May 07, 2006

アドルフに告ぐ


アドルフに告ぐ (1)

キーワード:
 手塚治虫、アドルフ・ヒトラー、ナチス、歴史、ユダヤ人、日本人、ドイツ人、人種、正義、戦争
手塚治虫の漫画。実際に読んだのは文春文庫のほう。文庫の画像がないから単行本のほうを採用。文春文庫だと全5巻で完結。

物語は3人のアドルフの関係が描かれる。実在したナチスのアドルフ・ヒトラー、架空のドイツ人と日本人のハーフであるアドルフ・カウフマン、架空のユダヤ人でパン屋の息子のアドルフ・カミル。これら3人が主な登場人物で、ヒトラーがユダヤ人の血を引くという出生の秘密文書をめぐった壮大な物語。それぞれが人種の意義、正義の正当性、戦争状況下での狂気、また秘密文書をめぐったミステリアスな物語を彩る。内容はあまり語ると面白くなくなるので省略。面白いのは確か。

ヒトラーがユダヤ人説というのは手塚治虫の創作らしい。歴史的な史実にはそれなりに忠実に描かれているが、実際の登場人物よりも架空の人物によってこの物語が重層的に展開する。何よりも他の作品より登場人物がかなり多い。日本人から、ユダヤ人、ドイツ人最後にはパレスチナ解放戦線まで出てくるからややこしくなる。そもそもこの漫画は少年雑誌に連載されたものではなく、週刊文春に載ったもので大人向け作品となっている。そのため、手塚治虫本人が漫画中に出てきたり、独特のユーモアのあるコマ割などはほとんどない。絵柄も晩年のものであるので、キャラがデフォルメされていた初期作品とは一味違う。しかし、壮大な物語のテーマの捕らえ方、構造などは他の作品のようにしっかりと描かれている。よくこんな物語を思いつけたなと思う。

手塚作品はただ面白いだけではなく、何かを訴えるテーマがかならず示されている。この作品では、人種の違いによる根本的な相違とは何か、それぞれの信じる正義とはどういう意義があるのかといったことだと思う。世界中の人がこの漫画を読めば世界の現状の何かが変わるかもしれない。そんな作品。

全5巻を一気に読むのはかなり疲れると思われる。それでも面白いのは確か。

読むべき人:
 人種問題に関心がある、手塚治虫を極めたい、歴史が好き、戦争ものが好き、ナチスドイツの蛮行を知りたい



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トラックバック一覧

1. アドルフに告ぐ/手塚治虫  [ 読んだら書いとこぶろぐ ]   May 10, 2006 19:34

アドルフと呼ばれた3人物語。国家政治の陰謀に巻き込まれてゆく。 アドルフに告ぐ (1)手塚 治虫 講談社 1996-06売り上げランキング : 9,322おすすめ平均 女性の方にお勧めしたい戦後史の総括Amazonで詳しく見る by G-Tools

2. 一方的な贈り物は遅れて届く  [ anonymous ]   July 29, 2006 23:37

金魚屋古書店の二巻を読んでいて 久しぶりに出会った漫画があった。 『アドルフに告

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