September 22, 2008

問題は「数字センス」で8割解決する


問題は「数字センス」で8割解決する

キーワード:
 望月実、数字、定量化、問題解決、コンサル
公認会計士である著者によって、日々の仕事に使える数字センスの身に着け方が示されている本。以下のような目次となっている。
  1. 第1章 数字を「読む」力をつける―問題発見力を高める5つの数字の読み方
  2. 第2章 数字で「考える」力をつける―問題解決力を高める3つの数字の使い方
  3. 第3章 数字で「伝える」力をつける―コミュニケーション能力を高める7つの数字の使い方
(目次から抜粋)
この本は、先日参加したセミナー(【レポート】『聞くが価値』vol.03 with 午堂登紀雄 &鹿田尚樹)の懇親会時に著者の望月さん(簿記と会計をマスター:楽しく会計と簿記を学ぶなら!アカウンティング・インテリジェンス)に直接いただきました。ありがとうございます。

さて、この本の内容を紐解いていくと、ビジネスマンが会計を勉強しても数字に強くなれないのは、基礎がないのに応用を学ぼうとしているからとある。そしてこの本は、その基礎となる数字に対する「数字センス」の考え方が示されている。以下、まえがきからその部分を抜粋。
 私は「数字センス」とは、セールスやプレゼン、スケジューリングなどのビジネスで直面する問題を数字を使ってバランス良く解決できる能力だと考えています。本書ではスケジューリング、プレゼン、セールスに役立つ数字の使い方など15のビジネスシーンを想定して『道具としての数字』を説明していますので、日々の仕事に使える数字センスを身につけることができます。
(pp.5)
全体を読了した感想として、かなりわかりやすいものだなと思った。なぜこの本がわかりやすいかを少し分析してみると、以下の要素があると思う。
  • 図やグラフが多用されている
  • ニュースなどの身近な事例を元に説明されている
  • 各章や節の最後にまとめページがある
  • 4,5行を一塊として、空行を入れて読みやすくしている
本の構成が特にわかりやすさの要因だなと思った。図やグラフを入れるというのは、このような本では当たり前だが、1ページあたりの文章量に気を使っている本はあまりない。たいていの本、新書やもう少し硬い学術系の本では、1ページに改行や空行がまったくなく、しかも数字や公式だらけだと読み飛ばしたくなる。しかし、この本は、ブログの記事のように数行ごとに空行を挿入することで、ぱっと見わかりやすく、読み進めやすかった。もちろん、本の構成だけでなく、身近な具体例を取り上げ、四則計算程度の数式しか出てこないので、とっつきにくさがなく、内容的にも気を使われていると思った。

さて、肝心の内容はというと、数字に対するさまざまなコツが示されているので、それらを列挙しておく。

まずは、『数字を読む力をつける5つのコツ』から
  1. 1つの数字から多くの情報を引き出す
  2. 大きな数字に惑わされない
  3. 隠された数字を探す
  4. フローとストックの2種類の数字に注目する
  5. 多くの数字の中から目的の数字を見つけ出す
これらのコツから、世間をにぎわせているマスコミの発信するニュースの表面にとらわれず、裏の数字を読み込み、惑わされないようにすることができるようだ。例えば、原油高騰によって日本が不況になると考えるのではなく、原油価格高騰のメリットを享受する国があるので、そこをビジネスターゲットにするとか、伊勢丹と三越の利益の差の200億円の内訳、携帯電話キャリアの加入者シェアの割合の数字の秘密などが示されている。これらは普通に表面的な数字を見ているだけだと、まったく気づかないことばかりだと思った。

次に『数字で考える力をつける3つのコツ』から。
  1. お客様とコミュニケーションを取りながら問題を解決する
  2. 数字を使って仲間と問題を解決する
  3. 決められた時間内に問題を解決する
さらに、『数字で伝える力をつける7つのコツ』から以下が示されている。
  1. ターゲットに合わせた数字を使う
  2. 最初に要約資料を見せる
  3. 不要な数字は資料から削除する
  4. イメージがわかない数字は置き換える
  5. ウリになる数字を作る
  6. メッセージに合わせたグラフを作る
  7. 反論されないストーリーを作る
『数字で考える力をつける3つのコツ』と『数字で伝える力をつける7つのコツ』は、ほとんどコンサルタントの仕事術だと言える。これは本当に勉強になる。

特に『決められた時間内に問題解決する』というのは自分も経験がある。これは、100%のできのものを締め切りを過ぎて上司に提出するのではなく、60%の段階でもいいから決められた期限に提出することが重要だと示されている。これはよく上司に言われた。完成してから手戻りが発生してしまうとかなりの工数になるので、ちょくちょく状況を見せながら仕事を進めていき、期限に間に合わせる必要があると思う。

また、『数字で伝える力をつける7つのコツ』はコンサルタントの資料作りの基礎だと思う。特に戦略系のコンサルタントは、パワポ資料1枚に本当に命をかけているような感じで、資料に少しでも違和感のあるところ、数字の根拠がないなどといった突っ込みどころは一切認めないというような完成度になる。自分も仕事でパワポ資料を作ったら、ものすごく上司に突っ込まれて凹んだ・・・。そういう示し方をすると、こっちは考慮されていないよね?とか、この数字の根拠は何?とかよく言われる。なので、ここはコンサルタントの資料作りの基礎的なことを学べると思う。

最後にあとがきからなるほどと思った部分を示しておく。
 学生の頃と社会人になってからの勉強には大きく違う点があります。学生の頃に求められたのは「制限時間内にペーパーテストを解く力」ですが、社会人に求められるのは「現実世界の問題を解く力」です。現実世界の問題はペーパーテストのようにわかりやすい問題として出されるわけではないので、まずは問題を見つけ出さなければなりません。
 
 問題を見つけるために大切なのは、現実を正しく見るということです。とはいえ、現実世界は複雑な要素によって構成されているため、なかなか本当の姿は見えてきません。そこで、数字を使って違う角度から見てみると今まで気づかなかったことが見えてきます。私は決して数字が万能だとは思いませんが、数字にすることによって初めて見えてくる現実もあります。
(pp.218-219)
そして、数字をうまく使えば、目標を達成するまでに『自分が進んでいる道は正しいのだろうか?』と迷うようなときに、ガイドの役目を果たしてくれるようだ。なるほどなと思った。

この書評ブログもさまざま数字を収集して、もっと分析してみようかなと思った。例えば、この書評ブログで売れる本と書評記事の文字数の関係とか、アクセス数と更新時間の関係とかを分析すればいろいろ見えてくるんじゃないかと思った。

自分は数字の本質をつかむのは得意じゃないが、この本はかなり読みやすく、さらっと読めて、今まで自分の気づかなかった視点を与えてくれる良書だと思った。本当にお薦め。

読むべき人:
  • 数字に苦手意識がある人
  • コンサルタントになりたい人
  • NTTドコモが依然として一人負けだと思っている人
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