November 07, 2007

勝手に絶望する若者たち


勝手に絶望する若者たち

キーワード:
 荒井千暁、世代論、ロストジェネレーション、仕事、就職氷河期
産業医という立場から25歳から30代半ばの世代を仕事という側面から論じている本。いわゆる就職氷河期世代とか無気力世代、バブル入社世代とか超売り手市場世代などいろいろあるが、それらが気になったので読んでみた。以下のような内容となっている。
  1. 若い人たちの離職理由と「世代」
  2. バブルに翻弄された世代
  3. 働くことと人材育成教育
  4. 未来を夢想するより、現在の直視を
  5. 産業医からのメッセージ
正直、全体的にぴんとこなかった。完全に読解できていないという側面もないではないが、結局この本の主張は何?ということがいまいちわからなかった。

まずぴんとこなかった理由は、この記事を書いている現在、自分は23歳である。そのため25歳から上の世代の境遇を実感するということができないので、ここで示されていることの深刻さがわからない。それに関連する部分を抜粋。
現代の新入社員、つまり2006年と2007年に入社した人たちは、それより上の世代と明らかに異なっているという印象があります。ひとことでいえば、数年前に見られたシラーっとした感じがなく、総合的に〔デキる〕のです。バランスがよいのでしょうし、気になる歪みがほとんど感じられません。年相応のオトナらしさを伴っているのだろうと、わたしは理解しています。
(pp.143)
これはなんというか、上の世代が悲惨だと散々いろいろなところで報道されてきた反動ではないかと思う。だから自分は大学時代に必死になって勉強して、就職時にあぶれないようにした。そういう危機感が自分の世代に共通して持っていたのではないかと思う。

あと、このような世代論はどうしても集合の一部をサンプリングしてあたかもそれが全体の共通認識であるように論じられがちである。本当に世代全体がある共通の特性を共有しているのだろうか?部分集合を全体化して論じているだけではないか?という部分に気をつけなければならない。だから、一言に自分の世代をひとくくりされてしまうことにいつも違和感を覚える。

少なくとも、若者と称される自分は、勝手に絶望してはいない。誰が絶望しているのか、勝手にとはどうゆうことか、それらがいまいち示されていない気がする。もし若者が絶望しているというのなら、それは若者が勝手にではなく、遠く離れた上の世代から意図的に絶望させられているというのが本質ではないかと。若者という世代は結局上からの負の遺産を押し付けられる世代なんだから。

実際にカウンセリングした少数のサンプルだけで世代間を論じて傍観しているだけのこの本は、ではそこからどう対処するかという本質が完全に抜け落ちている。
 働いていようといまいが、わたしも、わたしたちの世代も、それより上の世代も下の世代も、若い人たちをを救うことはできません。生きてきた環境から派生するはずの価値観が大きく異なっている以上、救うなどとい概念を持つこと自体が誤っているのでしょうし、不遜なことです。自らの力で歩け、という他はないのです。
(pp.151)
こんなことを言われたら、就職氷河期世代はかなり反発するだろうなぁと思う。大局的に日本をだめにした元凶はどこにあるんだろうか?そんなことも考えてしまう。

この手の本は世代論を考えるにはよいかもしれない。けれど、ではその問題をどう対処するかということはいつも抜け落ちている気がする。

あと、自分と同じ世代の人はどう考えているのか?ということが気になった。

読むべき人:
  • 就職氷河期世代の人
  • 世代論を考えてみたい人
  • 自分の望んだ未来が手に入っていない人
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1. 『勝手に絶望する若者たち』  [ ビジネス書の厳選情報を毎日お届け 「ビジネス・ブック・マラソン」 バックナンバーズ ]   February 15, 2008 10:15

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344980506 突然ですが、みなさんは「産業医」という仕事についてご存知でし ょうか? 土井もつい最近、産業医の方の出版コンサルティングをさせていた だくまで、その実態がわからなかったのですが、この産業医という 職業、じ...

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