July 15, 2007

差がつく読書


差がつく読書

キーワード:
 樋口裕一、読書法、読むべき本、実読、楽読
小論文添削の専門家であり客員教授である著者による読書論。高校生のときに小論文対策としてこの著者の『読むだけ小論文』など読んだことがあった。他にも新書など読んだことある。そんな著者によるどのような本を読むべきか、どのように効率よく本が読めるかが示されている。読書論の中でもかなりよくまとまっており、間違いなく良書。

まず読書には『実読』と『楽読』の2種類のものがあり、実読は何かに役立てようとする読書で、楽読は楽しみのためだけに読む読書とある。そしてこの2つの読書をバランスよく行うことで地に足をつけた上で、深く考えることができ、現代社会でビジネスを行うにはこの2つは欠かせないものであると主張されている。ここはもっともだと思った。ビジネス書や技術書だけを読んでいると、人生とか内面の充実が不足し、かといって文学作品や思想書ばかり読んでいても現実社会から遊離してしまう。だから自分もジャンルを絞って読むのではなく、バランスよく読むようにしている。

実読の解説部分は小論文添削の専門家らしく、論旨の展開を重視した読み方が多い。また、本を全て読む必要はなく、精読するものとそうでないもをしっかり分けるべきとある。さらに、精読は多読を通して本の面白さを知ってからするべきとあってなるほどと思った。ここは自分が速読をして多読をする裏づけになる。また部分読でざっと読む方法が5つ示されている。
  1. アリバイつくり読み
  2. 独立読み
  3. 裏づけ読み
  4. 飛ばし読み
  5. 斜め読み
アリバイつくり読みとは、目次、前書き、後書きだけを読んでとりあえず読んだ口実作る読み方らしい。他はいろいろな読書論に語られている内容と大差はない。必要に応じて効率よく情報収集するのに役立つ。

また、実読後はその内容を情報発信して初めて意義を持つということから、本の内容を人に受け売りしたり読後感をまとめるとよいとある。本格的な読後感をまとめるときは千字から二千字程度で型を応用するとよいとある。以下にその部分を抜粋。
★第一部・・・・・・どんなきっかけでその本を読んだか書く。「人に勧められて読んでみた」「書評を読んで興味を持った」「図書館でたまたま見つけた」などだ。
★第二部・・・・・・本の内容を簡単に要約する。あるいは、もっとも気になった部分、最も感銘を受けた部分を示す。
★第三部・・・・・・その本から得たのがどのようなことか、どんなところがおもしろかったかなどを書く。
★第四部・・・・・・全体のまとめや、本全体についての評価。
(pp.100)
この部分は書評を書くときにとても参考になる。自分も書評を書くときにこれとほぼ同じような構造を意識して書いている。なので、自分の書評スタイルはそれほど間違ってははいないようだ。

楽読の部分では、好きな作家を一人追いかけていくべきで、徐々に読む範囲を広げていき、結果的に教養が高まってくると示されている。そして文学作品の鑑賞のポイントとしてストーリー、人生観、文体、テクニック、時代背景などの楽しみ方が示されており、どれも参考になる。

最後の章では著者が感銘を受けてきた100冊が紹介されている。古典文学作品から社会学系の作品まで幅広い。こういうのはとても参考になる。どのような本を読んできたから今のような仕事をしているのか、また考え方に至ったのかがよく分かるから。

あと、実読の心構えとして全ての本は良書であると考えることだある。どんな本もさまざまな読み手によって価値が見出され、それが良書になるようだ。そのため、書評サイトなどで神のごとく本の優劣を断定している行為は傲慢であると示されている。
きとんと自分の背丈にあった本を探して買うのが、読者の務めだと、私は思う。
 本について語るからには、あらゆる本に愛情を持つべきだと私は考えている。そうしてこそ、本を批判する資格を持つと思うのだ。
(pp.21)
ここは自分もそのとおりだなと思う。だから自分の書評ブログではよほどひどい本以外は肯定的に取り扱うようにしている。今後もここは戒律のごとく自分の内にとどめておこうと思った。

いつも自分の読み方はこれでいいのか気になるので、読書論をよく読む。速読するべきか、スローリーディングがよいのか。また、読書の意義を再発見するために。著者のように幅広く読んでいる人に触発されて、自分ももっと読みたい気にさせてくれる。これを機に一気に加速度をつけて博覧強記を目指すか。

この本はかなりバランスが取れており、良書なので、一読をお薦めする。

読むべき人:
  • 本の読み方について知りたい人
  • 本は全て読まなければならないと思っている人
  • どのような作品を読めばいいか知りたい人
Amazon.co.jpで『樋口裕一』の他の本を見る

にほんブログ村 本ブログへ bana1 役に立ったらクリック!!



トラックバックURL

トラックバック一覧

1. 差がつく読書  [ 読書と時折の旅 (風と雲の郷本館) ]   March 01, 2008 10:14

 私は、活字中毒の気があるのか、暇さえあれば、本を読んでいる。読みたい本があまりにも多いので、なんとか限られた時間で速く読みたいと思い、読書法に関する本もよく読む。今日紹介する「差がつく読書」(樋口裕一:角川書店)もそんな読書法について述べた一冊である...

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星