October 03, 2008

受託開発の極意


受託開発の極意―変化はあなたから始まる。現場から学ぶ実践手法(WEB+DB PRESS plusシリーズ)

キーワード:
 岡島幸男、受託開発、基礎、教科書、誠実
受託開発の基本的なことが網羅されている本。以下のような目次となっている。
  1. 第0章 「受託開発」を楽しむには
  2. 第1部 受託開発の手ほどき
    1. 第1章 「お客さま」に関心を持つ
    2. 第2章 サービスは「見積り」から始まっている
    3. 第3章 「要件」さえつかめば大丈夫
    4. 第4章 保守性にこだわった「設計」・「実装」・「テスト」
    5. 第5章 「運用」が最上流
    6. 第6章 「計画」と「スケジュール」の管理
    7. 第7章 「チーム」で成功を目指す
  3. 第2部 人と組織を変えること
    1. 第9章 「仲間」を増やす
    2. 第10章 「組織」を変える
(目次から抜粋)
この本は、著者によれば、ソフトウェア、システム開発業において、プロフェッショナルな仕事をしたい、楽しく仕事をしたい人のために、受託開発で気をつけなければならないこと、意識したほうがよいことが示されている。著者の思いが詰まった部分が『はじめに』に示されているので、その部分を抜粋。
 一つのプロジェクトの成功や満足な仕事ができた喜びだけにとどまらず、そこで得られたことを次の世代の種として蒔くことができる。プロジェクトがうまくいかなかったのであれば、技術を改良し次のチャレンジでは成功させたいと努力できる。ソフトウェア開発の現場にそんな開発者をもっと増やしたい。それが私の目標であり、この本がその一端を担えれば幸いです。
(pp.7)
著者の受託開発の経験から、受託開発業をよくしていきたいという思いが全編にわたって示されている。

受託開発は、おおまかに、「見積もり」、「要件定義」、「設計・実践・テスト」、「運用」という流れで進んでいくが、この本では、最初に「お客さま」に焦点を当てているのが特徴になっている。他の本ではあまりここに焦点が当たっていないときがあるが、この本では、ここが一番重要だと思った。

「お客さま」の接し方を学んでおくことは、要件定義や設計といった仕事のやり方を身につける以上に重要だという考えからくるもののようだ。これはなるほどと思った。技術者としてキャリアを積もうと思ったときは、どうしても開発方法論やサーバ、インフラ、プログラミング言語、フレームワークなどの技術に意識が行ってしまい、「お客さま」という視点が薄れてしまう。しかし、お客さまに関心を持つことで、より仕事を楽しみ、より優れた成果を残すことができるようだ。

お客さまに対してのプロ意識が示されている部分があるので、以下その部分を抜粋。
 お客さまに対しても同じことなのです。コミュニケーションの問題が発生したなら、すぐにでも関係を修復したい。お客さまのやりたいこと(要件)をきっちり理解したい。偏った情報に惑わされず、最適な技術を適用してあげたい。お客さまに関心を持ち、このような問題意識を持つことが、受託開発を生業とするプロになるための第一歩なのです。
(pp.25)
そして、お客さまに関心を持てない理由は、「コミュニケーション量の少なさ」だと示されており、お客さまと接する機会をもっと増やし、コミュニケーションの絶対量を増やすべきだとある。その具体的な方法も示されている。コミュニケーション量を増やすというのはそうだなぁと思った。プログラミングをしていて、これは誰のために作っているのかなぁと思うことがあり、それは上司のためではなく、システム利用者のお客さまということだということが忘れがちになる。しかし、お客さまの要望を実際に会って聞くと、あぁ、この人たちのために作っているのだということが実感できる。

あと、「設計・実践・テスト」部分でもなるほどと思うところがあった。著者によれば、設計とは、以下のようなことらしい。
そして「設計」とは、定義された要件を満たすための実現手段を具体的に検討することで、品質を作りこむ作業です。
(pp.72)
また、受託開発で重要なのは保守性であり、「設計・実践・テスト」においては、それに着目したやり方が必要だと示されている。具体的には、基本設計書、ユースケース記述、テーブル定義書、テストケースなどについて言及されている。

受託開発の流れに沿って、重要なことや気をつけなければならないことが網羅的に示されているほうだと思う。しかし、著者自身『受託開発の極意』と書いていながら、すべての受託開発をカバーしているものではなく、主に中小規模の業務系システムを対象としているようだ。

また、第2部の自分、仲間、組織を変えていくというのは、XPの思想に近いものがあるなぁと思った。

結局、受託開発で重要なことは、瑣末な技術よりもプロジェクト体制であったり、一緒に働く仲間であったり、お客さまであったりと機械系よりも人間系を意識するということなのではないかと思った。

受託開発の基礎を学びたい人にはお薦め。

読むべき人:
  • SEの人
  • 技術にばかり関心があり、お客さまに関心が薄い人
  • プロジェクトマネージャの人
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