February 06, 2009

SI力! IT社会を切り拓くプロフェッショナルたち

SI力! -IT社会を切り拓くプロフェッショナルたち
SI力! -IT社会を切り拓くプロフェッショナルたち

キーワード:
 小林 秀雄 / 伊澤 偉行、SI、大規模開発、NTTデータ、事例紹介
NTTデータグループの大規模システム開発事例が示されている本。以下のような目次となっている。
  1. 序章 優れた情報システムを生みだす力とは?
    第一章 【課題解決力】 企業や社会が提示する課題に情報システムで応える
    第二章 【チーム力】 組織体制とリーダーシップでパワーを最大化する
    第三章 【継続力】 「顧客と共に歩むこと」が信頼の絆を強くする
    第四章 【構築力】 時代を超越した「原理原則」の理念に基づく
    第五章 【品質力】 真摯に"バグの根絶"を追求する
    第六章 【突破力】 決してあきらめず困難な状況を打開していく
    第七章  【進化するSI力】 未来につなげるパワーを整備し育んでいく
(目次から抜粋)
この本の概要は以下のようなステップで示すことができる。
  1. 情報システムが社会生活でなくてはならない社会インフラになっている
  2. その社会インフラを支えるシステムインテグレーター(SI)のSI力が求められている
  3. SI力はシステム開発の技術だけでなく、プロジェクトマネジメントなどの人間的な部分も重要であるという考え
  4. SI力について、数多くの取材からまとめて一般化してみよう
そして、取材対象として、NTTデータグループが取り上げられている。以下その部分を抜粋。
 今回、取材のフィールドとして選択したのがNTTデータである。NTTデータは前身である電電公社の時代までさかのぼれば日本で最も歴史があり、国内有数の実績を持つシステムインテグレータである。「きっと、SI力への理解を深める情報を与えてくれるに違いない」と私たちは考えた。
 以降の各章では、情報システム構築の現場で豊富な経験を持つプロジェクトマネジャーをはじめ多くの技術者の人々にインタビューし、彼らの持つ能力に対して様々な角度から光を当てることを試みた。彼らの持つSI力を明確にすることができれば、情報システムの構築・運用に携わる人々にとっても、またCIOをはじめ情報システムと関係を持つ多くの人々にも、そのSI力を共有することができる。
(pp.6)
SI力に焦点が当てられているが、正直そこにはあまりぴんとこなかった。むしろ、競合他社のシステム構築事例として読むと結構面白いと思った。示されている内容は、大規模なシステム開発事例で、大抵は一筋縄ではいかない困難なものである。そのときに、技術的な部分だけではなく、洞察力、構想力、行動力、リーダーシップなどをまとめ合わせたヒューマンスキル的なSI力でそれらのシステム開発を成功に導いた、ということが多く示されている。例えば、構築事例としては、以下のようなものが挙げられる。
  • りそな銀行の巨大システム統合プロジェクト
  • iモードのサービスを支えるシステム「CiRCUS」
  • カード決済システムCAFIS(CAFIS - Wikipedia)
  • 医薬品業界の商取引データをやり取りするJD-NET
他にも事例が多く示されているが、いずれも何百人月という大規模システム構築事例となっている。

なんだかプロジェクトX風で、記事の内容的には、日経コンピューターのシステム構築事例に近い。それらのシステムの概要や起こりうる問題、そしてそれらの問題にどう対処したのかという部分がとても勉強になった。

ひとつ特に面白いと思ったのは、バグをゼロにする品質向上のアプローチだった。システムのバグをいかになくすかを考えたときに、設計工程に鍵があると仮定し、設計書のミスを徹底的に根絶したようだ。そこから、プログラム工程でのバグをプログラム工程で根絶していくことで、運用時にバグが発生しないとある。

詳細設計書の品質向上には、「なぜなぜシート」というものを使用するらしい。これは、問題が発生したときになぜその問題が発生したのかの原因分析や対策が示されていくものらしい。これが、プロジェクトチーム全体にバグ情報として共有され、品質が向上していくようだ。これはなるほどなぁと思った。

他にもNTTデータの社内体制や人材育成の仕組みなどが示されていて、SIトップ企業はやはり教育投資がすごいなぁと思った。PM社内資格認定制度や事業に必要となる人材像とコンピテンシーが定められたプロフェッショナルCDPというものが示されている。

正直、この本は、NTTデータの宣伝みたいなものだが、競合他社の大規模システム構築事例をプロジェクトX風に知ることができるという点では、価値があると思った。また、NTTデータに対する偏見が若干あったけど、少し見方が変わった。

大規模システム開発には、ヒューマンスキルが重要であるということもそれなりにわかってよかった。



SI力! -IT社会を切り拓くプロフェッショナルたち
SI力! -IT社会を切り拓くプロフェッショナルたち

読むべき人:
  • 大規模システム開発事例を学習したい人
  • プロジェクト管理に行き詰っているマネジャーの人
  • データは基本的に丸投げしかしないと思っている人
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コメント一覧

1. Posted by オッキー   February 06, 2009 18:23

5 こんにちは、オッキーです。

私も実はNTTデータには少し偏見があって、というより、結構痛い目にあったことがあります。すごく参考になる人もたくさんいたので、一部の人に対する単なるバイアスなんでしょうけど。

読もうかどうしようかと思ってましたが、参考になりそうです。書店で確かめてみます。

毎度参考になる記事、ありがとうございます。

2. Posted by Master@ブログの中の人   February 06, 2009 20:32

>>オッキーさん

コメントありがとうございます!!

まぁ、この本は、プロジェクトの成功事例が載っているだけで、きっとこの裏には失敗の数々があるのだと思います・・・。

見方を変えて読んでみると、得られるものがある本だと思います。

これからも更新がんばります

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