March 22, 2007

スティル・ライフ


スティル・ライフ (中公文庫)

キーワード:
 池澤夏樹、科学、株、静謐、青春
池澤夏樹の作品。この作家の小説は読んだことがなかった。以下にあらすじをカバーから抜粋。
ある日、ぼくの前に佐々井が現れてから、ぼくの世界を見る視線は変わって行った。ぼくは彼が語る宇宙や微粒子の話に熱中する。佐々井が消えるように去ったあとも、ぼくは彼を、遥か彼方に光る微小な天体のように感じるのだ――科学と文学の新しい親和。清澄で緊張にみちた抒情性。しなやかな感性と端正な成熟が生みだした、世界に誇りうる美しい青春小説の誕生。
(カバーより抜粋)
『スティル・ライフ』のほかに『ヤー・チャイカ』という短編も収録されている。

『スティル・ライフ』の読後の印象は静謐に尽きる。海岸の景色や宇宙の情景がすんなりとイメージできる。自分もそこにいるかのように。

主人公のぼくにとって佐々井という人物は一回りも大きな、そして異質な存在なのだと思う。ぼくは佐々井の生き方に影響されていくのだと思う。佐々井は、タクシーで運べるほどのものしか家に持っておらず、身軽で、天体の写真を所有する自由な存在として描かれている。そして佐々井には金が必要になり、ぼくに株でもうけるように持ち掛ける。それから見えてくる景色が変わっていくようだ。

『ヤー・チャイカ』は「わたしはカモメ」という意味。女子高生とその父、ロシア人との交流を描いている。

著者は理系出身なので、地学、宇宙、システム的な描写も多く出てくる。それが文体に深みを持たせているような気がした。

静かに情景を思い浮かべられる環境で読むのがよいと思う。

読むべき人:
  • 静謐な作品が好きな人
  • 青春小説が好きな人
  • 科学的な薀蓄が好きな人
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