January 22, 2009

中小企業向けAccess 開発実践ノウハウ

中小企業向けAccess 開発実践ノウハウ (DB Magazine SELECTION)
中小企業向けAccess 開発実践ノウハウ (DB Magazine SELECTION)

キーワード:
 前野好太郎、Access、DB、アップサイジング、ポテンシャル
中小企業向けのAccessを使用したDBシステムの開発方法が示されている本。以下のような目次となっている。
  1. 1部 Access流のDB設計
    1. 1章 AccessのDB機能を再確認しよう
    2. 2章 画面/帳票設計
    3. 3章 データ型を極める
    4. 4章 テーブル設計の勘所
    5. 5章 クエリを上手に使おう
    6. 6章 共通モジュールをしっかり作る
  2. 2部 Access流の開発テクニック
    1. 7章 クエリとVBAによるトランザクション処理
    2. 8章 AccessからSQL Serverへのアップサイジング
    3. 9章 パススルークエリによるSQL Serverへの接続
    4. 10章 パススルークエリによるSQL Serverへの接続
    5. 11章 テスト技法と運用環境
  3. 付録 DBのプロが明かすExcel活用の極意
    1. DBサーバーのクライアントとしてのExcel活用術
    2. ▲如璽進析ツールとしてのExcel活用術
(目次から抜粋)
この本の概要が『はじめに』に示されている。以下に抜粋。
 本書ではAccessならではの視点から、テーブルを作成するためのデータベースの基本から、クエリの活用方法、フォームやレポートの作り方、コーディングの方法などをまとめています。また、データベースとしての可用性や基本機能を高めるために、SQL Serverをバックエンドとして利用する方法も紹介しています。そのためにあまり取り上げられることがない、AccessデータベースからSQL Serverにアップサイジングする手法についても紙面を割いています。
(pp.iii)
この本を読む前は、Access、そんなMS製のおもちゃみたいなDBなんか使えないでしょ?と若干思っていた部分があるが、読了後はAccessはかなり使えるのではないか!?と思った。それだけ、自分はAccessのポテンシャルについて把握していなかったことになる。

この本は、Accessの基本的な特徴から、画面設計/帳票設計から内部のコーディングやSQL Serverとの連携まで幅広くまとまっている。結構知らなかったことが多く示されていた。以下、自分が特に勉強になった部分を恣意的に抜粋。
  • Accessのデータベース容量は最大2GB
  • Accessのネットワーク負荷の回避方法は、インデックス/クエリ/SQL文の配置、ローカルテンポラリテーブルの作成/再抽出、検索項目分割などのテクニックがある
  • テキスト型フィールドの1文字は1バイトではなく、半角でも全角でも1文字としてカウントする
  • Accessでの開発を進めるにあたって、一番重要なことは「限界を把握すること」
  • できる限りサーバー側データベースとの接続時間を短くするために、ワークテーブルを利用するようにする
  • Accessによるシステム開発のメリットとして、打ち合わせ時に作成した画面や帳票をそのまま利用できること
  • アップサイジングとは、DBエンジンをAccessに付属のDBエンジンであるJetからSQL Serverに移行することを言う
  • アップサイジングウィザードを実行すると、DBエンジンのアップサイズだけでなく、フロントエンドのAccessのファイル形式も「mdb」から「adp」に名称が変わる
  • Accessのmdb形式のファイルは、サーバーからクライアントにデータをすべて拾い上げてしまうので、ネットワークトラフィックが増大してさまざまな障害を引き起こすという特性を持っている
実際に仕事でAccessで作られたシステムのメンテナンスをやったりするけど、特にAccessは使えねーよ!!と思ってしまうのは、最後のネットワーク越し経由でDBをいじる処理を実行するときだ。そもそも、Accessはネットワーク越しに複数利用者のアクセスを想定していないつくりになっているので、数百件のデータを抽出する単純なSELECT文でもうんざりするくらい時間がかかってしまう。この本ではネットワーク負荷を軽減する方法としては、SQL Serverにアップサイジングすることと示されているが、単純なSQL文見直しやインデックスの効果的な貼り方などは示されていない。その部分が特に知りたかったが、残念だ。

やはりこの本の一番の特徴は、SQL Serverへのアップサイジング手順が示されている点だと思う。この本によれば、既存システムとしてAccessが使われている場合、もっとパフォーマンスが出るものにしたいとか、システムを一新する場合、ベンダーなどはAccessを破棄し、違う言語やDBシステムで一新するらしい。そのため、このようなアップサイジングについてまとまったものは殆どないようだ。そして、この本では、業務を知り尽くしているユーザーが自前で構成したAccessからSQL Serverへのアップサイジングこそが、中小企業の情報化への決め手となり、最良のシステムを構築する1つの方法論であると示されている。これはなるほどと思った。

他にも、Accessの位置づけとしては、プロのエンジニアからしてみれば容易なものだが、素人にとっては難解で、中間層がいないようだ。そのためAccessの技術者は極端に少ないようだ。

さらに、IT業界という大きな枠組みの中に大規模な基幹システムがあり、汎用ソフトウェアがあるとすると、それ以外の部分を埋めるのがAccess市場だと示されている。曰く、『かゆいところに手が届くシステム』と示されている。規模の小さいものでかつ導入コストがそこまで高くないので、タイトルにあるように中小企業向けとあるのだと思う。

各章の最後に、コラムが示されているが、そこがとても勉強になるし、おもしろい。著者のAccess開発経験の話や、Accessの市場の優位性、Accessのポテンシャルが熱く示されている。ここだけでも読む価値があり、このコラムによってAccessに対する印象がかなり変わった。

ただ、一点この本でダメな点は、サンプルプログラムのフォントが小さすぎて読みにくいこと。サンプルプログラムのコメントも薄いオレンジ色をしていて、本当に読みづらい・・・。プログラムを1ページに詰め込みすぎているからしょうがないといえばしょうがないが。

AccessとかVB.NETなどのMS系の技術や製品に対する偏見があったけど、最近、自分なりに勉強したり実際にプログラミングをしてみると、結構便利だったり、ちゃんと設計をすればよいものができるんだなぁということが分かりつつある。特にAccessに関して言えば、自分でDBの勉強をかねてシステムを作ってみようと思う人にはいいと思う。GUIベースでプログラミングを極力省略できて、分かりやすいし。すくなくとも、いきなりOracleのアーキテクチャを学ぼうと思って挫折するよりもいいと思う・・・。AccessからSQL Serverと自分の技術もアップサイジングすればいいと思う。

中小企業向けのAccessでのシステム開発をする人は、ぜひこの本を読んだほうがいい。

それにしても、技術本はやはり速く読めない・・・。この本は大体1週間近くもかかった・・・。毎日の通勤時間に読んでいたのもあるし。また、プログラムの細かいところまで考えながら読むので、どうしても時間がかかる。それはそれでしょうがない。



中小企業向けAccess 開発実践ノウハウ (DB Magazine SELECTION)
中小企業向けAccess 開発実践ノウハウ (DB Magazine SELECTION)

読むべき人:
  • Accessの基本を学習したい人
  • Accessなんか使えねーよ!!と思っている人
  • 中小企業向けのシステム開発をしている人
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コメント一覧

1. Posted by オッキー   January 23, 2009 13:03

5 初めまして、オッキーと申します。

コンピュータ関連書籍の書評が抜群にうまいといつも感心しきりです。

私は、OracleとAccess、Postgres、MySQLはわかるのですが、唯一SQL Serverだけがなじみがなくて。

ですので、この本かなり魅力的です。最近、会社がかわったことで、SEやプロマネよりプログラマになることも多くて。今のところが使っているのが、Access、SQL ServerとDB2(パッケージで使用なんですが)・・・SQL Serverでがっちり作ったほうがいいのではと思いながらも、Accessで使っています。

>>他にも、Accessの位置づけとしては、プロのエン
>>ジニアからしてみれば容易なものだが、素人にと
>>っては難解で、中間層がいないようだ。そのため
>>Accessの技術者は極端に少ないようだ。

そうなんですよね。プロ的に作ってしまうと(複雑なSQLやVBA使って便利にするとか)、中間層がいないと引き継げないのですよ。これが今の悩みです。

そういう意味でも、この本はよさそうですね。

本屋で確認します。

このごろは、コンサルしたくてMBAや診断士取得のためにビジネス書中心に読んでましたが(現場を離れてましたが)、コンピュータ系もまた読まなければならなくなりました。

コンピュータ系書籍に強いブロガーをこのごろ発掘中です。紹介していただけるとかなりありがたいです。

初めてなのに、長くなりすいません。

2. Posted by Master@ブログの中の人   January 23, 2009 22:59

>>オッキーさん

熱いコメント、ありがとうございます

>>コンピュータ関連書籍の書評が抜群にうまいといつも感心しきりです。

そういっていただけると、とても励みになります
いつもいつもこんな記事でよいのか?と自問自答しておりましたので。

Accessもよい点悪い点がありますので、この本をお読みになれば、より理解が深まると思います。

また、技術本を扱っているブロガーですが、自分もあまり見当たらないなと思っているところです。

自分がいつも参考にしているのは、『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』と『404 Blog Not Found』です。超有名どころで、今更説明不要で、技術本以外の書評が多いですが。

また、今後ともよろしくお願いいたします

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