December 29, 2010

火星年代記

火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)

キーワード:
 レイ・ブラッドベリ、SF、火星、移住、風刺
アメリカのSF作家による26編のオムニバス形式の作品。目次兼年表は以下のようになっている。
  1. 一九九九年一月 ロケットの夏
  2. 一九九九年二月 イラ
  3. 一九九九年八月 夏の夜
  4. 一九九九年八月 地球の人々
  5. 二〇〇〇年三月 納税者
  6. 二〇〇〇年四月 第三探検隊
  7. 二〇〇一年六月 月は今でも明るいが
  8. 二〇〇一年八月 移住者たち
  9. 二〇〇一年十二月 緑の朝
  10. 二〇〇二年二月 いなご
  11. 二〇〇二年八月 夜の邂逅
  12. 二〇〇二年十月 岸
  13. 二〇〇三年二月 とかくするうちに
  14. 二〇〇三年四月 音楽家たち
  15. 二〇〇三年六月 空のあなたへの道
  16. 二〇〇四-〇五年 名前をつける
  17. 二〇〇五年四月 第二のアッシャー邸
  18. 二〇〇五年八月 年老いた人たち
  19. 二〇〇五年九月 火星の人
  20. 二〇〇五年十一月 鞄店
  21. 二〇〇五年十一月 オフ・シーズン
  22. 二〇〇五年十一月 地球を見守る人たち
  23. 二〇〇五年十二月 沈黙の町
  24. 二〇二六年四月 長の年月
  25. 二〇二六年八月 優しく雨ぞ降りしきる
  26. 二〇二六年十月 百万年ピクニック
(目次から抜粋)
著者のレイ・ブラッドベリについてはWikipediaを参照。26篇のオムニバス形式なので、登場人物はころころと変わる。最初のほうは火星人に焦点が当てられて、その後地球からやってきた探検隊に変わり、さらには徐々に地球から移住してきた地球人に焦点が当てられていく。

26編はそれぞれ独立しているようではあるが、本書全体を通して見ると、年代ごとの出来事はしっかり引き継がれた設定となっている。なので、最初から順番に読んだほうがよいと思われる。

面白かったのは『地球の人々』かな。地球からの第二探検隊が火星に到着し、火星人に自分たちが地球に来たことを伝える。しかし、期待していたような歓迎的な態度が火星人にはなく、家事で忙しい火星人に相手にされない。そこで別の火星人に会うように言われて、連れて行かれたところは、精神病院だった!!という話。

他にも『月は今でも明るいが』では、地球からの探検隊が火星に到着し、一人の隊員が火星人の残した文化(火星人は地球人がもたらした水疱瘡で死滅した)、書物に触れるうちに、火星に来て、地球のものを持ち込むべきではなかったとして、仲間の乗組員をどんどん殺していくものも面白かった。

さらには、『火星の人』もよかった。地球から移住してきた老夫婦のもとに、死んだ息子が現れ、その息子と生活をともにしていたが、行方不明になる。探しに行くと息子だったものは、別の家族の死別した妻、夫、子供になっており、老夫婦のもとに戻ることはできないと告げた。それらは地球人の会いたい人の姿になる火星人だった、という話。

全編を通して、地球人が移住してきたころから、火星人が死滅していき、ついには絶滅する。さらに地球では核戦争が勃発し、地球からの交信も途絶える。それをきっかけに火星に移住してきた地球人が地球に帰ることにより、火星には人がほとんどいなくなっていく。

解説を読むと地球人の移住によって、文明批判的な風刺が示されているようだ。あまりそういうことは考えずに、それぞれの短編を読んだ。

それぞれの長さはまちまちで、長いものは数十ページだが、登場人物も出てくることなく1ページで状況を説明して終わりというものもある。

旧版で読んだが、新版だと時代設定が2030年からになるようだ。さらには収録内容も若干違っているようだ。新版のほうが表紙がかっこいい。

火星年代記 (ハヤカワ文庫SF)火星年代記 (ハヤカワ文庫SF)
著者:レイ ブラッドベリ
早川書房(2010-07-10)
販売元:Amazon.co.jp

最近ハヤカワ文庫は表紙が一新されていて、積読状態だったものがかっこいいものに変わっていると、何とも言えない気持ちになってくる。

SFっぽい想像しにくい描写もあまりなく、読みやすいと思われる。また、同著者の以下の作品もお勧め。読書の本質を教えてくれる。



火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)
著者:レイ・ブラッドベリ
早川書房(1976-03-14)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • SF作品が好きな人
  • 火星にあこがれている人
  • 火星人はいると思っている人
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