July 19, 2006

そうだったのか手塚治虫―天才が見抜いていた日本人の本質


そうだったのか手塚治虫―天才が見抜いていた日本人の本質

キーワード:
 中野晴行、手塚治虫、作品解説、日本人論、日本史、手塚作品入門書
手塚治虫の作品から日本人の本質を見出そうという本。著者のまえがきからそのことについて書いてある部分を抜粋。
ただ、この本の目的は「マンガ学」的に手塚マンガの研究をすることではない。あくまでも、手塚マンガをテキストとしながら時代と世相をあぶり出し、手塚を含めた戦後の日本人とは何だったのかを考えることにある。
(pp.6)
取り上げられている作品はかなり多い。有名なものを少し挙げると、鉄腕アトム、ジャングル大抵、リボンの騎士、どろろ、火の鳥、ブッダ、ブラック・ジャック、アドルフに告ぐなど他にもマイナー作品もいろいろある。

手塚治虫のデビューからその当時の日本の状況がどうだったのか、そしてその世相が手塚作品にどう影響していったのかということがよく分かる。例えば『どろろ』に関する部分。その部分を抜粋。
 百鬼丸とどろろの旅は、当時の日本人の心情と密接に重なっている。
 戦争で失ったものを取り戻すために、がむしゃらに働き続けた結果が、高度経済成長であった。しかし、高度経済成長が生み出した歪みが、公害であり、受験競争であり、仕事漬けの人生だった。戦争で失ったものを取り戻して、それ以上に物質的には豊かになったのに、ちっとも幸せではない。それは、本当の目的を見失っていたからだ。本当の目的とは「生きがい」である。
(pp.135)
こういうように解説されている。

この本は、手塚作品の入門書とも言える。約700作品ほどあるようだが、それらのどれを読むべきか迷ったときに、ガイドになると思われる。割と作品の解説も載っているので、何が描写されているのかということもよく分かって参考になる。まだ読んだことのない作品が多くあると分かった。

この本を読むと、手塚治虫という人は、世の中の出来事にとても敏感だったのだということが分かった。そして人間の根本的な、生きるとはどういうことかということなどを徹底して突き詰めていったのだと思われる。

ちなみに著者は、中学生のときに自作マンガを手塚治虫に送ったらしい。そしたらはがきで返事が来たようだ。人の真似はよくないといった内容だったらしい。

なかなか面白い本だった。日本史の勉強にもなった。

読むべき人:
  • 日本人論に興味がある人
  • 手塚作品の時代背景を知りたい人
  • 手塚作品を極めたい人
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