June 05, 2009

【雑感】散漫な羨望 〜1984〜

1984、という数字は、自分が生まれた年である。

そして、最近、村上春樹の新作、『1Q84』が発売された。巷ではいろいろと注目されており、書評も多く上がってきている。しかし、書評はまだ読みたくはない。内容を楽しみにしているからね。だから、自分がRSSリーダーに登録しているブログに新作について言及があるとき、その記事を惜しみながらスルーしている。

村上春樹の新作は、すぐに読みたいに決まっている。ただ、すぐには読み始められない。なぜならば、今500冊目の長編作品をちびちびと読み進めているからね。

ネット上の村上春樹の新作に対する言及を目の辺りにするたびに、羨望のまなざしを向けてしまう。自分自身もまた、ハルキスト(ハルキスト - Wikipedia)であるからだ。

そんな中、内田樹先生の以下の記事がとてもおもしろく、またいろいろと考えさせられた。

以下、特になるほどと思った部分を引用しておく。
物語の中に「自分自身の記憶」と同じ断片を発見したとき、私たちは自分がその物語に宿命的に結びつけられていると感じる。
けれども、それはほんとうは「自分自身の記憶」などではなく、事後的に、詐術的に作り出した「模造記憶」なのである。
「強い物語」は私たちの記憶を巧みに改変してしまう。
物語に出てくるのと「同じ体験」を私もしたことがあるという偽りの記憶を作り出す。
その力のことを「物語の力」と呼んでよいと私は思う。
それだけが私たちを私たち自身のままであることに釘付けにしようとするトラウマ的記憶から私たちを解き放つのである。
ノルウェイの森』を2度目に読了したとき、まさしく『「自分自身の記憶」と同じ断片を発見』した、と思った。『僕(ワタナベ君)』に似たものを感じて、自分のことが書いてあるような気がした。だから、この作品に宿命的に結び付けられていると感じて、自分の人生で何度も読み返す本と位置づけたのだと思った。しかし、『事後的に、詐術的に作り出した「模造記憶」である』、というのもなんとなく分かる気がする。最初に読了したときは、『僕』に共感を覚えなかったと思う。何年かたって(正確には6年)再読したときに、とても共感した。きっと6年の間に自分の中で「模造記憶」が作られたのだ、ということになる。

ここで少し話題を変えて、物語を読む意味について言及しておく。

内田先生によれば、「強い物語」はトラウマから私たちを解き放つ力があるということらしい。そして、それこそが人が物語を読む理由なんじゃないかなと思った。

つまり、自分自身を固定化しようとするトラウマから逃れるために、自分自身を別のかたちに「読み替え」て、精神の健全性を保つために物語を読むのだ、ということになる。

読む本、といったときに、ビジネス書、哲学書、エッセイ、自己啓発書、技術書と様々なジャンルがあるが、『物語』だけは娯楽作品のように扱われ、直接役に立たないものとして位置づけられがちである。巷に出版されている読書論は、主にビジネス書、実用書の読み方について言及されており、物語に関してはそっちのけである。そういうところになんとなく不満を覚えていた。

なぜなら、自分は強烈に物語りに惹きつけられていたから。

物語は直接目の前の問題、課題を解決してくれるわけではないけど、間接的にというか、もっと長期的な視点で見ると、かなり役に立つと思う。プラグマティックに役に立つというよりも、内田先生の言のように、トラウマ的記憶から私たちを解放する役割があるといったことや、生きていく上でのよりどころみたいなものとして、なくてはならないものなんじゃないかと思った。少なくとも自分自身に関してはそうだと断言できる。

内田先生のエントリから、自分自身が物語を読む理由をある程度導出できて良かった。

以下も参考程度に。

まぁ、全体的にかなり散漫な記事で。

それにしても、『1Q84』は早く読みたい。

1Q84 BOOK 11Q84 BOOK 1
著者:村上春樹
販売元:新潮社
発売日:2009-05-29
おすすめ度:4.0
クチコミを見る

1Q84 BOOK 21Q84 BOOK 2
著者:村上春樹
販売元:新潮社
発売日:2009-05-29
おすすめ度:4.5
クチコミを見る

その前に、ずっと前に買って積読状態のジョージ・オーウェルの作品のほうを先に読まなければいけない気がするんだよね・・・。

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)
著者:ジョージ・オーウェル
販売元:早川書房
発売日:1972-02
おすすめ度:4.5
クチコミを見る

結局このエントリの目的は、『1Q84』の書評に対する羨望を再認識し、その前に積読状態のオーウェルの『1984』を読まなければならず、そうなると新作はいつ読了できるのだろうねぇ、と途方に暮れることを確認したかっただけということになる。

他にも、500冊目の書評の前の記事がネタ的なセミナーレポートであることを回避するために、またこのエントリを境に500冊目まで一切更新がないかもしれないということを告知するためでもある。

500冊目も『物語』で、かなり『強い物語』である予感はしている。ただ、本当にいつ読み終えられるのかは自分でも分からない・・・。1日20ページくらい読めればよいほうなので・・・。

忘れた頃に更新されているかもしれないので、それまでこのブログの存在は忘れておいてください☆

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コメント一覧

1. Posted by (・ω・)   June 05, 2009 20:01

「読みたい」「書きたい」とかって願望が出ているのなら、500冊目を中断しても『1Q84』を先に読んでみるコトをオススメする!

読書もこのBlogも、誰に課せられたのでもない君の自由意志なのだから、新鮮なうちに衝動に身を任せた方が精神衛生上よいと思うよ。
本でもBlogでも何でも、後で手を付けようとして積んどくと、最初に手を付けた時に比べてヘンな義務感や「(自分に)やらされてる感」が出ちゃうせいか、おっくうになったり感性が鈍ったりしてよい結果は出ないものだよね〜。
俺もそれで何本のBlog記事を下書きのまま始末したかわからねぇ(汗)

『1Q84』を先に読み終わっても、書評は「読了した時点」でなく「書いた時点」でカウントなので、500冊目は当初のものにこだわるコトもできるしね。

2. Posted by Master@ブログの中の人   June 06, 2009 00:55

>>『1Q84』を先に読み終わっても、書評は「読了した時点」でなく「書いた時点」でカウントなので、500冊目は当初のものにこだわるコトもできるしね。

言われてみれば確かにそうかも。

とりあえず、本屋で買ってくることからはじめてみるよ。

3. Posted by ゴリクン。   June 10, 2009 23:38

5 こんにちは(^。^)y-.。o○
私も『1Q84』を密かに読んでいます

とっても長くって、なかなか読み終わらない

4. Posted by Master@ブログの中の人   June 11, 2009 23:39

>>ゴリクン。さん

おぉ、『1Q84』読まれているのですね!!
羨ましい(笑)


まだ買ってもいないので
今読んでいるやつの上巻がまだ読み終わらないので、今年中に読めればいいかなと思っています。。

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