May 09, 2011

モチベーション3.0

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

キーワード:
 ダニエル・ピンク、やる気、内発的動機、マスタリー、ドライブ!
内発的動機に焦点が当てられている本。目次は長いので、Amazonのページを参照していただきたい。代わりに、第3部で著者自身によって本書の概要が示されているので、それを引用することにする。ツイッター向けのまとめとして以下のように示されている。
 アメとムチは前世紀の遺物。「モチベーション3.0」によると、二一世紀の職場では、「自律性」「マスタリー」「目的」へとアップグレードが必要。
(pp.277)
このように71文字で示されている。これだけではちょっと物足りないと思われるので、同じく著者によってカクテルパーティー向きのまとめが以下のように示されている。
 モチベーションの話となると、科学の知識とビジネスの現場にはギャップがある。ビジネスにおける現在の基本ソフト(OS)は、外部から与えられるアメとムチ式の動機づけを中心に構築されている。これはうまくいかないし、有害な場合も多い。アップグレードが必要なんだ。科学者たちの研究成果がその方法を示している。この新しいアプローチには三つの重要な要素がある。一つは「自立性」―自分の人生を自ら導きたいという欲求のこと。二番目は「マスタリー(熟達)」―自分にとって意味のあることを上達させたいという衝動のこと。三番目は「目的」―自分よりも大きいこと、自分の利益を超えたことのために活動したい、という切なる思いのことだ。
(pp.277-278)
モチベーション1.0が生存を目的とした原始的なもので、モチベーション2.0が従来ビジネスで有効と考えられてきた報酬によって引き起こされる動機付け(外発的動機づけ)、そしてモチベーション3.0が自分の内面から湧き出る(内発的動機づけ)によるやる気と示されている。

本書では心理学者などが研究調査してきた内容から、従来有効と考えられていたモチベーション2.0では、ビジネスなどにおいてかならずしもパフォーマンスを発揮できておらず、アメとムチではなく、内発的動機づけのほうがパフォーマンスを発揮しやすいと示されている。それらの研究内容を根拠として、今後モチベーション3.0にシフトさせながら個人、組織が大いに成果を出せるようにしていくべきだと示されている。

本書の内容についてはここまでにして、なぜこの本を読んだかといったことを示しておきたいと思う。

僕は2009年の夏から1年半、1,300時間かけてTOEIC500点台から955点まで上げることができた。常時モチベーションを保ってTOEICトレーニングを続けるのは本当にしんどかったけど、何とかやり遂げることができた。自分自身のモチベーションの源泉は何によるものだったのか、そして成功の秘訣は何だったのかを確認したくて本書を紐解いてみた。

もちろん、最初から本書に示すようなモチベーション3.0でドライブし続けられたわけではない。モチベーション2.0としてのアメとムチ、自分自身に関して言えば、昇進とキャリアの閉塞感といったことかがそもそものきっかけだった。分かりやすくいえば、英語ができればキャリアの幅が広がって転職に有利とかいったことや、社内である程度の点数がないと出世できないということでもあったりする。

まぁ、そこまでムチみたいなものはなかったけど、アメとしてモテと金といった外発的動機づけからスタートしたことは確かだったと思う。しかし、1年近くトレーニングを続け、800点前半で停滞してきてからはそういった外発的動機づけ以上のものを自分の中に見出していたと思う。それがモチベーション3.0(内発的動機づけ)になり、そして860点、900点、さらには950点の壁も一気に超えられて自分のパフォーマンスを発揮できたのだと思う。(試験統計データとして、毎回900点以上は受験者の上位約3%と算出されており、950点以上はたぶん上位1%のはず。)

では、TOEIC900点突破トレーニングにおける、自分にとってのモチベーション3.0の3要素、「自律性」「マスタリー」「目的」とはそれぞれ何であったのかを振り返っておきたいと思う。

まずは「自律性」。本書では仕事に当てはめると、自分で意思決定し、自由に好きなように仕事をできることとある。そして自律性を構成する4つの要素として、課題、時間、手法、チームが挙げられている。

自分自身に関して言えば、課題は、英語力不足がキャリアの閉塞感を引き起こすこととなり、時間は仕事以外のプライベート時間を費やし、手法はTOEIC勉強本を基本に自分なりに工夫することができた。チームに関しては基本一人でやっていたから特に何もないけど、誰かに強制させられて課題設定をしたわけではないし、時間を費やしたわけでもない。割と「自律性」を発揮できたと思う。

「マスタリー」(Mastery)、「熟達」を意味するキーワードで、何か価値あることを上達させたい欲求を示す。そして、これが何かに没頭できるようなフロー状態になるために必要な要素となる。そしてこのマスタリーにもマインドセットである、苦痛でもある、漸近線でもあるという3つの法則がある。

特にマスタリーは苦痛でもあるというのは、長期目標を達成するための忍耐力と情熱、言い換えれば根性が必要で、一流のプロアスリートが日々修練、トレーニングをこなすように努力する必要があると示されている。そして、それにはやはり長期的な努力が苦痛をもたらすという側面もあることを示している。

これはもうTOEICトレーニングでもかなり実感した。1年半の1,300時間トレーニングはかなりしんどい。本当にスポーツ選手、武道家などの修行のような境地になってくる。月平均120時間、1日平均4時間のトレーニングだった。食事、風呂、トイレ、睡眠、仕事、ほんのちょっとのネット時間以外はすべてTOEIC対策に費やした。これが、苦痛なわけがない。しかし、自分のハンドルネームは期せずしてMasterなのでね。マスタリーくらい体得できて当然でしょう!?

最後に「目的」。これは以下の引用が端的に示している。
 タイプIを支える三脚のうち、二本の脚である「自律性」と「マスタリー」はきわめて重要だ。ただし、バランスを保つためには、三番目の脚も必要になる。それにあたるのが「目的」で、最初の二つに背景を与える役割を果たす。マスタリーを目指す自律的な人々は、非常に高い成果を上げる。だが、高邁な「目的」のためにそれを実行する人々は、さらに多くを達成できる。きわめて強く動機づけられた人々―当然ながら、生産性が非常に高く満足度も高い人々―は、自らの欲求を、自分以外のより「大きな目的」に結びつけるものだ。
(pp.191)
これが一番重要な気がする。中長期的な工数を必要とする目標は、最初は外発的動機づけから始めて、そして次第に内発的動機に目的をシフトできるかどうかにかかっていると思う。自分自身の場合は、単純に「社内での昇進のため」から「自分の能力全体の底上げ」という目的を見出せるようになった。そこまで最低でも半年くらいは継続しなければ見いだせなかったと思う。

以上に示したように、TOEIC900点突破までのトレーニングで習得できたものは、聞く、読むといった程度の英語力だけではなく、本書に示されているモチベーション3.0なのだと確信した。そして、この能力を習得できるかどうかでハイパフォーマンスを発揮できる人材になれるかどうかの分かれ道になるのだと思う。この部分については、いずれこれは別の機会にまとめておきたいと思う。

あと、巻末に本書読了後に友人、知人とディスカッションするための20の質問が示されている。その中で一つだけピックアップ。
  1. 仕事、家庭生活、ボランティア活動などにおいて、あなたは目的へ向かって進んでいるだろうか?その目的とは? 
    (pp.286)
これが一番の課題かもしれない。TOEIC900点突破トレーニングでモチベーション3.0の基礎を体得した。しかし、まだまだ使いこなせているわけでもない。特に仕事面で同じように没頭しているようなフロー状態を経験しているかというと、そこまでではない。

仕事でも同じようにモチベーション3.0の状態を再現できるようにすること、これが直近の課題となる。そのためには、今の仕事で目的を見出さなければならないし、その目的が妥当かどうかも考慮する必要がある。これを30歳までにできるかどうかでその後のキャリアの到達可能領域が変わってくるのだと直感的に思っている。

本書全体を読んで思ったことは、普通になんとなく仕事をしたり生活をしていたのでは、このモチベーション3.0という境地はなかなか得られないかもしれない。また、本書を読んだだけで、すぐに自分をドライブし続けられるようなことが書いてあるわけでもない。もちろん、アドバイス的にツールキットというものが示されているが、即効性はないだろう。

20代後半にさしかかり、転職とかキャリアについて考え出すころなのだけど、単純な金銭的な報酬だけで仕事を選ぶのはよそうと思った。自分はどう考えても、アメとムチだけではパフォーマンスを発揮できないタイプだ。それは5年以上継続してきたこの読書ブログの運営にも当てはまる。1記事1000円とか報酬として受け取っていたら何も自由に書けずに半年ももたなかっただろう。だから献本とかも基本的に受け付けたくない。

最後に本書で気になったところを引用しておく。
 人間は単に、目の前のニンジンを追いかけて走るだけの馬とは違うとわたしたちは知っている。子どもたちと一緒に時間を過ごしたり、自分が最高に輝いている姿を思い起こせば、受身で命令に従うだけの従順な姿勢が人間の本来の姿ではないとわかる。人間は本来、活発に積極的に活動するようにできている。人生でもっとも豊かな体験は、他人からの承認を声高に求めているときではない。自分の内なる声に耳を傾けて、意義あることに取り組んでいるとき、それに没頭(フロー)しているとき、大きな目的のためその活動に従事しているときだ、とわたしたちは知っている。
(pp.207)
今、内なる声に耳を傾けるということが重要なのだと思う。

モチベーション3.0でドライブし続けたい人はぜひ本書を読んでみたほうがよい。



モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
著者:ダニエル・ピンク
講談社(2010-07-07)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • 内面から湧き上がってくるやる気がほしい人
  • 仕事などに対して常時熱い気持ちで取り組みたい人
  • モチベーション3.0習得のための修行をしたい人
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