October 08, 2008

脳あるヒト 心ある人

脳あるヒト 心ある人 (扶桑社新書 32) (扶桑社新書 32)
脳あるヒト 心ある人

キーワード:
 養老孟司 / 角田光代、リレー、書簡、独り言、連歌
養老孟司氏と角田光代氏による、特にテーマを設定せずにお互いに綴りあったリレーエッセイ。目次項目が90個近くあるので、自分が特に面白いと思ったもののタイトルを示しておくことにする。
  • 美味しいって何だろう
  • 頭だけで「生きて」いるから
  • 「知らない」を選べる自由
  • 「知る」とは自分が変わること
  • 言葉になる以前のもの
  • 男の人は女をだます?
  • できること、できないこと
  • ふつうって何だろう
  • 美味しい仕事
  • 「仕事」は何のためにある?
  • 自分の才能がどこになるか
  • 才能とは苦にならないこと
  • 無性に「好き」な気持ち
このエッセイは、産経新聞に連載されていたもので、特にテーマを設定せずに、養老氏が書いたエッセイに対して角田氏がその内容に続けてエッセイを書き、さらに角田氏のものを参考に養老氏が書きたいことを書いているというような内容となっている。なので、さまざまなテーマや話題が出てきて面白かった。

養老氏は解剖学者の話から理系的で、趣味の虫取りの話や社会情勢や世間の話が多いのに対して、角田氏は、小説家という立場から小説の話、日常生活の買い物や好きな食べ物、母親との関係など文系的な話題が多い。その二人の書簡のように続くエッセイというものは、初めて読んだ形式なので、面白いなぁと思った。もちろん、すべてがなるほどと思ったりするわけでもなく、へー、そうなんだーと単純な感想しか出ないものもあるし、まったく興味もないものもある。

特に自分がなるほどと思ったのは、養老氏の角田氏へ宛てた『「知る」とは自分がかわること』というものの最後の部分。
 何かを知ること、変わるためには、それが一番いい方法なのである。だから学問をするので、何かを学ぶというのも、ここまで述べた知るというのと、同じ意味のことである。自分を変えない知識には、あまり意味はない。それを昔から役に立たない知識、ムダな勉強といった。逆に言えば、学ぶなら自分が変わるまで学びなさい、ということである。学んでも相変わらず同じ世界に住んでいるなら、学んだことになってない。そういう人は、いくらでもいる。どうもそんな気がしてならないのだが。
(pp.29)
これは特に重要だなと思った。このように書評ブログをやっていて、しっかり変わっているのだろうか?確かに大きくは変わっていないと思う。本質的な部分は。しかし、1冊の本で少しずつ、自分のあまり気づかないところで内面が変わっていっているのだと思う。そして、ある程度の期間が経ち、ある時点の昔と今を断片的に見たとき、成長が実感できているのだと思う。少なくとも、この書評ブログを始める前と今では大きな違いかなぁと思った。後は、読んでしっかり行動して、意図的に自分を変えるということも必要だろう。

角田氏のもので、なるほどと思ったのは、『才能とは苦にならないこと』というもの。
 才能とは何だろうと考えると、苦にならないことだと思う。抜きん出た特殊な力のことではなく、どれだけ長い時間そのことと向き合えるかということだと思う。七歳の時小説家になりたいと願った私にとって、読むことも書くこともまったく苦ではなかった。だから小説家になったのだと思う。夢を実現したかのようにたまに人は言ってくれるが、七歳から読むこと書くことばかり飽きずにやっていれば、誰だってなれるはずだ。
(pp.174-175)
この才能の定義は、なるほどと思った。続けられることが才能というのであれば、この書評ブログも自分の才能によるものということになる。飽きずにもう3年目くらいになるし、自分も読むこと書くことはまったく飽きずに一日中、一年中できる。だから、文筆家業を本気で考えたほうがいいのかなぁと思ったりもする。

もう一箇所養老氏の『「仕事」は何のためにある?』が勉強になった。曰く、仕事は「自分のため」にやるものではなく、自分のためにやっていても成功はしない。仕事は、「世の中にとって必要だから存在している」のであり、人のためにやるべきなのだという主張。そして、本当に仕事をするには、世間を知る必要があり、世間を作っているのは人なのだから、人を知る必要があるとあった。これは自分の仕事感を変えてくれるような内容だと思った。たまに何のために、誰のために仕事をしているのかわからなくなってしまうので。

また、成功するには人を知る必要があるとあったので、やはり文学作品やこのようなエッセイを読むのは重要だなぁと思った。

1項目2ページの構成で読みやすいものとなっている。気分転換に少しずつ読めばいいと思う。

養老氏は虫取りのブログをやっているようだ。また書きすぎた・・・。遅刻する!!

読むべき人:
  • エッセイが好きな人
  • 日常生活での気づきを得たい人
  • 虫取りが好きな人
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1. 脳あるヒト心ある人  [ 伊東良徳の超乱読読書日記 ]   October 16, 2008 20:47

 産経新聞紙上で行われた交換書簡型エッセイ。  テーマは決まってなくて、前回の相手のエッセイから連想して飛び火していくパターンが多くなっています。  その中で、昔読んで面白くなかった本を読み返して今は面白いということで自分の変化に気づかされる、それで本はす...

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