March 22, 2008

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書 (708))
3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代

キーワード:
 城繁幸、働き方、アウトサイダー、昭和的価値観、多様性
前著、『若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来』の著者による、昭和的な働き方の価値観に対するアンチテーゼを示す本。キャリア編、独立編、新世代編の3部構成となっている。昭和的価値観を全て目次から列挙してみる。
  1. 「若者は、ただ上に従うこと」―大手流通企業から外資系生保に転職、年収が20倍になった彼
  2. 「実力主義の会社は厳しく、終身雇用は安定しているということ」―新卒で、外資系投資銀行を選んだ理由
  3. 「仕事の目的とは、出世であること」―大新聞社の文化部記者という生き方
  4. 「IT業界は3Kであるということ」―企業ではなく、IT業界に就職したという意識を持つ男
  5. 「就職先は会社の名前で決めること」―大手広告代理店で、独立の準備をする彼
  6. 「女性は家庭に入ること」―女性が留学する理由
  7. 「言われたことは、何でもやること」―東大卒エリートが直面した現実
  8. 「学歴に頼ること」―会社の規模ではなく、職種を選んで転職を繰り返し好きな道を切り開く
  9. 「留学なんて意味がないということ」―大手企業でMBA取得後、安定を捨てた理由
  10. 「失敗を恐れること」―大企業からNFLへ
  11. 「公私混同はしないこと」―サラリーマンからベストセラー作家になった山田真哉氏
  12. 「盆暮れ正月以外、お墓参りには行かないこと」―赤門から仏門へ、東大卒業後、出家した彼の人生
  13. 「酒は飲んでも飲まれないこと」―グローバルビジネスマンからバーテンダーへ
  14. 「フリーターは負け組みだということ」―フリーター雑誌が模索する、新しい生き方
  15. 「官僚は現状維持にしか興味がないということ」―国家公務員をやめて、公務員の転職を支援する生き方
  16. 「新卒以外は採らないこと」―リクルートが始めた、新卒以外の人間を採用するシステム
  17. 「人生の大半を会社で過ごすこと」―職場にはりついているように見える日本男子の人生
  18. 「大学は遊んでいてもいいということ」―立命館VS昭和的価値観
  19. 「最近の若者は元気がないということ」―日本企業を忌避しだした若者たち
  20. 「ニートは怠け者だということ」―「競争から共生へ」あるNPOの挑戦
  21. 「新聞を読まない人間はバカであるということ」―情報のイニシアチブは、大衆に移りつつある
  22. 「左翼は労働者の味方であるということ」―二一世紀の労働運動の目指すべき道とは
括弧の部分が昭和的価値観を示し、その後のダッシュ以降が、その価値観に対極な価値観を持ちながら生きている人のことが示されている。

昭和的価値観を簡単にまとめてみると、それは戦後50年に形成されてきた年功序列、終身雇用を基盤とした会社に養われている働き方であり、そこにはなんとなく銀行、新聞社などの大企業を企業名でのみ目指す傾向があり、そして入社してしまえば一生安泰であるかもしれないが、入社後は有給消化ができず深夜残業、転勤、過労死など滅私奉公を求められる企業文化に染まっていく閉塞した生き方のこと。結構乱暴なまとめ方か・・・。

そしてそのような価値観はもはや21世紀には通用しないということを著者が示している。昭和的価値観の対極として、著者がインタビューした人によって示されている平成的価値観がある。平成的価値観は、一言で言えば多様性であるようだ。そしてそこには、自分が中心となって何かをやりたい、自分の目的地を探しだしそこにたどり着きたい、また自分が望む何かを手に入れようとする主体性がある。そういう人たちは、まず終身雇用、年功序列を基盤とするような日本企業には行かず、外資に行ったりする傾向があるようだ。

著者の考え方が端的に現れている部分があるので、そこを抜粋。
「俺は会社で死ねれば本望だ」という人はそれでいい。が、今の境地に違和感をおぼえるボーダー上の人は、違う価値観にも目を向けるべきだ。定期昇給も無く、一生平社員であるにもかかわらず、休日も使わず転勤を繰り返し、残業続きの人生を送るのが幸せだというのなら、そいつはだたのバカか、それによって搾取する側の人間に違いない。日本的サラリーマンカルチャーは、終身雇用と年功序列というご褒美と引き換えに成立してきたものだ。だが、そのバーター関係は既に崩れたのだから。
 これからは、レールを降りて、各自がそれぞれの道を探す時代が間違いなくやってくる。突っ走ってもいい。でも、何人かで歩いていくのも悪くはない。
(pp.193)
そしてレールを降りた人がアウトサイダーとして本書で多く示されている。

さて、以上がだいたいの本の内容。以下自分の感想。

自分自身に関して言えば、あまり昭和的価値観に染まっていないなと思う。まず染まっていたら、外資になどに行かなかった。この本では一貫して年功序列、終身雇用企業が日本の成長や働き方の閉塞間の元凶であるというような主張があり、外資礼賛の記述が多い。しかし、必ずしも年功序列が悪いわけではなく、外資的な実力主義の給与体系が必ずしも良いわけでない。確かに能力に応じた給料をもらうべきであるが、その激しい競争社会で生きていけない人もいるわけで。要は、著者も示しているように多様性だと思う。年功序列企業があってもよいし、昭和的価値観にどっぷりつかって生きて生きたい人はそれでいいと思う。けれど、大局的に見ると、そのような企業に未来は無いと示されているので難しいところで。

自分がなぜ外資に行ったかというと、たまたま自分が望んでいる企業文化がそこだったから、としかいいようがない。この本で示されているように、学生時代からインターンシップに行って企業間の違いに目が覚めて意識が変わった、ということも無い。そもそもインターンシップにすら行ってないし。けれど、常に成長していきたいという気持ちがあった。だから年功序列組織は選ばなかった。

また、自分は会社という組織で働くということ自体あまり向いていない思っているので、この本に示されているように、会社勤めをしなくても生きていける方向性が示されているのがとても参考になる。自分自身も将来アウトサイダーになるべくしてなるのだろうなと思う。

アウトサイダーになった人たちの考え方や生き方が面白いなと思った。本当にいろいろな生き方があるのだなと思った。

多様性という言葉は便利で、1つの価値観に縛られず、自由な生き方ができる。しかし、どのような生き方をしようとも、結局は自己責任が付きまとう。けれど、その分自分の本当にやりたいことに専念した生き方ができるのではないかと思った。

読むべき人:
  • 年功序列、終身雇用の会社員の人
  • アウトサイダーになりたい人
  • 本当に自分のやりたいことをやりたい人
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1. 転職 目的  [ 転職ナビ ]   May 17, 2008 22:05

転職の目的についての情報です。

2. 3年で辞めた若者はどこへ行ったのか  [ 蔵前トラック?? ]   August 13, 2008 22:42

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書 (708

3. 【ゼネラリストが感じる閉塞感】3年で辞めた若者はどこへ行ったのか  [ ぱふぅ家のサイバー小物 ]   May 15, 2011 15:20

21世紀のエリートとは、自分の足で歩いていける人間なのだから。

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