December 18, 2010

エグザイルス

エグザイルス (講談社プラスアルファ文庫)
エグザイルス (講談社プラスアルファ文庫)

キーワード:
 ロバ−ト・ハリス、島流し人間、旅、自伝、人生
旅人でラジオのナビゲーターの著者による旅に関連した自伝。以下のような目次となっている。
  1. プロローグ 旅人の可能性
  2. 第1章 横浜少年時代
  3. 第2章 放浪人生の幕は上がった
  4. 第3章 心の旅とヒッピー文化
  5. 第4章 内なる砂漠
  6. 第5章 魂は彷徨する
  7. 第6章 友はエグザイルの中にいた
  8. エピローグ そして人生の旅は続く
(目次から抜粋)
著者の本は以前読んだことがある。『人生の100のリスト』だ。そして、最近、西新宿のブックファーストで、おススメ本フェアが開催されており、この本が取り上げられていた。誰が推薦していたのかは忘れてしまったが。『人生の100のリスト』が面白かったし、『人生の100のリスト』にも本書のことが言及されていたので、いつかは読もうと思っていたし、TOEIC後に何か面白いものを探していたので、著度よいタイミングで読めた。

本書は確実におもしろいと断言できる!!もう以下の記事を読まなくていいから速攻でアマゾってもいいくらいに(笑)そして、これがこのブログと取り上げる555冊目の本となる。ゾロ目にふさわしい。

簡単にこの本の概要を示すと、これは著者のこれまでの人生を振り返った自伝である。ハーフの父の元に横浜で生まれて、中学、高校とカトリック系の学校に通い、そこから日本をヒッチハイクして旅をして、高校卒業後はロシアから、スウェーデン、アフガニスタン、インドへと放浪の旅に出る。

1年にわたる旅の帰国後に上智大学に入学し、さらにはアメリカ、カリフォルニアへと留学、上智大学卒業後にシンガポール、ジャカルタ、バリ、シドニーへと放浪が続く。そこには、常に冒険、ドラック、ヒッピー、ボヘミアン、ギャンブル、危機、孤独、不安、そして恋や仲間、同士、家族があった。

それぞれのエピソードを一つずつ挙げて紹介したいほどに著者の人生は濃いものとなっている。冒険の旅に出るということは、ここまで面白いものになるのかといったことを知らしめてくれる。単純に日本で会社や社会のルールに縛られて生きているだけでは絶対に味わえないような経験ばかりだ。

本書のタイトルとしてある「エグザイル(EXILE)』は、某ダンスグループ名にも使われているが、著者は以下のように使っている。プロローグから一部抜粋。
 僕はたまらなくなり、日本を飛び出した。今逃げないと、自分が潰されてしまうのだと思った。
 旅の目標そのものは漠然としたものだった。
 名もない港町の怪しげなバーで、変な連中と朝まで飲み明かし、赤道直下のボロホテルの部屋でポーカーをやり、自分の名前を忘れてしまうような砂漠を歩き、世界の裏道で面白い話を聞きたい。
 とにかく、誰にも束縛されることなく、自分らしく、楽しく生きていければよかったのだ。
 やりたくないこともわかっていた。
 どこへ行こうが、くだらない奴らに媚びたり、敷かれたレールの上を往復するような人生は送りたくない、そう思っていた。
 この時点で、僕は故郷を捨て、「当てもなくさまよう者」という意味での「EXILE」になった。
 何かを捨てるということは、身軽になるということだ。そして新たなる何かを発見する可能性を持つということでもある。旅人にはその可能性が与えられる。勝負は自分をどれだけ裸にできるか、どれだけオープンに物事を吸収できるか。これにかかっている。
(pp.13-14)
そして、この『EXILE』という名前で、シドニーでブックショップを開く。カフェと本屋を合体させたようなスペースで、詩の朗読会をやったりボヘミアン達がコーヒーをすすりながら本を読み、新しい文化を語り合い、ブライアン・イーノやボブ・マーレーやクラシックを聴ける場所。そして、そこには詩人や画家、作家、俳優、歌手、写真家、映画監督、タクシードライバー、デザイナー、学生、ギャンブラー、弁護士、ゲイのカウンセラー、果ては最高裁の判事からドラッグ・ディーラーまで実にさまざまな人間が出入りしていたようだ。

これこそが自分の理想とする本屋なのではないかと思った。その実現例がここに示されている気がした。図書館型の大量に本がある空間も好きだが、自然と人が集まる空間のようなサロンというのもよいと思う。自分のハンドルネーム(Master)のごとく将来このような本(もしくはBar)を経営できたらと思う。野望の一つだ。

この本を読むと、無性に旅に出たくなる。このままでいいのかと問い詰められて、さらに自分の住んでいる世界はとても狭いことも突きつけてくる。旅には冒険があって、いろんな経験があって、恋もあったり仲間や同士もできると、旅の楽しい側面がとても魅力的にかつ読ませる文章で書かれている。

しかし、旅のすべてが楽しいことだけではないことも同時に突きつけてくる。著者自信のどうしようもなく不安で孤独を感じていた精神的に安定しない4年間であったり、日本に残してきた芸術センスあふれる弟が分裂病を患い、精神病院に入れられて、脱走を繰り返した挙句、最後は自殺までに至っている。そういう負の側面も全部ひっくるめて旅なのだと教えてくれた気がした。

『人生の100のリスト』に、「自伝を書く」という項目があり、その項目の成果物として本書があるようだ。『人生の100のリスト』には、この本を書くのは大変だったとある。もともと英語教育を受けていたから日本語で書くのが得意ではなかったし、弟の死を受け入れきれずに半年ほど執筆がとまったことなどが示されていた。そして2年かけて、最後はバリ島で書き上げられた本らしい。

本書のほうが先に書かれたようだが、『人生の100のリスト』にあまり示されていないことがこちらで詳しく示されていたりする。逆にこちらであまり触れられてない、人生の後半戦については『人生の100のリスト』のほうに詳しく示されていたりする。そのため、この二冊は絶対にセットで読んだほうがよい。そのほうがより楽しめる。以下はこのブログで取り上げた記事となる。自分で作った人生の100のリストで達成したのは、まだ「ウォッカマティーニを飲む」くらいかな。

最後にエピローグから、若者から「自分らしい生き方をするにはどうすればよいか?」の質問に対する著書の考えを示しておく。
 ドロップアウトにも、自分らしく生きることにも、マニュアルはないし、僕は具体的なアドバイスを送れるような人生を歩んでいない。僕の旅は何となく始まり、その何となくがいつしか、しなくてはならないものに変わっていた。そして気がついてみると、僕は所属する場所を持たない人間になっていた。
 僕に言えることは、「自分の道を行く」ということは、実際に旅に出るか出ないかという問題ではないということだ。自分らしく生きたいと願い、行動に出た人間は、みなその時点で、地図も海図も羅針盤も役に立たない、長い航海へとすでに旅立っているのだと思う。要はそんなことを願い、行動に出られるかどうかといことではないだろうか。
 まず、一歩踏み出すことだ、と僕は思う。その第一歩からすべての道は始まる。そして旅の途中、忘れてはならないのは、「自分らしさ」を、現実の社会で生きる大変さのせいで歪ませたりしてはいけないということだ。
 人間にはすべて、自由に、溌剌と、情熱的に、つまり自分らしく生きる権利があるんだ、と僕は信じてきた。この思いが僕を常に支えてくれたし、砂漠の中、闇の中での道標になってくれた。
 もうひとつ言えることは、どこにいようが、何をしようが、自分に忠実に生きていく者には運が味方してくれる、そして同じようなハートを持った仲間が集まってくるということだ。つまり「自分の道を行く」という旅は、決して苦悩だらけでも、孤独なものでもないということだ。
(pp.317-318)
ここが自分にとって一番重要な気がした。このように、自分自身はほとんど旅行にいったことがないので、直接的な旅はほとんどしていないが(いまだに海外旅行に行ったことがない)、精神的な旅をずっとしてきたのだと思う。その過程としてこの読書ブログがあったりするのだと思う。自分らしくかつ自分の道を行くためにね。そういった意味で、自分もまた精神的な『EXILE』なのだと思う。

でもまぁ、来年は海外旅行には行きたいと思う。そして、もっと冒険してみてもいいんじゃないかなぁと思ったりする。何のために東京ライフを選んだのか?とたまに思い悩むときもあるけど、結局は『自分の道を行く』ためなのだと思う。そのために今年、メタファーとしての船を手に入れるためにTOEICの勉強を激しくやったんだと思う。

今年は全然本を読まなかったけど、これは年数百冊読んでいたとしても、断然にお勧めできる本だと思う。ぜひ『人生の100のリスト』とともに、年末年始に読んで自分の人生の旅について考えてみてほしいと思う。



エグザイルス (講談社プラスアルファ文庫)
エグザイルス (講談社プラスアルファ文庫)
著者:ロバ−ト・ハリス
販売元:講談社
(2000-01-20)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • 放浪や旅が好きな人
  • 自分の人生に行き詰まりを感じている人
  • 「島流し人間」として自分らしく生きたい人
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