March 23, 2009

年収が2倍にも3倍にもなる勉強法

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年収が2倍にも3倍にもなる勉強法

キーワード:
 堀紘一、勉強法、省エネ、読書論、極意
BCG社長を経て、現ドリームインキュベータ会長によって勉強法が示されている本。以下のような目次となっている。
  1. 序章 人はなぜ勉強するのか
  2. 第1章 目標を定める
  3. 第2章 堀流・省エネ勉強法の極意
  4. 第3章 最も費用対効果の高い勉強法
  5. 第4章 学習効果をアップする九つの鉄則
  6. 第5章 人からしか学べない能力もある
  7. 終章 学び続ける人には運も味方する
(目次から抜粋)
この本は、著者の『会社が放り出したい人 1億積んでもほしい人 (PHP文庫)』の続編にあたり、著者なりの「少ない勉強時間で最大の効果を上げる」方法や根本的な考え方が示されている。この本で493冊目となる。

新刊は基本的に取り上げないが、これだけはこのタイミングで取り上げたほうがいいと思ったので、例外的に取り上げる。なぜなら、この本は、自分の仮説を裏付ける内容が多く示されているからだ。そのため、これはもう殿堂入り確定!!

些細な部分や全体像を示すのは、今回は省略。基本思想は、『会社が放り出したい人 1億積んでもほしい人』と同じで、その実践的な勉強法がより詳しく示されている。なので、こっちを先に読んでおいたほうがよいかもしれない。重複するような部分も結構あるが、それだけ繰り返して強調しておきたいことなのだろう。

さて、自分の仮説を裏付ける内容が示されているが、自分の仮説とは何かを一度整理しておこう。前回書評した『移りゆく教養』で以下のように示した。
突き抜けて成功している人、革新的な発明やビジネスでの業績を上げている人ほど、教養に溢れているのではないか?というのが自分の仮説。その人たちは、専門分野を持ちつつも、確実にそれ以外の分野への興味関心を幅広く持ちながら、実に多様な本を読まれていると思う。
(中略)
突き抜けて成功していたり、業績をあげている人、大企業の経営者クラスの人ほど専門分野以外の本を多く読んでいるのはなぜか?と疑問に思っていたが、なんとなくその答えが、この本に示されている教養の重要性にたどり着くのではないかと思った。
堀紘一氏のこの勉強本にも、読書や教養について示されている部分がある。それが自分の考えを裏付けるものとなっている。以下、その部分についての詳細を示しておこう。

まず節タイトル『読書は最良の勉強法』から。以下その部分を抜粋。
 小説家か脚本家になりたかっただけに、私はもともと読書が好きである。かつ乱読派というか、読書領域が広い。ハウツーもの、スポーツ選手やタレント、芸能人の本以外は、基本的にターゲットに入っている。
 そうすると、意外なことに、経営学と生物学、戦記物と組織論と、本来無関係と思われているジャンル間に共通性、類似性が発見できる。私はよくたとえ話がうまいといわれるが、何かにたとえようと思って話すことはまずない。たとえの対象となる話が勝手に瞬間的に思い浮かんでくる。
(中略)
 人体の六〇〜七〇%が水分であるように、私も経営学が主要成分であるが、哲学、歴史、心理学、小説などが微量元素として機能しているのだと思う。この雑学というのはバカにできたものではなく、奥行きを深めるのに欠かせない要素だ。 
 やはり読書は、最良の勉強法だと私は思う。
(pp.116-117)
よく雑誌のプレジデントに読書特集が組まれるときがあるが、そこで取り上げられている本は、こてこてのビジネス書だけでなく、古典や哲学書や小説、歴史書も多く取り上げられている。それはなぜなんだろう?と思っていたが、その答えが、著者の示していることになると思う。一見関係ない本にこそ、学べることが多く、かつビジネスの現場でも役に立つのだと分かった。

そして、その無関係なものに思える本が役立つ理由が、『哲学書がビジネスに役立つ理由』に詳しく示されている。その部分を若干長いが抜粋。
 営業や会計学などのビジネススキルを身につけるために本を読むのもよいが、私としてはむしろ純粋な意味での読書をお勧めしたい。
 たとえば哲学書である。哲学書を読んでも具体的なスキルが身につくわけではないが、たとえばあなたがリーダーの立場になったときには、これが大いに役に立つ。
(中略)
 わからないことを決めるときに最も役立つのが、何だかわけがわからない学問なのだ。こういうとき、哲学の出番がくる。
 なにしろ、哲学は漠としてわけがわからない学問の最たるものだからである。
 漠として何をいっているのかわからないことを自分なりに考え、何が問題なのか、どうすればいいか、自分なりの答えを導き出す。それが哲学だ。答えを導き出すためには、創造性、つまり洞察力や発想力をフルに働かせる頭脳活動をしなければならない。
 哲学書を読むと、こうした言葉では説明しがたい(しかし、絶対的に必要な)能力が鍛えられる。ここが大きなポイントなのである。
 導き出された答えが(方向性)には、当然、リーダー自身の経験に基づく独自の人生観や価値観、世界観が色濃く反映されることになる。こうして、論理的に一〇〇%正しいとは証明のしようがない将来ビジョンに説得力を持たせ、部下たちをその気にさせることができないと、リーダーの仕事は務まらない。
 このときに、哲学書を読んでいる人といない人とでは、リーダーとしての言葉の重み、説得力がだんぜん違ってくるのである。
(pp.130-132)
ここに激しく線を引き、なるほど!!と思いつつも、そうだよね!!と共感した。そして、著者はエーリッヒ・フロムとジャン=ポール・サルトルの2人の哲学者が好きなようだ。さらに、進化論のダーウィンを加えて、人生の「偉大なる三人の師」と示されている。

ここを読んでかなりニヤニヤした。自分もまた、サルトルの実存主義哲学に傾倒してかなり影響を受けたからだ。これは、著者と自分の共通点を見出せてかなりよかったと思う。

まだ自分はリーダーシップを発揮するような立場にはいないけど、好きな哲学書を読み続けていってよいのだとわかってよかった。

また、教養について言及されている部分がある。『教養人の定義とは?』では、教養がある人というのは、日常的に使用するボキャブラリーが圧倒的に豊富であると示されている。そして、身につけている教養の度合いは、ボキャブラリーの量によって測られるようだ。そして、それには本を読むことがよいと以下のように示されている。
 しかし、この違いはどう取り繕おうが絶対に隠せるものではないのである。
 本を読むと、ボキャブラリーが広がるのはもちろん、いろいろな異なった思考様式に触れられるのがいい。
 小説であれ、歴史書であれ、そこには必ず著者独自の哲学が反映されている。視野を広げる、さまざまな角度からの視点を身につける―人生にもビジネスにも欠かせない実に大切なことだ。自分と異なった思考様式は、運がよければ直接体験からも学べるが、通常は間接体験である読書から学んでいくケースが一般的である。
 だから、本を読まないと、なかなか視野が広がらない。
(中略)
読書によって、自分の中になるべくたくさんの引き出しをつくっておくことが、余計な摩擦を起こさずに人と人との間を生きていく最大のコツである。
 本を読むと、ボキャブラリーが広がり、視野もまた広がる。さらには、ある程度のところまで、論理展開の先が読めるようになる。
(pp.139-140)
ここもそうそう!!と思って読んだ。引き出しが多いと、人間関係を円滑に進められるというのは、なんとなく自分も実感している。

あと2箇所だけ引用しておく。「学習効果をアップする九つの鉄則」のうち、『鉄則Α崛呂詢習」を怠るべからず』と『鉄則Г垢阿北鯲つものは効用が小さい』から。まずは鉄則Δら。鉄則Δ任倭呂詢習には文章を書くのがよいと示されており、そのときに、ストーリー構成(力)が大きなポイントになると示されている。以下その部分を引用
 構成力というのは、ビジネスではものすごく大きな力を発揮することが多い。
(中略)
 たとえば、私たち経営コンサルタントは、コンサルティングの最後にプレゼンテーションをやる。プレゼンテーションは最終提案である。クライアントの経営者や担当者の前で、つくってきたスライドのパッケージを見せながら、経営をこう変えていけばよいのではないかという提案を、口頭で三時間くらいかけて行なう。
 三時間の話をクライアントに聞かせるには、ストーリー構成力がないと話にならない。
(中略)
 ストーリー創りは、ビジネスばかりでなく人生全般に関わってくる能力なのだ。小説家や経営コンサルタントだけがストーリーを創るのではなく、花屋さんをやるにも、レストランを開くのにも、ストーリー構成力が問われることになる。
(中略)
 このストーリー構成力というのは、実は総合力なのである。
 「構成力」と漢字三文字で書いてしまうと、書く力に必要な要素のうち一つにすぎないと思われてしまうが、決してそうではない。むしろ構成力のほうが書く力を包含している。構成力をつけるには、基礎教養が必要だし、問題意識もなくてはいけない。
 また、ストーリーを読んだり理解したりするのは、創った本人ではなく他人だから、他人の気持ち、感じ方、考え方がわかる人間性のようなものが必要になる。
 構成力をつけるには、書く訓練(創る練習)をするだけでなく、読書をはじめとする勉強が欠かせないし、人間性を磨いていかないといけないわけだ。まさに総合力なのである。
(pp.161-164)
これもそうだよね!!と思った。特に『また、ストーリーを読んだり理解したりするのは、創った本人ではなく他人だから、他人の気持ち、感じ方、考え方がわかる人間性のようなものが必要になる。』という部分は、自分が小説や文学作品を読む理由になると思った。結局はビジネスにおいても日常生活においても、人間関係がとても重要であるので、それを円滑にし、より良い関係を築くには物語、ストーリーがとても役に立つのではないかと思う。この部分は、村上春樹のエルサレム賞のスピーチにも通じると思う。もう物語を読むことに迷いはない。

最後に『鉄則Г垢阿北鯲つものは効用が小さい』の部分を引用。
理想は誰だって、労少なくして益多し、である。だからつい、お手軽なハウツー本に手を伸ばしたくなる。しかし、すぐに役立つものは効用が少ない、という原則も知っておいたほうがいい。
 逆もまた真なりで、すぐに役立たないものほど効用が大きい、ともいえる。
 ハウツー本を読めばすぐに役立つかもしれないが、役立つ範囲が狭いから大きなリターンは得られない。その点、哲学書を読んでもすぐには役立たないかもしれないが、時に人生が大きく変わるなど、計り知れないリターンを得られる可能性がある。
(pp.164-165)
これは、自分が日ごろなんとなく考えていたことと同じようなことが示されていたので、やはりそうか!!と思った。何か別の本で、『簡単に手に入れたものはすぐに失い、苦労して手に入れたものはなかなか失わない』と示されていたことにも通じると思った。

自分もハウツー本、つまり読みやすい自己啓発書、成功本、テクニック本を多く読んでしまう傾向が強かった。著者の示している通りなら、ハウツー本1冊からリターンが得られるものが少ないということは、大きなリターンを得ようと思ったらぼう大な量を読まなければならないことになる。それが昨今主張されている多読派の意見につながるのだと思う。一方、哲学書などの本の場合は、すぐには役立たないけど、将来いつか大きく役に立つことになる。そして哲学書などは簡単に読みこなせないので、どうがんばっても1ヶ月に数冊という読書量になってしまう。しかし、それでもハウツー本を多読した場合よりも、将来的に大きなリターンを得られるのかもしれない。問題はそれがいつリターンになるか分からないということだが。

この部分は、ハウツー本や読みやすい自己啓発本、成功本、ハック系の本の多読は意味があるのか?と考えていたところなので、とても参考になった。

今回はちょっと多めに引用しすぎたが、それだけ自分の考えと共通する部分が多かった。肝心の勉強法については、あまり触れていないが、著者によれば、勉強法も自分の頭で考えて工夫し、勉強を継続していくとよいと示されていた。その通りだなと思うと同時に、勉強本の多読も控えようと思った。

どちらかというと、テクニック系のことはあまり示されていない。著者の受験勉強時代の勉強法、ハーバードMBA留学時代の勉強法、読書法など、著者の経験則が多く示されている。しかし、その経験則がとても勉強になる。

この本を読んで受けた影響をまとめると、以下のようになる。
  • 小説、歴史書、哲学書など自分の専門分野とは関係ない本も役に立つのだから、これからも多様性を維持しながらそれらの本を読み込んでいく
  • 多様性を意識しつつも、自分の専門分野の本も読み込み、専門性を高める
  • 安易なハウツー本や成功本、自己啓発本を読むのを控える
この3つをこれからの読書の基本方針にしようと思う。

この本で493冊目のレビューとなるが、500冊目前にしてものすごく多くの気づきを得られた。500冊近くレビューしてきたが、ずっと自分の本の読み方、読む傾向に迷いがあったが、それが解消された。もう自分の読書に迷わない。今までの自分の読書傾向でよいのだと肯定された感じがした。それだけに、この本は確実に殿堂入りで、とてもよい本だと思った。



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読むべき人:
  • 勉強論が好きな人
  • 自分の読書傾向に迷いがある人
  • 読みやすいハウツー本ばかり多読している人
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コメント一覧

1. Posted by のら   March 25, 2009 11:44

4 目からうろこでした
自分は現在失業して求職の日々なのですが 気分転換のつもりで自己啓発やらいわゆるビジネス本を乱読多読してみました
人生初な位の量をこなして得た結論は結局 自分は何がしたいの?
でした つまりは教養と位置付けされてる哲学や自伝や古典が一番大切な答えを持っているのではないかと
正直 ビジネス本なんて五冊も読めば後はいらないし自己啓発も二冊も読んでいれば足りると実感 中身なんて大差ないですからね


それよりは自分の魂に訴える本が大切 と思いましたし 読書なんて好きなの勝手に読んでりゃいいんだなと

2. Posted by Master@中の人   March 25, 2009 12:37

>>のらさん

コメントありがとうございます!!

のらさんのおっしゃるとおりだと、最近自分も気づき始めました。

>>それよりは自分の魂に訴える本が大切 と思いましたし 読書なんて好きなの勝手に読んでりゃいいんだなと

『どんな本も直接は役に立たないけど、どんな本も間接的に役に立つ』と気づき始めたので、好きな本、自分の読みたい本を読んでいこうと思いました。

求職中とのことですが、がんばってください
きっと大丈夫だと思います

3. Posted by スキャルピング道   April 04, 2009 13:59

はじめまして!
すてきなブログですね。

私は投資系サイトをやっています。
よかったら一度、遊びに来てください。

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