June 20, 2006

知に働けば蔵が建つ


知に働けば蔵が建つ

キーワード:
 内田樹、随想、ブログ、フランス現代思想、社会事象
フランス現代思想が専門の内田樹氏の著書。ブログ(内田樹の研究室)で綴られていたものが書籍になったらしい。そのため、何も金を払ってこの本を買わなくても、内容はほとんど読める。そんなことを知らずに買った。別にいいけど。

以下のような章立てになっている。
  1. 弱者が負け続ける「リスク社会」
  2. 記号の罠
  3. 武術的思考
  4. 問いの立て方を変える
  5. 交換の作法
1章はニート論などで、2章はブランド品を持つことはどういうことか、3章は、著者自身武道家らしくそこから身体論を含めていろいろあり、4章は、靖国問題、反日デモなどより日本の事象に関すること、5章は新聞ネタからいろいろ主張していることなどが書かれている。

文体は軽い感じがする。()を使っていろいろ少し言い訳がましい補足説明的な物も多い。フランス現代思想が専門なので、ニーチェとかオルテガ、フッサール、レビナス、レヴィ=ストロースなどいろいろ出てくるが、読めないこともない。

なるほどと思ったのが『宿命とは何か』というエッセイ。最初のほうに、ハウルの動く城などを例に、想像力の豊かさについて論じていて、想像力の豊かな人は、どのような人生を選んだ場合でも、多くの細部を具体的に想像する習慣からくる既視感を覚えるとある。そこでさらに印象的な部分を抜粋する。
 だから、当然にもその人は「想像した通りのことが私の人生において実現した」というふうに考える。
 ほんとうはそうではなくて、あまりにいろいろなことを縦横無尽に想像しすぎたせいで、何を経験しても「想像した通りのことが起きた」と感じてしまうような人間になってしまったというにすぎないのであるが、それでも、「自分の人生は何一つ思い通りにならなかった」と言い残して死んでゆく人間に比べて、どれほど幸福な人生であろう。
 強い想像力を備えた人は構造的に幸福な人である。
(pp.132)
勝手な解釈をすれば、よくないことを想像してしまい、それが本当になってしまっても、悲観する必要はないんじゃないかということか。よくないことも想像通りになったとしても、幸福だと思っておけということだと解釈しておこう。よくないことが最近起こりすぎているから・・・・。このエッセイの部分は、著者のブログを検索しても出てこなかったので、この部分のためだけにもこの本を買う価値があったと思う。

この著者の本を完全に理解するには、フランス現代思想が必須のような気がする。次は、『寝ながら学べる構造主義』でも読むか。

読むべき人:
  • 構造主義的な考え方が好き
  • 知的なエッセイが好き
  • 武道家の話が好き
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1. 知に働けば蔵が建つ(内田樹著)  [ CLASSICA - What's New! ]   June 21, 2006 00:01

●以前、内田樹著「街場の現代思想」をご紹介した。その後、驚異的なペースで内田氏の著作は増え続けていて、ポツポツとワタシもこれを追いかけてるんだが、毎度毎度似たようなことが書かれているのに、読むたびに目からウロコがボロボロ落ちまくる。今回の「知に働けば蔵が...

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