September 30, 2007

一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方


一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方

キーワード:
 佐々木正悟、やる気、脳、心理学、エネルギー
やる気について書かれた本。モチベーションに関する本はいろいろあるが、この本は以下の点で違うと示されている。
それは、「やる気を出したい」と多くの人が思っているにもかかわらず、実際にはそれが思うに任せない、その合理的な理由を明らかにしている点です。
(pp.5)
本書ではやる気に対して一般的思われていることが幻想である部分があると示している。例えば、やる気があれば何でもできるという万能論がある。スポーツにおける能力差や貧富の差はやる気のない状態による努力不足であるとよく言われるが、そのような生まれつきのような能力差、現実の不平等はやる気だけでは超越することはできないと。また、この本で一番示したいことは、「やる気は自分の自由になる」というものは幻想でしかなく、「やる気」は自分の自由にはならないということのようだ。

やる気が自分の自由にならないのは、無意識の「脳」と主格である「私」のやる気に対する領域が違うからであり、「私」はやる気を自由にコントロールできないようだ。なぜなら、やる気は脳内物質の産物で有限であり、そのエネルギーを使い果たして身体に悪影響を与えないようにするために脳が自動的に節約しているかららしい。これはもっともなことだなぁと思った。そしてその節約が効かなくなっている状態が精神障害という病になるようだ。

このメカニズムを知り、自分がやる気になれないのは自分の気持ちが足りないからだと思った反面、本の後半に載っている、うつ病や慢性疲労症候群、不安障害、躁うつのどれかに当てはまるのではないかと心配にもなった。

同じような仕事でも自分のためにやる仕事よりも他人のためにやる仕事のほうがやる気が出るようだ。これは承認欲求を満たされるかららしい。逆に承認欲求を満たされない状況に陥ったとき、人は凹むようだ。凹んだときは他の人から承認を得るとよいらしく、友達に愚痴を言ったりしておしゃべりをするとよいらしい。また、愚痴る相手がいない場合は、運動がよいらしい。飲み会で仕事の愚痴を言うのは脳にとってよいことのようだ。あまり他人に愚痴を語るということはポリシーに反すると思っていたが、飲み会のときに少し愚痴ってみることにしよう。

参考になったのはやる気という視点から見た、人間関係で採るべき戦略について。以下の2点に尽きるようだ。
  1. 「承認」してくれる人を大事にする
  2. 「承認」してくれそうもない人の「承認」を求め続けない
誰だって自分を否定する人は嫌いで、自分を肯定してくれる人を好きなるということで。自分はよほどのことがない限り、他人を否定しないし、なるべくポジティブに接するようにしている。そういった面で、この他人の承認を得るギャンブルにそれなりに勝っているような気もしないでもない。

そしてさらに参考になった部分が、内発的動機と外発的動機についての部分。内発的動機が自分の内から沸いてくる純粋な動機であり、外発的動機が自分の外の環境であったり報酬であったりするもので、よくある仕事論では内発的動機が重要視されるべきだとある。しかし、著者はその意見に反対で、どちらがよいか悪いかということではないとある。そしてイチローが渡米して大リーグで野球をやっているのは外発的動機に他ならないと。なるほどなぁと思った。内発的動機だけで何でもうまくいくわけないよなぁとなんとなく思っていたので納得。外発的動機のほうが単純で分かりやすいし、それでいいんじゃないかと思う。

脳がやる気を出す条件は以下の3つらしい。
  1. 緊急事態
  2. 社会的意義のある行為
  3. 「やる気」を投入すれば、十分なリターンが見込める行動
そして仕事などでやる気を出すためには、あるタスクの作業内容を分割し、その締切時間を設定し、プチ緊急時を作り出すと脳がやる気を供給してくれるようだ。また、すぐにやる気を出す方法として、作業時間を正確に見積もることが重要なようだ。脳はいつ終わるかよくわからないものにはやる気を供給してくれないので、しっかり見積もることでその分のやる気を脳が供給してくれるようだ。これは実践してみようと思った。

やる気を回復させるためにも睡眠は重要なようだ。徹夜や睡眠不足はやる気を大きく損なうようだ。なので、月に100時間近くも残業するという生活はやはり健全ではなく、過労やうつ病になってもおかしくはないなぁと思った。自分の最高は80時間くらいだが。

また、やる気を管理する脳が壊れるとうつ病や慢性疲労症候群、不安障害、躁うつに陥ってしまうようだ。こうなれば自分で何とかできるものではないので、治療が必要らしい。

著者は心理学者であり、一般的な精神論を語っていないのでなんだか納得できた。自分のがやる気がないのは脳のせいのようだ。

イラストがところどころ載っており、学術用語もそこまで多くないので気軽に読める。ただ気になるのは、表紙がさめた青色であること。やる気、情熱、モチベーションのイメージカラーはやはり赤色なので、タイトルと表紙がかなり不一致な気がして残念だ。

全体的には結構納得して読めたのでよかった。特にやる気に対する幻想から解放されたことは大きい。

読むべき人:
  • やる気が出ない人
  • やる気にあふれすぎている人
  • 精神論が好きな人
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