February 22, 2009

だから、あなたも生きぬいて

だから、あなたも生きぬいて (講談社文庫)
だから、あなたも生きぬいて (講談社文庫)

キーワード:
 大平光代、自伝、波乱万丈、自殺未遂、生きる
波乱万丈な人生を送ってきた弁護士である著者の自伝。以下のような目次となっている。
  1. 第1章 いじめ
  2. 第2章 自殺未遂
  3. 第3章 下り坂
  4. 第4章 どん底
  5. 第5章 転機
  6. 第6章 再出発
  7. 第7章 司法試験に向かって
  8. 第8章 難関突破
  9. 第9章 後悔
(目次から抜粋)
大分前にベストセラーになった本なので、この本のタイトル、装丁は誰でも一度は見たことがあると思う。実際、自分はリアルタイムでテレビで著者の波乱万丈のドキュメント映像を見た記憶がある。ベストセラーは基本的にわざわざ自分が読むものではないと思っている部分が多少あるが、この本はある人に薦められたので、買って読んでみることにした。読了した結果、率直な感想を示すと、売れるものには売れるだけの理由があるのだなと思った。そして、がんばって生きていこうと思った。

著者は、中学時代のいじめが発端となって割腹自殺未遂をし、一命を取り留めるが精神科通いにさせられ、そしてさらに落ちぶれて16歳で極道の妻となる。その後ホステスをしているときに、大平のおっちゃんに出会うことで人生をやり直すきっかけを得て、宅建、司法書士、司法試験と合格し、現在は非行少年たちを救うための弁護士として活躍している。

著者の波乱万丈の経緯は、この本を読めば分かると思う。自分はいじめられた経験がほとんどないので、著者の辛さが感覚的には分からない。しかし、誰にもわかってもらえない孤独な状況が生きていて一番辛いし、絶望なのではないかと思った。それこそ死に至る病だ。そういう辛い状況で生きてきて、大平のおっちゃんに出会って立ち直ろうと思えて、実際に立ち直った著者は、自分と同じような境遇を味わった少年たちを救うことに使命を感じられているのだと思う。これは、誰かを救いたいという想いは、同じように苦しんだ人だからこそそう強く想えて、実際に行動を起こせるのだろうと思った。こういう部分は見習って生きたいと思った。

正直に申せば、5章までの中学時代からのいじめから、極道の妻になるまでの描写があまりにも単調すぎて、高尚ではないなと思ってしまった。極道の妻になった前後のところなど、あまり細かいところまで書かれていないような気がした。これが小説などの文学作品であれば、読み続ける気はなかった。もっと描写がうまく、そしてさらにグロテスクなものを読んだことがあるので、引き込まれなかったから。そう思いながら読み進めて行き、『終わりに』で、この本について以下のように示されていた。
 なにかいい方法はないものかと考えていたところ、今回、講談社児童局から出版のお話をいただいた。喜んでお受けしたものの、文章にするには多大な苦労が伴った。私以外の人たちのプライバシーには配慮が必要なため記述に限界があったことと、これを書くと特定の人を傷つけてしまうということもあり、だいぶ苦慮したが、その点を考慮したうえでも十分お伝えすることができると思い、作業を続けた。なお、当時の出来事については、その当時に抱いた感情を、そのままお伝えすることを心がけた。
(pp.269)
この部分を読んで、自分の浅薄さを恥じた。きっといじめの詳細や極道の妻の生活などの詳細を読ませるように書くこともできたのだろうが、意図的に書かなかったのであり、それを高尚ではないと思ってしまったことに。そもそも、これはフィクションではなく、ノンフィクション、つまり実話であるし、著者がこの本で一番伝えたかったのは、過去の自分がいかにひどい仕打ちを受けたか、そして誰かに分かってもらいたかった、ということではく、同じように苦しんでいる人のために『だから、あなたも生き抜いて』と伝えるためだろう。つまり、いじめを受けている中学生くらいの生徒にも無理なく読めるように、そして余計なグロテスクさを排除して悪影響を与えないという著者なりの配慮だと思った。簡単に読めてしまう分、そういう部分に気づかないままで評価を下しそうだった。

そして、著者の一番伝えたいことは以下だろう。以下に恣意的に抜粋。
 そして、この本を読んでくださったあなたへ。
 もし、あなたが今すぐにでも死んでしまいたいと思っていても、絶対に自殺はしないでほしい。死んでも地獄、運よく助かっても立ち直るまでは地獄。あなたの今現在の苦しみや悲しみは永遠のものではなく、いつかきっと解決する。どうか前向きに生きていってほしい。
(中略)
 もし、あなたがもう道を踏み外してしまっているというなら、今からでも遅くはない。もう一度人生をやり直してほしい。この先も、いくたの苦難があるかもしれないが、あなたはそれに耐えられるだけの力を備えているはず。あなたはこれまで随分と辛い目にあってきたのだから。一つ一つ困難を乗り越えて、そしてその手に幸せをつかんでほしい。
 あきらめたら、あかん!
(pp.270-271)
ということで、自分もあきらめずに、一つ一つ困難を乗り越える生き方を目指すことにした。

やはり、売れる本には売れるだけのしかるべき理由がある。この本は、分かりやすい内容で、一人の人の復活の物語でもあり、そして、読者の心に強く訴えかけるものがあるからだろう。今までベストセラーをあえて回避してきたが、これからはベストセラーも読むことにした。

死にたいと思っていたり、自分の人生の不条理さを感じている人は、ぜひ読んでおいて損はないよ。



だから、あなたも生きぬいて (講談社文庫)
だから、あなたも生きぬいて (講談社文庫)

読むべき人:
  • 死にたい衝動が抑えられない人
  • 自分の人生の不条理さに叫びたい人
  • 誰かの助けになりたいと思っている人
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コメント一覧

1. Posted by オッキー   February 22, 2009 18:41

5 こんにちは。

グットタイミングな紹介でした。

実は私、ある資格(情報処理に近いもの)を目指しているのですが、たまたまその試験に合格した人が、この本を紹介してくれたんですよ。

もちろん精神面でどん底になったときへのすすめもありますが、どのような勉強方法をとったかとか、ノウハウ面もいいよという話もありました。

なぜか手に取る機会がない書籍の一つでしたので、ぜひとも目的買いしようと思います。

2. Posted by Master@ブログの中の人   February 22, 2009 18:56

>>オッキーさん

お役に立てて何よりです!!

勉強部分については、司法試験合格までの著者のとった戦略がとても参考になります。勉強本としても役に立ちますが、何よりも生き抜いてというメッセージが心に響きます。

3. Posted by オッキー   February 22, 2009 21:37

5 コメント返信、ありがとうございます!

>>勉強本としても役に立ちますが、何よりも生き抜いてというメッセージが心に響きます。

今最も切望しているのは、「何よりも生き抜いて」というメッセージを受けたいというのがホンネではありますが(苦笑)。

勉強部分のことは、合格者の友人以外にも黒柳徹子も「哲子の部屋」で言及してたんですよ。

とにかく明日にでも直買です!

※ 評価のところですが、顔の場合は、一つしか表示されないのですかね?一瞬、最低にしてしまったと思い、ゾッとしました。

4. Posted by Master@ブログの中の人   February 22, 2009 21:43

5 テスト

5. Posted by Master@ブログの中の人   February 22, 2009 21:43

1 テスト2

6. Posted by Master@ブログの中の人   February 22, 2009 21:48

>>オッキーさん

どうも顔の場合の評価は、数ではなく表情で評価を表現しているようです。1が青い顔、5が笑顔らしいです。さっき初めてテスト投稿で自分で使いました(笑)

この本は、いろいろと得られるものがあるので、ぜひ感想をお聞かせください!!

7. Posted by marimari   January 11, 2012 15:22

5
私は10数年前、内容は言えないのですが、本当に死にたいくらいの辛い時期がありました。。 偶然立ち寄った本屋で、この本のタイトルに吸い寄せられる様に立ち読みしました。
すべては読めませんでしたが、最後の、この本を読んでくれたあなたへ の部分が、本当に魂にささって、立ったまま涙がこみあげました。すぐに私の状況が変わる訳ではありませんでしたが、誰の慰めや助言よりも、著者の経験からでる語りかけの言葉に、ああそうだ、死ぬのはやめよう、生きていこう、と、本当に救われたのです。
それから10数年、今私は幸せに生きています。

私にとって、この本は大切な一冊です。
苦しい人生を送っている方には、読んでみる価値あると思います。

8. Posted by Master@ブログの中の人   January 11, 2012 21:06

>>marimariさん

コメントありがとうございます!!

辛い思いをされて大変でしたね。辛い思いをされた人ほどこの本に共感できるのではないかと思います。

自分も割と辛いときがありましたが、時間が経てば何とかなるものだなぁと改めて思いました。

9. Posted by marimari   January 12, 2012 14:39


こちらこそ、コメントありがとうございます。

本当に時が経って振り返ってみたら、苦しかった事も全て遠い過去で、生きててよかったなと思います。
始めに立ち読みしてから、数年後に改めて本書を購入して全て読みました。ちなみに何と著者の大平光代さんの講演を聞く機会がありました。必然的なものを感じて感動でした。

良書にめぐりあえてよかったです。

10. Posted by Master@ブログの中の人   January 12, 2012 21:17

>>marimariさん

本書が良書として出会われたこと、とても素晴らしいことですねまた、出会うべくして出会った本とかがあるのではないかなと思ったりします。

これからもこのブログでそういう本を紹介していけたらと思います。

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