December 11, 2007

ウェブ人間論


ウェブ人間論

キーワード:
 梅田望夫、平野啓一郎、ウェブ、アイデンティティ、人間論
Web2.0の伝道師と小説家の対談本。『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』を読んだときに、あちら側とはそういうことなのか!!と衝撃を受け、また最近梅田氏の本が出たので、そちらを読む前にこっちをチェック。本当は半年以上積読状態だったんだけど・・・。

人間論とタイトルについており、内容が幅広い。おわりに梅田氏が端的にこの本の内容を表している部分があるので、そちらを長めに抜粋。
 ところで『ウェブ人間論』というタイトルの本書は、「ウェブ・人間論」と「ウェブ人間・論」との間を往来していると言える。
 ウェブが広く人間にどう影響を及ぼしていくのか、人間はウェブ進化によってどう変容していくのだろうかという意味での「ウェブ・人間論」。
 グーグル創業者や世界中に散らばるオープンソース・プログラマーのようなウェブ新世界を創造する最先端の人々、ウェブ進化とシンクロするように新しい生き方を模索する若い世代、そんな「ウェブ人間」を論ずる「ウェブ人間・論」。
 この二つ「論」が「クモの巣」(ウェブ)の放射状に走る縦糸と同心円を描く横糸になって、本書は織り成されている。そんな視点から改めて本書を眺めていただくのも一興かと思う。
(pp.202-203)
結構満足して読めた。ところどころ線を引いた。なんというか、自分がなんとなく考えていたことが示されている部分に。それなりに多いので、一箇所だけまた長めに抜粋。
梅田 ネットの魅力の感じ方って、リアルな空間での自分の恵まれ度に反比例すると思うんですよ。リアルの世界で認められている人やいい会社に勤めている人たちに、いくら僕がネットは面白いよと話してもなかなかわかってもらえない。日本のいい会社はいいコミュニティでもありますから、給料の多寡の問題でなく忙しく働き、嫌で仕事しているんじゃなくて、楽しいでしょう。そこにいる人に「ネットでこんなことが起きているんですよ」って話しても、リアルで完全に充足してるから、別の世界なんて必要としていないわけですからね。
平野 実際にネット参加者でSNSやブログをやってる人たちの年収とか職業満足度とかを調査したら、満足してない人たちの方が多いんですかね?
梅田 そう思います。満足の定義にもよるけど、例えば学生を含めて若い世代って、現状に満足できず、何かを求めていつも某かの飢餓感があり、不安や焦燥感を持っている。会社に入ったら、入ったで、若いうちは皆、今の会社で自分はいいのか、という不安にかられているでしょう。
(pp.70-71)
ここなんかまさにおっしゃるとおり!!と思った。個人的な話をすれば、やはり自分がブログをやったり、このように書評ブログを書いているのは、リアル空間では満足し切れていないからというのがある。読書なんてただ誰にもひけらかさずに淡々と読んでいればいいと思っていたけど、それを披露する場がなければ、その価値は誰にもわかってもらえない。言ってみれば、ネット空間で承認欲求を求めているというのが本音だと思う。虚栄心みたいなものもある。リアル世界では自分は何にどれだけ関心があって何を読んでいるかをまったくといっていいほど語らない代わりに、ネット上の分身としてどれだけ自分は世界のことに関心を持っているかということを示すために。もちろんそれだけでなく、単に自分が何に興味を持って考えてきたのかという履歴を残すためという側面がメイン。

また、ブログをつけていくことで、梅田氏は自分のことを再発見したとあった。例えば、読んだ本の一部を抜き書きしたりするのって本当に幸せだとか。そして常にネットにどっぷりつかっている生活をしているようだ。ここも共感できた。

梅田氏はウェブ技術を第一に考えている、あちら側の人という印象に対して、小説家である平野氏はより一般人的な感覚を大事にしている印象を受けた。例えば、梅田氏はネットで膨大な情報を得ることで頭がよくなっていき、量が質に転化するという考えに対して、平野氏は、どれだけネット情報を多く得ても自分で考える時間が必要で、ネットで十万字哲学について読むのと、哲学書の原書を一冊読むのとはぜんぜん違い、ネットで何時間も費やした後は、本を何時間も読んだ充実感はないと。両氏の言うことは自分はどちらも同意できる。程度問題と思うけど。

他にも、ネット時代の教養の話や、Amazonにみる出版、本の媒体の行方の話なども面白かった。

この本は『ウェブ進化論』ほど技術的なことが書いてあるわけではないので、平野氏の人文思想系の話以外はすんなり受け入れられると思う。

読むべき人:
  • ウェブの現象を知りたい人
  • ブログをやっている人
  • 情報はネットと本どちらが上かという議論に興味がある人
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1. 梅田望夫,平野啓一郎『ウェブ人間論』  [ itchy1976の日記 ]   May 01, 2009 09:19

ウェブ人間論 (新潮新書)梅田 望夫,平野 啓一郎新潮社このアイテムの詳細を見る 今回は、梅田望夫,平野啓一郎『ウェブ人間論』を紹介します。平野啓一郎氏がwebに対する疑問を梅田望夫氏に尋ねているという対談形式をまとめたものが本書なのであろうか。webの広がりというか...

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