May 03, 2008

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか


ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか

キーワード:
 梅田望夫、ウェブ時代、高速道路、けものみち、仕事論
ネットが高度に発達したウェブ時代である現代における、若者向けの仕事論。ウェブ進化論のときも感嘆として読んだが、これもそれに近い。以下のような内容となっている。
  1. 混沌として面白い時代
  2. グーグルと「もうひとつの地球」
  3. 新しいリーダーシップ
  4. 「高速道路」と「けものみち」
  5. ロールモデル思考法
  6. 手ぶらの知的生産
  7. 大組織vs.小組織
  8. 新しい職業
  9. ウェブは自ら助くる者を助く
語られているテーマは、Googleを筆頭とする検索エンジン企業がネット上で帝国を築きつつある時代では、知や情報というものに対するアクセシビリティの垣根がなくなりつつある。例えば、一昔前では高度にまとまった情報を得ようと思った場合、大学や規模の大きな図書館がそろっている都市部のほうが有利であったが、Googleのなどの出現により、ネット上のあちら側に世の中の全ての情報が蓄積されていき、誰でもネットが使えればそれらの情報にアクセスできるようになってきている。そんな時代に、オープンソースを筆頭としたプロジェクトベースの働き方、仕事、生き方が著者のオプティミズムによって語られている。

以下自分の主観ベースの感想を書いていく。

2章までは、一応自分の専門領域に近いところがあるので、そこまで真新しいことは無かった。ただ、オープンソースの特性というものについては、改めてよくまとまっているので、勉強になった。自分自身はそこまでオープンソースに興味がない・・・・。プログラマーなのに・・・。

自分が特になるほどと思ったのは、3章以降。ウェブ時代の仕事や働き方はどう変わっていくか、そしてどのようにすべきかということが語られていて、なるほどなぁと思う部分が多かった。

例えば、著者なりに大企業という組織で働くのに向いている人というのが分析されている。例えば、「自分の生活や時間の使い方を他者によって規定されること」を「未知との遭遇」として楽しめる、与えられた課題に情熱を持てる、好き嫌いがあまり無い、個人の志向性よりも組織への忠誠心が高いなど。どうも自分は日ごろから感じているように、またこの著者の分析によれば、組織で働くというのが向いていない気がするなぁと思った。

組織で働くのに向いていない人たちも、別の道がありますよと示されているのがこの本。それが、組織に属さず、好きなことの分野においてネット時代の知の高速道路を突っ走り、きわめて行くという「高く険しい道」。また、「高く険しい道」のように専門特化させるのではなく、高速道路のように道しるべが無く、なんでもありで身につけた専門性を活かしつつも個としての総合力を活かした柔軟な生き方の「けものみち」があると示されている。なるほどなぁと思った。そして両者に共通するのは、好きを貫くという姿勢が重要らしい。以下、特になるほどと思った部分を抜粋。アントレプレナーシップについての部分。
 アントプレナーシップの真髄とは、「自分の頭で考え続け、どんなことがあっても絶対にあきらめない」ということに尽きるのだ。「勝った者」とは「勝つまでやった者」なのである。一つの専門を極めることは、とにかく長い長い終わりのない道のりである。「成功のゴール」のようなものを描き、そこにいたるプロセスは「苦難の道」なんて思っていては途中で挫折してしまう。手探りで困難に立ち向かうマドルスルー(泥の中を通り抜ける)のプロセス自体を、心が楽しんでいなければならない。「できるから」ではなく「好きだから」ではなくては長続きしない。だからこそ、対象をどれだけ愛せるか、どれだけ「好き」なのかという「好きということのすさまじさ」の度合いが競争力の源泉になる。「The only way to do great work is to love what you do.」(偉大な仕事をする唯一の方法は、あなたがすることを愛することだ)は、アップル創業者スティーブ・ジョブズの言葉だが、この「love」(対象を愛する)という強い言葉にアントレプレナーシップの真髄が詰まっている。
(pp.97-98)
やはり「好き」をどれだけ貫けるかが重要なんだと思う。正直、今、自分の仕事は好きなのかどうか分からなくなってきている。

そしてそんな自分なので、好きなことを突き詰めて考えていくロールモデル思考法がとても参考になった。ロールモデル思考法とは、人生のありとあらゆる局面に関するたくさんの情報から、自分と波長の合うロールモデルを収集し、なぜそのロールモデルに惹かれたのかを考え続け、自分を見つける思考法と示されている。その具体例として、著者の自分の仕事の経歴が語られていて、とても参考になった。

全体的にとても勉強になるところが多かった。何よりも著者がとてもこのウェブ時代を楽観視している部分かな。新書でこのようなウェブ時代系の本は、大抵、ウェブ社会の負の側面にばかり焦点を当てるペシミスティックなものだが、この本は、ウェブ時代を生きる若者に対する著者のエールみたいなものを感じた。

やっぱり、自分の好きなことを必死で極めるのがいいのかなと思った。好きであるというイコール楽であるとは違うと思うけどね。自分自身はこのウェブ時代にどう生きるべきなのかなと考えた。少なくとも、たくさんチャンスはあるのだと思った。まずは、ロールモデル思考法を試してみよう。

組織に属した生き方か、それとも「高く険しい道」か、または「けものみち」か。いづれ決めなければならないんだろうな。この本は去年出版されたものだが、自分にとってはちょうど今読むべきタイミングだったのだと思う。

読むべき人:
  • ウェブ時代を生きる若者
  • ウェブ時代の仕事論に興味がある人
  • 自分が何をやりたいのか分からない人
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あとがきで述べられているように、この『ウェブ時代をゆく−いかに働き、いかに学ぶか』は、ウェブ時代の意味を描いた『ウェブ進化論』と対になった「その時代に生まれる新しい生き方の可能性」をテーマとしている。 そして、志さえ持てば、ウェブは「人生のインフラ」とし...

コメント一覧

1. Posted by 雪になあれ   May 03, 2008 23:29

TBからやってきました、TBしたかったのですが入らなかったのでコメントで失礼しました。
記事を読ませてもらって、プログラマーの方だとこういう感想になるんですね。
なかなか横文字は理解しきれませんが、著者が訴えたいことは素人にも伝わりました。

2. Posted by Master   May 04, 2008 10:11

雪になあれ さん

コメントありがとうございます。
自分も著者の訴えたいことは、とてもよく分かりました。

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