November 10, 2007

ひとり日和


ひとり日和

キーワード:
 青山七恵、ひとり、フリーター、日常生活、モラトリアム
芥川賞作家の小説。自分と同世代の作家というのはやはり気になるもので。

簡単にあらすじを。

主人公知寿は、高校卒業後東京でフリーターをすることになる。そのとき母から71歳になる親戚、吟子の家に居候を進められる。知寿の恋愛、吟子との生活、そしてフリーターから正社員となるまでを1年の季節を通して綴られている。

読了後、なんともいえない感覚が残った。あまりにも普通の日常だなと。何か大きな出来事があるわけではない。知寿が駅のキオスクで出会った男との恋愛、そして別れ、また吟子のダンス仲間であるホースケさんと吟子の中を淡々と描いている。

知寿と吟子の何気ない会話の描写が特に巧いと思った。

自分と同じ世代の感覚というものがあるとしたら、それは以下のようなものだろうなと思った。
 できればこのまま若く、世間の荒波にもまれず、静かに生活していきたいが、そういう訳にもいかないだろう。それなりの苦労は覚悟しているつもりだ。わたしは、いっぱいの人間として、いっぱしの人生を生きてみたい。できるだけ皮膚を厚くして、何があっても耐えていける人間になりたい。
 将来の夢、というのや、人生をかける恋、など、何も思い描けなくても、そういう望みのようなものだけはうっすらとあるのだった。
(pp.49)
このような感覚を、日常生活を淡々と描写することで表現しているのが評価されたのではないかと思った。一見凡庸で自分にも書けそうだと思える内容だが、知寿と吟子の関係や知寿の微妙な葛藤や、正社員になるまでのモラトリアムはそう簡単には書けるものではないのかもしれない。

とりわけ面白いものではない。けれど、知寿が社会人としての覚悟を少しずつ決めていく過程で共感できる部分もあったと思う。

読むべき人:
  • フリーターの人
  • 何気ない日常を大切にしたい人
  • 猫が好きな人
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