December 04, 2011

ブックストアは危険がいっぱい

ブックストアは危険がいっぱい (角川文庫)
ブックストアは危険がいっぱい (角川文庫)

キーワード:
 リシェル・ミード、ロマンス、悪魔、契約、復讐
全米で25万部の大ヒットパラノーマルロマンスシリーズ第1弾。以下のようなあらすじとなっている。
エメラルド・シティ・ブックス&カフェは居心地のいいブックストア。一見普通の店ですが、一つだけ変わったところがありました。それは、書店員がサキュバス・夢魔だということです。男性を虜にして魂を奪う夢魔は、たとえ本当に愛している相手でも、キスしただけで命を奪ってしまう危険な存在。これじゃ、恋愛なんてできやしない!ジョージナの不幸な恋愛体質の行方は?全米で大人気のパラノーマルロマンスがついに登場!
(カバーの裏から抜粋)
本書は松丸本舗の『本人(ほんびと)』コーナーでたまたま発見して、タイトルに惹かれて買って読んでみた。正直まったく期待してなかったけど、意外に面白かった。ジャンルはパラノーマルロマンスというらしく、ファンタジー的な要素をもつ恋愛小説のことらしい。主人公、ジョージナはイモータルという不死の下級悪魔のサキュバス。シアトルの書店で働きながら、人間に紛れて暮らしている。ジョージナの使命は、男どもの精気を吸収し、堕落させること。ある日、好きな作家のセス・モーテンセンが自分の書店のサイン会に訪れることになり、そこで出会って徐々にセスに惹かれていく。その時と同時に、自分の不都合さをごまかし、デートの約束を取り付けるためだけに、たまたま書店にいた客ローマンにも惹かれていく。けれど、本気になってはダメ。本気で結ばれる相手は精気を吸い付くし、死に至らしめてしまうわ、さぁ、どうしましょう!?

このような単純なロマンスかと思いきや、実はそうではないのがこの作品の面白さ。主人公の住むシアトルには悪魔族、イモータル仲間が複数いる。ヴァンパイアやインプ、主人公の上司的なデーモン、さらには上級天使まで。あるとき、セスたちに惹かれているところに仲間のヴァンパイアが何者かに殺される。不死であるイモータルを殺せるのはヴァンパイアハンターの能力を持つ人間だけのはず!?さらに犠牲者が増え、一体誰が何の目的で仲間のイモータルを襲っているのか?それを突き止めるべく、主人公が危険を顧みず奮闘する!!、というミステリーっぽい要素もある。

ロマンスもののアメリカンドラマっぽいステレオタイプ的な登場人物が出てきて、その人たちが繰り広げる会話がかったるくて、中盤まで惰性で読んでいた。基本的に仕事で疲労した通勤帰りの電車の中でしか読まないし、あまり頭を使わなくてもよいものを読みたかったから。約400ページの作品なのだけど、半分の200ページを超えたあたりから、おや?と思わせるような展開となる。そこから結構予想外の展開になって、ふむ、なかなか面白いではないかと思った。

あまりネタバレしてもダメなのだけど、主人公は最初からサキュバスに生まれているわけではなく、元人間で、二千年前、普通にリーサという名で結婚もしていた。しかし、あるとき出来心で浮気してしまい、そこから夫の記憶からも消え去りたいと願い、インプにそそのかされ、契約によってサキュバスに生まれ変わり、不死の能力を得る。しかし、サキュバスの使命を果たしつつも、決して精神的な深い部分では結ばれることはなく、『誰か愛する人がほしい。』とずっと思い続けている。そういう主人公の背景的な部分があって、なんだか感情移入できた。

あと悪魔とか天使とかそれぞれがたくさん出てくるのがよかった。それらの設定とかも。例えば、主人公はサキュバスで、シェイプシフトという変身能力で、服も含めて姿を変えることができる。また、上司であるデーモン、ジェロームがなぜか上級天使、カーターと仲が良かったり、天使の真の姿は畏怖を覚えるほどに美しくかつ直視できないほどまばゆく、人間がまともに見ると死ぬとか。さらに天使は嘘を見破ることができたり、テレポートできたりとかも。

1ヶ所だけなるほどと思う描写があった。よれよれの身なりをしていて、あまり感情を表に出さない、主人公にとってはとっつきにくい天使の以下のセリフ。
「完璧な愛なんてめったにないさ」カーターが指摘した。「人間たちは愛はそういうものじゃなきゃいけないと勘違いしている。愛を完璧にするのは、不完全さなのさ」
(中略)
「いつだって希望はあるさ」カーターはさらにきっぱりと繰り返した。威厳のある口調だったので、わたしは驚いた。「希望を持つに値しない者なんていないんだよ」
(pp.389-390)
村上春樹的なセリフだなぁとか思いつつ、含蓄のある言葉だとも思った。ここを読めただけでも良かったのだと思う。

本作で一応完結しているが、訳者あとがきを見ると、どうやら全5部作の第1作目らしい。2作目は、『ブックストアでくちづけを』となる。うーむ、それを知らずに買ってしまったので、松丸本舗のようなブックストアは本当に危険だ(笑)。続編を買い続けなくてはいけないのだから。

パラノーマルロマンスものは初めて読んだけど、ハーレークインみたいな感じかと思ってたら結構違ったかな。いや、そもそもハーレークインはまともに読んだことないけど(笑)。先入観を持って本選びをしていると、世界が狭まったままだなと思った。たまには全然読まないジャンルもいいかもしれないと思った。

天使とか悪魔とかが出てくるのが好きな人には面白く読めると思う。



ブックストアは危険がいっぱい (角川文庫)
ブックストアは危険がいっぱい (角川文庫)
著者:リシェル・ミード
販売元:角川書店(角川グループパブリッシング)
(2010-11-25)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • 天使や悪魔とかが好きな人
  • ブックストアが大好きな人
  • 結ばれない感情を抱いている人
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