August 27, 2006

学問の力


学問の力

キーワード:
 佐伯啓思、学問、教養、主義、思想史、日本
現在学問全体が深刻な閉塞状況に陥っていて、それを打破するには日本の現状を文化的な側面から「故郷」となる「知」、「情」、「意」を認識し、それらを取り戻すことが重要という主張の本。以下のような内容となっている。
  1. 学問はなぜ閉塞状況に陥ったのか
  2. 体験的学問論―全共闘と教養主義
  3. 「知ること」と「わかること」
  4. 現代はなぜ思想を見失ったか
  5. 「保守主義」から読み解く現代
  6. 学問の故郷
どちらかというと、学問の歴史を論じで今の学問の現状を認識しようというのではなく、日本を取り巻く思想や社会情勢を関連させて今の学問の現状を認識していこうという内容。そのため、最初のほうは構造主義がどうのこうのといった思想史的なものが多いが、後半は戦争認識や現在進行形で起こっている日本のアメリカ追従の外交政策などの批判などに話が変っていく。学問とは何かといったことはほとんど触れられていない。

この本の主張が一番まとまっている部分を抜粋。
今日、学問が深刻な危機に陥っているという意味は、まさに、この内面の感受性を育て、その感受性に耳をすます余裕がなくなっている、ということです。知識のグローバリズムや覇権主義や競争主義や成果主義がますますその風潮に拍車をかけているのです。そのなかにあって、何とか、内面の感受性を取り戻すことが、これからの学問の重要な課題でしょう。したがって日本の学問というのは、日本人が自分のなかに日本人の宗教観や歴史観、美意識があることを見出して、それを「知」というものの拠点にすることから始めるほかないでしょう。学問には「故郷」はどうしても必要なのです。
(pp.281)
思想史や日本の歴史的な側面から論じられていて面白かった。それと同時に、自分が日本人として文化的素養を磨いていくことも重要なんじゃないかとも思った。

この本は語りおろしとなっているので、難しい文章や表現はほとんどない。ただ、やはり宗教や思想、歴史などの基本的な概念を理解していないと、さっぱり分からないと思う。

読むべき人:
  • 学問について感心がある人
  • 歴史や思想に関心がある人
  • 日本はこのままじゃダメだと思う人
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