September 23, 2008

スタバではグランデを買え!


スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学

キーワード:
 吉本佳生、スタバ、経済学、価格、取引コスト
経済学者によってコストに着目した日常生活の分析が示されている本。以下のような目次となっている。
  1. 第1章 ペットボトルのお茶はコンビニとスーパーのどちらで買うべきか?―裁定と取引コストが価格差を縮めたり広げたりする
  2. 第2章 テレビやデジカメの価格がだんだん安くなるのはなぜか?―規模の経済性が家電製品の価格を下げる
  3. 第3章 大ヒット映画のDVD価格がどんどん下がるのはなぜか?―企業は、高くても買う消費者にはできるだけ高く売ろうとする
  4. 第4章 携帯電話の料金はなぜ、やたらに複雑なのか?―携帯電話会社はいろいろな方法で消費者を選別する
  5. 第5章 スターバックスではどのサイズのコーヒーを買うべきか?―取引コストの節約は、店と消費者の両方に利益をもたらす
  6. 第6章 100円ショップの安さの秘密は何か?―ときには、追加コストが価格を決める
  7. 第7章 経済格差が、現実にはなかなか是正できないのはなぜか?―所得よりも資産の格差のほうが大きな問題である
  8. 第8章 子供の医療費の無料化は、本当に子育て支援になるか?―安易に政府に頼る国民は、結局は大きなツケを負わされる
  9. 最終章 身近な話題のケース・スタディ―付加価値に分解して考える
(目次から抜粋)
今回の書評はちょっと趣を変えてみることにします。文体も。

自分の先輩書評ブロガー(勝手にそう呼ばせていただきます(笑))であるsmoothさんが最近この本を読了されたようで、そういえば自分もだいぶ前にAmazonで買ったっきり本棚に積読(積読とは - はてなキーワード)状態だったなぁ、と思い出しました。

【今さらでつが(汗)】「スタバではグランデを買え!」吉本佳生:マインドマップ的読書感想文

また、とある方から『この本書評して』と依頼されました。以前からこの本はグランデを飲みながら読もうと思っていたし、今日(ここまで書いていた時点では『今日』だった・・・。)は有給でVacation中だし、雨の日の平日のスタバは空いているだろうと思って、今日のこのタイミングしかない!!と思ったので、行きつけのスタバでグランデしながら読みましたよ、と。そんなレポートっぽい書評になります。


本の概要としては、この本は日常の生活用品やサービスなどが、同じモノが違う価格で売られている理由を探るために書かれたもののようです。

1杯目:ホワイトホットチョコレート本の詳細に入る前に、簡単に飲んだものを示しておきます。飲んだのはホワイトホットチョコレートです。サイズはもちろんGrandeサイズです。480円です。ちなみに、Grandeはイタリア語らしい(スターバックス - Wikipedia)です。そのほかの商品は以下を参照ください。Starbucks Coffee Japan - スターバックス コーヒー ジャパン

さて本の内容ですが、これはちょっとボリュームが多く、300ページ近くもあり、かつ事例も幅広く挙げられております。自分が特に関心を持ったもののみを示しておくことにします。

まずは第1章の『ペットボトルのお茶はコンビニとスーパーのどちらで買うべきか?』についてです。この章で示されていることの概要は以下です。

  • 同じものが違う価格で売られている理由は、『取引コスト』しかない
  • 取引コスト』とは、買い物の代金とは別に「時間と労力(手間)、余分なおカネの支出、他の資産の使用、心理的負担」といったものがかかるもののこと
  • スーパーで98円のペットボトルのお茶を買うときは、自動販売機で150円で買うときよりも『時間がかかる』という取引コストが発生する
1章を超要約すれば、こんなことだと思います。この取引コストの概念がこの本で特に重要なようです。そして、店側が商品の価格を下げずに集客を増やすには、客の取引コストを下げる戦略がとられるようです。具体的には、店の移動時間、手間を減らすために、競合店がひしめく街の中心地に出店するといったことが行われるようです。これはとても勉強になりました。

続いて2章の『テレビやデジカメの価格がだんだん安くなるのはなぜか?』を簡単に示しておきます。電化製品などがだんだん値下がりする理由や量販店が安く売ることができる理由は、以下のようなポイントがあるようです。
  • 生産規模が拡大するほど、「1台当たりの生産コスト」が低下するという『規模の経済性』という原理が働く
  • 販売においても、たくさん生産するために、たくさん販売することが必要なメーカーは、一度に大量に仕入れてくれる店に対しては、1台あたりの卸価格を安くして売る
  • 大量に販売する店は安く仕入れることができるので、少量しか販売できない小さな電器屋よりも価格設定が安くできる
2章も要約すると、このような感じになります。これは勉強になったなと思います。なぜ家電量販店がありえないくらい安いのかがよくわかりました。

3章、4章も紹介したいのですが、時間とスペースの関係上、割愛します。

そして肝心の5章の『スターバックスではどのサイズのコーヒーを買うべきか?』です。とその前に、この章を読み進めるまでにホワイトホットチョコレートを飲み干してしまいました・・・。

(;´Д`)

寝不足もありつつ、うとうとしながら読んでいたり、ボーっとしたりしていたので、読むのに時間がかかり、かつぬるくなると不味くなるので・・・。せっかく肝心のスタバの話でグランデの飲み物がない、というのはあれなので、2杯目に突入しましたよ

2杯目:キャラメルマキアート2杯目は、キャラメルマキアート(ホット)です。サイズはもちろんGrande!!値段は470円です。

甘いのが結構好きで、ブラックコーヒーとかは飲めないです。キャラメルマキアートはホワイトホットチョコレートほど甘いわけではありませんが、割と飲みやすいエスプレッソだと思います。

さて、5章はといいますと、スタバの一番小さいSサイズ(ショート240cc)とその2倍の量のG(グランデ容量480cc)の価格差は、どんな飲み物でも100円ちょうどになっているようです。ほんとかよと思ってサイトを見てみると、ショートサイズがないもの以外はすべてそうなっていますね。

スターバックス コーヒー | 全ラインナップを見る

ただ、グランデサイズの容量が書籍では480ccとありますが、サイトには470ccとあります。話をわかりやすくするためにちょうど2倍にされたのかなと思います。そして、グランデを買え!!という理由は以下になります。
  • Sサイズ=240ccの飲み物の原価は1杯15〜40円程度
  • コーヒーの原価を20円とすれば、Sサイズ250円の内訳のそのほかの価格は、人件費や水道、電気料金などの経費の値段になる
  • 2倍の容量のGサイズをつくる手間はSサイズとほぼ変わらないので、サイズを2倍にすることで追加された240ccにだけ注目すると、それがどんな飲み物でも、ほぼ飲み物の原価分しかコストはかからない
以上のような理由から、店側としては1杯あたりの利益が18円しか儲からないショートサイズよりも、コストが20円しか増えずに80円の儲けが出るグランデサイズを売るようになる。以下その部分を抜粋。
 結局、価格が高い飲み物ほど、利益率(価格あるいは売上に対する利益の比率)は高くなる商品構成になっています。その上、大きなサイズほど利益率は高くなりますから、メニューの中では、店にとってスペシャルのWサイズが一番儲かる、一番売れてほしい商品になります。だから、スペシャルの普通サイズとWサイズの価格差を100円に抑えることで、スペシャルのWサイズをより魅力的にみせて、できるだけ注文してもらうおうと誘導するのが合理的なのです。
(pp.137)
そして、客側も追加の240ccがプラス100円で飲めるので、一度にたくさんのコーヒーを飲みたいと思う客にとって、お得な価格設定になっているようです。なので、客と店の両方が得するようなWin-Winの関係が築けるようです。これが『スタバではグランデを買え!』という理由になるようです。なるほどなぁと思いました。このように『取引コスト』の節約という視点から分析することで、いろいろなビジネスの本質が理解できるようになるようです。これは勉強になりますね。

あとは7章の『経済格差が、現実にはなかなか是正できないのはなぜか?』も勉強になりました。人の仕事のコスト面から比較優位の考え方が示されています。これは自分が仕事をするときに、他の人と差別化するときに重要になります。

また、消費者が何にお金を払うのは、かなりの部分が取引コストの節約に対して支払われるので、この手間を節約してくれるサービスに対して私たちはお金を払っているようです。これらの仕事は、特別な技能がなくてもできるが、以下のような能力(資質)が求められるようです。
  1. 自分に何ができるか(できないか)をきちんと自覚して、自分にできることを確実におこなうことができる(一定以上の責任感がある)
  2. 相手がどういったことを望んでいそうか想像できる(いろいろな状況を想定できる)
  3. 論理的に、あるいは熱意・誠意をもって、説明する能力が一定程度ある
  4. 自分がミスをすることを前提に、重要な点は他人に確認を依頼することをいとわない
要は自分を客観視できるか?ということだと思います。平凡なりにこの4つの能力がある人は、他の人よりもたくさん稼げる可能性があるようです。

ちなみに、著者曰く、仕事で本当に使えない人というのは、自分の能力を過信している人らしいです。自分の組織の社長も『できないものをできると言って、結果的にできないのが一番最悪!!』とおっしゃっておりました。気をつけておきたいところです。そうでないと、仕事先で『あいつは使えない!!』とレッテルを貼られて仕事がなくなります・・・。

他の章もいろいろと勉強になりますが、一番なるほどと思ったのは、『おわりに 他人と同じだから得なこと、ちがうから得なこと』の部分です。以下その部分を抜粋。
 ここで筆者が強調したいのは、自分がどれだけ他人と異なるかを知っておくことで、無駄を避けることができるという点です。
 ただし、もし他人と同じ行動をすれば得だとしても、無理にそうしても特にはなりません。金額は節約できても、満足が下がるか、自分にとっての取引コストが高いか、といったことになりやすいからです。しかし、すべて他人とちがった行動をしていると、暮らしにくいのも事実です。そもそも、ほとんどの人間は、かなり似た好み・能力を持っていますし、何かちがう好み・能力も必ず持っています。似ていると言えば、よく似ていますが、ちがうと思えば、かなりちがいます。無理に周囲にあわせる必要はなく、また無理に個性を磨く必要はありません(もちろん、周囲にあわせたり個性を磨いたりしてもいいのですが)。
 大切なのは、現時点の自分自身について、どんな面では大衆(平均)的な好み・能力・行動パターンを持っているのか、どんな面では少数派なのかを自覚することです。そういった意味での自己分析(自己評価)が正確であるほど、上手に生活できます。
 また、自分がどんなことで他人とちがうかを十分に理解して行動できれば、他に飛びぬけた能力がなくても、じつは、仕事などの上でとても高い貢献ができます。
(pp.283-284)
ここは一番勉強になりました。どうも自分が生きにくさを感じていたのは、自分の持っている特性が少数派に属することを無自覚だったので、『自分は普通だ!!』と思っていても実際は違っていたからのようです。納得がいきました。逆に他の人と比較優位を意識しながら差別化していけばいいんだよということだと思います。

この本は各章どれからでも読めそうに思えるけど、なるべく最初から読んだほうがいいかなと思います。最初に『取引コスト』の概念を理解しないと、後の章でどういうことかがわかりにくくなりますので。

また、1ページ当たりの文字数がかなり多く、一読しただけではよくわからない数字の概念が時々出てくるので、じっくり読むとかなり時間がかかると思います。また、各章の回答にあたる記述部分は特に太字などで強調されていないので、自分なりに読解する必要があります。一応経済学の話らしいので。

モノの価格の内訳がよくわかって勉強になりました。もし自分がカフェやBarの経営者になった場合は、コーヒーやカクテル1杯あたりどれくらいの値段設定にすればよいかがわかります。また、さまざまな店の商品やサービスの値段を見て、『この値段は高い』と思うような場合は、そのサービスや商品が提供されるまでの手間となる『取引コスト』を考えることで思考の訓練になると思います。高級店がなぜ同じようなものを高い値段で提供するのかがよく理解できました。

BGM:コーヒールンバちなみに、5章の『スターバックスではどのサイズのコーヒーを買うべきか?』を読んでいたときのBGMは左の写真のものです。
コーヒールンバ - Wikipedia

もう一生分くらいはエンドレスリピートで聞きましたwww

自分が聴いていたのは、伴都美子さん(伴都美子 - Wikipedia)のカバー曲集の『Voice ~cover you with love~』です。これはお薦めです。

また、スタバの話をしますと、自分がスタバで一番おいしいと思う商品は、実はスタバの店舗で売ってないですね。本当においしいのは以下のものです。

スターバックスリキュール スタバのコーヒーリキュール STARBUCKS 〜ワールドリカーブルータス〜

このリキュールは、『スターバックスの店舗では一切販売されておらず、全米スーパーの酒類コーナーや酒専門店』のみ販売されているようです。なので、手に入れようと思ったら、ネット通販しか方法はないみたいです。

で、面白いのがこのリキュールの販売価格。『スターバックス リキュール - Google 検索』でぐぐってみると、通販サイトがいくつか引っかかりますが、だいぶ価格にばらつきがあります。一番わかりやすいのが、価格.comです。

価格.com - スターバックス コーヒー の検索結果 | 洋酒

これを見ると、スターバックス コーヒーリキュール 750mlの価格が2,480円から2,980円とかなり差がありますね。これはどういうことだ!?と一瞬思いますが、冷静に考えてみるとこの価格差の理由は、この本を熟読すればわかります。2章の『テレビやデジカメの価格がだんだん安くなるのはなぜか?』ですね。簡単に言えば、『大量に販売する店は安く仕入れる』というのが理由だと思います。

また、一番安いところは、以下のところです。

【楽天市場】スタバの限定お酒のリキュール【特売中】スターバックス コーヒーリキュール 1000ml 20度:お酒の大型専門店 河内屋

1000mlで2,449円!!

他のところは、750mlで3,000円近くあるというのに、この安さはすごいです。クリームリキュールのほうも同じような値段なので、相当大量に仕入れているようです。

このリキュールの味なんですが、アルコール度数が20度もあり、ストレートで飲むと若干焼けるような感じになるので、やはりミルクで割って飲むとおいしいです。本当に上質なコーヒー牛乳カクテル!?でかなり

(゚д゚)ウマー

です。本当に。この味を知ってしまったらカルーア(カルーア コーヒーリキュール - Liqueur&Cocktail - サントリー)のカルーアミルクは飲めなくなります。スタバリキュールミルク(勝手に命名)のほうが断然おいしいです。一方、クリームリキュールは度数が15なので、ストレートでもいけます。こっちも本当においしいです。

このスタバリキュールは珍しいものなので、プレゼントとかによいと思います。また、このスタバリキュールの存在は、この本の内容を理解するよいケーススタディだなぁと思いました。

中野サンプラザそういえば、スタバの店員はどこの店に行ってもさわやかな人しかいないなぁと思います。独特の採用基準でもあるんだろうか!?と思いました。まぁ、そんなことなどをずっとスタバで考えておりました。結局4時間半くらいスタバっていましたwww長居しすぎです。店を出る頃には、降っていた雨も上がり、すっかり日も暮れていました。

今回の書評はそうとう『取引コスト』がかかっております。普段の3倍以上の時間を費やしました。4連休の特集記事ということにしておきましょう。さすがに毎回これほどのValueを発揮できませんが・・・。本当は昨日中にアップする予定が、書くことが多くなりすぎて結局今日の朝になりました。

このような書評もたまにはありかなぁと思います。この本自体は結構面白く読めました。

長々と書きましたが、最後まで読んでくれてありがとうございます☆

読むべき人:
  • スターバックスの常連の人
  • 将来経営者になりたいと思う人
  • 飲食店でアルバイトをしている人
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1. スタバではグランデを買え!  [ 天竺堂の本棚 ]   February 19, 2014 16:03

日常生活での見えにくい“コスト”についての本。スーパーで120円で売ってる缶ジュースが、店外の自販機で150円だった場合、差額の30円とは、実は「店内で買うと余計な時 ...

コメント一覧

1. Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文   September 24, 2008 14:13

Masterさん、こんにちは。
遅くなりましたが、ご紹介ありがとうございました。
積読じゃなくて、マジで今頃この本買ってる書評家なんて、あまりいなさそうです(汗)。

ところで、今回の記事は何だか肩の力が抜けてて(笑)、いつもと違った雰囲気でした。
なるほど、さすが「普段の3倍以上の時間」かけただけのことはあります(笑)。
あんまりご無理なさらぬよう(自分モナー)。

2. Posted by Master@ブログの中の人   September 24, 2008 20:52

smoothさん

コメントありがとうございます。

このエントリですが、たまには面白おかしく内容を取り上げるのもいいかなと思いました。いつもはそっけなさ過ぎるほどの記事なので。

今回はトータル10時間!?ほどかけたかもしれません・・・。

(;´Д`)

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