June 10, 2006

青春漂流


青春漂流

キーワード:
 立花隆、インタビュー記、青春、落ちこぼれ、人生論、謎の空白時代
博覧強記の評論家、立花隆氏がさまざまな一流の特殊な職業の人々にインタビューし、どのように人生を送っていたのかが書かれた本。

最初に青春とは何かということが書かれている。
迷いと惑いが青春の特徴であり特権でもある。それだけに、恥も多く、失敗も多い。恥なしの青春、失敗なしの青春など、青春の名に値しない。自分に忠実に、しかも大胆に生きようと思うほど、恥も失敗もより多くなるのが通例である。
(pp.8)
そして、このような青春を送っている男たちにインタビューをし、どのように生きてきたのか、また迷ってきたのかということを語らせ、まとめたものらしい。

インタビュー対象の男たちは次の11人である。
  • 稲本 裕(オーク・ヴィレッジ塗師 32歳)
  • 古川四郎(手づくりナイフ職人 33歳)
  • 村崎太郎(猿まわし調教師 22歳)
  • 森安常義(精肉職人 33歳)
  • 宮崎 学(動物カメラマン 34歳)
  • 長沢義明(フレーム・ビルダー 36歳)
  • 松原英俊(鷹匠 33歳)
  • 田崎真也(ソムリエ 25歳)
  • 斉須政雄(コック 34歳)
  • 冨田 潤(染織家 34歳)
  • 吉野金次(レコーディング・ミキサー 36歳)
この本は約20年前の出版となっていて、各人の年齢はその当時のもの。また、フレーム・ビルダーというのは、競輪用の自転車職人のこと。

この11人全てに共通する人生の物語構造というようなものがある。
  1. 高校、大学を中退する
  2. とりあえず、何かの仕事につく
  3. その仕事で下積みする
  4. 仕事を変えてみたりする
  5. あるとき、今の仕事を極めてみたいと思う
  6. 必死で努力をする
  7. 海外に留学したりどこかに弟子入りし、その道の勉強をする
  8. 時間はかかったが、その道のプロフェッショナルとして高い評価を受けている
だいたいみなこのような構造を持っている。

みな、最初はおちこぼれで、それでも好きなことには人一倍努力をしていて、貧乏で失敗も多く不安だけど、なんとか生きてこれて、最終的には一流になっているという話。

それぞれの職人の専門的なことが垣間見れてとても面白い。例えばソムリエの田崎氏は、ワインの勉強のためにフランス語も分からないがとりあえず行ってみて、ワイン畑を歩き回ったりしたとか、動物カメラマンの宮崎氏は、タカなどの巣の写真を撮るために絶壁にぶら下がって何時間も待っていたりなど、その道を極めるために何を行っていたのかということも分かる。

みんな今は一流だけど、それまでにはかなり苦労しているんだなということが分かった。それと同時に、大学卒業後、会社員になるというような大多数の人がたどるような道とは全然違う生き方もあるんだなということが分かって面白かった。なんだか、そんなに人生を気負わなくても何とかなるんじゃないかということを感じた。

また、立花隆氏のこのようなインタビュー本として、『二十歳のころ〈1〉1937‐1958―立花ゼミ『調べて書く』共同製作』がある。これは、オウム真理教信者からノーベル賞作家まで幅広くインタビューし、その人たちが20前後のころにどう生きていたのかということがまとめられたもの。たぶん、『青春漂流』が少し影響していると思う。その証拠に、『青春漂流』のあとがきに書いてある空海の「謎の空白時代」が『二十歳のころ』のはじめにの部分に載っているから。

『二十歳のころ』の文庫版は元モーニング娘。のメンバーのインタビューも載っている。こちらもお勧め。

他の人がどのように生きていたのかということを知るのはとても面白い。自分自身、人生を計画的に生きようとしすぎているので、何もそんなに気負わなくてもいいんじゃないかと思い、気が楽になったような気がした。よい本だった。

アマゾンで評価を見てみたら、20レビュー中18が満点で2つが星4つの高評価だった。もちろん、自分も満点でお勧めする本。

あとぐぐったらこんな特集があった。
第71回 ソムリエ田崎真也さんらと語った『青春漂流』その後の20年 - 立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」

読むべき人:
  • 青春って何だ?と思う人
  • ありふれた人生とは違った人生を送りたいと思う人
  • どう生きていけばよいか不安でたまらない人



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