July 16, 2007

若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか

若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか
若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか

キーワード:
 渡邉正裕、会社、キャリア、カルチャー、大転職時代
日経新聞、IBCSと渡り歩いてきた著者による有名企業の企業文化を社員のインタビューによりまとめられた本。自分の就職活動時には、『これが働きたい会社だ 社員が教える企業ミシュラン』がとても参考になったので、同じように他の企業はどのようなカルチャーがあるのかなと気になったので読んでみた。

この本の成り立ちは著者の就職活動時に企業選びの基準が不明確だったことと、新聞社時代でのキャリアの築き方に対する不満があったことにより、企業の内部事情を示し、自分にあった企業を選ぶときの助けになるように書かれている。以下の12の指標で有名企業が分類され、解説されている。
  1. 転職力が身につくか
  2. やりたい仕事ができるか
  3. 社員定着率は高いか
  4. 英語力を活かせるか
  5. 働く時間に納得できるか
  6. 社員の人柄は自分に合っているか
  7. 社内の人間関係は心地よいか
  8. 女性は活用されているか
  9. 報酬水準は高いか
  10. 福利厚生は手厚いか
  11. 評価に納得性はあるか
  12. 雇用は安定しているか
ざっと取上げれている会社を挙げると、日本IBM、ソニー、リクルート、NEC、マイクロソフト、外資コンサル、外資金融、三菱商事、ヤフー、サントリー、三井物産、テレビ局各社、新聞社、楽天、JTB、富士通、電通、トヨタ、日産、NTT東日本、NTTドコモ、野村総研、野村證券、JAL、ANA・・・・といろいろ。

それぞれの指標をマトリックス上に図示されていて分かりやすい。自分が気になった部分は、『転職力が身につくか』と『働く時間に納得できるか』、『報酬水準は高いか』の部分。

転職力が身につく分かりやすい見分け方として、「平均年齢が若い」、「人材を輩出している」、「規制なし&軽薄短小企業」の企業が該当するようだ。3つの円によるベン図のちょうど中心にリクルートが位置している。平均年齢が若いのがいいのは、若いうちから多くの仕事を任せてもらえるからであるようだ。逆に長期安定志向の場合は、鉄道、航空、ガス、電力などインフラ企業、金融、自動車、電気メーカーがよいらしい。規制に守れらて競争が少なく、年功序列的な会社が特徴だ。しかし、30歳になっても社内でしか通用しないスキルしか身につかないところもあるので、転職先がないという実態もあるようだ。

『働く時間に納得できるか』の部分では、若いうちからより付加価値の高い仕事ができるかどうかで今後の収入が変わってくるということが示されている。その部分を抜粋。
 今後、確実に、労働の「市場化」は進む。これは、労働の付加価値と、それに対する報酬が、グローバル規模の市場原理で決まるようになる、ということだ。ホワイトカラー業務でも、プログラマーなどはインド人や中国人と戦わねばならない。
 そういったなかで、働く時間を短くしたい人の報酬は、二極化に向かう。一方は、フリーターのように低付加価値業務を、時給でやりつづける人。もう一方は、時間単価が高い仕事ができて、短時間でも高収入をもらえる人。
 後者は、若い段階に"詰めこみ仕事"を1度は経験し、キャリアを上積みしないかぎり、不可能だ。幸運なことに、日本は、ラクをした人が報われるような社会には、向かっていかない。投資対効果は、若いうちほど高いので、短時間勤務を目指す人は、若いうちに成果主義の会社で自分の時間を投資し、キャリアの上積みに励むのがよい。
(pp.154)
やたらと読点が多い文章だが、そのとおりなのかなと思う。幸い自分は成果主義的で、成長スピードの早い組織に属しているので、よいほうなのかなと思う。いつまでそこで働けるか分からないけど。しかし、そのような成長を目指すにはしっかり勉強し続けなければならない。

あとは報酬水準のところ。他の業界、企業はどの程度の年収がもらえるのかが分かって参考になった。「ガチンコ」勝負エリアにある外資コンサル、外資金融は破格だなと思う反面、やはりそれだけの能力があり、仕事としてアウトプットできるからその額になるのだと思う。逆に新聞、放送局は規制に守られており、競争もないので、使えない社員でも年功序列的に破格の報酬を得ていることが示されている。著者の新聞社時代の経験から、新聞社は腐った業界だと断罪している。確かに新聞に対して自分もいろいろ思うところがある。ろくな記事を書かずに国民を馬鹿にしているようなものもあるので一度淘汰されるべきじゃないかと思わないでもない。

著者は後書きで一生サラリーマンを続けるのは損な時代だと述べている。この本を読むだけと、最高の企業というのはないのではないかと思えてくる。どこまで本当なのかは自分では完璧に判断できないが、各企業の社員にインタビューして解説しているので、信憑性は高いと思う。そう考えると、本当にサラリーマンをやっていれば搾取されるだけで、人生楽しくないのではないかと思えてくる。結局、自分は何を目指してどこまでたどり着きたいのか、何を人生で優先するのかということを自分で決めて、現状に折り合いをつけて妥協したりしていくしかないのかなと思った。

この本で挙げられている企業は、一部上場企業や有名企業である大企業ばかりである。世の中の9割9分の会社は中小企業であるということを考えれば、これらの会社に所属するというだけで、ある程度まともなんじゃないかと思う。昨今はワーキンブプアとかまともに正社員なれない人もいるというのだから。

企業によってカルチャーや評価制度、報酬がここまで違うものかということが分かって面白かった。その反面、自分は今の会社に入れてよかったなとも思った。そんなことも再確認した。そうはいっても、会社や世の中がどうなっても生き延びられるだけの能力を必死で身につけようとも思った。

読むべき人:
  • 就職活動中の人
  • 会社選びを間違えた人
  • サラリーマンが嫌な人
Amazon.co.jpで『渡邉正裕』の他の本を見る

にほんブログ村 本ブログへ bana1 ランキングへ



トラックバックURL

トラックバック一覧

1. ミスマッチを避ける新卒者のための会社選び  [ 専門家や海外ジャーナリストのブログネットワーク【MediaSabor メディアサボール 】 ]   August 20, 2007 10:31

“今の会社に一生勤めたい”(45.9%) これは、財団...

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星