August 01, 2008

小説以外


小説以外

キーワード:
 恩田陸、エッセイ、記録、悪戦苦闘、読書
小説家による本に関するエッセイがまとめられた本。目次は以下のようになっている・・・・とすべて列挙できないくらい多い。1つのエッセイが大体2,3ページで、この本は400ページ以上もあるので。ということで、自分が気になったもの、面白かったもののタイトルを列挙することにする。
  • 百組の「ロミオとジュリエット」
  • 憂鬱な音楽
  • 本格推理小説家への道
  • ・・・・・・AND MUCH, MUCH MORE
  • 風景小説法―車窓からの風景は私にとって最良のネタである
  • 時間を忘れさせてくれる文庫ベスト5
  • 読めないことがつらかった
  • 「六番目の小夜子」に寄せて
  • 正しいビール飲みと本格ミステリ作家について
  • そしてみんなSFになったあとは・・・・
  • 赤ワインと豚汁
  • 「町が持つ記憶」の魅力
  • 本を読む以外の時間は・・・・
  • 旅する読書
  • 記憶の図書館
  • 次の十年
  • 読書の時間
  • タイトルの付け方
  • オニオングラタン
  • 月世界
  • 自分の葬式に流してもらいたい歌謡曲
  • 続編の陥穽
  • アメリカ人の文学キング
  • 青春はいつだって暗号である
  • 憧れの職業
このエッセイを読んでいると、小説化である著者がどういう人かということがとてもよくわかる。簡単にまとめてしまえば、小中学校から転校を繰り返しており、自分で物語を書くのが好きで、大学時代は乱読しまくり、OL時代は忙しすぎて体を壊したりし、そのストレス時に小説を書いて二束のわらじを履くことになり、その後専業作家となる。しかし、書いているときは苦痛以外の何者でもなく、読みたい本がどんどんたまっていてストレスを感じ、本屋にいって面白い本を見つけるが、自分の本は誰か別の人が書いたものだという程度の認識でしかなく、自分が小説家であるという実感もないようだ。そんなことが多く示されていて面白かった。

特に小説家の視点からどういう風に作品が書かれていくのかということや、どのような作品を読んできたのかということがよくわかって面白かった。著者はアガサ・クリスティなどのミステリや推理小説、またSF小説なども好んで読むようだ。そういった作品にかなり影響を受けているということが多く示されている。それらの作品タイトルが多く出てくるので、ブックガイドのような役割も果たしてくれる。

1つだけ特に印象に残ったエッセイがある。それは『読書の時間』というもの。短いものなので、まるまる引用しておく。
 読書とは、突き詰めていくと、孤独の喜びだと思う。人は誰しも孤独だし、人は独りでは生きていけない。矛盾しているけれど、どちらも本当である。書物というのは、この矛盾がそのまま形になったメディアだと思う。読書という行為は孤独を強いるけれども、独りではなしえない。本を開いた瞬間から、そこには送り手と受け手がいて、最後のページまで双方の共同作業が続いていくからである。本は与えられても、読書は与えられない。読書は限りなく能動的で、創造的な作業だからだ。自分で本を選び、ページを開き、文字を追って頭の中に世界を構築し、その世界に対する評価を自分で決めなければならない。それは、群れることに慣れた頭には少々つらい。しかし、読書が素晴らしいのはそこから先だ。独りで本と向き合い、自分が何者か考え始めた時から、読者は世界と繋がることができる。孤独であるということは、誰とでも出会えるということなのだ。
(pp.244)
このページはまるまる線を引いた。それほど印象的だった。この部分を読めただけでもこの本を買う価値はあったと思う。


著者の作品は『ライオンハート』しか読んだことがない。このエッセイを読んで、他にも気になってきたので、読んでみることにする。

文庫版のあとがきには、小説家の書くエッセイには以下の4つのタイプがあると示されている。
  1. 小説と同じくらい面白い
  2. 小説は面白いのにエッセイは面白くない
  3. 小説よりもエッセイのほうが面白い
  4. 小説もエッセイも面白くない
1が望ましいとあるが、この本は4でないことを祈るとあった。自分は著者の作品はそこまで読んでいないから評価できないが、少なくとも3であることは確実だ。

1つのエッセイが割りと短いので、毎日に生活の中で気分転換するときに読むと良いと思う。電車の中とか、何かの待ち時間とか。そういう短い時間をきっと良質なものにしてくれると思う。

読むべき人:
  • 『恩田陸』の作品が好きな人
  • 読書、特に小説を読むのが好きな人
  • 小説家は何を考えているのか知りたい人
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