December 14, 2006

ライト、ついてますか―問題発見の人間学


ライト、ついてますか―問題発見の人間学

キーワード:
 ドナルド・C・ゴース、G.M.ワインバーグ、問題の本質、発見、挿話、視点を変える
コンピュータ技術者、コンサルタントである著者らによる、問題について考えるための本。以下のような内容となっている。
  1. 何が問題か?
  2. 問題は何なのか?
  3. 問題は本当のところ何か?
  4. それは誰の問題か?
  5. それはどこからきたか?
  6. われわれはそれをほんとうに解きたいか?
これらのことに関して、挿話を基に日常で起こるさまざまな問題の本質的なことは何かということをしめし、そこから教訓が示されている。例えば、タイトルになっている『ライト、ついてますか』は、「トンネルのかなたのあかり」という挿話が基になっている。内容はこうだ。

ある山中の観光スポットの近くにトンネルが開通した。トンネルの設計技師は、トンネル内で運転手がライトをつけて安全に走れるように、前方にトンネルがあるのでライトをつけてくださいという標識を出した。それにより、どの運転手もライトをつけるようにはなった。しかし、そのトンネル後のパーキングエリアで、ライトを消し忘れてつけっぱなしにしていた車のバッテリーがあがるという問題が発生した。そこで、どうすればこの問題を解決できるかということを設計技師が考えるという挿話。この話では、運転手、技師、警官たち、自動車連盟などと問題に関わるであろう登場人物の中で、誰の問題であるのかということを考える必要があるとある。最終的には、技師がトンネルの最後に『ライト、ついてますか?』と標識を出すだけで解決できたという話。

それぞれの話の途中や最後に、問題に関して本質的に的を射ている格言のようなものが多く出てくる。どれもなるほどと思うようなことが多い。いくつか抜粋してみる。
  • 問題とは、望まれた事柄と認識された事柄の間の相違である(pp.15)
  • 問題の正しい定義が得られたかどうかは決してわからない、問題が解けたあとでも(pp.43)
  • すべての解答は次の問題の出所(pp.53)
  • キミの問題理解をおじゃんにする原因を三つ考えられないうちは、キミはまだ問題を把握していない(pp.56)
  • 問題の出所はもっともしばしばわれわれ自身の中にある(pp.118)
どれも著者の経験則的なものから導かれているような気がする。これらはどれも自分の経験と照らし合わせてみると、そのとおりだと妙に納得してしまう。

ページ数も少なく、アメリカっぽい変な挿絵が多く入っており、エッセイのような感じで気軽に読める。しかし、訳があまりよろしくない。原文が想像できるような日本語になっている。1987年初版、56刷発行なのでかなり売れているようだ。そろそろ改訂版が出てもいいような気もする。

一応技術書の分類にしたが、これは別にコンピュータの話がよく出てくるような技術書ではない。問題を考える上でのヒントになる部分が多く含まれていて、普通のビジネスシーンでも応用できる良書だと思われる。Amazonでの評価もかなり高いようだし。この本を読んで、問題を多面的に捉えることができるようになった気がする。

読むべき人:
  • SE、プログラマーなどの技術者
  • コンサルタントのように問題解決を仕事とする人
  • 教訓的な話が好きな人
Amazon.co.jpで『G.M.ワインバーグ』の他の本を見る



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