May 12, 2008

傷つきやすくなった世界で


傷つきやすくなった世界で

キーワード:
 石田衣良、格差社会、R25、定点観測、エール
直木賞作家の社会や作家の日常について語られたエッセイ。リクルートの発行している無料雑誌、『R25』で連載中の「空は、今日も、青いか?」の2006年1月〜2008年2月までのものに加筆・修正をおこなったものらしい。勝ち組、格差社会、ネットカフェ難民などの新たな社会用語が作られていくナイーブな社会で、著者のエールのようなものが示されている内容となっている。特に印象に残ったもののタイトルを列挙。
  1. 「迷う」力の素晴らしさ
  2. ラブ・キャンペーン
  3. 「いやらしい」を表現しよう
  4. 植物化する男たち
  5. 恋したくない男たちの攻略法
  6. 仕事と生きがいのバランス
  7. 残業大国ニッポン
  8. エッセイって、なに?
  9. ハイヤーの趣味人
  10. 女子アナ的世界
  11. 傷つきやすくなった世界で
他にもいろいろインパクトのあるタイトルがあるのだけど、以上がタイトルのみならず内容も印象に残ったもの。それぞれを説明したいところだけど、それはよそう。あえて一つだけ示すとすれば、『ハイヤーの趣味人』だろう。以下印象に残った部分を抜粋。
「やはりお話がちゃんとできるというのが、大切なんです。クレームがくるのが一番困るんで。それを防ぐためには、あらかじめ会話で気もちをおとしておくのが、大切なんです。これは本を読んでいる運転手と読まない運転手では、はっきり差がつきます」
 なるほど、それはよくわかる。作中の人物の気もちになって、はらはらどきどき、泣いたり笑ったりの物語の世界をともに生きるのだ。感情移入の力と肝心の言葉の力が磨かれないはずがないのだった。それこそコミュニケーション力の基礎である。
(pp.168)
50代のハイヤーの運転手は空き時間に著者の作品や他の作家の小説をよく読んでいたようだ。そういうくだり。だから、自分ももっと小説を読むべきなのだと思った。自己啓発本の読みすぎを防ぐためにも、もっと文学作品を読んでコミュニケーション力を磨き、さらに内面の充実を図る必要がある。

示されている内容は、作家である著者のそのときそのとき起こっている社会現象について言及されているものもあるし、著者の作家としての仕事の側面から語られていることも多い。社会情勢について作家の一意見を得られることも参考にはなるが、自分としては作家という職業の人は普段何を考えてどんな生活をしているのかということが気になった。著者は結構テレビなどのメディア露出も多く、その関係からいろいろな業界の人と会うことも多いようだ。そういう世界を垣間見ることもできて面白いなと思った。

自分自身はR25世代になるんだろうけど、R25を電車で読んでいたら負けだと思う、と内心自分のインプット情報に対する差別化を意識しているが(別にR25が読む価値が無いものだとまでは思っていない)、このエッセイだけは今後も気になった。

表紙の写真がとても印象的で、惹かれるように買って読んでみた。なかなかよかった気がする。過去2年間の社会情勢を振り返ることもできて面白かった。著者の小説はまったく読んだことが無いので、何か読んでみようと思った。

傷つきやすくなった世界で、ほんの少し生きやすくするには、このようなエッセイが必要なのだ。

読むべき人:
  • 石田衣良が好きな人
  • 社会情勢について振り返りたい人
  • 日々の生活に生きにくさを感じている人
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1. 傷つきやすくなった世界で  [ Secret Desire ]   May 12, 2008 23:35

ここでちょっと宣伝。 書店の回し者ではありませんが・・・w 僕の日記で度々紹介させてもらっているのですが、 作家の石田衣良さんがフ??.

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