August 12, 2010

1984年

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)
1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)

キーワード:
 ジョージ・オーウェル、SF、ディストピア、全体主義、偉大な兄弟
SF作家、ジョージ・オーウェルの作品。以下のようなあらすじとなっている。
1984年、世界は三つの超大国に分割されていた。その一つ、オセアニア国では<偉大な兄弟>に指導される政府が全体主義体制を確立し、思想や言語からセックスにいたるすべての人間性を完全な管理下に置いていた。この非人間的な体制に反発した真理省の役人ウィンストンは、思想警察の厳重な監視をかいくぐり、禁止されていた日記を秘かにつけはじめるが……社会における個人の自由と人間性の尊厳の問題を鋭くえぐる問題作
(カバーの裏から抜粋)
ジョージ・オーウェル作品を初めて読んだ。新約も発売されていたけど、だいぶ前から積んでいた旧約のほうを読了した。1984年、は自分の生まれた年でもある(1984/1/27生まれ)。この作品が書かれたのが、1948年。Wikipediaによると、『本作が執筆された1948年の4と8を入れ替えたアナグラムであるという説が一般的である』とある。そのため、1984年に何か深い思い入れがあるわけではないようだ。作中にもたまた主人公が日記をつけ始めたのが1984年4月4日だった、というような感じだった。

この作品はいわゆるディストピア作品であり、政府による完全な管理社会が描かれている。私生活でも常に盗聴器やテレスクリーンというもので監視されており、使用できる言語、食べ物、本、思想などさまざまなことが規正されている。中でも思想犯罪は死刑に値する大罪でもあり、思想犯はもともといなかったこととして蒸発させられる。

そんな中、役人でそれなりに地位のある39歳の男、ウィンストンが偉大な兄弟を筆頭とする現在の体制に疑問を持ち始め、日記に以下のように無意識に書き始めたことから物語が進む。
偉大な兄弟を打倒せよ
偉大な兄弟を打倒せよ
偉大な兄弟を打倒せよ
偉大な兄弟を打倒せよ
偉大な兄弟を打倒せよ
(pp.27)
物語の細かい設定などはWikipediaが参考になるので、それを見たら世界観がよく分かると思う。ウィンストンが反体制に目覚め、プロレ階級こそがこの体制を打ち砕く原動力になることを確信しながら、ゴールドスタイン率いる反体制組織、兄弟同盟に傾倒していく。そのまま現体制の反転を担う主人公になると思っていたけど、実際は全然違った。ディストピア作品にハッピーエンドなど期待してはいけなかったようだ。

ネタばれを含むが、結局ウィンストンは反体制の幹部と思っていたオブライエンの策略にまんまとはめられて、反体制的な思想を拷問によって治療される。その過程では、いかなる真理も党の都合のよいように捻じ曲げられてしまう。例えば、2 + 2 = は4ではなく、5にもなりえると・・・。

治療に耐えつつも、個人の内在する精神への侵攻だけはできまいと確信していたが、結局は精神の自由さえも党に服従させられてしまう。その過程が何とも言えない感じだった。

この作品を現代で読む価値とは何だろうか?と考えてみると、完全な管理社会に対する危機意識を喚起させる啓蒙書となるのではないかなぁと思った。例えば、現在進行形で行われている政治が全体主義的であったら? そしてマスメディアが政治と結託して報道規制をし、都合のよい情報しか流してなかったら? 教育も知らない間に国民を都合のよいように管理できるようなものになっていったら? 国家間の戦争がただの権力と経済のためだけに行われるとしたら?、と仮定的な妄想が広がる。

このような管理社会では、ただ盲目的に、思考停止状態のまま服従したほうがある意味幸せなのかもしれないという側面さえも描かれているような気がした。全体主義って恐ろしいねぇ。

全体主義的、管理主義的な映画なら以下のようなものが該当するかな。

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出演:ロバート・デュバル
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おすすめ度:4.0
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ジョージ・ルーカスの最初の作品。政府によって管理されている主人公が描かれている。

デモリションマン [DVD]デモリションマン [DVD]
出演:シルベスター・スタローン
ワーナー・ホーム・ビデオ(2000-04-21)
おすすめ度:2.5
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アクションものだけど、街中の至る所で言動が監視されているのが1984年に近いかも。

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出演:クリスチャン・ベール
アミューズ・ビデオ(2003-10-24)
おすすめ度:4.5
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感情を持つことを禁止された社会が描かれている。それにしても、クリスチャン・ベールのガン=カタ最高www

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出演:ジョナサン・プライス
ジェネオン エンタテインメント(2003-11-21)
おすすめ度:4.5
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この作品が一番1984年の世界観に近い。それもそのはず、テリー・ギリアム監督が1984年にインスパイアされて作ったと言われている作品だから。最後のバッドエンドが似ている気がする。ディストピア作品耐性がまったくなかったときに初めて見たら、独特の世界観についていけなかった気がする・・・。

1984年を読んだのは、村上春樹作品の『1Q84』への布石。今年中に3部作を読了したいので。

1984年は、政治、思想的なお話なので、読む前は結構読み進めるのが大変かと思っていたけど、読んでみると案外そうでもなかった。単にもっと読みなれてない英文を読み込む日々が続いていたので、日本語であるというだけで簡単に思えただけかもしれないけど。

1984年は漫画もあるので、ディストピアSF作品を読みなれていない人で、1984年の概要をつかみたい人は漫画がよいかもしれない。

COMIC 1984COMIC 1984
著者:ジョージ・オーウェル(原作)
PHP研究所(2010-04-16)
おすすめ度:3.5
販売元:Amazon.co.jp


ちらっと本屋で立ち読みしただけだけど、絵柄は浦沢直樹のものに近いかもしれない。

久しぶり(本記事は3ヶ月ぶり!?)の更新だったので、ブログの書き方を忘れてしまっていたようだ・・・。これから地道に更新予定〜。

夏はSF作品を読みたくなる季節なので、1冊でも読めてよかった。



1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)
1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)
著者:ジョージ・オーウェル
販売元:早川書房
発売日:1972-02
おすすめ度:4.5

読むべき人:
  • ディストピアSF作品が好きな人
  • 『1Q84』をより楽しみたい人
  • 反体制に対して革命を起こそうとしている人
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