May 29, 2008

仕事の思想―なぜ我々は働くのか


仕事の思想―なぜ我々は働くのか

キーワード:
 田坂広志、仕事、思想、問い、エピソード
『なぜ我々は働くのか』という問いに対する考えを示している本。以下のような目次となっている。
  1. 第1話 思想/現実に流されないための錨
  2. 第2話 成長/決して失われることのない報酬
  3. 第3話 目標/成長していくための最高の方法
  4. 第4話 顧客/こころの姿勢を映し出す鏡
  5. 第5話 共感/相手の真実を感じとる力量
  6. 第6話 格闘/人間力を磨くための唯一の道
  7. 第7話 地位/部下の人生に責任を持つ覚悟
  8. 第8話 友人/頂上での再会を約束した人々
  9. 第9話 仲間/仕事が残すもうひとつの作品
  10. 第10話 未来/後生を待ちて今日の務めを果たすとき
(目次から抜粋)
なぜ働くのかということを考えるために、10のキーワードを挙げ、著者のエピソードとともに考えが示されていて、なるほどと思うところが多かった。全10のキーワードから一つずつエピソードの内容を取り上げたいが、重要だと思った部分のみ示しておく。

まず最初は第1話のタイトルにもなっている、「思想」の話。著者が大学時代に、友人が高校教師を目指していて、その友人がエリート高を就職先に選ぶのだと思っていたら、荒れた学校を選択したらしい。そしてその友人曰く、『そういう学校にこそ教育が必要なのではないか』とのこと。そしてそれこそが働く理由として、単純に生きる糧としてお金をもらうだけではない、なぜ働くのかという問いに対する思想があるのではないかと示されていた。

第2話の「成長」というエピソードもなるほどと思った。これも最初は著者が大学時代の話で、友人が商社に就職を決めたが、本当はジャズが好きでジャズで食っていきたかったとある。そしてそれから数年たったときに、またその友人と会ったときに、仕事が見えてきて面白くなってきたと聞かされたようだ。そしてさらに数年たった後、その友人曰く、仕事は心をこめてやればなんでも面白いというこらしい。このエピソードでは、仕事の報酬は、仕事を面白く感じられる能力であり、さらに大きな仕事ができることであり、自分自身の成長であるということが示されていた。興味深いエピソードだなと思った。

以下エピソードを省略し、なるほどと持ったフレーズを第3話以降から1つずつ列挙。
  • 第3話:成長の方法は「夢」を語り、「目標」を定めることが重要
  • 第4話:ビジネスマンにとって、顧客は成長のための鏡
  • 第5話:顧客に共感すれば、顧客からの共感を得られる
  • 第6話:人間学で1番大切なのは、自分自身の内面省察にほかならない
  • 第7話:義務と責任が、仕事の「働き甲斐」につながる
  • 第8話:「友人」が、苦しいときや迷いのときに支えてくれる
  • 第9話:仕事の作品は職場の仲間
  • 第10話:自分の夢を自分が実現できなくても、いつか誰かがその夢を引き継いで実現する
どのエピソードも核になるフレーズがあって、どれもなるほどと思った。

1番印象に残った部分を以下に抜粋。第10話で、夢が破れてしまうかもしれないことに対する著者の考え。
そして、その夢が実現するか、破れるかは、
ときに、「天の声」とでも呼ぶべき、
一瞬の配剤によって決まってしまうときすらあるのです。
私たちが、この一回かぎりの命を燃やして歩む人生とは、そうした世界です。

だから、夢を描く私たちに問われるものは、
「その夢を実現したか」ではありません。

私たちに問われるものは、
「その夢を実現するために、力を尽くして歩んだか」ということなのです。

問われていることは、そのことだけなのです。
(pp.259)
人事を尽くして天命を待つ、という境地が必要なのだと思った。力を尽くしたかどうかを毎日意識して生きていこうと思った。

昨今の自己啓発本は、太字や図解が多く分かりやすいが、どことなく表層的な部分が多い気がする。それが悪いかどうかはおいといて。しかし、この本は仕事の本質に迫る内容で、文体も抒情的なものとなっている。1文が短く、自問自答を重ねるような文脈で、速読しやすかった。速読しやすく、分かりやすい内容だが、すっ飛ばして読むより著者のエピソードを吟味して考えるという読み方のほうがあっていると思う。

著者のエピソードがどれも興味深かった。著者の実体験などが示されているものは、説得力が増す。仕事について迷ったり考えたりしたい人にはお薦めの本だと思う。

読むべき人:
  • 何のために働くのか分からない人
  • 仕事で成長したい人
  • 自己啓発本に飽きてきた人
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1. 仕事の思想―なぜ我々は働くのか/田坂 広志 06081  [ 分譲マンション屋の読書日記 ]   June 01, 2008 18:36

田坂 広志 仕事の思想―なぜ我々は働くのか ★★★★★ 再読 。 この本も半年ぶりだが、 読んでいて痛みを感じる。 読み進めていくにつれ 半年前の感動がよみがえってくる。 この感動を大事にして 毎日毎日を抱きしめるように生き抜くことができれば

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