September 26, 2008

弾言 成功する人生とバランスシートの使い方


弾言 成功する人生とバランスシートの使い方

キーワード:
 小飼弾 / 山路達也、弾言、バランスシート、マッチョ論、思想書
プログラマ、投資家、アルファブロガーである小飼弾氏の叡智の結晶が示されている本。以下のような目次となっている。
  1. 第1章 ヒトpart1―自分の価値を「見える化」してレベルアップ
  2. 第2章 カネ―相互理解のツールとして戦略的に使いこなす
  3. 第3章 ヒトpart2―ネットワークにおける自分の価値をアップする
  4. 第4章 モノ―「本当は所有できない」ということを理解する
(目次から抜粋)
プログラマであり、投資家であり、さまざまなジャンルの書評をおこなったり自己の主張をアップし続けているブロガーでもある、小飼弾氏(404 Blog Not Found)の本。正直、これほど書評家泣かせの本はないよ・・・・。いい意味で、突っ込みどころ満載(なるほど!!と思うところが大杉!!)の本であるし、カネ、モノ、ヒトをバランスシートに当てはめ、個人の生き方、働き方、人間関係、社会システム、地球規模の環境にまで話題が右往左往していく。これを体系的に書評するのは無理だわ・・・。最近読んだ本、いや今年読んだ本で一番濃い内容だなと思った。一体どれだけインプットしていれば、こんなアウトプットができるのだろうか・・・。底が知れない・・・。

社会にかかるコストを計算する』という節で、著者の本を読んで誤解してしまうことについて示されている部分がある。
ついでに言えば、僕は誤解してもらうほどありがたいことはないと思っています。僕が気づかなかった知見を、他人が指摘してくれるのですから。
(pp.160)
ということなので、ちょっくら胸を借りて、誤読、誤解を恐れずに思いっきり自分なりの知見を示しておこう。


この本は、今までの著者の得てきた知見から、よりよく生きるために貸借対照表(バランスシート)に基づいて、世界をヒト、モノ、カネという3つの要素に「仕訳」し、世界を定量的に捉えることで見えてくるものがあるということが書いてある。そして、その3要素はバランスシートの


資産 = 負債 + 資本

に以下のように当てはめることができるようだ。

カネ(物事の総価値) = モノ(資源など) + ヒト(知的生産)

そして、最終的な結論としては、世界は、カネ≒モノからカネ≒ヒトに変わっていきますよ!!ということが多岐の事例にわたって示されている。うーん、自分で書いておいて乱暴な要約だなぁ・・・。

小飼弾氏の考えや主張を思い切って断言したものが『弾言』であり、その弾言が127個も示されている。全部はさすがに紹介しきれないので、自分が特になるほど!!と思ったもののみを列挙しておく。
  • 時間あたりいくらの仕事は、「モノ」的な仕事である
  • 考えるための時間を確保せよ
  • 知識に飢えれば、金づるが見えてくる
  • 常に問題意識を持ちながら、本を読め
  • 本を読んだら、次は「自分」を読め
  • ブログや日記を書いて、自分の状態を客観的に見てみよう
  • 勉強したことをブログに書いて、他人からツッコミを入れてもらえ
  • 自分ができないことを他人まかせにしてやさしいフリをするのは偽善者
  • 何でも自分のせいだと考えてみろ
  • 資産(総メモリ) = 負債(仮想メモリ) + 資本(実メモリ)
  • 健康状態、普段の食事、持っているスキル、人間関係など、自分について思いつくことを書き出せ
  • 「考える」とは、自分が勝てるゲームを作ること
  • 成長したければ、今の自分の能力+20%の仕事をしろ
  • 人付き合いの利益を得るために、必要以上のリソース(時間)を費やしていないかをチェックすべし
  • 最も重要なのは、何が正しいかではなくて、何が残るか
    (It's not what is right, it's what is left.)
127個の弾言のうち、自分のアンテナにひっかかった、著者的に言えば、パラボラアンテナの皿をイメージした『衝突断面積(cross section)』にぶち当たったのはこれら。これが今の自分の問題意識なのだと思う。そういった意味で言えば、この本でどの弾言が自分のパラボラアンテナに引っかかったか?によって、自分の内面にある問題意識を顕在化させることができるんじゃないかなと思った。

特に引用して示しておきたいのは、まずは、自分自身が書評ブログをやっている観点から、著者の読書観について。『常に問題意識を持ちながら、本を読め』、『多くの本を読み飛ばせ』、『本を読んだら、次は「自分」を読め』の3つの弾言にわたって示されている部分を一部抜粋。
 栄養と同じく、本も1つのジャンルに偏るのはよくありません。今まで読んだことのない分野の本を読んでみるとか、時々は横道に逸れてみないとなかなかアイディアはつかまりませんよ。どういうところに自分のアンテナを向けるか。チューニングの調整は毎日意識してやるべきです。
 (中略)
 読みたい本からどんどん読んでいきましょう。極端な話、読むのはマンガでもエロ本でもいいのです。
 しかし、1つ気をつけていただきたいのは、本を読了しても、それは読書の半分にすぎないということです。本を読み終わったら、今度は「自分を読んで」みてください。その本を読む前の自分と読み終わった後の自分がどう変わったか。読書の質は、この差で測れます。これを必ずやって下さい。
(pp.26-27)
この本の中で、自分にとって一番アンテナに直撃したのはこの弾言の部分だと思った。まず、自分自身もジャンルを幅広く読むようにしている。なぜなら、成功本のみを読んだところで、成功への壁を突破できないと考えるから。成功本だけを読んでも、ある程度は到達できると思うが、やがて壁にぶち当たるのではないか?と自分は仮説を立てている。その壁を超越するには、一見何気なく読んだ古典作品や、小説だったり、エッセイだったり、宇宙物理学の本だったりするのではないか?と思っている。事実、大組織のトップの人ほど、成功本以外のものから何かヒントを得ているような気がする。だから、著者の言うように、『チューニングの調整』や自分の興味関心や知見、幅を広げるためにも読む本の多様性を意識している。この書評ブログは、そんな記録でもある。

そして、自分にはない考えだったなと思ったのは、『自分を読む』ということ。読む前と後で何が変わったかをしっかり振り返っているかどうかによって読書の質の差が出てしまうという点。これはできているかなぁ?この考えは自分になかったものだから、たぶんあんまりできていなかったのではないかなぁ。しかし、『ブログや日記を書いて、自分の状態を客観的に見てみよう』の観点から、このように書評ブログを書いているというだけで、自分の日々の読書の質は、アウトプットしていない読書よりも向上しているとも考えられる。もっといいのは、書評記事に、読了前と読了後の自分の変化をもっと意識して書くべきだなということだと思う。これは次回の書評から積極的に取り入れよう。

もう一箇所自分のパラボラアンテナに強く反応したのは、『究極のエゴイストになる』、という節の『ウィンプ VS マッチョ論争において、ウィンプを名乗る人自身は、どのような人間か。』という問いに対して弾言が示されている部分。その部分を一部抜粋。
 おそらく、自分の実入りはある程度コントロールできるけど、世の現状に憤っている、しかし世の中を変えるだけの力はないと思っている人でしょう。こういう人は自分のことを優しい、思いやりのある人間だと考えているようですが、僕に言わせればそれは違う。面倒なことは他人にまかせて、自分は何もせずに優しいフリをしているだけにすぎないと思います。他人に対して優しくしたいのであれば、まず自分が強くなるのが先決です。人の力で、自分が優しいフリをするなと言いたい。僕にとって、偽善者の定義はそれです。
(pp.56)
そして、弾言として『自分ができないことを他人まかせにして優しいフリをするのは偽善者』と示されている。

この部分は、先日参加したセミナー『エンジニアの未来サミット(「エンジニアの未来サミット」レポート:エンジニアの未来サミット:速報レポート|gihyo.jp … 技術評論社)』で小飼弾氏をはじめ、アルファギーク、パネラーの方々が主張したかったことはこれなんじゃないかなと思う。IT業界の『』 状態やIT業界の仕事環境などの惨状を変えてくれるのを待っている『偽善者』でいるのではなく、自分が先に『マッチョ』になって強くなってIT業界を変えていくべきだ!!ということなんだと、自分は解釈した。たぶん間違いない。

特に、第2部のパネラーのgothedistance氏のこの主張(2008-09-24 - GoTheDistance)や、Yoshiori氏のこの主張(Yoshioriの日記: ライ麦畑で子供が落ちないように見張るだけの簡単なお仕事に戻ってはどうか?)はまさにこれだと思う。そんなことを考えた。自分も、誰かが現状を変えてくれるのを待つのはやめようと思った。

ちなみに、本当にどうでもいいことだが、セミナーレポートのページの『会場全景』の写真(「エンジニアの未来サミット」レポート:エンジニアの未来サミット Photoレポート|gihyo.jp … 技術評論社)に自分もひっそりと写っていますよと。本当にどうでもいいアピールだが。

本当はもっといろいろ紹介したい部分があるが、自分の場合は、書評ブロガー、ITエンジニアという観点から以上の弾言を取り上げた。

普段、著者のブログを見ていると、たぶん勢いで書かれている部分があるので、若干一読しただけではようわからん・・・、ということが多かったが、この本では、読みにくさやわかりにくい部分はそんなにない。ただあるとすれば、自分の持っている総合知を試されているというような感覚に陥ってしまう点。話題が本当に幅広すぎて、ついていくのがやっと・・・。何度も読み返して、自分の中でうまく消化する必要がある。

あと、一点だけ気になったのは、著者のブログ記事の最後にいつもある『Dan the 〜』という署名がどこにも載っていない点。これがないと、なんだか著者の主張を受け取ったことにならないような気がした。『小飼弾のアルファギークに逢ってきた』にはしっかりあとがきに載っていたのに。

この本を読んだ後の単純な感想は、どうやったらこんな本を書けるんだろうか?と思った。著者の半端じゃない読書量がこのアウトプットをもたらしたんだよなぁとつくづく思った。それと同時に、自分も将来こんな本を書きたいと思った。

最後に、自分も弾言してみる。

今年一番濃い内容の本!! 著者の思想が詰め込まれた本なので、この本を読んで自分の総合知を試せ!!

日付が変わる前の発売日に書評を完了したかったが、これはちょっと無理だわぁ〜。

読むべき人:
  • よりよく生きたいと思っている人
  • 自分の総合知を試してみたい人
  • 誰かが何かを変えてくれるのを待っているだけの人
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1. アルファブロガー小飼弾は『弾言』する  [ binWord/blog ]   September 26, 2008 12:04

「残業だらけの上に給料が安い」とか「やりたいことが見つからない」、あるいは「恋人...

2. 弾さんの経済講座 バランスシート編  [ カオスとコスモスの狭間 そもそも僕はどこへ行きたいのかがわからない ]   September 30, 2008 07:01

Amazonから購入。税込み1,500円はいかにも弾さんらしいですね。笑 断言します。 もとい、弾言する。 借金があるなら迷わず読め。 弾言 成功する人生とバランスシートの使い方 作者: 小飼弾, 山路達也 出版社/メーカー: アスペクト 発売日: 2008/09/25 メディア: 単行本 まあ

3. 弾言 成功する人生とバランスシートの使い方  [ 蔵前トラック?? ]   October 04, 2008 23:28

弾言 成功する人生とバランスシートの使い方 著者:小飼 弾,山路 達也 本書はア

4. 『弾言』自分の価値感を見直すためのテーマが詰まっている本  [ hobo-多読多評- ]   June 25, 2009 05:45

弾言 成功する人生とバランスシートの使い方(2008/09/25)小飼 弾山路 達也商品詳細を見る ■感想 バランスシートというものの使い方を学びたくの..

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1. Posted by 小林   September 29, 2008 09:42

私は人から誤解されることを恐れていましたが、「してもらうほどありがたいことはない」という視点に驚かされました。
『自分を読む』っていう作業、私もこころがけていきたいです

2. Posted by Master@ブログの中の人   September 29, 2008 21:33

小林さん

コメントありがとうございます。

『誤解をしてもらうほどありがたい』という視点は、常に自分の主張をブログで発信し続けている著者だからこそ得られる視点かなぁと思いました。

また、『自分を読む』というのは、ついつい怠ってしまいがちになるので、自分も忘れないようにしたいと思います。

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