June 10, 2008

パラレルワールド・ラブストーリー


パラレルワールド・ラブストーリー

キーワード:
 東野圭吾、三角関係、リアリティ工学、記憶、友情
東野圭吾のSFミステリー、ラブストーリー作品。カバーの裏からあらすじを抜粋。
親友の恋人は、かつて自分が一目惚れした女性だった。嫉妬に苦しむ敦賀崇史。ところがある日の朝、目を覚ますと、彼女は自分の恋人として隣にいた。混乱する崇史。どちらが現実なのか?―存在する二つの「世界」と、消えない二つの「記憶」。交わることのない世界の中で、恋と友情は翻弄されていく。
(カバーの裏から抜粋)
初めて東野圭吾の小説を読んだ。単純な感想を言えば、面白かった。久しぶりに引き込まれる小説を読んだ気がする。しかし、深い作品ではないのかなと思った。

以下、軽くネタバレを含むので注意。

物語は、パラレルワールドと見せかけて、同じ世界を舞台に進む。主人公は、私立大学の工学部の大学院を卒業し、コンピュータ関連の企業バイッテク社の運営する特殊な専門学校に在籍している。そこで、親友の友人とバーチャルリアリティや人間の記憶の研究をしている。そして、友人の恋人もその学校で研究をしている。主人公である崇史は、日常の些細な記憶違いにだんだん気づいていき、自分自身の記憶が改編されているのではないかと探っていく・・・。

タイトルにラブストーリーとあるが、それは主人公と友人、その一目惚れした女性との三角関係のことである。しかし、この作品は、ラブストーリーとして読むよりも、SFミステリーとして読んだほうが単純に面白いと思う。どちらかというと、主人公の記憶の改編のなぞを解いていく過程にだんだん引き込まれた。それが後半の、失踪した人間を探していくところから、ページが止まらなくなっていく。続きはどうなるんだろう?と感じさてくれる。

しかし、ラブストーリーというか、人間関係の描写や作品の深さはそこまでないのかなと思った。確かに三角関係で友人と一人の人を奪い合う過程での嫉妬や自己嫌悪、苦悩が書かれているが、どこか描写が薄い気がした。特に結末あたり。最後はどうなるんだ!?と引き込んでおいて、その程度の終わりかよと少し、がっかりした気になり、主人公に対して心情の投影もあまりできなかった。結末がもっとしっかり内面描写されていたのなら、深い作品になっていたんだろうなと思った。

とはいえ、この作品は純粋に面白いと思う。一方の世界の話が進んだ後、別世界の話が続いて進んでいく。読んでいる読者もどっちがどっちの設定のことだったろうか?と混乱を意図的に招いている。また、バーチャルリアリティや記憶改編、実験、研究の話も出てきてSF的な側面もあって面白い。

新宿や、阿佐ヶ谷、高円寺、青梅街道など自分にとってなじみの深いところの描写があって、想像しやすかった。

文体自体はかなり読みやすいし、比喩もあまりない。400ページを超えるが、休みの日にいっきに読むこともできると思う。SF系のミステリーを読むのが好きな人にはかなりよいと思う。
 
読むべき人:
  • 東野圭吾の作品が好きな人
  • 三角関係に苦しんでいる人
  • 自分の記憶に自信が持てない人
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