May 05, 2007

方舟さくら丸

方舟さくら丸

キーワード:
 安部公房、地下、採掘場、核戦争、サクラ、演劇
安部公房の長編作品。あらすじをカバーより抜粋。
地下採石場跡の巨大な洞窟に、核シェルターの設備を造り上げた〈ぼく〉。「生きのびるための切符」を手に入れた三人の男女と〈ぼく〉との奇妙な共同生活が始まった。だが、洞窟に侵入者が現れた時、〈ぼく〉の計画は崩れ始める。その上、便器に片足を吸い込まれ、身動きがとれなくなってしまった〈ぼく〉は―。核時代の方舟に乗ることができる者は、誰と誰なのか?現代文学の金字塔。
(カバーより抜粋)
主人公はモグラと呼ばれているような太目の男で、もしものときに備えていたシェルターを方舟ととらえ、その方舟の船長となろうとしていた。そこで乗船仲間を探そうとしており、たまたま立ち寄ったデパートの屋上でユープケッチャという完全に自給自足的な生態をする昆虫と出会い、そこから昆虫屋、サクラ、サクラの連れの女が乗船券を手にしていく。

そして地下の採掘場で繰り広げられる、事件、地下の閉塞状況での心理描写などが続く。

正直そこまで面白いとは思わなかった。しかし、毎度のこと著者の人の心理描写などはすごいなと思う。まるで演劇を見ているような感じがした。物語は淡々と進む。どこかで物語が大きく変わるわけではない。

舞台はほぼ地下の中だけで進む。描写も緻密だ。工具、地下の図面、改造銃、ボウガン、対侵入者用のわななど細かい描写が臨場感を与えている。

読後感は他の作品に比べて絶望的ではなく、どちらかというと虚無的である。題名のとおり、サクラ、茶番劇なのかもしれない。

読むべき人:
  • 地下が好きな人
  • 昆虫が好きな人
  • 心理戦が好きな人
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