July 10, 2008

若者を喰い物にし続ける社会


若者を喰い物にし続ける社会

キーワード:
 立木信、若者、世代間戦争、老害、弱者
真の弱者は若者であるということが示されている本。以下のような目次となっている。
  1. 第1章 若者政策がこの日本でなぜ必要なのか
  2. 第2章 若者政策へのパラダイム・シフト
  3. 第3章 世代間戦争はすでに始まっている
  4. 第4章 年長者優先社会が解体してきた家族機能
  5. 第5章 メディア、ジャーナリズムの本音を見破れ
  6. 第6章 お年寄り帝国のまだ見ぬ全貌
(目次から抜粋)
ポイントを絞って列挙するというよりも、引用ベースで内容を紹介しておく。

本書の内容は以下のように示されている。
 本書はこうした年長者が若者に対して功名に仕掛けてくる「目隠し」をはずすために書かれている。年長者が若者を使って「お涙ちょうだい」の情報を垂れ流しする状況の裏に隠されている「何か」をあなたに探してもらうのがこの本の狙いだ。「目隠し」は、情報の背後にある「年長者帝国」の全体像に想像をめぐらせなければ、取ることはできない。仕組まれた「哀れな境遇」や「自分探し」に踊らされるのは、もう懲り懲りではないか。
 本書が最近ブームになった若者の雇用環境の厳しさを前面に打ち出してルポする本と決定的に違うのは、この点にある。
(pp.46)
そのため、若者が置かれている境遇の解説はあるが、ではそこからどうするべきか?ということがあまり書かれていない。それは次のように示されている。
 本書を通じて「自分で毎日政策を考えようぜ!」などと筆者が言うと、若い読者は「はぁ?」と戸惑うに違いない。
(中略)
 私は「なるほどこういう考え方もあったのか」と読後の感動を引き出すために本を書いているのではない。読者を挑発して、行動に移してほしいのだ。とにかく、妄想でも何でもよいから、若者政策に恋心を抱くことが大切だ。
 あなたは負け犬ではない。自分から進んで年寄りが用意したレッテルをもらって、弱者を装うのは50年早いと言うべきだろう。
(pp.116-117)
自分は負け犬だとは思っていない。しかし、若者政策自体にそもそも関心がない。明らかに本書の対象年齢層ではあるが。

世代間戦争についての説明が以下のように示されている。
 年長者のつくったシステムから若者や子ども、さらには将来世代がはじき出され、年長者の繁栄のために使った巨額債務がツケ回されることによって起きる問題を、私は「世代間戦争」と呼んでいる。
(中略)
 世代間戦争をわかりやすく言うと、主役は若者、適役は年長者で、既得権に浴する側、つまり様々な公的サービスを優先的に受ける側とそれを負担する側の戦いだ。
(pp.151-152)
この世代間戦争はもうすでに始まっているようだ。年金を支えているのは今の若い世代で、少子高齢化で一人当たりの負担が大きくなると様々なところで問題視されている。他にも日本の天文学的な不良債権の問題やなかなか雇用にありつけなかったり、労働派遣やワーキングプアといった問題もあるようだ。

社会の情勢を知るという点では、とても参考になった。本書の当事者である若者に属する自分としては、そんなに不利益をこうむることが多いのかと思った。しかし、自分自身の生活に関しては、そのような不利益を具体的にどこでどのようにこうむっているのかが実感できていない。なので、示されていることの実感がわかない。だからいきなり、では若者政策を考えようと示されると、戸惑ってしまう。自分自身のこととして捕らえられないことが、大きな問題なのかもしれない。上の世代から巧妙に隠されているのかもしれないのだから。もちろん、自分自身もこの問題にもっと関心を持たないといけないが。

このような社会問題は、自己責任論とか、日本がダメな原因はどこにあるかといった話に終始しがちで、ではそこからどうするのかという部分まであまり詰められていない。それは当事者である自分たちの世代から何とかしていかなければならないのかなと思う。とはいえ、マクロ的に政策を打ち出してそれを広めて改善するというよりも、社会の要素である一人ひとりが幸福を追求し、そうなるように行動することが重要なんじゃないかと思った。要は、まずは自分でできることから少しずつ始めるべきかなと。では、自分自身は何を始めるべきかというと、もっと社会情勢に関心を持つということか。

また、個人的には喰いものにされないように、もっと金を稼げるようになればいいんじゃないかと思った。自分自身の生活が楽になればいいんだよなと。そのためには努力が必要だがね。とはいえ、全ての人が努力をして、その努力量に対する見返りを享受できないのが現代日本社会の問題だと言われればそれまでだが。

自分と同世代の人はこのような問題をどのように考えているのか気になった。なので、若者世代の人にぜひ読んでもらいたいと思った。
  • 自分は若者だと思う人
  • 就職氷河期世代の人
  • 老害は逝ってよしだと思う人
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1. 「若者を喰い物にし続ける社会」(立木信著)を読む  [ アルバイト医師の日記 ]   July 19, 2008 18:51

現在の日本の危機は、政治力を持つ高齢者が自分たちに都合の良いように法律を作ってお金をガッチリおさえてしまっている。その一方で、政治...

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