May 30, 2006

自分と向き合う「知」の方法


自分と向き合う「知」の方法

キーワード:
 エッセイ、生命論、欲望論、性愛論
著者は、森岡正博という大学教授。さまざなばエッセイをまとめたものが本になったもの。

タイトルにある『自分と向き合う』というのは、『自分を棚上げしない』ということ。つまり、身の回りで起きる事象や問題に対して、自分をそこに含めずに考えるのではなく、では自分はどうなのか、自分はいままでどのようにすごしてきたのかというような、自分を含めて事象に対して考えていく姿勢が重要だということ。そういうったことが1章を費やして語られている。例えば、差別論が問題になったときに、一般化して考えるのではなく、自分自身それにたいしてどう振舞ってきたのかということを含めて自己を問い詰めながら差別論についても考えていくことが重要とある。

2章は欲望論で、主に環境問題についてで、世界中で温暖化がどうのこうのと問題視されているが、自分自身の普段の生活では暑い日のクーラーなしの生活は考えられず、そこで葛藤が生じる。その欲望から逃れられないことをどのように考えていくべきかが書かれている。

3章は性愛論である。主に男女間の相互不信やフェミニズム的なことが挙げられ、また男もそういうことをよく考えましょうといった内容。

4章は、生死、老い、宗教がテーマである。例えば、尊厳死を認めるならば自殺も認めるべきであるが、そこには矛盾が生じているといった内容。

1章が一番面白かった。後の章は、気軽に読めるテーマのもの多いが、そこまで面白いものでもなかった。何よりも新聞などで書かれた短いエッセイの寄せ集めという印象なので、一貫して主張されていることが分かりにくい。

特に3章では、この著者の『感じない男』のほうがよくまとまっていて面白い。『「知」の方法』の内容は10年前のものなので、『感じない男』のほうが最近のものでより洗練されている。特に女子高生に萌える理由などが書いてあってなるほどと思って読んだ。

この著者は自分を棚に上げないといっているだけあり、普通なら隠しておきたいような個人的なことも主張している。そこが共感を持てる部分だと思う。

また、1章で自分自身のために学ぶ動機として以下の二つが挙げられている。
  1. 自分の知の可能性を広げることで、自分が生き生きと生きたい
  2. 自分がかかえ込んでいる重い問題に対して、自分自身で決着を付けたい
    (pp.44)
これも共感できる。

読むべき人:
 世の中の事象に対するエッセイが好き、何のために学ぶのかということを考えたい、環境問題を考えるとき、自分の生活はどうか?ということに疑問を持つ人、研究意義がわからなくなってきた人



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