August 16, 2009

コンテキスト思考

コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術
コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術

キーワード:
 杉野幹人 / 内藤 純、思考法、コンテキスト、フレームワーク、教養
戦略系コンサルティングファーム、A.T. カーニーのマネージャー2人によって、「コンテキスト」に着目した思考法が提案されている本。以下のような目次となっている。
  1. まえがき
  2. 【第1章】 コンテキスト思考の全体像
  3. 【第2章】 コンテキスト思考の3Sフレームワーク
  4. 【第3章】 「Surroundings(環境)=関係性」のコンテキスト思考
  5. 【第4章】 「Soil(土壌)=価値観」のコンテキスト思考
  6. 【第5章】 「Sun(太陽)=目的」のコンテキスト思考
  7. 【第6章】 コンテキスト思考の土台となる基礎能力
  8. あとがき
(目次から抜粋)
この本は、『@IT自分戦略研究所ブックシェルフ』で紹介されていたもので、なんとなく面白そうな内容だと思って、久しぶりにビジネス書である本書を本屋で買って読んでみた。読んでみたら、これはかなりの当たり本!!自分の中で、だぶん今年一番ヒットのビジネス書!!かなりの良書だと断言できる。そして、自分がなんとなく漠然と考えていたことが体系的に示されていた。

コンサルっぽいフレームワーク本なので、本書に載っている図解を多く示したいと思う。まずは、簡単に本書の内容を要約する。

昨今は文字や数字の「コンテンツ」が氾濫していてるが、ビジネスにおいて、それら「コンテンツ」を欧米流に分析しただけでは思うような成果が出にくくなってきている。そこで、「コンテンツ」の真の理解のために、「コンテンツ」の裏側にある背景や前後関係や文脈といった「コンテキスト」の理解が重要になってきている。そして、「コンテキスト」を把握することによって、周りとは違う「おもしろい効果」が期待でき、本書では、「コンテキスト」を読む思考を「コンテキスト思考」と定義し、それらを実践する方法が示されている。

まず、本書のキーワードである、「コンテンツ」と「コンテキスト」の対比を以下に示す。

コンテンツとコンテキストの比較

本書では、「コンテンツ」の背後や裏にある背景、前後関係、文脈などの認識できないものを「コンテキスト」と定義しており、私たちは「コンテンツ」だけではなく「コンテキスト」までをも理解することで、モノゴトをより正確に理解しているようだ。

そして、本書ではこの「コンテキスト」の重要性が高まると示されている。それは、「コンテンツ」は客観的であるがゆえに、既存のフレームワークなどで分析しても、導出される結果は必然的に似たようなものになってくるからとある。そして、そういう状況になると、生み出される成果がどの企業でも似たり寄ったりになり、差別化できなくなるので、「コンテンツ」傾倒の経営の限界に陥るからとあった。

そのような状況を打破するために、本書では「コンテキスト思考法」が提案されている。「コンテキスト思考」の定義を以下に抜粋。
 「コンテキスト思考」とは、「モノゴトの裏にある物理的に認識できない"コンテキスト"(背景、前後関係、文脈など)を能動的に洞察する思考法」と本書では定義する。これに対して「音声、文字、数字などの物理的に認識できるものに論理や分析などを加える"コンテンツ"ベースの思考法」を「コンテンツ思考」と定義する。
 それでは、「コンテキスト思考」を行うことによって、どのようなメリットがあるのだろうか。私たちは、「コンテキスト思考」のメリットは「おもしろい効果」を生み出せるようになることであると考えている。「おもしろい効果」とは、周りとは異なる、一歩先を行く結果と定義できる。
(pp.26-27)
そして、コンテキスト思考を身につけることが周りの企業や人とは異なる「おもしろい成果」を生み出すための鍵であると示されている。これはなるほどなぁと思った。また、従来のロジカルシンキングなどのフレームワークなどは、義務教育的な内容であるので、それらが不要になるわけではないと示されている。既存フレームワークを体得した後、コンテキスト思考法を身につけるべきとあった。

コンテキスト思考は、3つの要素からなる3Sのフレームワークを構成しているようだ。以下その部分の図を抜粋。

3Sのコンテキスト思考のまとめ

上記の図の『環境』が単数形になっているが、そのまま抜粋。たぶん間違いだと思われる。

また、それぞれ3Sの定義を抜粋。
  1. Surroundings―私たちの周りにある「関係性」のコンテキストを能動的に洞察し、「おもしろい成果」を生み出す上で不可欠な「ユニークな視点」を手に入れる思考法 (pp.74)
  2. Soil―私たちの中にある「価値観」のコンテキストを能動的に洞察し、「おもしろい効果」を生み出す上で不可欠な「ぶれない自分軸」を手に入れる思考法 (pp.120)
  3. Sun―私たちの前にある「目的」のコンテキストを能動的に洞察しそれを共有し、「おもしろい成果」を生み出す上で不可欠な「共感」を手に入れる思考法 (pp.155)
それぞれの具体例が示されているが、そこまで示すと、1記事に収まりきらなくなるので割愛。

また、それぞれの関係がわかるイメージ図を以下に抜粋。

コンテキスト思考の全体像

コンテキスト思考法の3Sのフレームワークの土台となる基礎能力として、「教養」と「楽観」が示されている。「楽観」はモノゴトを楽観的に考えて、行動することと示されていた。そして、もう一つの「教養」の考え方が、自分の考えとよく似ていて、その通り!!と思わずうなってしまった。

本書では、教養とは『多様な知識を理解し、それらを統合的に捉えることによって「全体像を想像する資質」と定義する (pp.182)』とある。なぜこれが必要になるかというと、たとえば、エネルギー問題を解決しようと考えたときに、工学、心理学、文化人類学、マクロ経済、国際経済学などあらゆる知識を総動員しなければならないからである。以下、その部分について詳細が示されている部分を抜粋。
 いずれにせよ、このエネルギー問題のように、これからの時代に世界が対面する現象は複雑で大きなものであり、「コンテンツ」として数多流通するようになった知識をバラバラなまま用いては解決していけない。これからの時代に必要なのは、知識を幅広く、そして深く理解し、その上でそれらを統合して捉えて全体像を理解することである。その全体像の理解によって、問題の再定義や、その問題に対する既存の処方箋の選択ができることである。あるいは現在処方箋が存在しないことを自覚して新たな解決策の創造活動を始める力である。それが、「全体像を想像する資質」である「教養」なのである。
 「コンテキスト思考」とは、「おもしろい成果」を生み出すだめの思考であり、そのためには、まだ周りが解決できていないこのような複雑で全体像が定義されていない大きな現象と立ち向かわなくてはならない。また、問題解決のための打ち手も、さまざまな領域の知識を総動員する必要がある。このため、「コンテキスト思考」を用いて「おもしろい成果」を生み出すためには、「全体像を想像する資質」である「教養」がその土台となる基礎能力として不可欠なのである。
(pp.184-185)
ここは、自分が考えていた教養観とまったく一緒で、激しく同意!!と線を引きまくった。

そう、現在の世の中は複雑系なので、一つの専門領域を究めただけでは、解決できないような問題が多く存在する。旧世紀では、一人ひとりが1点特化して、それぞれの専門性を発揮していけばよかったが、もうそういう時代ではなくなっている。だから、著者の示すような教養観を身に着けて、それぞれの問題解決に努める必要がある。

個人が会社で働く場合などは、上記のような大局的な視点を持つ教養など関係ないと思われるかもしれない。しかし、企業で抱える課題も、ブレイクダウンしていくとさまざまな要素が絡み合っていると思われる。そういうときに、大きな成果を得るには、やはり上記のような全体像を想像する資質である教養が必要になってくると思う。

本書では、教養はコンサルティングの世界でも不可欠な素養である、とも示されているが、その通りであると思った。事実、自分の組織のエグゼクティブクラスの人の話を飲み会などで聞くと、専門分野以外の知識、全体像を把握するような考え方を身につけている人が多いと思った。

そして、本書で示されているような教養観の獲得こそ、自分が読書ブログを続けている主要な目的の1つになる。なぜ、自分がある分野に特化して読む本を絞らないかというと、世界を体系的に把握するためでもある。そう、すべては教養の獲得という側面も大いにある。それが自分が目指しているものとなる。

教養の獲得には、「周りのモノ知りとのディスカッション」が必要であるとあった。周りとディスカッションすることで、まだ腑に落ちていない知識同士がつながって、モノゴトを総合的に捉えるきっかけになるとある。

これは、自分自身、かなり実感している。ディスカッションできる場がほしいと思って、自分未来塾の『自分学』を受講している。そこでは、結構ディスカッションが繰り広げられ、自分の持っていた理解と他の知識がつながって腑に落ちることが多い。自分自身は、知識を習得するためのただの勉強会よりも、ディスカッションできる場を求めている。自分未来塾は、その欲求を満たしていると思う。

また散漫で長い内容となってしまった・・・。しかし、自分の読書傾向や教養の考え方は、間違っていないということがわかってよかった。これからの時代は、教養がないと思うような成果が出せないようになってきている。そして、突き抜けて成功するには、やはり教養がものをいうのだと思う。

やはり、ビジネス書や自己啓発書だけを読んで成功できる時代ではないと思う。だから、古典文学作品や経済学や心理学、エッセイ、思想書、IT技術本など自分の興味関心にしたがって幅広く読んでいけばいいのだと思う。ただ、一点特化して対象を絞って学習するよりも、どうしても成長スピードは遅くなるが、それはしょうがない。

この本は殿堂入りなので、コンテキスト思考法が実践できるようになるまで何度も読み返そうと思った。

新世紀型の思考法がわかりやすく示されているので、これから「おもしろい成果」をあげていきいたい人は絶対読んだほうがいい。



コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術
コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術

読むべき人:
  • 既存フレームワークなどに限界を感じている人
  • 大きな成果を出したいコンサルタントの人
  • 世の中を大きく変えたい人
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1. 『コンテキスト思考』感性で思考するためのフレームワーク  [ hobo-多読多評- ]   May 10, 2012 06:00

『コンテキスト思考』感性での思考法 コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術杉野 幹人, 内藤 純東洋経済新報社 ( 2009-06-19 )ISBN: 9784492556443sickboyのバインダーで詳細を見る ■感想 まだ...

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