October 23, 2011

人生を決めた15分 創造の1/10000

人生を決めた15分 創造の1/10000
人生を決めた15分 創造の1/10000

キーワード:
 奥山清行、デザイン、エンツォ、仕事論、達人
ワールドクラスで活躍するデザイナー、奥山氏のスケッチ入り仕事論。以下のような目次となっている。
  1. はじめに
  2. 第1章 迷ったら、やれ
  3. 第2章 やらないよりは、失敗しろ
  4. 第3章 好きなら、極めろ
  5. 第4章 想像力を味方にしろ
  6. 第5章 メッセージを伝えろ
  7. 第6章 ”闘議”から始めろ
  8. 第7章 信じればこそ
  9. 第8章 未来の顧客のために創造する
  10. 第9章 日本人の感性を知りつくせ
  11. 第10章 自分の心に聞け
  12. 解説 茂木健一郎
(目次から抜粋)
本書は、以前GIGAZINEの以下の記事を読み、アドレナリンでまくりでこれはすごい!!と思ってその直後にアマゾって買って読んでみた。本書は著者によって、これから世に出ようとしている若い人向けのメッセージが示されている。この本、スゴ本とは若干ベクトルが違うのだけど、本当に良い本。もう今すぐ迷わずアマぞっていい。それほど読んでいて感動しつつもワクワクしてくる本。

タイトルにある『15分』については、先ほどの記事の真ん中あたりにも示されているので、詳しくはその部分を読んでほしいが、簡単に示すと、切羽詰まった状況でエンツォフェラーリをデザインした時間となる。もちろん、その15分のために何年も前から徹底的にあれこれ試行錯誤があったからに間違いない。

さらに本書のタイトルとなっている、『創造の1 / 10000』については、はじめにから抜粋しておこう。
「創造の1 / 10000」はデザインを決定するまでに1万枚のデッサンを描くこと、あるいは100枚描ける人を100人集めること、つまりそれほど懸命に突き詰めて仕事をするという、僕の仕事をするという、僕の思いを込めている。「人生を決める15分」は偶然にやってくるのではなく「1 / 10000の創造」の中から必然的に生まれる。そんな意味を込め、このタイトルとした。本書を手に取った人たちが、自分のやりたいことを見つけ、才能を発揮するための材料として、僕の経験してきたこと、考えたことを役立ててくれるなら、これほど嬉しいことはない。
(pp.011)
著者は、コルベット、ポルシェ、フェラーリをデザインをしてきており、この快挙はデザイン界ではいまだに前例がないようだ。そして車だけではなく、列車、バイク、家具、メガネ、テーマパークといったあらゆるデザインまでに仕事が及んでいる。そんな著者の仕事論は、一見普通の経営者の自己啓発本のような内容と変わらない部分もあるが、ワールドクラスのデッサンとともに示されているので、とても説得力がある。

たくさん線を引きまくったので、本当は全部示しておきたいのだけど、それはさすがにダメなので、本当にこれは!!と思ったものだけを引用しておく。

強制されて好きになることがある』という節のイラストの解説部分から。
注文が来てからデザインをするのでは遅い。どんなプロジェクトにも常に準備ができていることが大切だ。来るか来ないかわからない仕事のためにアイディアを出すわけだから、無駄も覚悟の上だ。
(pp.045)
著者は仕事だけではなく、プライベートでも家だったりカフェだったり、旅行先でも常にスケッチブックを持ち歩いたりして描いているようだ。さらにときどきその辺にある紙ナプキンにまで描いていたりするらしい。そうして温めておいたデザインが、何年かしてからそれが基になって実現したりしているようだ。

これについては自分は反省しかない。今までどれだけ準備不足でプロジェクトに参画していたことか。もちろん完全には準備はできないかもしれないが、少なくとも心構え程度は必要だなと。さらには将来必要と思われる技術、業務知識をもっと貪欲に日頃から強化しておくべきだなと実感した。まぁ、最近唯一将来に備えられたのは英語力強化かな。英語が必要になるプロジェクトにアサインが決まってから勉強していては遅すぎるので。

次は『予想を上回る結果を出す』という節から。
過去の自分というライバルは、ある意味では最強の敵である。実力はほぼ等しく、持ち味も同じ。違いがあるとすれば、過去から現在に至る時間に自分が何を得てきたかだ。だからプロは怠けない。怠ければ、過去の自分に負けてしまうからだ。
(pp.099)
これはよく自分も考えるなぁ。一番努力していた時の自分と今はどちらがアグレッシブに攻めているか?とか。比較するべきは他人とではなく、やはり過去の自分であるのが一番かなと思う。あのころの自分と今の自分がどれだけ変わっているのか?を実感できるのが一番達成感とか充実感を得られるしね。

また、『ムダと思えることも必要』から以下の部分。
考えてみると、人生にはムダなことはない。その時は回り道やムダに思えても、後になれば必ずその経験が生きるものだ。理屈ではムダに見えても、興味が持てたり、やりたくてムズムズしたりした時は、やってみるべきだと思う。それが自分の可能性の幅を広げ、選択肢を増やすきっかけになることもあるのだから。
(pp.116)
著者はアメリカのGMで結果を出せずに、次にイタリアのピニンファリーナに移籍することが決まっていたが、その間に時間が空いて、何かしら稼がなくてはいけなくなった。そのとき、フリーランスのデザイナーとして、バットマンのバットカーやボストンの水族館、ラスベガスのカジノ、ホテルのインテリアといろいろ仕事をされたようだ。それらが貴重な経験となっていると示されている。

これはなるほどと思った。例えば自分にとっては専門分野とは違うジャンルの本を読んだり、さらにはこのような読書ブログをやっていることかな。直接は役に立たなくて、これでよいのかと思い悩んでいたことがあったけど、今ではこれらが間接的にものすごく役になっていると自信を持って言えるね。プログラミングに関して言えば、読解力がないとダメで、それは読書によって鍛えられたし、あとはブログ記事を見直す時にデバッグの訓練にもなるし、単純に記事更新による文書作成能力向上も設計書やマニュアル作成にかなり役立っているし。

一見ムダと思えることも、それをずっと継続し、違う側面から見てみると、それが仕事や他のことにもかなり活きてくるものだよ、と思えるようになったね。何でもかんでもムダを排除しすぎていたら、極論を言えば、自分の人生そのものがムダってことになる。DBで17号さんも『そのムダが楽しいんじゃないか』って言っているしねwww

最後に一番自分に強烈に響いた、『「負けるはずがない」と心に刻め』というものから。自分のすごく好きなことや大切にしていることに関しての著者の考えを以下に抜粋。
そういう場面での勝負、それはコンペでも何でもよいが、そこで大切なのは自分が日頃から打ち込んできたことを思い描き、「あれだけやったのだから、負けるはずがない」と自分で納得できることだ。僕の例で言えば、世界中のどんなデザイナーよりもたくさんの絵を描き、数多くのクレイモデルを削ってきた自負がある。「自分より多くクルマの絵を描いた人はいない。粘土をいじった回数も自分が一番多い」という事実があるからこそ「だから負けるわけがない」という自信に繋がってきた。
(中略)
そうすれば、たとえ状況が味方せずに、期待した結果が得られなくても、後悔することはない。好きなことが見つかるまでは、ふらふらしていても構わないが、いったん自分の好きなことを見つけたら、死ぬほど努力して、心の底から「負けたくない」と思うべきだ。アートセンター時代の僕がまさにそうで、好きなことのためにものすごく努力した。
好きなことを見つけたら全力集中。そして堂々と「自分は努力している」と人に語ろう。
(pp.075)
著者は間違いなくデザイン業界のワールドクラスの達人で、日頃から徹底的にスケッチをし、数十年に渡って軽く万単位の量をこなしているはず。それはもう『究極の鍛錬』によるものであることも疑いようもない。なので、このように世界中からオファーが来るほどの業績を出し続けているのだと思う。

そして、今の自分にはこの感覚が絶対的に足りない。今の自分に必要なのはこれだ。自分の専門分野でここまでの自信を抱けるほど努力しているか?と問われると、全然違う。達人プログラマーになるのだから、寝ても覚めても誰よりもコーディングしなくてはならないし、誰よりも技術本を読みこんでいるという状況にしておかなくてはならない。そういうことで、この部分にとても自分を突き動かされた。

各ページ見開きで完結するようになっていて、著者のデザインスケッチがたくさん載っている。これらを見られるだけでも、フェラーリなどのスーパーカー好きにはたまらない内容であると思う。そして、車以外のテーマパークなどのデザイン画も興味深い内容で、著者によると今後ビジネスそのもののデザインも手掛けていくとあった。

本書で取り上げられている工業製品のいくつかは著者の公式ページで見ることができる。本書はページ数としては150ページ程度なのだが、全頁カラーで写真もあったりで、雑誌の記事のようで、すごく読みやすい。短く区切ってあるので、通勤時間中に電車で読めるのもよい。価格は2500円なのだけど、これは全然高くない。ワールドクラスの一流のデザイナーの仕事論とスケッチ集がセットになっていると思えば安い。そして自分自身の将来の仕事や夢とか野望もデザインするきっかけになれば、1万円払っても安すぎる内容であると自信を持っておススメできる。

ワールドクラスで活躍するデザイナーである著者の本を読んでいて、これが世界的な仕事なのか!!と感嘆しつつもとてもワクワクした。読み進めるのが本当に惜しかった。そして自分の野望も再デザインされたと思う。

デザイン業界に関わらず、自分の仕事をワールドクラスレベルに仕立て上げたい人は必読!!僕は30歳ごろにまた読み返したいね。




人生を決めた15分 創造の1/10000
人生を決めた15分 創造の1/10000
著者:奥山 清行
販売元:武田ランダムハウスジャパン
(2008-05-24)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • フェラーリなどのスーパーカーが好きな人
  • 就職活動中の学生の人
  • ワールドクラスの仕事で活躍したい人
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1. スパルタで学ぶ、仕事における5つの心得 - 書評 - 人生を決めた15分 創造の1/10000  [ 知磨き倶楽部〜読書で「知」のトレーニングを!〜 ]   October 23, 2011 21:43

エンツォ・フェラーリ―――。 特に車が好きではない、まったく興味がないという人でも、創業者の名前を冠したその官能的なまでに美しい車のこと、あるいはフェラーリというブランドは聞いたことがあるのではな...

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