April 26, 2006

村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。


村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。

キーワード:
 村上春樹、三島由紀夫、太宰治、評論、文学作品、比較批評

この本は、村上春樹の文学作品を解体した評論書である。なぜ三島由紀夫が取り上げられているかというと、村上春樹は三島由紀夫に挑戦し続けた作家であることを実証しようとしているから。もちろん、村上春樹自身そのようなことをどこかで言ったり、書いていたりしていたわけではない。著者独自の視点から、村上春樹作品のテーマや物語構造を解説している。

村上春樹の作品はポップな文体で、音楽、料理などが多く登場し軽いイメージがあるが、それは表面的なものに過ぎず、本質的なテーマは綿密に練り上げられたものが隠れているというもの。普通に読んでいたら分からないようなことがこの本で解説されているので面白い。しかし、それは著者の思い込み、誤読じゃないのかと思う箇所もないでもないが、ひとつの見方として参考になる。例えば、村上春樹処女作品『風の歌を聴け』の冒頭の文は、過去の作家への挑戦状のようなものであるとか。その挑戦相手が、三島由紀夫ではないかとあり、三島作品と村上作品の物語の構造を対比させながら解説している。

村上春樹の解説対象作品は、『風の歌を聴け』、『羊をめぐる冒険』、『ダンス・ダンス・ダンス』、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』、『ノルウェイの森』など。特にノルウェイの森の解説は、ノルウェイの森はよくわからん恋愛小説だと思っている人にはよいかもしれない。

なんだか大学受験用の国語の参考書みたいな内容だった。文学作品の深いテーマを探るという観点から見ると面白い。もちろん、自分なりに作品の意味づけを行うことも重要だと思うが。

新書にしては分厚く300ページもある。著者自身書ききれない部分などがあったとあるので、次回作も出るんじゃないかと思う。

久しぶりに興奮して読んだ本。そうだったのか!!と納得させられる部分が多かった。純粋に知的好奇心を受けた。

読むべき人:
 村上春樹の作品はいまいち理解できない人、国語の参考書の解説が好き、物語の構造に興味がある、三島由紀夫、太宰治などの作品が好き、文学作品の本質の見方が知りたい



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