September 09, 2007

努力論

努力論 (ちくま新書)
努力論 (ちくま新書)

キーワード:
 斎藤兆史、努力、精神論、偉人伝、修行
英語が専門の准教授による努力についての本。『しばらく日本人のなかで眠っていた勤勉の遺伝子を活性化し、発言させること』を目的として書かれている。立志編、精進編、三昧編、艱難編、成就編の5章立て。

努力がなぜ必要かといったことや努力の過程などが過去の偉人を例に挙げて語られている。線を引く部分がかなり多かったので少し引用を多めに書評。

まず何かを成し遂げるには意欲がなければならないとある。そして努力目標は高いほどよいとあり、「棒ほど願って針ほど叶う」ものだと示されている。だから大きな目標でなければ針ほど叶ったときの達成感が得られないようだ。

精進編では努力を続けるときの「型」について示されている。何か習得するときには学の語源である「まねび」を実践する必要があるようだ。それが型であり、型は長い時間をかけて結晶となった知恵の塊であるようだ。

努力をするためには時間を効率的に使い、毎日目的達成のために精進しなければならないとある。時間の価値という部分でなるほどと思った部分を恣意的に抜粋。
 時間だけは万人に平等に与えられている、というような言い方がなされることがある。たしかに時計や暦で計られる時間の長さは、誰にとっても同じかもしれない。だが、寿命の違いだけ見ても、かならずしも時間は平等に振り分けられていはいない。
 (中略)
 人の一生もまた、生物として生きた長さではなく、その人が天から与えられた時間の中でどれだけ価値のある仕事をしたかで計られるべきものだ。
 (中略)
 我々は、みな充実した人生を送りたいと願っている。そして、それができるかどうかは、どれだけ有効に時間を使えるかどうかにかかっている。まして、大きな目標を立てて精進しようとする人間にとっては、時間の使い方は成功への鍵だと言ってもいいだろう。まずは、時間を無駄遣いしない心掛けが大切である。
(pp.80-82)
これはもっともだと思った。最近いつも自分が考えていることがそのまま載っていたので、自分の考え方の裏づけになったと思う。そして、何も成し遂げられずに無為な100年を生きるよりも、偉業を成し遂げられ充実した50年を生きたほうが自分にとって価値がある。自分の寿命はまず平均寿命までいかないだろうという予感もあるので、時間があまりなく無性に焦る。

三昧編では、過去の一流の偉人は努力を努力として認識してやっているのではなく、すさまじい努力を日常的に埋没させてやっているので、努力の「苦労」を意識化していないようだ。そこまでやらなければ努力をしていることにはならないというような主張があり、厳しいなぁと思った。例えば、福沢諭吉の逸話で、諭吉はいつも日々の勉強の合間に机で寝ていたので枕が不要だったそうだ。あるとき病気になって布団で寝ようと思って枕を探したけど、なかったのでそれは枕をして寝たことがなかったからだと気づいたようだ。

また訓戒になりそうな部分を抜粋。
 自分はこんなに頑張っているのにどうして誰も認めてくれないのだろうと嘆いているようでは、いつまで経ってもその先に進むことはできない。誰も認めてくれないこと自体が努力不足の何よりの証拠なのである。本当に努力をしている人は、天知る、地知るで、早晩かならず人目に留まる。人に認められないことがつらいなら、認められるまで努力をすればいいだけの話しだ。
(pp.108)
心にとどめておこう。

艱難編では、努力の過程で苦しいときに見舞われるときに、どう対処するかが示されている。また抜粋。
 もちろん、苦難が面白いわけではない。だが、それが目の前に立ちふさがっている以上、逆境を嘆いているだけではどうにもならない。先に進むには、気合を入れ直してそれを乗り越えなくてはいけない。どうせ気合を入れるなら、苦難を克服することによって自分が人間的に大きくなる過程を楽しんでやろうというくらいに明るく開き直ってしまうにかぎる。
(pp.130)
また、過去の偉人は病に侵されようとも苦難に見舞われても自暴自棄にならず最善を尽くして乗り越えてきたようだ。自分も頑張ろうと思った。

著者の趣味である将棋の偉人や漢語辞典作者、幸田露伴、福沢諭吉、新渡戸稲造、鑑真などさまざまな人物が出てくる。それらの偉人が何を成し遂げようとして、どのように努力をしてきたのかが読み物として単純に面白かった。

自分もまだまだ努力が足りないのではないかと思った。最終的には三昧の悟りの境地まで達することだなと思った。その過程としてこの書評ブログがある。一冊一冊こつこつと積み上げていかなければならない。

読むべき人:
  • 努力が好きな人
  • 成功者になりたい人
  • 楽して生きたいと思う人
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