April 10, 2011

若者のための政治マニュアル

若者のための政治マニュアル (講談社現代新書)
若者のための政治マニュアル (講談社現代新書)

キーワード:
 山口二郎、政治、選挙、マニュアル、スキル
政治評論を多く執筆している大学教授によって、社会の荒廃で様々な被害を受けている若い人に対して、政治のスキルが示されている本。

政治のスキル、つまり選挙に対する考え方が10個のルールとして示されており、それが目次となっている。
  1. ルール1 生命を粗末にするな
  2. ルール2 自分が一番―もっとわがままになろう
  3. ルール3 人は同じようなことで苦しんでいるものだ、だから助け合える
  4. ルール4 無責任でいいじゃないか
  5. ルール5 頭のよい政治家を信用するな
  6. ルール6 あやふやな言葉を使うな、あやふやな言葉を使うやつを信用するな
  7. ルール7 権利を使わない人は政治家からも無視される
  8. ルール8 本当の敵を見つけよう、仲間内のいがみ合いをすれば喜ぶやつが必ずいる
  9. ルール9 今を受け容れつつ否定する
  10. ルール10 当たり前のことを疑え
(目次から抜粋)
一応東京都民なので、今日が都知事選なので、投票の前に政治リテラシーを少し上げるために読んでみた。以下、恣意的に特に勉強になった部分を取り上げることにする。

まずは著者なりに政治の目的が示されている。
 政治の最も大事な目標は何だろう。それは、なんといっても生命を尊重することである。
(中略)
衣食足りて、家族や仲間と楽しく生きることを最も大事だと考える普通の人の生き方を否定することは、政治において最もしてはいけないことである。
(pp.14-15)
そして、著者によれば、政治の第一の使命は、人間が人生をまっとうできるよう平和を守ることである、と示している。さらに平和に関して以下のように示している。
 平和とは、単に戦争がないという状態を意味するだけではない。人間が人間らしく生きることが当然尊重される社会こそ、平和な社会である。人間の尊厳が軽んじられるような社会は、たとえ戦争状態になくても、平和ではない。
(pp.23)
今の日本は本当に平和だといえるのだろうか?と振り返ってみると、怪しいね。毎年年間3万人も自殺してるような状況では、とても平和とは言えないね。また、1ヶ月前の東日本大震災で多くの方が亡くなられる状況もあって、平和ではなくなった人も増えたはず。

平和で健全な生活を送れるようにという政策のもとに政治家となるべき人を選挙で選ぶとき、理想はベンサムの示すように『最大多数の最大幸福』になればよい。しかし、それぞれ一人ひとりの利益と公共の利益が結びつくわけではないから、民主主義の仕組み、つまり議会でそれぞれの求める利益を語り、その中から公共の利益を見出すべきとある。そして以下のように示されている。
人々が政治にかかわりを持ち始める最初の動機は、高邁な理想ではなく、自分にこのようなことをしてもらえるとありがたいとか、このような仕組みがあると助かるといった自分の利益の主張でよいということを、まず強調しておきたい。
(pp.34)
これが、政治家を選挙で選ぶときの一つのわかりやすい基準だなぁと思った。正直、選挙公報とかに示されている提言が、誰をどの範囲で対象にしていて、その結果どういうよいことが期待できるのかといったことを完全に理解できるわけではないし、数年先のことまで考えてはみるが、やはりよく分からなかったりする。

なので、とりあえず、自分自身の生活がよくなる候補者はだれか?という基準で考えると、選挙を自分のこととして考えられて、候補者を選びやすくなると思った。これはあまり今までなかった視点だと思った。次回の選挙もこの基準で投票に行けばいいのだと分かってよかった。

あと、若者が政治に無関心な理由の一つとして、日本における政治教育が不毛であるからというのが示されていた。それによると、中学、高校で習う社会科、政治経済、現代社会は、文科省の学習指導要領を逸脱する内容ではだめだし、大学入試を意識した教科書構成となっている。そのため、本来政治経済という科目は、主権者として政治に参加するためのハウトゥーを学ぶべきなのに、暗記中止となっており、政治的素養を身につけるのが困難であると示されている。

そして、そうなった理由として、以下が示されていた。
 なぜこんなことになるのか。それは、文科省の役人をはじめとする保守的な大人たちが、若者に民主政治を支える公民になってほしいという建前を並べながら、実のところ若者に政治について関心を持ってほしくないと思っているからである。上に述べたように、若者が保守化してから久しいが、文科省の役人や自民党の文教族の政治家は、若者が政治に関心を持ったらまた反体制運動を行うのではないかと恐れている。だから、政治経済を退屈な暗記科目にしておいて、若者を政治から遠ざけたいと思っている。
(pp.138)
これが本当なら、都合のよいように教育が設計されているということになる。まぁ、自分も政治経済とか日本史とか暗記科目はまったく関心がなかった。だから選挙権を手に入れた20歳直後あたりは、投票に行くという概念がほとんどなかった。でも、昨今はそうも言ってられない状況になった。

個人的には、自分たち一人ひとりが選挙で適任な為政者を選びつつ、健全な日常生活を得るには、根本的な教育システムを変えるべきだと思う。もっと言えば、暗記中心の減点主義的な評価尺度ではなく、小、中、高、そして大学入試に至るまでの評価尺度を根本から見直すことが必要である。さらに、就職活動時の評価尺度、就職してからの仕事の評価尺度も見直して健全化すること。これによって大分変わるのではないかと、自分なりに仮説を立てている。

まぁ、そしたらみんな政治に無関心ではいられないでしょう。もっと世の中の事象に関心を持てるし、その上で、自分自身にとってどういう利益がもたらされるかを意識して投票に行けるようになるんじゃないかと思う。

そして、ルール7の最後に以下のように示されている。
 一票なんて無力なものだとみんな思うだろう。しかし、多くの人が一票を投じれば、それが未来の希望につながる道を作るのである。
(pp.148)
あと、ルール10に関して、特に重要だと思った記述を以下に引用。
 自分たちが困ったり悩んだりしていることを、当たり前とあきらめてはならない。そこであきらめると、弱者の苦境を利用して利益を得ている人々の特権や暴利を当たり前だと許すことにつながるのである。おかしな現実に対しては、当たり前だと引き下がらず、おかしいと声を上げることが重要である。
(pp.213)
そのためには、著者も示すように、ブログなどで書くというのも一つの手段であるとあった。まぁ、自分はそんなに政治的なことを個別に書いたりはしないと思うけどね。

本書を読んで政治リテラシーを少し上げられたのだと思う。ちゃんと今日の午前中に近所の中学校に行って投票したし。

また、政治リテラシーを上げるには、あわせて以下も読んでおきたいところ。本当は、この記事は昨日までには更新しておきたかったのだけど、ついつい漫画喫茶で紀元前250年前の中国、秦を舞台とした『キングダム』を読み始めて、あまりにも面白くて止められなくなって、更新タイミングを逃した(笑)。『キングダム』、兵法の勉強にもなるし、為政者としてトップに立つべき人物はどのようであるべきか?といったことも考えられて、本当に面白いと思った。14巻まで読んで、早く続き読みたくてしょうがない。

キングダム 1 (ヤングジャンプコミックス)キングダム 1 (ヤングジャンプコミックス)
著者:原 泰久
販売元:集英社
(2006-05-19)
販売元:Amazon.co.jp

さてさて、今日の都知事選を経て、誰が都知事になることやら。



若者のための政治マニュアル (講談社現代新書)
若者のための政治マニュアル (講談社現代新書)
著者:山口 二郎
販売元:講談社
(2008-11-19)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • あまり政治に関心がない若い人
  • 誰に投票すればよいか分からない人
  • 政治全般について考えてみたい人
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