽しみだ。北陸新幹線の車中で他の著者の本も読みたいと思う。

ワールドクラスで仕事をするということはどういうことなのか?がとてもよく分かって、しかも著者独自の視点や経験も読んでいてとても面白い。こういう本はなかなかない。

英語に「ムーンショット」という言葉があるが、従来の意味は不可能に挑戦する馬鹿げたことだった。しかし、アポロ11号が月面に着陸した以降は、意味が変わり、著者によれば「不可能と思えても、夢を持ち続けて努力すれば、いつかは実現できる」と。そしてこの言葉が好きで、この言葉をプレゼントしたいと最後にあった。著者は大阪万博で近未来デザインの車を見た時に衝撃を受けて将来カーデザイナーになろうと決めたようだ。もしかしたら本書が、誰かにとっての「ムーンショット」になるべき可能性を秘めているような、そんな予感がした。




読むべき人:
  • すべてのデザイナーの人
  • 文化、日本人論が好きな人
  • 世界で勝負したい人
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