June 03, 2006

映画の構造分析


映画の構造分析

キーワード:
 映画論、現代思想、構造主義、デリダ、ラカン、ハリウッド映画
著者はフランス現代思想が専門の内田樹氏。

内容は、映画を題材にした現代思想の入門書である。まえがきのそのことについて言及している部分を引用しておく。
 この本の目的は、「ラカンやフーコーやバルトの難解なる述語を使って、みんなが見ている映画を分析する」のではなく、「みんなが見ている映画を分析することを通じて、ラカンやフーコーやバルトの難解なる述語を分かりやすく説明すること」にあります。
 これは、「現代思想の述語を駆使した映画批評の本」(そんなもの、私だってよみたくありません)ではなくて、「映画的知識を駆使した現代思想の入門書」なのです。
(pp.8-9)
はじめのほうで、あらゆる物語には「構造」が存在するといたったことが示されていて、そのあとから具体的な映画をもとにした隠された構造を解釈していくというような内容となっている。

この本に取り上げられている主な映画は以下のものである。
  • 『エイリアン』
  • 『若き勇者たち』
  • 『大脱走』
  • 『北北西に進路を取れ』
  • 『ゴーストバスターズ』
他にも、小津安二郎、アルフレッド・ヒッチコックの作品などいろいろ。

解釈の例として、『エイリアン』は成功した最初のフェミニズム映画だとあり、怪物のエイリアンはその様態から男性の性的攻撃の記号であるといったことや、『大脱走』では、収容所から脱出するためのトンネルは、「女性器」の象徴でアンチ・エディプス的なドラマであるといった調子。どちらかというと、構造主義的に分析しているというよりは、フロイトなどの精神分析的な手法で映画を解釈している。

なるほど、そうだったのかと思う反面、そのように映画を見なければいけない気がしてきて、楽しめなくなりそうだ。村上春樹的に考えれば、物語に意味づけすることは、受け手の自由なので、そのように解体、解釈することは無意味だということになるだろう。難しいところで。確かに、そのように解釈することは説得力があるけど、実際に作った人々はそれを本当に意図していたのか?ということも気になる。

見たことのある映画は『エイリアン』、『大脱走』、『ゴーストバスターズ』だけである。他にもいろいろ映画名が出てくるが、見たことないものばかりだった。そのため、どうしても解釈上カットの位置やカメラワークの話になると、自分の想像力に頼るしかなく、分かりにくいものとなる。どうしてもその部分の解釈は理解しづらかった。

映画1つ取ってみても、いろいろな隠された意味があるんだなということが分かって面白かった。

読むべき人:
 映画が好き、何かと隠された象徴などの意味づをけするのが好き、フロイトなどの精神分析などが好き



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1. 本「映画の構造分析」  [ 月影の舞 ]   June 06, 2006 16:29

「映画の構造分析   ハリウッド映画で学べる現代思想」    内田樹:著    晶文社/2003.6.15/1680円 ハリウッド映画の物語分析を通じて、 現代思想のエッセンスを伝える知的エンターテイメント。 映画批評ではなく、映画を素材に使った 現代思想の入門書。

映画は「監督=神」からのメッセージではない。映画は多次元的な空間でありそこでは多様なエクリチュールが睦み合い、またいがみ合っている。『エイリアン』は歴史的な傑作。ストーリーラインの水準では「フェミニスト・ヒロイン」の冒険譚が語られる。…

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