November 03, 2011

経営思考の「補助線」

経営思考の「補助線」
経営思考の「補助線」

キーワード:
 御立尚資、経営思考、エッセイ、コンサル、補助線
戦略コンサルタントによる経営に関するビジネスエッセイ。以下のような目次となっている。
  1. 1 潮の変わり目
    1. 1章 波と潮流
    2. 2章 外に目を転じれば……
    3. 3章 情報の経済性
    4. 4章 経済ナナメ読み
  2. 2 潮に乗り、風を背に受けて
      1章 アダプティブ・アドバンテージ
    1. 2章 ビジネスモデル・イノベーションを考える
    2. 3章 日本企業の新たな強みを求めて
    3. 4章 変化できる「力」
    4. 5章 「変わる社会」あるいは「社会を変える」
  3. 3 潮に棹さす船頭さん
    1. 1章 コンテクスチュアル・リーダーシップ
    2. 2章 歴史に学ぶリーダーシップ
    3. 3章 新しい組織とリーダー像
(目次から抜粋)
著者はBCGの日本代表で、本書は日経ビジネスオンラインの記事が基となっている。テーマとしては、「二十一世紀初頭の社会と経営を取り巻く、大きな潮流」ということで、著者が仕事で一見関係ない事柄でも「補助線」を引くように他のことに目を向けてみると、思いがけずユニークな答えが導き出せたということがよくあるらしい。そういう自分なりの答えに関することが著者独自の戦略コンサルタント、かつ会社トップの視点から様々な事柄とからめてエッセイ風に示されている。日経ビジネスオンラインの記事は会員登録すれば読めるようだ。

読了後の単純な感想としては、一流の戦略コンサルタント、そして経営トップに立つ人の視野はとても広く、視点も幅広いのだなぁと思った。さすがに「補助線」と示されているだけあって、触れられている内容は、ビジネス、世界情勢だけではなく、歴史や音楽、文化人類学、漫才、オンラインゲームまでと幅広い。そういう視点があるからトップに立てるのだなぁと実感した。

それぞれコラム的な内容なので、連続した内容とはなっていないので、気になった部分をピックアップしておく。

まずは『それでもCMを見ますか?―テレビビジネスの将来性を読み解く』では著者のテレビ視聴体験から、スキップされにくいCMというものがあり、そのため、今後はテレビCMは一定のコスト優位性を持ち続けるだろうと示されている。その一つとして、『プレースメント型広告が増える』と示されている。以下その部分を抜粋。
 既に、映画やゲームの世界では起こっていることだが、人気コンテンツの中に、ストーリーの流れに沿って、自社の商品や広告を登場させるという手法がある。例えば、007の映画で広告効果を狙って、自動車メーカーが自社の車を提供したり、ゲームソフトの中で主人公がある会社の清涼飲料水だけを飲む、といった類で「プロダクトプレースメント」と言われる手法だ。
(pp.81-82)
これは最近もよく見るね。自分が最初に体感したこの広告モデルは、小学6年生くらいのときにやったスーパーファミコンソフトの『スターオーシャン』に出てくる回復アイテムとして「うまい棒」が出てきたりするものかな。最近では新劇場版ヱヴァのUCCコーヒーとかタイバニのタイアップ広告とかね。特にタイバニのブルーローズのペプシネックス広告は効果覿面で、ついつい自販機で飲み物を買うときにペプシを選んでいる自分がいて。『がっちりホールド』されているwwwで、この部分を読んでいて、このプレースメント広告は電子書籍でも使えるのではないか?と思った。要は小説など作品中に出てくる既製品に商品名を入れて、その横にネット記事みたいにバナー広告を入れておけばいいんじゃないかと。電子書籍販売にスポンサーをつければ、出版社の電子書籍販売費用が大分軽減されるんじゃないかなぁとか思った。あとはGoogle アドセンスみたいに本文中の内容を自動解析して広告が載るとか。まぁ、もしかしたらすでにそういうのがあるのかもしれないけど。

村上春樹作品にはやたらとパスタの料理とかビールがおいしく表現されているんだよね。そこにどこかの企業の広告があったら思わず買うかもしれないしねぇ。どこかこのプレースメント型広告を電子書籍でやってくれないかしら。

また、『コンテクチュアル・リーダーシップ』では、現状の金融危機という「波」にもまれながら、「潮流」のような本質的変化にも洗われている企業のリーダーに必要な条件として以下の3つを示している。
  1. 先が読めない状況の中で、組織の中にはびこりがちな不安を払拭できる「明るさ」
  2. 一方で、短期、中期、長期といった複数の時間軸を見わたしながら、冷静に状況を判断し、「深く読むべきこと」と「読んでも仕方のないこと」を切り分けられる「ウィズダム(wisdom=知恵)」
  3. 自らタイプの違う異質の人材を活用し、さらに自分の目的達成だけではなく部下の自己実現を支援することで、より強いモチベーションを持ったチームを作り上げ、動かしていける「懐の深さ」
    (pp.220-221)
ここで想定しているリーダー像は間違いなく経営トップクラスなのだけど、こういう視点はなるべく早めに養っておきたいところかなと。徐々にクラスが上がってくるにつれて、チームを率いたりしなければいけない。そんなとき、このような条件がとても勉強になる。

また、上記の条件に続けて、「この人はすごい」と思わされるリーダーとして、以下のように示されている。
 ただ、仕事を通じてお目にかかった「この人はすごい」と思わされるリーダーには、何らかの形で、この三つの要件が備わっているように思える。
 当然ながら、この三つの要件を身につけていくプロセスも人それぞれなのだが、「教養」を身につけるべく努力を続け、かつ、いずれかのタイミングで相当の「修羅場」体験をしている方が多いように見受けられる。
 「リーダーシップは旅である」という明言がある。
 リーダーになっていく旅は、志と覚悟があれば、いつでも始められるし、そして人生を通じて旅は続いていく、ということだろう。
(pp.221-222)
やはり、仕事だけできても教養観がなければ人の上に立って、導いていくことができないのだなぁと思った。そのためには自分の仕事には直接関係ない古典文学作品や歴史本、科学本を読んだほうがよいのだなぁと改めて思った。そしてその自分の考えの源泉は何かと振り返ってみると、5年前に読んだ著者の以下の本によるのだと改めて分かった。何でもよいから好きな本を読んで思考プロセスを鍛えておけば、それが仕事に活きてくると示されていたのが印象に残っていた。それから著者に関心が出て、本書を買って2年ほど積読したけど最近読了して、含蓄のある中身でよかった。

また、最近になって本書の続編が発売されたらしい。良いタイミングなので、そのうち買おう。

変化の時代、変わる力―続・経営思考の「補助線」変化の時代、変わる力―続・経営思考の「補助線」
著者:御立 尚資
販売元:日本経済新聞出版社
(2011-10-26)
販売元:Amazon.co.jp

本書はネット上の記事が基になっているので、1コラムあたりはそんなに長くないので、割とさくっと読める。ビジネスエッセイで肩の力を抜いて楽しみながら読めばよいと著者は示しているけど、あまりなじみのない経営トップの視点からのビジネス内容はすんなり頭に入ってこない部分も無きにしも非ず。それでも本書を読めば、大局観は確実に養われるだろう。



経営思考の「補助線」
経営思考の「補助線」
著者:御立 尚資
販売元:日本経済新聞出版社
(2009-06-26)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • 戦略コンサルタントになりたい人
  • 将来経営者になりたい人
  • 大局観を養いたい人
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